Web業界で働くには?仕事内容から「ブラック」の噂、未経験が転職する方法を解説

現代人なら、日常生活でWebサービスを利用しない日はありません。Webに関連する市場は年々大きくなり、Web業界は成長業界として転職希望者にも人気です。

しかし、Web業界と一口に言っても多くの職種がありますし、また Web 業界に「給料が安い」「サービス残業が多い」などブラックなイメージを持っている人も多いようです。

この記事ではWeb業界に含まれる職種の詳細から、Web業界にまつわる噂まで実態に即して解説していきます。

そもそもWeb業界とは?IT業界と同じ意味?

そもそも「Web業界」とはどんな業界を指すのでしょうか。イメージの似た業界に「IT業界」がありますが、この2つは同じなのでしょうか。

IT業界を日本語にすると「情報通信産業」となりますが、情報通信産業は大きく以下の4つに分類できます。

1. インターネット・Web業界

インターネットを利用してサービスを提供している業界
法人から個人まで、幅広くサービスを提供する

2. 通信業界

電話・インターネット・光ファイバーなどのインフラを提供する業界
公的機関や法人を対象に事業を行っていることが多い

3. ソフトウェア業界

PCやスマホで使用するOSやソフト、アプリケーションを開発・提供する業界

4. ハードウェア業界

PC・スマホ・周辺機器などのハードウェアを開発、販売する業界

つまり、「IT業界」と「Web業界」は違う業界を意味するのではなく、IT業界の中にWeb業界が含まれると理解するのが正しい理解です。

ただこれらの言葉の使われ方を見ると、
・自治体や法人向けにインフラやシステムを開発・提供→「IT業界」
・インターネットを通じて商品やサービスを直接ユーザーに提供→「Web業界」
と一般的に認識されているようです。

相乗効果を生みながら成長するWebのサービス

IT業界の中の一部分であるWeb業界は、サービス内容からさらに細分化できます。

■eコマース
インターネット上での商品・サービスを購入できるサービスです。
例:Amazon、楽天市場

■Web広告
リスティング広告やアフィリエイト広告などの広告サービスです。
例:Google広告、Yahoo!広告

■SNS
インターネット上で情報の発信や共有ができ、人間関係を構築できるサービスです。
例:Facebook、Twitter

■ポータルサイト
「入口」を意味する「ポータル」の言葉通り、ユーザーに取って様々な情報やページの入り口となり、ユーザーが最初に訪れるページです。
例:Yahoo!JAPAN

■ソーシャルゲーム
もともとはSNS上で配信されているゲームの総称でしたが、今では一般的にスマートフォン向けゲームのサービスを意味します。

■キュレーション
Web上にあるコンテンツをカテゴリやテーマで収集・分類しまとめることで、ユーザーにとって読みやすくして提供するサービスです。
例:Yahoo!ニュース

上記以外にも、最近増えている電子書籍のサービス(Kindleなど)やeラーニングなどもWeb業界のサービスです。
このようにWeb業界では新しいサービスが次から次へと生み出されています。

またYahoo!がYahoo!広告とキュレーション、Amazonがeコマースと広告、電子書籍を手がけるなど、複数の分野にまたがってサービス提供している企業が多いのもWeb業界の特徴です。

これはWeb業界のテクノロジーが発展していることに加え、1つのサービスで得られた情報を別の分野に応用できるなど相乗効果が生まれやすいからです。
このようにして、Web業界は現在も大きく発展をしています。

