初めて転職する人必見!知らないと数万円損をする退職手続きとお金の話

行きたかった会社の内定を獲得して、現在の会社を退職することになった…そんな場合、会社の退職・入社に関連するたくさんの手続きが発生します。

実は退職関連の手続きについて、知っていると知らないとで数万円の金銭的な差が生まれる可能性があります。これらは自社の担当者も転職先の担当者もなかなか教えてくれないので、自分でしっかり理解しておきましょう。

Web業界でなくても初めて転職する方には参考になる内容なので、ぜひ転職計画の参考にしてくださいね。

【健康保険】歯の治療は退職までに完了しておくと安心

退職したら健康保険証は使えなくなる

企業で働く従業員は社会保険に加入し、会社と折半で保険料を支払っています。給与から引かれている、健康保険料と厚生年金保険料がその保険料の自己負担分です。

この健康保険の資格は退職日の翌日に喪失します。つまり、退職の翌日からはそれまでの健康保険を利用できません。

月の初めにしか保険証を確認しない病院では3割負担で受診できてしまう可能性がありますが、後で10割負担の金額を支払うように請求がきます。退職した会社の総務を通じて連絡が来るなど元の会社にも迷惑をかけるので、間違って受診しないように注意してください。

歯の治療など計画的に行っている治療があれば、退職までの期間に終了しておくと安心です。

新しい健康保険加入までに数万円損することも

では転職して次の会社で保険証をもらえるまで体調が悪くても病院にいけないのか?というとそうではありません。

退職前に治療を完了する場合と比べて手続きが面倒ですが、入社日によって3つの方法があります。

■翌日新しい会社に入社するなら転職先の健康保険が使える

新しい会社で社会保険に加入する場合、保険証を受け取らなくても入社した日から社会保険に入れます。
ただし保険証がもらえるまでには数日かかるので、その間はいったん全額を自分で建て替え、あとで健康保険から還付してもらうという流れになります。

もしくは保険証がもらえない間も、会社に相談して健康保険から被保険者資格証明書を発行してもらえれば、保険証と同じように3割負担になります。
細かい手続きは会社や健康保険によって違うので、転職先の総務担当者に確認してください。

■それ以外は国民健康保険か、任意継続かを選ぶ

退職から次の会社への入社までに日数が空く場合、その期間については国民健康保険以前の健康保険の任意継続被保険者か、どちらかを選ぶ必要があります。

診療を受ける際の負担額は通常3割負担で変わりませんので、この2つについては保険料を比べてどっちにするか決定してください。

国民健康保険の保険料は居住地や前年の所得・資産、家族数などから決定されるため、単純に計算できませんが、市区町村の国民健康保険窓口で確認できます。

任意継続被保険者の場合、それまで会社が半分負担していた健康保険料が自己負担になるので給与天引き額の約2倍になります。

参考として年収400万円の会社員が退職して、協会けんぽから国民健康保険に移る場合の保険料の月額目安はこちらです。※標準報酬月額34万円、単身者の場合。あくまで概算・国民健康保険は月額換算。平成31年3月~

国民健康保険 協会けんぽ任意継続被保険者
約27,000円 約33,660円

これを見ると国民健康保険の方がお得だと感じます。
しかし国民健康保険では家族は別計算になるため、妻や子供など扶養家族がいる場合には上記にプラスして保険料が掛かります。

一方、任意継続被保険者の場合は被扶養者という考えがあるので、上記の金額で家族全員が健康保険に加入できます。家族を含めた保険料の金額で決めるようにしましょう。

【年金】国民年金は厚生年金より安くてお得…ではない

社会保険のもう一方である、年金についても健康保険と同じことが言えます。
企業に勤める場合、会社と保険料を折半して厚生年金に加入していますが、退職し他の企業で厚生年金に加入していない期間は、国民年金に加入し保険料を収める必要があります。

参考として、年収400万円の会社員が退職して、厚生年金から国民年金に移った場合の月額保険料の目安はこちらです。※標準報酬月額34万円の場合、平成29年~

国民年金第1号被保険者保険料 厚生年金保険料
16,410円 31,110円

国民年金の方が安いと感じますが、厚生年金保険料を納付すれば、将来的に国民年金より高い給付が見込めます。総合的に考えるとやはり期間を開けずに厚生年金に加入しておいた方がお得です。

