子育て中のママがベンチャー企業のマネージャーとして活躍できる理由とは(前編)

女性も働く時代と言われていますが、出産によってキャリアを中断せざるを得ない女性はいまだにたくさんいます。

出産を機に仕事を退職してしまって、その後は非正規かパートの仕事しかなくキャリアアップが望めないという女性も多く、社会的に大きな損失となっています。

女性が出産や子育てのためにキャリアを諦めることは仕方ないのでしょうか。実は業界や働き方によっては、女性であってもキャリアを中断することなく働きやすい業界もあります。

今日はWebマーケティング会社・株式会社リスティングプラス(現 デジタルアスリート株式会社)の長島彩未さんに話を聞きました。長島さんは1歳半のお子さんがいますが、時短勤務をしながら3人のメンバーを持つチームのマネージャーとして働いています。

インタビューの前半では転職活動から産休を実際に使って出産するまでの経緯についてお話をお聞きしました。

目次

1歳半の赤ちゃんを子育てしながら3人のメンバーとともに活躍中

NobyNoby(以下N):長島さんは今、広告事業部のマネージャーなんですよね。どのような業務を担当されているのでしょうか。

長島さん:今は3人のメンバーと一緒にチームで業務にあたっています。

業務の内容はFacebook広告の運用が中心ですが、メンバーの中には他の広告媒体を管理している人もいるので、私自身も施策や内容をチェックするなどはしていますね。

また、クライアントとの打合せや広告運用の方向性を決めたりなどは、私が窓口となって対応しています。

N:お忙しい毎日だと思うのですが、2019年の4月に育児休暇から復帰されたばかりとお聞きしました。復帰された直後は、いかがでしたか?しばらく現場から離れていたと思うのですが。

長島さん:私は2016年の11月に入社したのですが、2018年の6月に産休に入って、2019年の4月に復帰しました。約10ヵ月現場から離れていたことになります。

休んでいた間はまったく仕事に関する事はしていなかったのですが、広告運用については意外と早く感覚を取り戻せました。

ただ、やはりこの業界のトレンドの変化は早いと感じました。
例えば私がいた時は広告で使う画像に文字を入れるのはよくないとされていたのですが、戻ってきたら文字を入れる方がよくなっていたり。

産休・育休前とはトレンドが違っていたので、今Facebook広告で成果が出ている手法や画像の傾向などは、最初にたくさん見て理解する必要がありましたね。

N:最初に最新のトレンドを再度キャッチアップされたという事ですね。

長島さん:そうですね、本当に変化のスピードは早いなと思いました。
また同じことを社内の環境についても思いましたね。

N:社内の環境ですか?新しい人が増えていたりでしょうか。

長島さん:それもありますね。あとは人が増えて組織が変わっていて、新しいルールができていたりそれが驚きだったし、そっちの方が戸惑いましたね。
たった10ヵ月離れていただけでかなりの変化を感じました。同時に会社が成長し続けていると感じて嬉しいことだとも思いました。

N:今、お子さんはおいくつですか?

長島さん:子どもは今1歳半ですね!ようやく少し言葉が出るくらいです。
最近は「座って」といったら座るようになったんです。「言葉がわかるようになってきた!」と思ってとても楽しいです。ものすごく可愛いですね。

「その会社でしか活躍できなくなる」危機感が30歳での転職理由だった

N:長島さんは30歳の時に、今の会社に転職されたという事ですが、その時はどうして転職をしようと思われたのですか

長島さん:その時は、その会社でできることに行き詰まりを感じたというのが最大の理由でしたね。

当時は営業と営業事務を行っていたんですが、何年か勤めていて感じた事としては、「ここにいてもこれ以上スキルは上がらなそうだ」と思ったんです。

成果を残してはいましたが、「このままだとこの会社でしか役に立たない、活躍できない人材になってしまうな」と思いました。

N:長島さんは、その時の転職が初めてだったのでしょうか。

長島さん:そうですね、初めてでした。

N:新卒から働いて30歳になるころというのは、そのように自分の身についたスキルや今後の事を考えるタイミングなのかもしれませんね。

長島さん:本当は30歳になるまでに転職しようと思っていたんですが、ちょっと間に合いませんでした(笑)でも、確かに多くの人にとって30歳はそういうタイミングかもしれません。

それで、もっと自分自身にどこに行っても役立つスキルを身につけたいと転職を考え始めた頃に、以前の上司と会う機会があったんです。
上司はすでに退職して、ベンチャー企業で営業として働いていたのですが、それがリスティングプラスでした。

それで転職を考えている事を話したら、「どんな仕事がしたいのか」「どんな人生を歩みたいのか」とすごく真剣に相談に乗ってくれて驚きました。

というのも、その人のことをちょっとルーズな人だと思っていたんですよ(笑)昔から仕事で成果は残す人でしたが、それ以外の所は適当なところもあったんです。

それがすごく仕事に真面目に取り組んでいるようだし、何でこんなに変わったのかな、こんなに人が変わるなんてどんな会社なんだろうって思ったのが、今の会社に興味を持ったきっかけでしたね。

N:給与や条件からではなく、最初はそこで働いている人から興味を持ったということですね。

そうですね。それで選考を受けて内定をもらいました。ただ、初めての転職だったのでいろいろな会社を見てみたいと思って、他にも複数の会社を受けたんです。

それでいくつかの会社を比べてみたのですが、結局働いている人を見て今の会社に入ることにしました。

結婚・出産制度が整っていないベンチャーに入社

N:転職された時は、その後の結婚や出産のことを考えていましたか?

