韓国・中国・アメリカ…海外の就職活動ってどうなっているの?

日本の就職活動はだいたい大学3年から始まり、一斉に採用されます。それが当たり前だと思っているけど、海外の学生はどうやって就職活動をしているのでしょうか。
この記事では海外の就職活動についてまとめました。

目次

韓国の就職活動

短期集中型の韓国式就職活動

韓国の大学生が就職活動を始める時期は日本よりずっと遅く、大学4年生の9月ごろからの開始です。
そこから卒業シーズンの2月までに就職先を決めるので、かなり短期集中の就職活動になるようです。

就職活動の方法も日本と同じように志望する企業の選考にエントリーすることから始まります。
その内容もほぼ日本と同様に自己PRや志望動機を書くそうですが、日本のように手書きの履歴書の方が良い印象が与えられるなどということはなく、オンラインでの応募が主です。

日本でも絶対に手書きでないとダメ!というような会社は特にWeb業界やIT業界を中心に減っていますが、オンラインなら間違えたらやり直しになってしまうので紙や時間の無駄がなくていいですね。

服装も日本より自由度が高く、リクルートスーツに同じような髪型と似た黒いパンプスということはないようです。

一流大学でも50%程度の就職率と過酷

しかし、韓国の就職活動で自体は日本より過酷です。
韓国の2019年の完全失業率は約4%程度で日本(2.4%)より高い数値です。

特に今日本では若年層の人手不足がどの業界でも問題になっているので、日本の大学生は韓国と比較して就職しやすい環境にあります。

韓国では大企業に希望者が集中するので、書類の時点で韓国のTOP3であるソウル大、高麗大、延世大以外の人は落ちるという話もありました。

サムソンや現代などの財閥系の採用倍率は800倍になることもあるそうです。
日本でいうと東大京大以外は書類も通らないということでしょうか。かなり厳しいですね。

しかもそんな一流大学の学生も50%程しか卒業時に就職ができないのです。
就職できず院への進学も留学もしない人は、非正規社員として月給は150万ウォン(15万円程度)となってしまうそうです。

2020年のアカデミー作品賞を取った「パラサイト」という映画にも「警備員の募集に500人来た、しかも大学卒ばかり」というようなシーンがありますが、大げさではありません。

こう考えると大学4年の秋まで一生懸命勉強して(それが学生の本分なのですが)そこから就職活動もするとなるとかなり大変なことが理解できます。
実は大学に入った時から(入る前から)就職活動が始まっていると言えるのかもしれません。

中小企業に就職にしても不安定で収入も低いために子どもたちは小学生の頃から塾に通い、有名大学を目指して勉強を続けます。
受験に遅れそうな子どものタクシーをパトカーが先導するなど、社会を上げて受験に取り組んでいるんです。

中国の就職活動

日本の10倍以上の学生が毎年卒業している

ここ数十年で飛躍的に経済が発展した中国。
さぞ国内も景気が良くなっているのだろうと思いきや、就職活動についてはそう言ってもいられないようです。

中国の大学卒の就職率は3割程度とかなり厳しいものです。
なぜかというと、中国では何しろ大学を卒業する人数が多いのです。

2001年に114万人だった大学卒業人数は、2018年に820万人にまで増加しています。
ちなみに日本の2018年の大学卒業者数は56万5千人です。

毎年日本の10倍もの学生が大学を卒業して仕事を探すので、経済が発展した中国でもさすがに全員が望む仕事に就くことはできません。

有名大学との大きな格差、海外就職という選択も

また韓国と同様、大学レベルによっても大きな格差が存在します。
有名大学に入れば、大手企業に就職できます。しかし、有名大学以外の大学では卒業しても就職できないのです。そのため海外で就職する人も増えています。

学生の数が多いだけあって非常に優秀な学生も増えています。全体の10分の1を優秀層の学生だとすると、中国には日本の大学生全員の数を超える非常に優秀な学生がいることになります。

