ビジネスのシーンでは「PDCAサイクルを回せ!」というセリフを聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
でも実際に何をやるのか?何のためにやるのか?というがはっきりわかっている人は多くありません。
この記事ではそんな「よく聞くけどよくわからない」PDCAについて、その内容から実際の活用方法、効果がないと思ったら考えるべきことなどを解説します。
PDCAをしっかり理解できると、ビジネスで成果を出せるだけでなく日常生活で役立つ場面も多いものです。ぜひこの記事でPDCAをマスターしてくださいね。
目次
PDCAとは
PDCAとは4つの英単語の頭文字を取った言葉で、それぞれの意味は以下です。
P Plan:計画する
D Do:実行する
C Check:評価する
A Action:改善する
PDCAサイクルとはこの4つを何度も繰り返すことで、業務を効率化・改善していくやり方です。
つまり、PDCAを一巡して改善点がわかったら、その内容を踏まえて最初のP:Planに戻り新たなサイクルに入っていくということです。
PDCAの各段階でやること

■計画する
まず目標を設定し、その目標を達成するために業務の内容を計画します。
計画を立てる時は、目標に対する進捗が確認できるよう、具体的な数字や期限を入れることが大切です。
また複数の関係者が関わる計画であれば、その全員が同じ内容として理解できるよう、
・誰が
・いつ
・どこで
・何を
・なぜ
・どのように
・いくらで
というような客観的な要素を入れて作成しましょう。
■実行する
計画したことを、実行する段階です。
この実行の内容はあとで評価の対象になるので、
・当初の計画通りに実施できたのか
・予想外の出来事はなかったか
・実施する上で新たな問題はなかったか
などあとで正確に振り返りが出来るよう、実行段階の出来事を記録しておきましょう。
■評価する
計画を実行した結果に対して、
・予定通りに実行できたかどうか
・仮説に対して結果はどうだったか
・施策は有効だったか
などの評価を下します。
この時、評価をするための基準がなければ正しく評価ができません。
そのためにも計画段階であらかじめ目標や手段などを具体的な数値に落としこんでおくことが重要なのです。
やったことを振り返る、この段階がPDCAの肝です。
自分たちがやったことをやりっぱなししないこと、また「何となく上手く言った気がする」というような感覚ではなく、「事前の目標と計画に対して実際はどうだったか」という客観的な評価をすることで、業務を正しく改善出来るのです。
■改善する
ここでは、評価にしたがって改善点を考えます。
・計画通りに出来なかった理由を考え改善する
・計画通りに実施したにも関わらず成果が出なかった理由を改善する
・計画の一部を変更する
・計画を中止する決定をする
PDCAサイクルを回す時にはこれを繰り返します。
改善点を見出して、それを元に新たな計画を立てて実施し、また評価をして・・・とこのサイクル繰り返していけば、どんどん業務の精度が良くなっていくはずです。
PDCAのメリットとは
失敗を繰りかえさずにすむ
PDCAサイクルを回す時には、行った施策に対して評価を行います。
やり方やそれに対する結果から判断して効果的でなかった行動は、次回から行わないように改善されますので、同じ間違いを繰り返さずにすみます。
同じ間違いを繰り返さないので、業務をより効率化し精度を上げることができます。
最短で改善できる
同じ失敗を繰り返さないということは、期間的にも無駄なく最短の期間で業務を効率化できるということです。
また、計画の段階ごとにやるべきことが明確なので集中して取り組むことができます。
計画を実行する時に「あれもやらないと」「これもやらないと」と並行して気を取られているとスピードが落ちてしまうのです。
計画を立てる時はしっかり計画を立てる、実施する時は計画を実現することに集中し、その後しっかりと評価してから改善点を探す、という風にやることが分かれていることは、全体のスピードアップに効果があります。
ビジネスで役立つPDCAの事例
1ヵ月に300万円の売上を作りたい営業マンがいます。
商品の単価を考えると、月間で5件の契約を取らなければいけません。
また自分の成約率を考えると、1ヵ月に5件の契約を取るためには1日に30本の電話をかけてアポを入れないといけないことがわかりました。