長島さん:考えていましたし、「将来子供を産みたい」「それでも働き続けたいけどできるか」という話は会社に対してしていました。

N:転職活動の時に会社に対してですか?

長島さん:そうですね。

N:一般的には転職の時に「将来子供が欲しい」という話はあまり言いやすい話題ではないですよね。

長島さん:そうですよね、理解がない会社なら選考にも影響するかもしれません。

でも私としては初めての転職で、今後も長く働きながらキャリアを積めるところを探していたので、入ってから「それは無理です」と言われても困ると思いました。重要なことだったので前もって伝えることにしました。

N:では今の会社にはその制度があったという事でしょうか。

長島さん:いえ、それが社内に制度はありませんでした!子どもがいる女性の社員も当時はいませんでしたね。

N:結婚・出産を意識した会社選びをされていたのに、どうして何の制度もない会社に入ったのでしょう。

長島さん:実は産休・育休の制度自体は前の会社にもあったのですが、使う人がいなかったんです。使える雰囲気ではなかったというか、実態としては妊娠したら退職するという感じになっていましたね。
だから、ただ制度があるだけでは安心できないと思っていました。

それで、まだ入社を迷っていた時、将来の結婚や出産について会社の人に伝えたんです。結婚・出産しても長く働ける会社に入りたいと思っている、でもリスティングプラスにはまだ制度がないからと正直に言いました。

そうしたら、「今は制度が整っているとは言えないけど、まだ会社が大きくなっている途中なのでこれからみんなで制度を作っていきたい。自分自身でその道を作っていって欲しい」と言われたんです。

その時には、リスティングプラスで働きたいと思っていたので、その言葉を信じて転職しました。

ベンチャーで新しい制度を作る

N:そして、実際に長島さんが産休を取得された時にはどうだったんでしょうか。

長島さん:本当に私が産休・育休取得の最初の事例になりました(笑)
仕事に復帰する時にも、私の都合を考えてできるだけ要望がかなうようにと制度を作ってもらえました。

同じ時期にデザイナーの女性も復帰したのですが、彼女には彼女の都合があるので私と違う勤務形態での復帰になっています。

N:それぞれに合わせた勤務形態が用意されたんですね。

長島さん:元々の制度が無かったからこそ、こんな風に自分にあった形で復帰を応援してもらえたのだと思います。
結婚・出産に関しては大企業の方がきちんとした制度があって利用実績があって安心と言えば安心ですが、今制度がないベンチャー企業に、新しく制度を作るところから関わることもできると思います。

もちろん会社や一緒に働く仲間に理解があることが前提ですが…

時短勤務のままマネージャーに昇進

N:そして昨年の10月から時短勤務のままマネージャーになられたんですね。

長島さん:そうですね、10月からマネージャーをやっています。

実は産休の前からマネージャーの打診は受けていたんです。
早くマネージャーになりたいと思って仕事を頑張っていて、次のタイミングでマネージャーになるという打診をもらっていた時に妊娠がわかりました。
産休に入る事になったので、この時の昇進はお預けになって残念に思っていました。

復帰のタイミングでマネージャーにという話もあったのですが、やはり久しぶりでしたし時短勤務でもあるしということで、しばらくは一般社員という扱いで働き、半年経って大丈夫そうという事でマネージャーになった形ですね。

子供は2~3人欲しいけど仕事は続けるつもり

長島さん:今1人目の子育てをしていますが、今後も2人目できれば3人目の子供が欲しいと思っています。自分が3人兄弟なのでそれくらいいるといいと思って。

そうするとさらに働き方も変わってくると思います。出勤が毎日ではなくなったり、基本的には在宅で業務をするようになるかもしれません。

でも、この仕事の良い所は基本的にはパソコンがあればどこででも仕事ができるという点で、場所や時間に融通がきくので子供が増えても仕事を辞める必要はないと思っています。

N:働く場所が自由になれば通勤時間も無くなりますし、子どもと過ごせる時間を確保しながら自分のキャリアを築くことができますね。

長島さん:そうですね。社員の希望によって新しい制度を作ってくれたりと、会社もとても協力的なので、今後もまた新しい働き方ができると考えています。
もちろんそれだけの価値を自分が会社に提供することが前提ですが。


後編では未経験からマネージャーになり、短時間勤務でも成果を上げ続ける長島さんの時間の使い方やポイントについて紹介します。

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