なぜ今、数学を勉強する社会人が増えているのか。数学を学ぶメリットやおすすめ勉強法を紹介
従来、社会人がする勉強といえば、ビジネス英会話やTOEICなどが中心でした。
しかし最近は数学を勉強し始める社会人が増えており、社会人を対象にした数学の本や塾などが増えています。
この記事では、今数学を勉強する社会人が増えている理由や、数学を学ぶことのメリット、社会人におすすめの数学学習法について解説します。
目次
社会人が数学を学ぶ理由
社会人で数学を学ぶ理由としては、もちろん「楽しみのため」という人も多いのですが、最近はビジネスやキャリアアップのために勉強を始める人が増えています。
現代ではテクノロジーが発達し、機会学習やAIがビジネスの場面でどんどん活用されるようになってきました。
またビジネスを通して入手できるデータも増え、それらを分析して活用するというデータサイエンスの考えも広まっています。
このようなデータの収集・分析については、今後機械が行うようになっていくでしょう。しかし、そこから出た情報をもとに判断することは人間の仕事です。
そのため今後のビジネスシーンでは、データを統計的に読み解く力や判断する力が求められ、そのためには文系出身者であっても数学の基礎的な知識が必要なのです。
数学を学ぶメリット
ロジカルシンキングや問題解決能力が身につく
数学を学ぶことで、物事を論理的に考える力が身につきます。
数学を勉強する際には、問題を正しく把握し、すでに証明された定理などの道具を使いながら、正しい手順で正解にたどりつく必要があります。
これにより1つ1つの段階に根拠を持ち、確実に考えを展開するロジカルシンキングを身につけることができるのです。
また自分自身が物事をロジカルに考えられると、相手の話もそのように受け止めて足りないところや問題点にすぐ気づけるようになります。
客観的に物事を見て判断できるようになり、状況判断や問題解決のスピードもアップするのです。
仕事の幅が広がる
先ほど言ったように、どんどんテクノロジーの進化は進んでいます。
どのようなビジネスでもテクノロジーが開発・導入され、ビジネスパーソンはそれらを使いこなしていかなければいけません。
「自分は文系だから数学はわからなくていい」という決めつけをしていると、せっかくのテクノロジーも使いこなすことができず、成果も出せないということになります。
数学について基礎的な理解がある人であれば、このような場面でも成果を出せ、データ分析など新しい分野の仕事を任せてもらうチャンスも得られるでしょう。
脳が鍛えられ創造性が増す
数学を学ぶことで、普段の生活で使わない脳の分野を使えます。
数学パズルなどは脳の老化防止に役立つということがわかっていますが、当然数学の勉強でも脳を鍛えることが可能です。
数学というと「1つの正解を求める」として画一的という印象を持つ人も多いでしょう。
しかし本来、数学はさまざまな知識を組み合わせて物事を正しく、多角的に見るという非常に創造性の高い学問です。
数学を学ぶことで、生活やビジネスの場面でもさまざまな可能性を想定し、条件を組み合わせて最善の道を選べる創造性も身につくのです。
他の人に大きな差がつく
引用:APAC就業実態・成長意識調査(2019年)
あなたが自分の成長を目的として行っている勤務先以外での学習や自己啓発活動についてお知らせください。(複数回答/選択肢11項目)
アジア太平洋の他の国と比較して、日本人は圧倒的に仕事以外で勉強していません。
読書やセミナー参加のなどの自己研鑽を「とくに何も行っていない」と回答したのは46.3%で全体平均の13.3%を大きく上回りダントツです。
日本では社会人になってから勉強する人が本当に少ないので、社会人になって勉強をするだけで周囲に大きな差がつきます。
どんなに忙しく仕事をしていても、日ごろの業務を通じてできる成長には限界があります。
仕事以外で自分を成長させ、新しい分野のスキルを身につけるという意味でも、数学の勉強を今行うことには非常に価値があります。
社会人は数学の何から勉強すればいいのか
では、社会人になって数学を勉強し直したい時は、いったい何から始めればいいのでしょうか
本当に数学が苦手だった人は中学校の数学から始めるのがいいでしょう。
数学は基礎が大事なので、少しでも心配なところがあればおさらいだけでもしておくと安心です。
また数学の基本がある程度ある人であれば、社会人としてビジネスで必要性が大きくかつ学びやすい分野としては「確率」があります。
確率を使ったデータ解析などは今後のビジネスでも必要性が高まる分野です。
また確率の場合、基本的に難解な数学の知識をあまり必要とせず、算数レベルからでも学べるのが、大人におすすめできるポイントです。
しっかり基礎から理解したいという場合には、中学校から始めて高校や大学の数学と段階を追って学んでいけば、ビジネスだけではなく一生の趣味として数学を楽しむことが出来るでしょう。
数学をどうやって勉強すればいいか
独学で勉強する
今すぐ始められて最も手軽なのは、独学で数学を勉強することです。
