ペルソナとは?意味やWebマーケティングで重要な理由について

マーケティングに携わっていると商品の企画やプロモーションの段階で「ペルソナ」という言葉をよく聞くでしょう。

ペルソナはマーケティングを行う上で非常に重要な概念なのですが、実は何となくしか理解できていないという人も少なくないようです。また、似たような用語である「ターゲット」と混同している人もいます。

そこで今回は、マーケティングの重要な考え方であるペルソナについて、基礎知識から重要性まで解説します。

ペルソナとは典型的ユーザー像

ペルソナ(persona)とは、サービス・商品にとっての典型的なユーザー像のことですす。

多くの場合、ある商品・サービスには、特に喜んでくれる層や属性がありますが、ペルソナはその中でも個人として認知できるくらい細部にわたって作り上げた人物像のことを言います。

ペルソナを考える時の要素となるものとしては、年齢、性別、居住地、職業、年収、趣味、価値観、家族構成、学歴、休日の過ごし方、読んでいる雑誌など、生活全般にかかわる情報があります。

ペルソナと似た言葉に「ターゲット」というものがありますが、一般にはターゲットの場合ここまで細かく作り込むことはありません。

比較すると、

ターゲットの例

30代主婦、夫と娘の3人暮らし、都内在住

ペルソナの例

佐々木愛さん、39歳、女性
都内のマンションに住む専業主婦
夫と長女13歳との3人暮らし、豆柴を飼っている
夫の年収は600万円
趣味はお菓子作りとInstagramへの投稿
大学時代や働いていた時の友人とはFacebookで連絡を取っている

このようにターゲットの場合対象となる人に幅がありますが、ペルソナは人物像をよりリアルに設定していくのです。

どうしてペルソナが必要なのか

関係者の意識を統一できる

商品を企画・開発し、マーケティングを行って販売するまでには、年齢も考え方も違う様々な人間が関わります。

この場合、製品が誰の何を解決するものなのか、どんな人に一番喜んでもらえるものなのかという認識を統一して進めないと、それぞれの考え方がまとまらずでき上がった商品やプロモーション施策のピントがぼけてしまいます。

関係者の多様な意見を取りこぼさず、1つの製品に詰め込もうとすると、結果的にどのユーザー層のニーズも満たせない商品になってしまう危険性もあります。

そこで人物像への理解を深めるための「ペルソナ」が必要になるのです。

具体的なユーザー像を設定することで関係者の目指す目標を統一でき、ペルソナのために必要なこと・不要なことを効果的に判断できるようになるのです。

ユーザーの課題をより明確にできる

ペルソナを設定することで、その人の普段の生活や抱えている課題がよりリアルに想像できるようになります。

例えば「30代の女性で子供が大きくなったので再度働きたいと思っている人」がターゲットという時も、この情報だけで想像するのではなくペルソナを思い描くことで、

  • そのような人は日常のどんな時に働きたいと思うのか
  • ざ働こうとした時に、何が問題になるのか
  • どのような仕事をしたいと思うのか

などの具体的なシーンを想像することができます。

より繊細な感情の動きが理解できるので、企画・開発の段階でよりユーザーを喜ばせる商品・サービスにできる可能性が高まりますし、プロモーションの際もコピーやクリエイティブの隅々までユーザーへの気遣いを込められます。

ビジネスにスピード感が出る

ペルソナにより理想のユーザー像が明確になれば、関係者の意識も統一でき、プロモーションの方針も決まりやすいので、プロジェクトがスムーズに運びやすくなります。

たくさん売りたい時こそペルソナが必要

「ペルソナ」なんて1人のユーザーを理想と決めてしまうと、商品をたくさん売ることができなくなるのでは?と心配する人がいます。

しかしその心配はありません。ペルソナを設定することが、実際に商品を購入する人を制限することにはならないのです。

ペルソナ設定の効果として、その課題をより明確にできるという点があるとお伝えしました。

この時、そのニーズを満たすまで考えられた商品・サービスは、ピンポイントでペルソナの属性にある人でなくても、同じ悩みを持つ人にとっても良いサービス・刺さるサービスになっている可能性が高くなります。

つまりペルソナには、ユーザー視点の精度を高め、商品・サービスの完成度を高める効力もあるのです。

ペルソナの決め方

既存の商品・サービスの場合

すでに販売実績のある商品で改めてペルソナを設定する時は、まずは既存顧客の中から売上への貢献度が高いロイヤルカスタマーの属性を調べてペルソナを設定するのがセオリーです。

彼らはすでに商品を気に入ってくれているわけですから、彼らに共通する属性をペルソナに設定してマーケティングを行う方が、同じように売上に貢献してくれる顧客を獲得できる可能性が高いからです。

この時に注意するべきなのは、思い込みでなくちゃんとデータを基にペルソナを設定するということです。

「うちのお客さんは20代の女性が多い」と思っていても、データを見てみたら実は40代の女性が一番多かったというケースはよくあります。

顧客にはどんな人が多いのか、どんな人がたくさん商品を購入してくれているのか、必ず客観的なデータを参考にしてペルソナを決めましょう。

新規商品やサービスの場合

新しく売り出す商品やサービスの場合は、参考にできるデータが無いかもしれません。

そんな時でも、「売りたいのはこういう人だから」という思い込みでペルソナを作成してはいけません。

このような時は、すでに類似品を販売している競合商品を参考にしたり、知人やマーケティング会社を使って企画段階で商品に対するユーザーの声を参考にしたりします。

また可能な限り、商品・サービスの企画・開発段階からペルソナを立てるようにしましょう。

ペルソナの問題点や注意点

マーケティングでは必要不可欠のペルソナですが、実は問題点・注意点もあります。

思い込みや理想で作成する危険性がある

ベルソナを作成する時に、それが「思い込み」や「先入観」にとらわれていないか考える必要があります。

ペルソナを作成するためには、正確な統計データを参照することや、ターゲット層が利用しているSNSやブログ、インターネット上の口コミや雑誌の内容などを幅広く参照する必要があります。

作り込みすぎて母数が少なくなる

ペルソナを作りこもうとして情報を付加していくと、「こんな人本当にいるのか?」という人をペルソナにしてしまう場合があります。

もちろん、実際にはペルソナにぴったり当てはまる人だけに商品・サービスを販売するわけではありません。

しかし、実在しない人の生活をいくらリアルに想像しても、実際の顧客の悩みを具体化する助けになりません。

ペルソナが実際にいるかどうか?ふさわしいペルソナを立てているか意識することが必要です。

逆にペルソナにとらわれる

ペルソナは実際に存在する人物像をリアルにイメージするためのものであり、社会状況などによって変化する可能性があります。

変化に気づけずペルソナにこだわってしまうと、実際のユーザーとの乖離を起こしてしまう可能性もあります。

一度作成したらそのままではなく、ユーザーの動向に目を向け、実際の顧客の属性とも照らし合わせてブラッシュアップしていく必要があります。

ニーズを的確に把握しよう

現代でマーケティングを成功に導くためには、多様化するユーザーのニーズを的確に把握する必要があります。

代表的な顧客としてペルソナを設定し背景を深掘りすることで、似た悩みを持つ多くの顧客にとっても価値ある商品・サービスを提供することが可能です。

自社の代表的ユーザー像が思い浮かばないという場合には、この機会に自社のマーケティングを見直し、ペルソナ設定を行ってみてはいかがでしょうか。