Webマーケター必読書!ダン・ケネディの「究極のマーケティングプラン」を徹底解説

就職や転職において、マーケティングはとても人気がある職種です。
マーケティング職で働くのに特に資格は必要とされませんが、目指す人にとって仕事の内容を理解するためにも基本的な考え方を身につけるためにも、必ず読んでおいた方がいい本が何冊かあります。

そこで、今回はそんなマーケティング必修本の中から、アメリカの伝説のトップマーケター、ダン・S・ケネディの「究極のマーケティングプラン」を、マーケティングの基本部分を中心に紹介します。

マーケティング職を志望する人だけでなく、マーケティングの考え方を自分の仕事に活用したい人はぜひ参考にしてください。

目次

名著「究極のマーケティングプラン」とは

この「究極のマーケティングプラン シンプルだけど、一生役に立つ!お客様をトリコにするためのバイブル」はアメリカで最初に出版されたのが1991年、現在日本で手に入るものは、2007年に神田昌典さんが監訳し東洋経済新聞社から出版された物です。

初版が1991年ということは、実に30年近く前の本だということです。一部内容が変更・追加されている部分はあります。

しかしこの本のすごいところは、30年の時代の変化にも関わらず、今でも使われているマーケティングの基本を、マーケティング経験がない人にもわかりやすく示してくれている点なのです。

レター1通で200万円稼ぐダン・S・ケネディとは

ダン・S・ケネディは、アメリカのDRM(ダイレクト・レスポンス・マーケティング)界のグル(指導者)と呼ばれ、アメリカDRMを参考に発展してきた、日本のDRM界やWebマーケティングの世界で重要な位置を締めています。

Webマーケティング会社に就職・転職する際には「入社前に読んでおいてね」という風に課題図書になる場合も多いです。
ダン・S・ケネディは伝説のマーケッターとして、新進気鋭のベンチャーから2億ドル級の売上を誇る大企業のトップまで約100企業のコンサルタントを行っています。

彼に仕事を依頼するためには、1通のセールスレターを書いてもらうために200万円から300万円のフィー、さらにそのレターを使用した回数や成果に基づくロイヤリティーを受け取ると言われます。

これだけ聞くと「高い!」と思いそうですが、つまり「それだけの費用を払っても元が取れる」ほど効果が出るということなのです。

今回は、この「究極のマーケティングプラン」の内容から、特に基礎的なことであり実際のマーケティングの基本として今も使える内容をいくつか紹介します。

ステップ1:適切なメッセージを組み立てる

どうしてメッセージが大事なのか

まずは、ステップ1として「適切なメッセージを組み立てる」という章があります。
これは自分が売ろうとしている商品・サービスについて、その良さを伝えられる一番いい宣伝文句(キャッチコピーを考える)ということです。

どうしてキャッチコピーが重要なのでしょうか?
それは広告がどんな状態でターゲットの目に触れるかをイメージすればわかります。

本に書かれているのは、電話帳の例えです。
今は電話帳を使う人は少ないですが、以前は業種別に電話番号をまとめた電話帳が一家に1冊ありました。

そこで特定の業種のページ、例えば「水道工事」などのページを開くと、そこには水道工事屋さんを探している人向けに、広告がたくさん掲載されていたのです。

つまり、ここでお客さんは広告を見てどの会社に連絡するのか選ぶということで、他の会社と比較されるのです。そこで勝つためには、一目で他の会社より自社の方がいいとわかってもらうメッセージが必要になるのです。

メッセージに「USP」を入れる

適切なメッセージを作るために最初に考えることは、その商品・サービスに「他にはない独自のウリ」があるかどうかです。

これをマーケティングの用語でUSP(ユニーク・セリング・プロポジション)と言います。このUSPを入れることで、何が独自のウリなのか伝えることができます。

つまり、USPとは「他にも似たような商品がたくさんあるのに、どうしてわざわざあなたの商品を選んで買わなければいけないのか?」という消費者の質問への答えなのです。

このUSPを理解する時によく例にされるのが、「ドミノピザ」です。この本の中でも例として上げられています。

ドミノピザがビジネスを始めた時、 USPは「30分以内にアツアツのピザを届ける」ということでした。
というのも、当時の宅配ピザは届いた時に冷めきって美味しくなくなっているのが当たり前だったからです。
そんな時代に、「30分以内に熱々のピザが届く」と書いてあったら、ユーザーはもうドミノピザを選ぶしかありませんよね。