Web業界の代表的な3つの仕事

そんな発展が著しいWeb業界にはどんな仕事があるのでしょうか。ここでは代表的なWeb業界の仕事について解説します。

1.Webで売るための戦略を立てるWebマーケター

活躍分野:eコマース、Web広告
年収:350万円~ ※マーケティング責任者などへのキャリアアップによって限度なし

Webマーケターとは、インターネットを使って商品やサービスの販売戦略を立てる仕事です。

eコマースやWeb広告の市場が拡大し続けている現在、Web上の戦略によって企業の売上は大きく左右されます。

Webマーケターは自社、あるいは依頼を受けたクライアント企業のために、Web上で商品を販売し売上を作るための戦略を作成し実行する仕事です。

Webマーケターの戦略によって、月間売上が数万円だった商品が、数か月で数千万円売上ることもあり、売上に対して非常に大きな影響力を持ちます。

実際に行う施策は、認知度アップからブランディング、見込み客の集客・教育、商品・サービスの販売からリピートやファン化のための施策までと非常に幅広い分野に渡ります。

具体的な方法としては、Web広告、SNSやメディアの運用・改善、ランディングページの改善、さらにビジネスモデルの構築などが中心になります。

これらのマーケティング活動には、オフラインでのマーケティング活動と違って「数字で詳細なデータが出る」という特徴があります。
広告が何回表示され、そのうち何人がページを訪れ、さらにそのうちの何人が実際に商品を購入したかなどが分かるのです。

Web マーケターにはこれらの数字から起こっている事象を正確に推定し、スピーディーに新たな施策を実行することが求められます。

2. ページの成果を左右するWebデザイナー

活躍分野:eコマース、Web広告など
年収:350万円~600万円 ※Webディレクターなどにキャリアアップした場合

Web業界のサービスには、Webページやサイトが欠かせません。Webデザイナーは、それらのサイトをデザイン・制作する仕事です。

ページの内容が変わらなくても、画像を変えただけあるいはデザインを変えただけで売上が何倍も変化するなど、Web業界のサービスにおいてはデザインの持つ影響力は絶大です。

Webデザイナーの場合、見た目に優れたデザインを制作するだけでなく、そのサイトやページの目的を達成するためのデザインを作ることが必要になります。

例えば商品を購入するためのページでは、ユーザーが迷うことなく商品購入の手続きができるよう、見やすいデザインと位置で申し込みボタンを配置することが必要です。

他にも読みやすいフォントの選定、サイトの場合は回遊性を高める施策など、デザイン以外のユーザービリティを意識した制作が求められます。

Webデザイナーは企業の公式サイトから広告用ランディングページ・バナーまで幅広い制作を担当しますが、デザインのトレンドや効果的な手法は常にアップデートされていくので常に新しい情報の収集が必要です。

業務で必要とされるスキルとしては、PhotoshopやIllustrator等のスキルが必要とされます。
コーディングや既存ページの修正を行うこともあるので、HTMLやCSS、JavaScriptなどの知識があると業務の幅が広がります。

3.サービスやシステムを開発・保守するWebエンジニア

  活躍分野:eコマース、Web広告、ソーシャルゲームなど
年収:400万円~650万円

Webエンジニアの仕事内容としては、新たなシステムやアプリケーションの開発などから、既存システムの運営や保守などが含まれます。

現在のWebマーケティングは様々なツールやシステムを使って行われており、不具合があるとそのツールやシステムを利用している企業の売上に大きな影響が出てしまいます。

そのようなトラブルが無いように、日々システムを維持するWebエンジニアはWeb業界において非常に重要な仕事です。

また、新しいツールやシステム、スマホ用のアプリケーションを開発して販売することも可能です。

Web業界でこれから活躍できる仕事とは?

これらの Web 業界における主な職種に加えて、今は少ないもののこれから確実に Web 業界で需要が高まる職種があります。

それは、動画ディレクターです。

テレビを見ない若者が増加し、芸能人がYouTubeで活動するようになり、5Gの導入も控えている現在、今後は広告もコンテンツも主流は動画になっていくと考えられているからです。

動画広告や動画コンテンツについては、ここ数年製作数は増えてきているものの、まだ取り組んでいる企業が少なくノウハウが確立していない状態です。
しかし、今後の動画市場の拡大を見越して、Web業界でも動画ディレクターを確保し始めています。

もしあなたが今後Web業界で活躍したいなら、動画制作に関する知識やスキルを身に着けておくと役立つでしょう。

ブラック企業に就職しないためには?

