SDGsを9分で解説!最低限これだけ押さえておけば恥ずかしくない

最近、SDGsという言葉を目にすることが増えています。しかし、「具体的に何をすることなの?」と聞かれると、ドキッとする人も多いのではないでしょうか。

特に、仕事関連でも何かプロジェクトで取り組むことになれば、自分だけ内容を知らないというわけにもいきません。

そこで今回は、「とりあえず、恥をかかないレベルの知識を得たい」という方向けに、SDGsについて解説していきます。

一通り記事を読めば、「SDGsって、こういうことだよね」と人に話せるレベルになりますよ。

目次

SDGsは世界193か国に採択された国際的な開発目標

SDGsが採択された背景には、地球規模で起きている様々な問題への対策が急務であることが関係しています。

例えば、地球上では今、下記のような問題が起きています。

これらは世界的な問題のほんの一部に過ぎず、このまま深刻化すれば、地球の存亡すら危うい状況になりかねません。そこで、全世界で協力し、持続可能な発展を目指すための取り組みを行うことになりました。

2015年9月の国連サミットで採択

SDGsは、2015年9月にニューヨークで行われた国連サミットで採択されました。「誰1人取り残さない」社会の実現を目指し、2030年を期限とした環境・社会・経済を巡る広範な課題への着手が始まりました。

なお、SDGsの前身となるのが、MDGs(Millennium Development Goals)と呼ばれる開発目標です。これは、2001年から2015年の期間に掲げられていた目標で、8個の目標と21個のターゲットで構成されていました。

しかし、途上国を支援する内容が中心だったため、先進国は自分事化できず、国際的な目標としては不十分でした。その反省を活かして作られたのが、17個の目標と169個のターゲットで構成されているSDGsです。

持続可能な発展に欠かせない17の目標・169のターゲット

SDGsは、持続可能な発展を達成するために、17個の目標と169個のターゲットで構成されています。最も重要な17個の目標は、以下の通りです。

  1. 貧困をなくそう
  2. 飢餓をゼロに
  3. すべての人に健康と福祉を
  4. 質の高い教育をみんなに
  5. ジェンダー平等を実現しよう
  6. 安全な水とトイレを世界中に
  7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに
  8. 働きがいも経済成長も
  9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
  10. 人や国の不平等をなくそう
  11. 住み続けられるまちづくりを
  12. つくる責任つかう責任
  13. 気候変動に具体的な対策を
  14. 海の豊かさを守ろう
  15. 陸の豊かさも守ろう
  16. 平和と公正をすべての人に
  17. パートナーシップで目標を達成しよう

出典:SDGs17の目標 | SDGsクラブ | 日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)

これら17個の目標にはそれぞれターゲットが設定され、全部で169個にのぼります。

例えば、日本にとって死活問題ともいえる「⑮陸の豊かさを守ろう」のターゲットを一部抜粋すると以下の通りです。

15-1
2020年までに国際的な協定にしたがって、森林、湿地、山地、乾燥地など陸上の生態系と、内陸の淡水地域の生態系、および、それらがもたらす自然の恵みを、守り、回復させ、持続可能な形で利用できるようにする。

15-2
2020年までに、あらゆる種類の森林の、持続可能な形の管理をすすめ、森林の減少をくいとめる。また、おとろえてしまった森林を回復させ、世界全体で植林を大きく増やす。

15-3
2030年までに、砂漠化に対応し、砂漠化、干ばつ、洪水の影響を受けておとろえてしまった土地と土壌を回復させ、これ以上土地をおとろえさせない世界になるように努力する。

出典:15.陸の豊かさも守ろう | SDGsクラブ | 日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)

SDGs注目の裏に隠れた問題と解決の糸口

SDGsがこれだけ注目されている背景には、世界中で起きている深刻な問題が存在します。これらの問題は、「経済」「社会」「環境」という3つの大きなカテゴリに分けることができます。

この並びにも意味があり、経済の発展は社会条件によって成り立ち、社会は生活環境によって支えられていることを表しています。3つのカテゴリがうまく絡み合い、国や企業をはじめ全世界の人がパートナーシップを組んだ結果、持続可能な社会が実現します。

