リスティング広告のシミュレーションの作り方と考え方を徹底解説
リスティング広告を運用していく上で成果を出すことは重要ですが、その成果を出すためには施策を考えていく必要があり、そのためにシミュレーションを行うという方も少なくありません。
しかし、リスティング広告のシミュレーションとは何を考えれば良いのでしょうか…?
そこで今回は、リスティング広告のシミュレーションについてまとめてみました。
この記事では、シミュレーションを作成する時のフローや考え方についてご紹介します。
目次
1.シミュレーション作成時の考え方
シミュレーションを作る時には下記のような要素を考えていきます。
- ペルソナを設計する
- 自社や競合の強み、弱みを考える
これはマーケティングでは間違いなく活用されている3C分析に則った考え方です。
3C分析とは、外部環境(市場と競合)の分析からKSF(Key Success Factor:成功要因)を見つけ出し、自社の戦略に活かす分析をする作業です。
3C分析に関しては下記記事にて詳しくご紹介していますので、参考にしてみてください。
「3C分析を活用して効果的にリスティング広告の成果を上げよう!」
ペルソナを設計する
既存の顧客に対する分析を重ねて、広告を出稿して訴求したい顧客像を明確にすることをペルソナ設計といいます。
扱う商材や利用する顧客、市場状況からこういう人なら自社の商品を買うだろうなという人も具体的にイメージしていきます。
実際にどのようにペルソナを作成するかについては下記記事にてご紹介していますので、こちらも参考にしてみてください。
「リスティング広告で有効なペルソナ作成方法」
今回は下記のようなペルソナを例にしてシミュレーションを作成していきます。
自社や競合の強み、弱みを考える
競合や自社の強み、弱みを考えることで、自社の状況を把握することが出来ます。
他社の強みは自社の弱み、逆に他社の弱みは自社の強みとなりますので、自社の強みが市場で求められているものなのか、他社はどういう立場にいるのかをしっかりと把握することが出来ます。
2.自社、他社の調査方法
自社や他社の調査方法としては下記のような方法を取っていきます。
- キーワードボリュームを調べる
- 配信したい地域を想定する
- 想定CPCを出す
- 想定CTRを出す
- 想定CVRを出す
①キーワードボリュームを調べる
月間で、キーワードがどれくらい検索されているか、Google/Yahoo!でそれぞれの想定ボリュームを調べることが出来ます。
◎Google Adwords:キーワードプランナー
◎Yahoo!キーワードアドバイスツール
今回は、利用ユーザー数の多いGoogleで説明します。
②配信したい地域を想定する
次に配信したい地域を決めていきます。
ここでは、実際にECでの販売実績がある大都市圏を対象にしてみましょう。
なお「Googleと検索パートナー」は、Googleが提携している他の検索サイトも含めるか、また「除外キーワード」はユーザーが特定の検索語句(クエリ)で検索したときには広告を配信しないという指定が出来ます。
ただ、ここでは純粋な検索ボリュームを見る為に、何も設定しないでおきます。
③想定CPCを出す
検索ボリュームを調べた結果、下記のような結果になりました。
月間平均検索ボリューム12,100件、想定入札単価(CPC:1クリック毎に発生する広告単価)は38円とのことでした。
しかし、実際にランニングウェアの購入を検討している人は「ランニングウェア」だけで検索するでしょうか?
より購入への確度の高い単語、例えば「安い」「相場」「動きやすい」などを絡めて検索することが多いでしょう。さらにペルソナを踏まえ、「おしゃれ」などを付ける方が現実的です。
「ランニングウェア おしゃれ」というキーワードだと、またボリューム・単価が変わりました。
ここで産出された数値は全て想定の数値ですが、このまま進めていきます。
④想定CTRを出す
CTRとは、クリック率(検索表示された回数のうち、実際にクリックされた割合)のことを言い、例えば100回表示され1回クリックされた場合は、CTRが1%となります。
CTRが影響するポイントの一つに「広告文の訴求内容がユーザーの要望に近いかどうか」があります。
ですので、CTRを想定して広告文を作成する時に、流行やサイトとの関連性や類似事例などから、しっかりとユーザーの要望に訴求するような内容の広告文を作りましょう。
広告文に模範解答は無いので、運用する時はいくつかパターンを作ってA/Bテストをしてみてください。
ここでは類似通販の事例から、CTRを1.5%としておきます。
⑤想定CVRを出す
CVRとは、コンバージョン率(クリックされたうち、実際に成果:CVに結びついた割合)のことを言います。
せっかくリンクを踏んでもらっても、行き着いた先が情報の少ないトップページであったり、広告文と関係のない文章・画像が長々と書いてあるページだと、ユーザーはサイトからすぐに離脱してしまいます。
先程の例にあてはめると、「パリコレ」で話題となったランウェアを探して検索しているユーザーは以前から購入率が高かったというデータがありました。
ですので、大体CVR3.5%前後としておきます。
ここまで終わったら、実際に運用をしてみます。
3.実際に運用した結果と比較する
実際に運用してみた結果と作ったシミュレーションとを比較してみます。
これをまとめると下記のようになりました。
シミュレーションの数値とは良くも悪くも差が出ましたが、リスティングは長く運用すればするほど情報が集まり、より正確なデータが集まります。
この結果を踏まえてPDCAを回していきます。
4.数値の誤差からPDCAを回す
今回は下記のPDCAの回し方をご紹介します。
- CTR(クリック率)を改善する場合
- CVR(コンバージョン率)を改善する場合
CTRを改善する場合のPDCA
ユーザーの検索語句(クエリ)を見れば、ユーザーがどのような語句でサイトへ流入したのかが分かりますので、キーワードの網の張り方を変え、違った角度からユーザーへ訴求出来るように広告を出しましょう。
CVRを改善する場合のPDCA
広告文などのクリエイティブが同じものばかりだとユーザーに飽きられ、今度はクリック率が落ちてしまう可能性があります。
A/Bテストを繰り返しつつ、必要であればランディングページの導入やサイト改善なども選択肢にいれると良いでしょう。
シミュレーションを作るとこのように、運用したあとの施策が立てやすくなります。
5.まとめ
いかがでしょうか。
Googleキーワードプランナー/Yahoo!キーワードアドバイスツールも、現実の検索ボリュームではなく想定値となります。
類似事例などをもとに、いかに現実の数値に近い仮説を立てるか、そして運用した後に次の施策を考えるかが重要となります。
シミュレーションはあくまで仮説、この数値に振り回されないようにしながらPDCAを回し、リスティング広告を最適化していきましょう。