このように強力なUSPがあると、競合との比較に圧倒的に勝利できるのです。

魅力的なオファーにする

こんな経験はないでしょうか。

どうしても欲しい商品があって、近所では売り切れだったので電車に乗ったり自転車で行ったりして、わざわざ遠くまで出かけたこと。

商品を購入したいんだけど、入力フォームの項目が多い。何度もエラーを出しながら、どうしてもその商品が欲しくて頑張って最後まで入力して申込を完了した。

本では雪道の中商品を購入するために車に乗って郵便局に申込書を出しに行く人の例がでていますが、このように人は「本当に欲しい」ものであれば多少の障害を乗り越えて手に入れようとするものです。

マーケティングというと、「出来た商品を広告でどう売るか」ということを考えがちです。
しかし、商品自体に魅力がある、特典や魅力的、今すぐ買いたくなる!という状態にできれば、売るのもだいぶ楽になります。

マーケティングのために様々な施策を講じるだけでなく、売ろうと思っている商品やサービスがユーザーに強く求められるようにオファーを整えることも、重要なマーケティングなのです。

企業としての使命を考える

最近は、どんな業界でも競合が増え、競争が激しくなっています。
市場によっては、成長が止まってしまい限られたシェアを複数の会社で奪い合うような事態になっています。

似たような商品が多い、成熟した市場では「企業としての使命」「企業のビジョン」を伝えることも効果的です。
自分たちがなぜその商品・サービスを扱っているのか、ただのお金儲けでなく社会にどう貢献していくのか、これらのメッセージを持っている企業の方がユーザーの共感を得て、他の会社と区別され選ばれることにつながります。

お客様にとって重要なこと

本の内容には他にもいくつかの要素の紹介があります。
そして最後に重要なのは、これらのパーツを組み合わせるときに「優先順位をきちんと考えること」です。
独りよがりのメッセージにならないように、お客様にとって重要と思われる順番に書伝わるように書きましょう。

ステップ2:メッセージを伝える

正しく伝えることは難しい

本で紹介されているのは、アメリカの巨大スーパーマーケットで鮮魚を売る時のエピソードです。

新鮮な鮮魚を仕入れ、ていねいにパック詰めして並べていたのですが、あまり売れていなかったそうです。
しかし、ある1つのことを変えて売上倍増に成功しました。一体何だと思いますか?

それは、それまでパックに入れて陳列していた魚を、パックせずに「氷の上に直接並べて」「新鮮な魚市場」という看板を掲げたということです。

別にパックに入れるのが悪いわけではないでしょう。
商品が持つ特徴が「正しく伝わるように工夫した」だけで、これほど結果が変わってくるのです。

お客様をメッセージで行動させる5つのステップ

マーケティングでは最終的にお客様に「購入」とか「申込」という行動を取ってもらう必要があります。
そのために必要な考え方として、メッセージを伝える時に5つのステップが紹介されています。

ステップ1
ニーズと欲求またはそのどちらかに気付く

ステップ2
そのニーズ欲求を満たすものを選ぶ

ステップ3
そのものをどこで入手するかを選ぶ

ステップ4
その入手先の価格に納得する

ステップ5
今すぐ行動しなくてはならない理由を見つける

この5ステップの考え方は、今でもWeb マーケティングで「マーケティングファネル」というような形でよく紹介されます。
顧客の心理や行動について、最初から購入までの段階で表したものです。