各カテゴリに振り分けられる17の目標を、順に説明します。

環境面

環境面の目標として掲げられているのは、以下の4つです。

6. 安全な水とトイレを世界中に
13. 気候変動に具体的な対策を
14. 海の豊かさを守ろう
15. 陸の豊かさも守ろう

環境が整わなければ、社会的な活動も、経済発展もあり得ません。豊かな日本に住んでいると軽視しがちですが、全ての基盤となるカテゴリです。

社会面

社会面の目標は、以下の8個で構成されています。

1. 貧困をなくそう
2. 飢餓をゼロに
3. すべての人に健康と福祉を
4. 質の高い教育をみんなに
5. ジェンダー平等を実現しよう
7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに
11. 住み続けられるまちづくりを
16. 平和と公正をすべての人に

安全な社会が形成されてこそ、はじめて経済活動に注力できます。このカテゴリも日本にいると感じづらいですが、これを機会に身の回りを見渡してみると良いでしょう。

経済面

経済面は、全部で4つの目標が掲げられています。

8. 働きがいも経済成長も
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
10. 人や国の不平等をなくそう
12. つくる責任つかう責任

どうしても経済面に目がいきがちですが、そのためには環境面や社会面の基盤が必要不可欠です。経済的にも発展することで、「17. パートナーシップで目標を達成しよう」の達成と、持続可能な社会の実現が見えてきます。

SDGsへの取り組みは他人事じゃない

「SDGsは世界的な取り組みだから、自分には関係ないのでは?」と思ってしまう人もいるかもしれません。しかし、SDGsへの取り組みを軽視していると、思わぬところで足をすくわれる可能性があります。

SDGsに取り組まない組織・個人は淘汰されていく

今後、SDGsに取り組まない組織や個人は淘汰されていく可能性があります。なぜなら、SDGs熱が高まるにつれて、取り組んでいない組織・個人への風当たりが強くなることが予想されるからです。

投資の世界では既に、SDGsなどの社会課題を意識した企業への投資(ESG投資*)が盛んになっています。2008年には全世界で597兆円だったESG投資への投資額は、2018年には約6倍の3,457兆円にまで成長しました。

*「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」などに配慮した企業への投資

ESG、SDGsは世界共通の言葉!│注目ファンド特集│SMBC日興証券のデータを基に筆者作成

参考:ESG、SDGsは世界共通の言葉!│注目ファンド特集│SMBC日興証券

今後、環境や社会課題に対する取り組みは、ますます熱が高まっていくことが予想されます。すると、SDGsに取り組むことが当たり前になり、取り組んでいない組織や個人はマイナスの印象を与えかねません。

まだまだ取り組みが甘い日本だからこそチャンス

SDGsに関する各国の取り組み状況は、毎年レポートにして発表されます。世界のSDGs達成度ランキングにおいて、日本はこれまで以下のような順位を辿っています。

2016年:18位(75点)
2017年:11位(80.2点)
2018年:15位(78.5点)
2019年:15位(78.9点)
2020年:17位(79.1点)
2021年:18位(79.8点)

また、直近2021年の取り組み状況は以下の通りです。

「SDGsが達成できている」
4. 質の高い教育をみんなに
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
16. 平和と公正をすべての人に

「課題が残っている」
1. 貧困をなくそう
3. すべての人に健康と福祉を
6. 安全な水とトイレを世界中に
8. 働きがいも経済成長も
11. 住み続けられるまちづくりを

「重要課題」
2. 飢餓をゼロに
7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに
10. 人や国の不平等をなくそう
12. つくる責任つかう責任

「最大の課題」
5. ジェンダー平等を実現しよう
13. 気候変動に具体的な対策を
14. 海の豊かさを守ろう
15. 陸の豊かさも守ろう
17. パートナーシップで目標を達成しよう

日本は上位を占める北欧の国々に比べるとまだまだです。そんな日本だからこそ、他社に先駆けて早く取り組みを始めることで差別化になります。

【シチュエーション別】SDGsへの取り組み事例7選

SDGsの理解も深まってきたところで、実際の取り組み事例を紹介します。

今回は、国・企業・地方自治体・個人という4つの切り口に分けて、代表的な取り組みをお伝えします。

SDGs推進本部
2015年のSDGs採択後、国内の基盤整備のために2016年5月に発足しました。総理大臣を本部長、官房長官と外務大臣を副本部長として、全閣僚を構成員としています。SDGs推進本部が起点となり、官民の垣根を越えた取り組みを先導しています。