今は大人向けの数学学習がブームになっているので、書店に行くと中学レベルから数学をわかりやすく解説した本がたくさん並んでいます。
しかしわかりやすいといっても、本の中身によってレベルはバラバラです。
まずは実際に書店に行って何冊かパラパラと中身を見てからレベルに合いそうなものを購入しましょう。
ECサイトのレビューで評価が良いからといって中身を見ないで購入するとレベル感がまったく合わない可能性があります。
また大人向けでなく、中高生向けの教科書や参考書を使うのもおすすめです。
独学には
・ついだらけてしまう
・わからないところで止まってしまう
という大きなデメリットがありますが、現在はこのような問題をサポートできるツールも増えています。
まず、ついだらけてしまうという点については学習管理のアプリを利用しましょう。
「Studyplus(スタディプラス) 」という勉強記録・学習管理アプリなら、自分の学習記録をつけて進捗を確認したり見直したりできます。
参考書やテキストのバーコードを読み込むことで自分の勉強内容として追加することがで、学習した時間が可視化できるので、こんなに頑張ったという実感もわいて学習の習慣化につながります。
また「わからないところで止まってしまう」という問題については、YouTubeの数学動画が役立ちます。
YouTubeには面白い動画だけでなく、勉強に役立つ動画も多くアップされており、わかりにくい定理の証明や解法の解説などをしてくれています。
また図形に色をつけるなどの編集をしてくれている人もいて、通常の授業よりもわかりやすい物が多いです。
勉強の助けになるだけでなく、現時点では自分の理解を超える内容でも数学の楽しさがわかる動画もたくさんあるので、ぜひ学習に活用しましょう。
登録者の多い人気の教育系YouTuberを紹介します。
先生のような口調でわかりやすく教えてくれるチャンネルです。学校にいたら人気だっただろうなと思うタイプです。数学だけでなく文系科目の授業もあります。
大学の数学や物理が中心なのでレベルが高いですが、中には中学生の知識から理解できる微分積分の授業などもあり、問題を解くだけではない数学の楽しさがわかります。
主に大学の入試問題の解き方などを解説してくれます。コメント欄で他のユーザーが別の解法を説明してくれたり、さまざまな考え方を見ることができます。
通信講座で勉強する
大人向けの数学学習方法として、通信教育大手のZ会ではiPadを使って自分にあったスピードで数学が学習できるサービスを提供しています。
この講座は月額制(3,950円※2020年2月改定)で中学生から広告範囲のカリキュラムを学習することができます。
数学Iとか数学Aという学習指導要領ではなく、関連性の深い学習項目をまとめて学べるように、
・代数(数や式)
・解析(関数や微積分)
・幾何(図形)
・統計
という4分野で設計されています。
また問題を解いていく中でそれぞれの生徒の理解に必要な類題が表示されるなど、テクノロジーを使って個人の学習効果が最大化される工夫があります。
学習にはiPadが必要なのですが、すでに所持しているのであれば3日間の無料体験にも申し込めます。
費用も安く自分に合わせた勉強ができる点も良いのですが、問題点としてはやはり通信教育のため自分が時間を作ってやらないといつまでも進まない所です。
独学と同様、きちんとスケジュールと目標を立てて学習をすることが必要です。
大人向けの数学塾に行く
大人向けの数学塾もおすすめです。週に1回、もしくは自分に合わせたスケジュールで勉強ができます。
お金を払って日時が決まった状態で学習をすることで、「勉強しなきゃ」という思いになり強制力が働きます。
また実際に先生と対面するので授業のたびにわからないことを直接質問し、その場でホワイトボードなどを使って説明してもらうことが出来ます。
デメリットとしては、この3つの方法の中ではやはり出費が大きくなることと、クラスでの授業の場合は自分の理解が追いつかないまま先に進んでしまうことです。
また週に1回など教室に出向く必要があり、その時に出席できないと授業に遅れる可能性もあります。
大人向けの数学教室を運営しているところは都内に数か所あります。
無料体験授業を行っている会社もあるので、興味がある人は試してみてください。
地道な数学の勉強が将来の可能性につながる
これからさらにテクノロジーが進んでいくと、どんな商品やサービスもテクノロジーを取りいれ活用していくようになります。
そうすると、今は一部の人が理解しているだけのコンピューターや機会学習、AIに関する知識も、社会人の一般教養となるか、もしくは知らないと成果に大きな差がつく時代になるかもしれません。
数学を理解していないと、どうしても論理的でなく感覚に頼って思考や判断を行いがちです。
しかし、数学という論理的にしっかりした土台を持つことで、どんな時も問題の姿を正しくとらえて適切な判断ができるようになるのです。
これからの時代にビジネスシーンの最先端で活躍するためにも、自分のレベルにあった方法で数学の勉強を始めておくことをおすすめします。