中学レベルの知識でも楽しめるのか?ロマンティック数学ナイトレポート

2020年5月30日、数学好きの数学好きによる数学好きのためのイベント「ロマンティック数学ナイト」がオンライン開催されました。

「数学」のイベントって何をするの?それっておもしろいの?

そう思う方も多いと思いますが、参加してみた結果、これまでのイベントにない面白さを感じられました。また何より数学の知識が中学生レベルでも大いに楽しめたので内容をレポートします!

ロマンティック数学ナイトとは?

ロマンティック数学ナイトは、2016年から開催されている数学イベントです。
内容は数学を愛する人たちが1人当たりの持ち時間496秒(8分16秒)で自分の好きな数学について語るショートプレゼン大会です。

※ちなみになぜ持ち時間が496秒なのかというと、496が「完全数」だからとのことです。(完全数=自分自身を除く正の約数の和に等しくなる自然数のこと)

プレゼンターは学生から大学教授まで幅広く、数学の分野も多岐にわたります。
通常は六本木のクラブなどを借りて行われるリアルイベントなのですが、今年はコロナウィルス流行の影響もあってオンラインでの開催になりました。

しかし、そのおかげで日本中・世界中から参加が可能になり今回は約650人もの数学好きが参加したそうです。

ロマンティック数学ナイト公式サイト
http://romanticmathnight.org/

中学レベルの知識で楽しめるのか?

数学イベント、しかも大学教授まで登壇するとなると、高度な数学の知識がないと楽しめないのでは?と思ってしまいます。

私は数学に興味はあるのですが高校で勉強した内容はすっかり忘れてしまっていて、実質的に中学レベルの知識しかありません。

そんな私がなぜ数学が好きかというと、

  • サイモン・シンの「フェルマーの最終定理」「暗号解読」が面白かった
  • 数学者のドキュメンタリーや映画を見て生きざまに感銘を受けた

というような文系な理由で、数学という学問の中身ではありません。そんな私でもロマンティック数学ナイトを楽しむことはできるのでしょうか…

一抹の不安を感じつつ観覧で参加してみました。

結論:めちゃくちゃ面白かった。

結論を言うと、めちゃくちゃ面白かったです!

実を言うと数学的な内容はほとんど理解できなかったのですが…。
それでも、数学に興味がある者として楽しいと思えたのには以下の3つの理由がありました。

プレゼンの「とっかかり」がどれもわかりやすい

内容的には大学レベルの数学なども出てくるので、とても理解できませんでした。

しかしプレゼンの切り口としては、誰にも想像しやすい「コロナを避けるための分散登校」とか「学校の席替え」などから始まるものが多く、知識がない自分にでもイメージしやすい題材がほとんどでした。

どんどん高度な話になっていくので途中からわからなくなるのですが、それでも「毎日の生活の中にこんなに数学があるなんて」という驚きを感じられました。

数学のすごさが実感できる

「プレゼンの内容がわからない」という話をしましたが、どうもこれは私の数学の知識レベルのせいではなくイベントに参加している多くの人がそうだったようです。

イベントの司会は数学の教師でもある吉本興業の「タカタ先生」なのですが、「わからなかった~」とおっしゃっていましたし、Twitterで「#ロマンティック数学ナイト」というタグを追っていたのですが、ツイートでも「全然わからんw」という人がほとんどでした。

それでも、

「何かよくわからないけど、びっくりするような結果が出た」
「説明はできないけど、明確な法則があるとしか思えない」

そんな内容を目の当たりにして純粋に「すごい!」と興奮しました

とにかくみんな楽しそう!

これが一番の魅力だと思うのですが、発表する方々がみんな本当に楽しそうでした。

自分の好きなことについて熱意をもって話している人はとても魅力的だし、「数学が好き」という気持ちがあふれているので見ているだけでこちらもエネルギーをもらえたように感じました。

↓これまでにロマンティック数学ナイトに登壇された方々はこちらから
http://romanticmathnight.org/teacher

プレゼンテーションの内容は?