Web業界というと、一部の大企業に対して華やかで給与も高いイメージがある半面、多くの中小規模の会社に対しては、「ブラック企業が多い」という悪いイメージがあるようです。

このイメージは本当なのでしょうか?
正直に言うと、「それは会社による」ということになります。

しかしそれらの会社には、ある共通点があります。それを知っておくことで、転職先を選ぶ際にブラック企業を避けられることができます。

下請け企業はブラックになりやすいので注意

これは Web 業界に限らずどんな業界にでも当てはまるのですが、二次請けや三次請けの仕事をしている場合、環境がブラックになりがちです。

このような形で業務を行っていると、納期の調整がしにくく、クライアントや元請けからの指示に対して現場から意見を言うことが難しいからです。

結局、変更や予定外の出来事への対応などのしわ寄せが現場にいってしまい、無理して納期を合わせるために労働環境が悪くなってしまいます。

また元請けで請けるよりも利益が少なくなるために給与も低くなる傾向があります。

このような事態を防ぐためには、下請けとしてではなくクライアントと直接契約している会社を選びましょう。

また単なる作業的業務は今後 AI に代わられていく可能性が高いので、クライアントからの依頼に対して積極的に提案や様々な調整を行える企業の方が、将来的に役立つスキルが身につきます。

研修制度が整っていない企業にも注意

Web系の企業の中には、従業員数十人規模の中小企業も多いです。
そのような企業の中には、少数の社員が毎日の業務をこなすのに精いっぱいで、新入社員の教育に手が回らない会社もあります。

このような企業は研修制度なども整っておらず、入ったものの最初から業務を任されて途方にくれた新入社員が結局離職してしまい、また人員を補充するということを繰り返します。

このような環境の場合、相当にガッツのある人しか辛い最初の時期を乗り越えられないでしょう。
Web業界は基本的な知識やスキルも重要になるので、やはり研修制度があって最初に必要なスキルを学べる会社を選ぶのが安全です。

未経験からWeb業界に転職する時のポイント

Web業界は急激な成長と比較して人員が足りていないため、未経験からの入社が多い業界です。

未経験からでもWeb業界に転職しやすい理由として、他の業界での経験が役立ちやすい点があります。

Web業界というと最先端のテクノロジーをイメージするかもしれませんが、実はすでにあったビジネスをインターネット上で行っているケースがほとんどです。

つまり、営業や接客をやってきたとか雑誌のライティングやデザインをやってきたなどの経験は、WebマーケティングやWebデザインに活かすことができるのです。

またWeb業界にはニッチなサービスもたくさんありますので、医療関係者向けのサービスや国家資格を持っている人向けのサービスなど様々な切り口から、Web業界への転職が可能です。

今、まったくWebに関係ない業界で働いている場合には、まずWeb業界の中でも過去の経験を活かせる所に転職しましょう。

そこでそのまま活躍するのもよいですし、Web業界は業界内での転職も多いので、新しいスキルを身に着けて他の会社でさらにキャリアアップすることも可能です。

変化が速いが成長したい人にはおすすめ

Web業界は、多くの人が実際に何かしらのWebサービスを利用しているということもあり、IT業界の中でも身近さがあり、働く場所としても人気です。

WebマーケターやWebデザイナー、Webエンジニアなどの中心的な業務は、競争のレベルも高くなってきていますが、人材不足のため全く未経験からでもチャレンジは可能です。

Web業界は若く、まだまだ成長の余地がある業界です。
過去数年でもさまざまにWeb業界の主役は変わっており、今後も目まぐるしく新しいサービスやテクノロジーが生み出されていくでしょう。

非常に変化が速いため「一生安定した仕事がしたい」という方には向かない業界かもしれません。

しかしそんなWeb業界だからこそ「自分の力を試したい」「収入も含めてもっと自分を高めたい」と思う人にはぴったりの業界です。今の仕事や業界によらず、このような気持ちがある方はぜひWeb業界の仕事にチャレンジしてみてください。