そこでこの営業マンは「1日に20本の営業電話をかける」(Plan)という計画を立てました。
そして実際にこれを実行(Do)してみたのですが、思ったように売上が上がりませんでした。
そこで営業マンは、自分の行動を振り返り、
・1日に30本以上の電話をかけることは実行できた
・しかし電話から商談に結びつく割合が想定より低かった
・営業電話のために時間がとられて、商談の準備が十分できず成約率が下がった
という評価(Check)を行い、改善策(Action)として、
・効率的・効果的に電話をするために、トークスクリプトを作成する
という案を考え、新たなPDCAのサイクルに入りました。
PDCAの効果が上がらない時は
PDCAがうまく回らないときもあります。そんな時は、以下のいずれが理由として考えられます。
そもそも計画に無理がある
計画が実現不可能な場合です。
実行(Do)が上手くできない、あるいは計画と違ってしまうので、その後の評価もできずサイクルが止まってしまいます。
十分に評価をしない・基準がなくてできない
いわゆるやりっぱなしの状態で、振り返りが行われません。
また計画段階で評価基準を決めていない場合、評価をしようとしても基準が無いため結局感覚で判断することになり、十分なPDCAの効果が得られません。
評価をするためには、あらかじめ基準や仮説を立てておくことが重要です。
PDCAが循環せず改善点を考えて終わり
PDCAは評価を経て気づいた改善点を、次のPDCAのPに盛り込むことで初めて実際の改善が出来ます。
その改善点についても、実行後の評価・改善を繰り返していくことが必要です。
改善したい業務については、ルールを作って定期的にPDCAを行いましょう。
PDCAの簡単な始め方
PDCAというと難しそうに感じますが、実際には簡単な所から始められます。
それが日記です。業務に関する事なら日報とも言います。
これらを書く時に思ったことを書いて終わり・その日にあったことを報告して終わりではなく、生活や自分の業務について1日ごとにしっかり振り返るのです。
今日はあれが上手くいった、明日もやってみよう。
先輩のあの説明方法がわかりやすかったから、自分の営業にも取り入れてみよう。
失敗してしまったけど、今度同じことをやる時はここに気を付けよう。
という風に1つでも自分の生活や業務での改善点を見つけて、毎日のPDCAサイクルを回していけば、続けるほど生活も仕事も状況が改善されていきます。
本当に簡単なことですが、実際ほとんどの人は1日の行動を振り返ったりしないので、これだけでも数年の内に大きな差になります。
20代の若いビジネスパーソンほど身につけてほしい習慣です。
PDCAは時代遅れという意見も

PDCAのメリットを伝えてきましたが、最近は「PDCAは時代遅れ」という意見も聞こえてきます。どういうことなのでしょうか?
クリエイティビティが発揮できない
PDCAサイクルを回す時は、「今あるものをどう改善するか」という思考になります。
しかし、その考えだとあくまで現状の延長線上の解決策しか得られません。
今の方法を最適化するのではなく、もっと根本的な大幅な変更・改善が求められる時には確かにPDCAサイクルを回すだけでは不十分です。
改善に時間がかかりすぎる
社会が変化するスピードはどんどん速くなっており、それに応じて行動に求められているスピードも速くなっています。
PDCAサイクルをビジネスで回そうとすると、各段階に多くの人が関わります。
計画と立てては承認、行動しては結果を報告、そこから評価をして改善点を見つけて承認を受けて、新たな計画を立てる・・・とやっていると確かにスピードは落ちます。
1日5分のPDCAが大きな成果や成長につながる
PDCAサイクルはビジネスの多くの場面で用いられる考え方であり、業務を効率化するという点で効果的な考え方であることは間違いありません。
また多くの人が「やりっぱなし」で振り返って改善しようとしていないのが現状です。
日記や簡単な日報などで自分の行動を振り返る時間を毎日5分でも取れれば、日日の積み重ねで大きな成長につながります。
一方、時代の流れもありスピードやクリエイティビティが求められる場面では、今後新たな手法が用いられる可能性が大きくなっています。
その特色を知ってビジネスや生活をより良くするために積極的に使ってみてくださいね。