転職活動の際には、履歴書でも面接でも「どうしてこの会社を志望したのか」という志望動機を聞かれます。
しかし中には、正直に言って「今の仕事を早く辞めたい」「仕事は何でもいいから収入を上げたい」という程度の志望動機しかない人もいるでしょう。しかし、これでは書類審査も通過できないのは想像に難くありません。
では、このように特にポジティブな理由がないまま転職活動を始めた場合、志望動機はどのように考えたら良いのでしょう。
この記事では、転職したいけどまだ志望動機がない・思いつかない人のために、選考で合格できる志望動機の考え方を解説します。
目次
志望動機から知りたいこととは

履歴書や面接で志望動機を確認するのは、選考を行う会社にとって知りたい情報がそこにあるからです。
一般的に、採用担当者が志望動機から知りたいと思っているのは以下の3つです。そしてこれを理解することで、どのような志望動機を考えるべきなのかがわかってきます。
本当にその会社で働きたいと思っているか
求職者側の転職活動にも時間や費用などのコストがかかりますが、会社も社員の採用には多額のコストをかけています。1名を採用するのに数百万円の費用をかけることも珍しくありません。
このような事情がありますから、会社は、採用したら確実に入社してくれる志望度の高い人を選りすぐって選考したいと思っています。
履歴書やエントリーシートの志望動機欄、面接での質問は、この志望度合いを見極めるために有効だと考えているのです。
仕事に対して求めていることは何か
転職をするということは、今の仕事内容・環境に対して何らかの変化を起こしたいということです。
応募者が何を求めて転職活動をしているのか、それをわかりやすく表現できているかなどを、志望動機で確認します。
会社の文化や方向性にあっているか
応募者の希望を理解した上で、会社はその希望が自社で実現可能か、会社が進む方向性と応募者が求める方向性があっているかを知りたいと思っています。
例えば会社がこれから大きく成長し、忙しくなることが予想されるのに「ワークライフバランスが最重要」「残業は絶対にNG」という希望がある人を採用してしまったら、お互いにとってミスマッチになってしまいます。
必要な内容が伝わる志望動機の作り方

つまり志望動機では、上記3つの内容を応募先企業に伝える必要があります。
そのような応募動機を作るために、以下の順番でリサーチと動機の作成を行っていきましょう。
求人の条件を確認する
企業が掲出している求人情報には、企業が求める人物の条件が書かれています。
求められている経験やスキル、またそこから考えられる企業が欲しがっている人物像までできるだけ具体的に考えてみましょう。
企業の公式サイトやメディアを見る
多くの企業が自社のサイトを持っており、商品やサービスの情報を発信しています。そこには企業の理念や行動の指針、クレドなどが書かれていることもあります。
また理念や行動指針だけでなく、社長や社員のインタビューまで見つけられれば、職場の雰囲気や求められる行動・原則的な考え方などが想像できます。
自分と重なる部分を見つける
上記のリサーチを経て企業の求める人材について理解したら、自分のスキルや経験を見直して、企業にとって魅力的に見えそうな部分・アピールできる部分を見つけます。
志望動機の伝え方、文章への起こし方のコツについては、こちらの記事をご覧ください↓
会社に貢献する未来について書く
重要なことは、「自分のアピールする部分」を「相手のメリット」と結び付けることです。
つまり、「自分を採用することで企業にとってどんなメリットがあるか」を書くのです。
入社前ですから詳細な仕事内容はわかりませんし、詳細に未来予想を述べることは難しいですが、ある程度具体的な自分の行動・活躍を伝えましょう。
これらの手順で内容を作成することで、
- リサーチをしっかりしている→志望度が高い
- 将来の活躍が想像できる→応募者が求めるものと会社の方向性が一致している
という印象を持ってもらえます。
志望動機の注意点

自分の都合だけを伝えないこと
よく陥ってしまう志望動機の罠として、「成長したい」など自分の都合だけを伝えてしまうことがあります。
確かに向上心にあふれて、自分の成長を望むことは悪いことではありませんし、社員に成長をもとめる企業は多いです。
しかし、実際には企業は従業員に成長して欲しいわけではなく、成長することによって会社により大きな売上をもたらしてほしいのです。
成長できる環境に身を置きたくて、このようなスキルを身につけたくて…という志望動機を伝える時は、そのことで企業にどう貢献できるかも伝えるようにしましょう。
労働条件だけを理由にしないこと
例えば、
- 残業がないと聞いて
- 福利厚生が充実しているので
- 住宅手当の金額が大きいので
のように、働く際の条件の良さを志望動機として伝えた場合、企業側としては「うちでなくてはいけない理由」とは考えられません。もっと良い条件があれば、そちらに行くだろうと考えてしまうからです。
異性と付き合う時に「顔が好みだから」「年収が高いから」という理由だとあまり心を動かされないのと同じです。
志望動機の基本は、自分の能力や求めることと、その企業に貢献できることが同じであるという点だということを忘れないようにしましょう。
嘘をつかないこと
転職活動が長引いてしまった時など、採用されたいあまり、本当に求めている条件にまで嘘をついてしまうこともあります。
この場合、上手く入社ができたとしても、のちのちギャップが生まれて結局短い期間で退職しがちです。
もちろん、自分の希望にピッタリの求人に出会えることはないので、ある程度の譲歩は必要です。ただそれが後悔につながらないよう、転職で実現したい条件の優先順位をつけて、譲れない部分をはっきりさせておきましょう。
志望動機によっては逆転も可能
採用担当者は可能であれば、優秀で確実に入社してくれて、長く会社の売上に貢献してくれる人を採用したいと思っています。
しかし、入社した人が優秀かどうかは実際に入ってみないとわかりません。
その点、熱意があって会社と同じ方向を向いて成長してくれそうな人は、志望動機によって強く印象付けられます。
優秀で、採用してもいいかと思ったが、志望動機が自社の方向性と違ったので採用を見送るということもあれば、スキルや経験は足りなかったが、志望動機を見込んで採用するという場合もあるのです。
志望動機はこのように採用の決定に大きな影響を及ぼします。自分発信で考えるとわからなくなる、何も思いつかないという時は、記事で紹介したように、
- 相手が求めている情報は何か
- それに対して自分が出せる情報は何か
という順番で考えてみてください。