日常生活の中で「ストレスがたまる」という言い方をよくします。
一般的に、ストレスを解消するにはカラオケで歌を歌ったり、仲間とお酒を飲んで会社の悪口を言うなどの方法が考えられており、実際にこれらの方法で解消しようとする人も多いでしょう。
しかし、これらのストレス解消法は本当に効果的なのでしょうか?
この記事では、ストレスへの正しく対処法と自分でできる根本的な解消方法を紹介します。
目次
ストレスを自覚するのは実は難しい
実は人間が自分の感じているストレスを自覚することは結構難しいことなのです。
多くの人は「イライラする」「むかつく」「緊張する」などの感情を漠然とストレスと感じ、カラオケや飲み会で(もっと健康的な方法もあるでしょうが)一時的にすっきりすることで解消した気分になります。
もちろん、これらの方法で本当にストレスを解消できていれば何の問題もないのですが、多くの場合これらの行為を経ても、実際のストレスの原因は解消されていません。
解消しきれなかったストレスは長期的に蓄積していきます。
ストレスを長期的に根本的に解消するためには、対症療法ではなく、まずは正しくストレスの内容とレベルを自覚する必要があるのです。
現状の確認:どれくらいストレスを感じているのか
理由の把握:何が理由なのか
まずはこれらをしっかり把握しましょう。
ストレスを客観的に把握する方法
ストレスを数値化する
数値化するとは「ストレスを10点満点で何点か判断する」ことです。
これによって、自分のストレス状態を客観的に見ることが可能になります。
ストレスが強く我慢できないレベルを10点として、何のストレスもない穏やかな気持ちを0点とすると、今の気持ちはだいたいどれくらいかと考えるのです。
・理不尽なことで怒られて、納得できない。8点。でも同僚が理解して励ましてくれてたから、5点くらいまで下がった。
・新しい仕事をどんどん任されて体が追い付かない。6点くらいかな。
など点数化します。この時、絶対的な指標はないので自分で感じたままの数値で構いません。
このように主観であってもストレスを数値化することは、ストレスの内容やレベルを自分で分析するために有効です。
また数値化して物事を自分から切り離し、客観視することに自体にも、ストレスを軽減する作用があります。
体の調子をスキャンしてみる
ストレスを感じると体にも異常が出てきますが、病院に行かなければならないような重篤な症状にはなることは少ないので、生活の中でなかなか気づくことができません。
そこで時々意識を体に向け、じっくり自分の体の調子と向き合うことで体にどれくらいストレスがかかっているのか見直してみましょう。
まずはゆっくり横になれる場所でリラックスして横になり、体のパーツに上から順に意識を向けていきます。
- 眉間やおでこ、頬に力が入ってしわになっていないか
- 無意識に歯を食いしばっていないか
- 首に力が入っていないか
- 肩や背中が固くなっていないか
- 腕の筋肉に緊張感はないか
- お腹に不快感はないか
- ふとももが張ってないか
- つま先が丸くなっていないか
- 体全体で冷えているところはないか
このように日ごろから体の状態をチェックする習慣をつけておくと、何か変化があった時にも敏感に気づけるようになります。
ぜひ寝る前などに行ってみてください。
また、力が入っている・違和感があるところに気づいたら、ストレッチやマッサージを行うことでほぐしましょう。
心と体はつながっているので、体のこわばりをほぐしてやることでストレスの軽減につながるのです。
ストレスを日記につける
一般に物事を客観的に見るには言語化して記録することが非常に効果的ですが、これはストレスを自覚するためにも非常に有効な方法です。
夜、1日を振り返ってストレスについて以下の情報を書き出してみます。
- ストレスを感じた日時
- 感じたストレスのレベル
- ストレスを感じた状況
- ストレスのきっかけになった出来事
- その時の気持ちや行動
客観的に見るだけで、実はそれほど大したことでもなかったことに気づいたり、「こうすればストレスを感じずに済んだ」と対処法に気づけたりするなど、感じ方や対処法が変わる可能性があります。
ストレスを根本的に解消する方法
これら3つの方法を10日~2週間程度続けると、自分が日常で感じているストレスの原因がだいたいわかってきます。
そしてデータが集まると、より根本的な対応策が考えられるようになります。
具体的には以下のように考えていきましょう。
ストレス源は自分でコントロールできることかできないことか
物事には自分にコントロールできる・できないの2つの領域があります。
例えば自分の心や行動なら変えることができますが、他人の心や行動を変えることはできません。
ストレスの原因が自分でコントロールできる領域でなければ、気にしないかストレス源のない環境に移動するしか方法はありません。
職場がブラックで仕事のストレスが大きい、仲間や上司のことを考えても自分でどうにかできるものではない、ストレスが体調にまで影響してきている、となれば転職という手段でのストレス解消も有効です。
- 転職する
- 部署の移動を希望する
- 苦手な付き合いからは距離を置く
これらの方法が考えられます。
自分の考え方に変えるべき点はあるか
ストレスを感じる状況を客観的に記録していくと、ストレスを感じる程でもなかったとか、自分が悪く考えすぎていたというような自分の思考の癖にも気づきやすくなります。
上司に注意をされた。自分は仕事のできないやつと思われたに違いない…
↓
あとで考えたら、事実を指摘されただけだった。上司から直接「仕事ができない」と言われたことはないので、自分の考えすぎだったかもしれない。
忙しくていっぱいいっぱいなのに、また新しい仕事が来た。上司は自分について「仕事をしていない」と認識しているのだろうか。
↓
仕事を任されるのは信頼されているからかもしれない。
一度今抱えている仕事との調整を相談したら、仕事量を減らしてもらえるかもしれない。
部下のせいで怒られた。自分は悪くないのに。
↓
自分の指示がわかりにくかったから、彼もそのように動いてしまったのかもしれない。次は言い方に気をつけよう。
このように、自分の考え方が悲観的過ぎる、人のせいにしすぎるなどが原因でストレスが発生している場合は、考えを変えることでストレスを根本的に軽減できます。
体調と関連性はあるか
ストレスには明確な理由がない場合もあります。
体調によってストレスを感じやすい時期があったり、おおらかに受け止められる時があったりするものです。
睡眠不足や食生活の乱れなどとストレスの感じ方を比較することで、生活を整えることができたり、どうしてもストレスを感じやすくなる時には人と接する機会を減らせばストレスを感じることを減らせます。
ストレスは消せなくてもうまく付き合うことはできる
人間が生活していく上でストレスが無くなることはありません。
しかしストレスがに早く気付いて対応できるようになれば、それに振り回されたり苦しむことは少なくなるでしょう。
そのためにも重要なのは自分のストレス状態を把握して、根本的な対策を取ることです。
カラオケやお酒を飲んで愚痴を言うことでストレス発散している人は、本当にそれでストレスが根本から発散できているかどうか考えてみましょう。
そしてもし不十分だと感じたら、対症療法的なストレス解消でなく、長期的に自分にかかるストレスを軽減できるような方法を取り入れていきましょう。