ジャパンSDGsアワード
SDGs達成に向けて優れた取り組みを行っている企業・団体を表彰するために、2017年6月から開始されました。アワードの開催をきっかけに、SDGsの目標達成に向けた企業・団体等の取り組みを促すことを目的としています。

企業

後継者不足への対応「みずほフィナンシャルグループ」
みずほフィナンシャルグループは、少子高齢化に伴う後継者不足に向け、グループの総力を結集した事業承継対策を掲げています。総合金融グループならではの取り組みです。

参考:みずほFG:事業承継、イノベーション企業支援への取り組み

途上国の子どもたちに楽器を「ヤマハ株式会社」
楽器メーカーのヤマハは、音楽教育が十分でない国や地域の子どもたちに、音楽に触れる機会を提供しています。具体的には、「楽器・教材・指導ノウハウ」をパッケージ化した独自プログラムを、政府教育機関と協業して届けています。

参考:スクールプロジェクト – ヤマハ株式会社

地方自治体

かながわプラごみゼロ宣言「神奈川県」
2018年夏、神奈川県鎌倉市由比ヶ浜でシロナガスクジラの赤ちゃんが打ち上げられ、胃の中からプラスチックが発見されました。神奈川県はこれを「クジラからのメッセージ」として受け止め、海洋汚染の原因であるプラスチックごみの削減に乗り出しています。

参考:「かながわプラごみゼロ宣言」―クジラからのメッセージ― – 神奈川県ホームページ

地道な努力で人口減少緩和「北海道下川町」
北海道下川町は、第1回「ジャパンSDGsアワード」で総理大臣賞を受賞しています。主に、森林総合産業の構築、地域エネルギー自給と低炭素化、超高齢化対応社会創造に取り組んできました。その結果、人口減少緩和やエネルギーの自給率向上を達成しています。

参考:第1回「ジャパンSDGsアワード」総理大臣賞を受賞しました! | 政策推進課 | 各課のページ | 下川町 -道北・”ワクワク”が生まれるまち-

個人

SDGsの取り組みは、組織に限ったことではありません。個々人でも、意識しだいで行動を変えられます。一例として、個人でも取り組める内容を列挙します。

一人一人の行動は小さな影響だとしても、その輪が広がれば大きな違いをもたらします。ぜひ、できそうなことから始めてみてはいかがでしょうか。

組織でSDGsに取り組む際のポイント

組織でSDGsに取り組む際は、以下の3つのポイントを意識する必要があります。

共通の認識を持つ

はじめに、SDGsに関して関係者間での認識を合わせておく必要があります。お互いの認識がずれていると、プロジェクトが円滑に進まないからです。

特に、「私は、SDGsについて詳しい」と思っている人ほど、誤った認識をしている可能性があります。可能であれば、全メンバーを集めて、キックオフ的に勉強会を開催するのがおすすめです。

組織の目的を再認識する

次に、その組織が何を目的に運営されているかを再認識することが必要です。SDGsは単なる環境保全のボランティアではなく、組織の活動そのものを持続可能な社会の実現に向けて変革するものだからです。

つまり、環境保全が目的ではなく、あくまでも組織の目的を達成するうえで、どのように環境にも配慮するかという視点が重要です。

取り入れられそうな要素を洗い出す

組織の目的や日々の活動に合わせて、どんな取り組みができそうかを洗い出します。はじめはブレストを行い、自由に思考することがポイントです。

同じような意見はまとめていき、最終的にその中から、実現可能そうな取り組みをピックアップしていきます。

SDGsは知らなかったでは済まされない

SDGsへの取り組みは、私たちの住む世界を持続可能な状態に導きます。

この世界の一員として、最低限、以下のことは知っておくと良いでしょう。

まずは知識を得ることで、身の回りのSDGsを意識した取り組みにアンテナを張れるようになります。

ぜひ、肩肘を張らず、世の中の動きに目を向けてみてください。

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