このように、それぞれのプレゼンテーター(ロマンティストと呼びます)の方が、自分の好きなテーマの内容について思いのたけを語るプレゼンテーションなので、内容については、私の知識ではとても内容を正しく伝えることができません!

プレゼンテーションの中でメモした印象的な言葉やスライドだけご紹介しますので、面白そう!と思った内容については、Twitterなどでぜひそれぞれの方の研究や活動の内容について調べてみてください。

■タクシー数に興奮した話

・mattyuuさんはゼータ関数のゼロ点を手計算したことがある。
・タクシー数「1729」に関して、x^3+y^3=1729を満たす(x,y)は他にどんなものがあるのか。
・数学者の大好物「楕円曲線」。
・数学者は「ある」か「ない」かが気になり、「ある」ことがわかると「どれくらいあるのか」が気になる。
・双有理変換。
・全部の有理点を求められる。やばい。

ロマンティスト:mattyuu
https://twitter.com/mattyuu123

■三密を避けたいなら有限射影平面を使うとよい

・分散登校の際、出席番号の偶奇で分けると好きな人とずっと会えないままなので悲しい。
・有限射影平面を使えば、一定期間に必ず全員と会える分散登校が可能となる。

ロマンティスト:鯵坂もっちょ
https://twitter.com/motcho_tw

■「にじたい」へのいざない

・オイラーの素数生成多項式、f(x)=x^2+x+41
x=0から39の間であれば全部素数になる!すごい。
・2次体は数の新大陸!整数論を展開できる。

ロマンティスト:辻順平(tsujimotter)
https://twitter.com/tsujimotter
http://tsujimotter.info/

オイラーの素数生成多項式の秘密
https://tsujimotter.hatenablog.com/entry/prime-generating-polynomials

■太郎が花子に勝つ日は来るのだろうか?

・絶対に係数(a,c)を逆にして因数分解をしてしまう、おっちょこちょいの太郎。
・でも、それでもキレイに因数分解できるのって面白いのでは?と気づく。
・よく見ると因数分解の結果も係数が入れ替わっている、これは偶然か?
・花子が係数に使う3つの数を決め、太郎がそれを使って2次式を作り、因数分解できれば太郎の勝ちとする。このゲームで太郎は勝てるのか?

ロマンティスト:竹内英人(名城大学教職センター 教授)

■Joy In Partition

・プレゼンター最年少の高校生。
・今回屈指の置いてけぼりプレゼン。
・みんな大好きリーマンゼータの話。
・プリンシパルスペシャライゼーション。
・マルチパータイトパーティションはやばい。

ロマンティスト:たけのこ赤軍
https://twitter.com/691_7758337633

■ハートの方程式

・ハートの形を方程式で表すことができる。
・拍動するハートの方程式。
・パラメトリック曲線。
・陰関数表現。
・今はすぐに数式を可視化できるようになったので便利(Surfer)

ロマンティスト:三谷純
http://mitani.cs.tsukuba.ac.jp/ja/
https://twitter.com/jmitani

■タカタ予想の証明(偉大な数学者は日本のコメディアンに生まれ変わったのか)

・休憩をはさんで司会のタカタ先生のプレゼンからスタート。
・天才数学者の二大巨人が日本のお笑い芸人に生まれ変わった?
・顔だけでなくエピソードも似ている。

ロマンティスト:タカタ先生
https://twitter.com/takatasennsei

■オイラーの等式の意味

・18歳、数学を愛する会会長。
・Twitterで「円を三等分選手権」をやったりしている。
・e^iπ+1=0(オイラーの等式)の意味をすぐに理解できなければ第一級の数学者になれない。
・オイラーの等式の意味とは?
・あらかじめ用意しておいた複素数平面。
・大天才ガウスがイメージしていたものを、今はコンピュータを使えば誰でも見ることができる。

ロマンティスト:いっくん(数学を愛する会 会長)
https://twitter.com/mathlava
https://www.youtube.com/channel/UCiWX4vv7OrX6oTG2YlRWqNw

数学を愛する会長さんの今回のプレゼンはYouTubeで公開されています!