彼らは世界的な企業に就職し、その工場の駐車場には高級車が並ぶそうです。乗っているのは20代そこそこのエリートです。

一方で大学を出たものの仕事につけない人も多く、中国でも大きな格差が生まれています。

ドイツの就職活動

即戦力を求められるドイツ

ドイツの就職活動は超実力主義です。若者が仕事に就く方法は大きく以下の2つにわかれています。

①高校を卒業して職業訓練を受け、修了後に就職活動をする
②大学生の時に無給のインターンを行い、その後就職活動をする

ドイツの職業訓練制度では、若者は3年間専門学校に通いながら働きます。
企業の支援があり学費がかからない分、その分給料は非常に安いのですが、この職業訓練を終了していないと就職もその後のキャリアアップも難しくなるそうです。

職業訓練が終わっている=企業にとっては即戦力というお墨付きがあるという判断になります。

このように、ドイツでは就職した時から即戦力としての働きを求められます。
また大学での学業の内容も就職には大きく影響し、理系やビジネス学部の場合は特にその傾向があります。

日本では大学で勉強したこととまったく関係ない仕事に就く人もかなり多いですよね。

就職活動のタイミングは人それぞれ

他に日本と違うのは、就活のタイミングです。日本は新卒一括での採用が主ですが、ドイツの場合時期は厳密に決まっていないようです。
大学を卒業する時、あるいは卒業後に直接企業を調べるなどして応募します。

実力主義である分、日本でいう転職活動のように経験者を含めた他人と戦うことになるんですね。

大学生は6週間の無給でのインターンを行いますが、その時に良い働きをすると企業が声をかけてくれることもあります。

ドイツの就職活動はこのように能力主義なのでハードに思えますが、逆に言うと能力があれば仕事に就くことができるということです。

日本のように新卒で就職しそこなうと、その後のキャリアに大きくダメージがあるというわけではないので、いったん社会人になっても大学に戻ってスキルを身につけるなど、柔軟な生活が可能です。

アメリカの就職活動

学歴・実績が重視されるアメリカ

アメリカもドイツ同様、新卒での採用を行っていません。
アメリカでは大学を卒業するタイミングで必ずしも就職活動をするとは限らず、大学在学中は学業に専念する人が多いのです。

就活をする時期も人によって違います。
大学卒業までに入社を希望する場合には在学中から履歴書を送り選考試験を受ける人もいますが、大学を卒業してからもすぐに就職せず、ボランティアをしたり世界を旅行したりと、在学中にできなかった方法で見識を広めてから就職する人もいます。

「そんな就職活動いいなぁ」と思うかもしれませんが、それはやはり実力主義だからできることなのです。

アメリカというと自由の国。自分に実力があれば、人種や出身によらず成功できるというイメージがありますよね。

しかし人種や性別、出身などは問題にならなくても、学歴やそれまでの実績を非常に重視されます。

どの学校を卒業したのかも大きなポイントとなります。ドイツと同じく最初から即戦力・専門家としての働きを求められるので、大企業に就職するには最低でも業務に関連する専門分野の修士号、できれば博士号を取得している必要があります。

またそのように専門分野の知識や能力を求められるので、日本のように入社後希望と違う部署に配属になったということはなく、あらかじめ決めた業務内容やポジションで採用されます。

ほとんどの学生がインターンで実務を経験

また即戦力を求めるので、ドイツ同様インターンの経験が評価されます。アメリカではほぼ全ての学生が長期のインターンシップを通じて実務を経験してから、就職活動を始めます。

なかには、高校生から長期休みを利用して、インターンで経験を積む人もいます。

特徴的なのは面接で、国土が広く海外からの応募も多いために電話やビデオチャットを使った面接も広く行われているようです。
就職活動にはお金もかかりますから、これは日本でも広がって欲しい流れですね。

日本より実力主義傾向が強い世界の就職活動

教育システムや社会的な構造が違いますし、一部の国のシステムを紹介しただけですが、どの国も日本の就職活動より実力を求められ評価されているようです。

日本の場合は、新卒で求められるものは成長意欲や素直さ、コミュニケーション能力などであり、その時点での実力よりこれからの可能性にフォーカスされています。

しかし、多くの国では大学時代に学んだ専門分野の知識、それを使って実際にどれだけ仕事ができるかということが評価の対象であり、そこで職業人としての能力をいきなり評価されるのです。

今後日本の政治や経済の動向によっては、海外での就職を希望する人も増えてくるかもしれません。
現時点で希望がある人は将来のために、希望する国で働くためにはどのような要素を身につけておかないといけないのか考えておきましょう。

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