サイトリターゲティング広告の成果を倍増させる「期間分け配信」
今や効果的な配信方法として、多くのリスティング広告プレーヤーや広告主が取り入れているYDN広告の「サイトリターゲティング」ですが、思ったように費用対効果が上がらずに停止している、というケースもお聞きします。
そこで本記事では、弊社が多くのアカウントで施策したら改善したという「期間分け設定」をご紹介したいと思います。
目次
1.そもそもサイトリターゲティング広告で成果が出ない理由
まず簡単にサイトリターゲティングの機能のおさらいをしますと、GoogleAdWordsの「リマーケティング広告」とほぼ同じような機能となり、指定したページ内にリターゲティングタグを設定しておけば、そのサイトに訪問したユーザーにcookieを付与します。
その後、そのユーザーが一旦サイトから離脱しても、そのcookie情報を元に、他のYDN広告掲載面のあるサイトを閲覧している時に再度広告表示出来る機能が「リターゲティング広告」です。
参照記事:【2017年2月最新版】いまさら聞けない!YDNサイトリターゲティングで効果を出す設定方法
このリターゲティング広告は一旦接触しているユーザーに再アプローチしている為、多くの場合は費用対効果が良く、CPAも安くなる傾向にあります。
しかし、稀にどうしてもCPAが悪化してしまい、停止せざるを得ない状況もあります。
その場合、様々な要因が考えられますが、まずは
- 流入元の見直し&リターゲティングリストの質の向上
- 再アプローチ時の効果的な配信方法
を見直す必要があります。
①流入元の見直し&リターゲティングリストの質の向上
自社のサイトに訪れたユーザーに「cookie」を付与して、そのユーザーに対して再アプローチしていく為、追跡するユーザーがそもそも購入意欲が薄いユーザーであれば、いくらリターゲティング広告と言えども、コンバージョンさせる事は困難になります。
その為に、
- 「ムダなキーワードで質の薄いユーザーを集めていないか?」
- 「GoogleディスプレイネットワークやYDNの配信などで、ムダな配信先からユーザーを集めていないか?」
などを見直し、「流入源」の質を高める必要があります。
施策内容としては主に「キーワードの除外」や「コンテンツネットワークの配信先除外」などになります。
それにより「リターゲティングリストの浄化」が促され、購入意欲の高く質の良いリストのみになり、そのユーザーに対して再アプローチすればコンバージョン率の向上が見込めます。
②再アプローチ時の効果的な配信方法
これは今回メインでお伝えする「日数経過による再アプローチ」時の入札単価を見直す必要があります。
時々「リターゲティング広告は効果が高い」という事で、90日や120日など長い期間追跡し続ける設定をしている方も見受けられますが、そんなに長い期間追跡しても費用対効果を悪化させる事が多いです。
何故なら、そんなに長い期間追跡してもユーザーの意欲は既に削がれていて、コンバージョンに至らないからです。
2.ユーザーの意欲と時間経過の図
あなたもご自身の日常の動向を振り返ってみてはいかがでしょうか?
例えば、「あの服を買いたい!」となった場合、一番購入意欲が高いのはその当日ですよね?
仮にそこで購入しなかった場合、そこから日数が経てば経つほどドンドン意欲が薄れていきます(高額な住宅などは比較検討する期間が長い為、数ヶ月は意欲が薄れない可能性はあります)。
その為に、多くの場合、ユーザーの意欲と時間経過の度合いは下記のような図になります。
このように、サイト訪問した当日が一番購入意欲が高く、時間経過と共に購入意欲は薄れる状態になります。
3.時間経過に合わせた入札単価調整法
上記の図のような事が考えられるなら、広告主側もその動向に合わせて広告表示の割合や度合いを変えていけば、よりユーザーが欲しい時に強くアプローチし、薄れつつある時間経過と共に広告表示を弱める事が出来れば費用対効果が一番理想的になります。
その為、下記のような図が理想的です。
このように、日数経過と共に入札単価も変動して減らしていければ、
- 購入意欲の弱い時間が経ちすぎたユーザーからのムダクリックを抑える事が出来る
- 購入意欲の高い時間経過の浅いユーザーには強くアプローチする事が可能になる
という2つの利点が得られます。
4.経過日数ごとのターゲット分割設定
では実際の設定方法をご説明します。
①まずはYDNの管理画面から「ツール」「ターゲットリスト管理」に行き、3日、10日、30日、などと3段階くらいに分けてターゲットリストを作成します。
上記の日数を3つ分けて3個リストを作成すると下記のようになります。
②リターゲティング広告専用にキャンペーンを作成し、広告グループで期間ごとに3つグループを作ります。
③次に広告グループ設定で、まずサイトを訪問してから3日以内の広告グループ内では、サイトリターゲティングの項目で「3日のリスト」を指定します。
④4日~10日の広告グループでは、
配信として設定
10日
除外として設定
3日
とする事により、3日を過ぎた4日~10日になると、この広告グループが作動する設定に指定出来ます。
⑤11日~30日の広告グループでは、上記と同じ要領で、
配信として設定
30日
除外として設定
10日
とする事により、10日を過ぎた11日~30日になると、この広告グループが作動する設定に指定出来ます。
⑥最後に経過期間が浅い広告グループから順番に入札単価に強弱を付けます。
これで設定は完了です。
今回説明した例では、
- サイト訪問3日以内のユーザーには入札単価61円で表示
- サイト訪問4?10日以内のユーザーには入札単価31円で表示
- サイト訪問11?30日以内のユーザーには入札単価25円で表示
というように強弱を付ける事が可能になります。
補足:バナーサイズで成果が異なる!?
キーワードを設定する検索広告と異なり、バナー広告を使用出来るリターゲティング(リマケ)に関して、バナーのクリエイティブもデザインも重要ですが、バナーサイズによって効果が異なることをご存知でしょうか。
バナーサイズごとで配信量や獲得率が大幅に異なります。
主要に用いるバナーサイズの違いをまとめておりますので、下記の図を見てみましょう。
表示回数でサイズごとの成果を比較すると、300×250のバナーが全体の50%以上を占め、次に320×50のバナーが約30%を占めています。
次に、コンバージョン率で比較すると、表示回数は少なかった160×600や728×90のサイズのコンバージョン率が高くなっています。
あくまで一例ではありますが、上記から300×250が一番配信されてかつ、コンバージョン率も高いので、このサイズでクリエイティブテストを行い、良いクリエイティブをサイズ展開していくことをお勧め致します。
5.まとめ
こうする事により、「30日間一律で30円」などという大雑把な運用より、「ユーザーの意欲と期間に応じた適度なタイミングでの広告表示度合い」が調整可能になりますので、費用対効果が高くなる可能性が高まります。
また、設定にひと手間かかる為、多くの広告主はここまで設定しておらず、自社の競合がここまで細かい設定をしていない場合は費用対効果に差を付ける事が可能になります。
この設定も一見すると面倒な様に見えますが、3つの期間分け程度であれば慣れれば5分程度で出来ますので、ぜひ一度ご自身のアカウントで試してみてください。