【会長直伝】オイラーの等式の意味【ロマンティック数学ナイト】
https://youtu.be/AwoyAmqWGMs

■席替えに潜む数学

・素数が書かれたコップを作ったら「割れない」と結婚式の引き出物として人気。
・席替えの前と結果だけを見るのではなく、途中の動きも考える。
・Pafumeだけでなく、組みひもやロボットの動きを考える時に必要になる考え。

ロマンティスト:ζWalker(ゼータウォーカー)
https://twitter.com/walker0226

■はじき撲滅運動

・小中学校の授業で「速さ×時間=距離」を教える時につかう「はじき」を撲滅したい!
・塾講師時代、この覚え方をしていて「分速800メートルで2時間」など単位が違う時に間違う生徒が多かった
・本質を無視して解き方だけ覚えさせても理解につながらないのではないか
・「ひとまず解けるようにして、理屈は後でいい」と言ってもほとんどの生徒はそれをしないまま終わってしまう
・本当に数学に興味を持つ生徒の期待に応えられない

ロマンティスト:鈴木貫太郎
https://twitter.com/Kantaro196611
https://www.youtube.com/channel/UCye8PYMLvXg-h48lTPFwb2w

■D.H.J

・熱量が大きくワクワクさせてくれるせきゅーんさん。
・D. H. J. Polymath=数学者が討論の結果発見した定理の証明を1つの名義で発表した時の名前。(D. H. J.=Density Hales-Jewett theoremらしい…)
・普通は条件を一般化するほど証明が難しくなるが、一般化した方が簡単になる「一般化のパラドックス」もあるとは驚き。
・すでに証明されたものについて別の証明方法を考えることは無駄ではない。違う証明方法ならもっと強い定理が見つかることもある。

ロマンティスト:せきゅーん
https://twitter.com/integers_blog
http://integers.hatenablog.com/archive

■一般化スペクトル理論とその応用

・数学好きだけに通じる完全数ギャグ。
・今回屈指の置いてけぼりプレゼン2。
・参考文献:俺

プレゼンター:千葉逸人
https://twitter.com/hayatochiba

熱中して話している姿が胸を打つ

実際に参加してみて、数学的な内容はほとんど理解できなかったのですが、それでも5時間の長丁場飽きることなく楽しめました!(プレゼンの他に歓談タイムや休憩の時間もありました)

今回は時間の都合で、運営の方のお話もあったのですが、

「数学を好き、というと『数学なんて役に立たない』『何で数学なんてやるの?』という反応をされる。でも数学も『楽しいからやる』それだけでいい」

という話をされていました。確かに数学は「苦手」「嫌い」という人が多いだけに、「好き」という話をしにくいのかもしれません。

でも今回のプレゼンを見て、例え今の自分には理解できない内容でも「数学って面白いんだな」ということが伝わりました。

数学を理解して楽しんでいる人には、同じ世界もまったく違うように見えているのだと感じますし、憧れます。こういう内容が少しでも理解できるようになりたいので、独学で進めている数学の勉強を頑張りたいと思います。

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2020.03.11

開催が不定期なので次の開催がいつになるのか、またそれがオンラインかリアルイベントなのかもわかりませんが、数学に興味がある人ならぜひ参加してみてください。

また、プレゼンターも毎回募集されているので、我こそは!という人は参加して見てくださいね。

レポートは以上です。お読みいただきありがとうございました!

※プレゼン内容については、主催された和から株式会社さまから公式のレポートが公開されたので、「もっと詳しく内容を知りたい」という方はぜひぜひご覧ください!↓↓↓

全国から数学好きが参加!初のオンライン開催!ロマンティック数学ナイト!
https://wakara.co.jp/event/20200603

ロマンティック数学ナイト公式サイト
http://romanticmathnight.org/