ここで特に重要なのは、自分が売ろうとしている商品・サービスについて、お客様が一体どのステップにいるかということです。

本では例として、
・ドッグフードを売るならステップ2からでOK
・犬用のビタミン剤を売るならステップ1から始めないとダメ
と書いてあります。

つまり、ドッグフードは「犬にエサを与える」「栄養があるものがいい」「安全な物がいい」というようにお客様の方で明確なニーズや欲求がすでにあります。
だから、ドッグフードを探している人に広告を出せば売れるのです。

しかし、「犬用のビタミン剤」については、(特にこの本が書かれた時には)お客様が
・そのような商品があることを知らない
・犬にビタミン剤が必要だと知らない
という可能性が高かったのです。

だからいきなり「犬用のビタミン剤」なんて商品を広告しても売れないのです。そもそも欲しいと思っていないからです。
このような商品については、ステップ1のニーズや欲求に気づかせるということが必要になるのです。

具体的にはペットの悩みについて情報提供から始めたり、潜在顧客向けの広告を作成してページに教育コンテンツを入れたりするなどの手法が考えられます。

この考え方は、どんな商品を売る時でも施策を考える時に非常に大事です。
お客様が今どのステップにいるのか、考えるようにしましょう。

ステップ3:ふさわしいターゲットを選ぶ

有名な話ですが、ゲイリー・ハルバートというトップマーケッターのマーケティングセミナーで「ハンバーガーを売るために必要なものは何か」という質問がありました。
多くの人は「街で一番の美味しさ」「特別な製法」と答えました。

しかしゲイリーの答えは、「お腹を空かせた群衆」でした。

・どれだけ商品が良くても、お腹を空かせた人がいない街ではハンバーガーは売れない
・味がそれなりでも、お腹を空かせた人たちがたくさんいればたくさん売れる
ということです。

つまり、ビジネスにとって「お腹を空かせた群衆」がどこにいるのかを見つけていることが要一番重要だということです。

本では、カーペット清掃業の例が挙げられています。

カーペット清掃業を営む男性の男性はダイレクトメールがうまくいかないと困っていた。
ダイレクトメールを配った地域を調べてみると、借家の割合が多く、修理や塗装が必要な家、手入れされていない芝生など、家の中まで気を配っている人がいるとは思えなかった。
男性はただ、事務所から近いという理由だけでその地域を選んでダイレクトメールを配っていた。

その男性は近隣の別の郵便番号の地域をいくつかまわり、手入れされた家が多い地域、つまりもっと所得が高く家の中に気を配る可能性が高い人達の地域を見つけ、ダイレクトメールを送ったところ、以前の地域では0.25%以下だった反応が、全く同じダイレクトメールなのに10倍の2.5パーセント以上の反応が得られた。

これが商品やサービスにふさわしいターゲットを選ぶということです。
ふさわしいターゲットを見つけられれば、やはりマーケティングも容易になります。

マーケティングの基本はこの先も変わらない

「究極のマーケティングプラン」の中には、他にも

という内容があり、時代の古さや日本との違いを感じる点はありますが、本質的には今でもマーケターが身につけておくべき基本的な内容ばかりです。

また、時代が変わっても本質的にマーケティングは変わらないと思わされます。

例えば「マーケティングの新技術」のところでインターネットについて触れられていますが、「インターネットがチャンスの宝庫というのはひどい過剰宣伝だが」という風に書いてあるのでケネディ自体がインターネットの可能性をそこまで評価していなかったのかもしれませんが、

「サイトを情報提供の場として立ち上げる」というのはオウンドメディアの考えにつながるし、「メールアドレスの収集をしろ」というのはメールマーケティングの考え方だと言えます。

監訳を担当された神田昌典さんも日本のトップマーケターですが、前文でおっしゃっているように、この本が30年前に書かれたからといって、内容が使えないことはありません。
どれも現代のWebマーケティングで今も使われ・考えられていることであって、方法が手紙からインターネットへと多少変わっただけに過ぎません。

このような「この先何十年にわたって使える」マーケティングの基本が身につく本です。
Webマーケティングに興味のある方はぜひ読むことをおすすめします。

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