転職の際に空白期間を作らないのがベスト

このように退職日と次の会社の間に空白があると、その間の社会保険料を自分で納めなければなりません。
収入にもよりますが、それまで会社が負担してくれていた分が無くなるので、空白の期間が長くなればなるほど退職者の負担は大きくなります。

それにこれらの手続きをした後で、さらに新しい会社で加入の手続きをしなければいけないわけで、手間も掛かってしまいます。

手続きが楽で金銭的にもお得なのは、退職日の翌日から新しい会社で働くことです。

少し休みたい、という場合には退職前の会社の有給休暇を利用するなどして、休みながらも被保険者資格については空白を作らないのが、最も楽な転職のポイントです。

【住民税】「最後の給与が激減する」現象について

他にも転職にまつわるお金の話で注意しておくべきことがあります。

それは、住民税の一括徴収です。
これを理解しておかないと、「最後の給与が数万円しかなく生活が困窮する」というピンチ招きかねないので、しっかり理解しておきましょう。

1~4月の退職では住民税が一括徴収される

住民税の支払い方法には「普通徴収」と「特別徴収」があります。
普通徴収は納税者が直接役所に納付書を使って支払う方法ですが、特別徴収は給与から天引きして会社を通じて支払うもので、会社員のほとんどがこの方法を使って住民税を支払っています。

そしてこの特別徴収の場合、退職のタイミングによっては最後の給与から数ヶ月分の住民税を一括で控除されてしまうのです。

住民税は前年の所得にかかる住民税を、今年の6月から翌年の5月にかけて毎月分割して支払う方式になっています。(新卒の手取り金額が2年目の6月から下がってしまうことが多いのは、1年目の所得に対する住民税を払い始めるからです)

1~4月の退社の場合、原則的に5月中までに支払予定の給与から残りの税額を一括徴収するよう、会社に義務づけられています。

毎月の支払いに影響が出ないかあらかじめ確認を

つまり、この期間に退職すると最後の給与から数か月分の住民税が天引きされるので、月々15,000円の住民税を支払っていた人が1月に退職すると、2月に支給される最後の給与からは4か月分=60,000円が天引きされてしまうのです。

もちろん払うべきものを予定より早く支払ったに過ぎず、トータルで見て損をするわけではないのですが、いつも通りの金額が振り込まれるものと思っていたのに、数万円も少ないとなると、家賃や生活費の捻出に問題が出かねません。

退職前に最後の給与の金額については、控除される金額を含めて退職前に総務に確認しておくと安心でしょう。

【その他】転職で一時的に社会的信頼が低下することを理解

日本の社会では勤続年数がその人の信用を高めるという一面があります。
つまり会社を退職するということは、自身の社会的信用がリセットされるという面もあるのです。

これにより会社に勤めていた時なら問題なくできたことができなくなる可能性があります。以下の2点については、特に必要な場合は退職する前に行っておいた方が良いでしょう。

クレジットカードを作る

クレジットカード会社やカードのステータスによっては「勤続何年以上」 という基準を設けて審査している場合もあります。

転職し勤続年数が少ないうちは審査に 通らない可能性があるので必要な場合は退職前に作成しておきましょう。

家や車などのローン契約

家や車など大きな買い物をしてローンを契約する予定がある場合は、退職前に契約を完了する方が良いでしょう。やはり勤続年数によって信頼度が評価されますので、 転職後の年収が現在と同等もしくはアップしていたとしてもローンで引っかかってしまう可能性はあります。

ただし転職するからといって焦って無理なローンを抱えないようにしてください。

転職後のためにも損をしない手続きを進めましょう

転職という人生の大きな節目において、社会保険などの手続きは些末なことに思えるかもしれません。

しかし手続きを知らなかったために数万円単位で損をしてしまったり、将来の年金需給において不利益を被ったりする可能性はあります。

またこれら手続きについて、 あまり会社の方から親切に教えてくれるということはありません。必要なことは自分で調べ、分からないことは総務担当者や会社が契約している社会保険労務士に相談して主体的に進めましょう。

新しい会社で気持ちよく働くためにも退職に関連する諸々の手続きについてはしっかり理解した上で自分が損しないように理解して進めるようにしてくださいね。