起業とは?言葉の意味から失敗しないために知っておくべきこと解説
最近は、大学生のうちから学生の時代から会社を起業するなど日本でも多くの若い起業家が活躍しています。
しかし起業とは実際に何をすることを指すのでしょうか。
自分も起業したいと思ったら、何から始めれば良いのでしょうか。
この記事では起業という言葉の意味から、失敗しないためにあらかじめ理解しておくべきことまで解説します。
目次
日本は起業しにくい環境?
起業件数は増えている
「全国新設法人動向」調査によると、2008年に約10万件だった法人企業数は2018年に約13万件となり増加しています。ピークは2017年ですが以降も多くの法人が設立されています。
法人が多く設立されている背景には、2006年に施行された新会社法があります。
それまでは有限会社で300万円、株式会社で1,000万円の最低資本金の金額が決められていました。
しかし新会社法ではこれらの規定が撤廃され、1円の資本金から会社を設立することが可能になっています。
9割が起業から10年以内に倒産してしまう
しかし、起業する人が増える一方で、年間で8,000件以上の法人が倒産や何らかの理由で廃業しています。
また法人化していない個人事業主に至っては、起業後1年で37.7%が廃業、10年後まで残れるのはたった1割と言われています。
起業自体が簡単になったとしても、事業を継続することは依然として厳しい状況だということは理解しておくべきでしょう。
「起業」と似た他の言葉との違いは
起業とは
起業とは「新しく事業を起こす」という意味です。この場合、個人事業主や株式会社などの事業形態は関係ありません。
起業に似た言葉として「創業」「開業」や「独立」なども使われますが、厳密には意味や使われるケースが違います。
創業とは
創業とは基本的に起業と同じ意味で使われる言葉ですが、実際に使われるシーンは過去の出来事に限られます。
つまり過去の時間を指して「2011年創業」という言い方はしても、将来を示して「20XX年創業」という言い方はしないということです。
創業の場合も起業と同じく、法人格のあるなしには関係ありません。
開業とは
開業も新しく事業を始める場合を表しています。しかし使われるケースが少し違い、個人事業の場合に多く使われるようです。
個人事業主としてやフリーランスとして事業を始める場合に「開業届」を税務署に提出することからそう呼ばれるようです。
独立とは
起業と似た意味で「独立」という時は、勤めていた会社を辞めて新しく自分で事業を作るという時が多いです。
この場合は新しく始めるビジネスがそれまで勤めていた会社の事業内容と同じ・類似の場合が多くなります。
起業は簡単だが費用が掛かる
起業自体に事業形態は関係ないので、「起業したい!」と思ったら個人事業主として税務署に「開業届」を提出するのが一番簡単な方法です。
株式会社の設立については、資本金は1円でも大丈夫なのですが、法人登記のための諸費用などで20万円程度かかります。
また、法人を設立する方が社会的な信頼度は高くなりますが、法人格を維持するためには法人税など毎年負担する税金が出てきます。
赤字でも支払わなければいけない税金もあるので、起業した後の費用のことも考えておく必要があるのです。
起業する前に考えておくべきこととは
起業する時、「起業」そのものは目的ではありません。
その後事業活動を行って利益を出し、安定的に経営を続けていくことが重要です。
そのためにはあらかじめ起業後のことを考えた準備をしておくことが大切です。
起業の目的を考える
起業の目的が、
「今の会社が嫌だから、人に使われない社長になりたい」
「●●が儲かると聞いたので事業を起こして儲けたい」
というような感情的な理由や思い付きでは、まず長期的に成功することは難しいでしょう。
起業をする際には、
- どうして起業する必要があるのか
- このビジネスを通して何を実現したいのか
- 事業を通してどんな自分になっていきたいのか
などを考え、辛い時でも立ちかえれるような信念を築くことが重要です。
ビジネスの内容と計画を決める
起業する目的が定まったら、その目的を達成するための具体的なプランを考えます。
この時、理想を追いすぎず現実に即したビジネスプランを立てることが重要です。
というのも、起業してすぐに思った通りの収益を出すのは難しいからです。
最終的にやりたいことがあるとしても、それを実現するまでは何でどのように収益を上げて事業を継続していくのかなど、実現可能なビジネスプランを立てましょう。
ビジネスのターゲットを定める
ビジネスが自分が「やりたい!」と思っているだけでは成り立ちません。
お客さんがいなければビジネスとして成り立ちませんし、その市場において競合から選ばれて初めて利益を出せるのです。
現代は、一人ひとりが自分の欲しい情報や欲しいものを選んで手に入れる時代になっており、ターゲットの定まっていない商品では、逆に誰にも見向きもされません。
例えば、
- 営業職で働く30代女性向け
- 40代の出張が多い男性向け
- 東京大学への入学を目指す高校生向け
などあえてターゲットを絞ることが、既存のビジネスとの差別化にもつながります。
起業するなら知っておくべき知識
起業し経営を行っていく上で必要不可欠な知識としては、「会計の知識」と「マーケティングの知識」があります。
会計の基礎知識
起業後、事業を継続的に続けるためには、売上を上げて利益を出さなければならず、それを正しく判断するためには「会計に関する知識」が必要になります。
会計の中でも経営者に一番必要なのは、会社の戦略を決める時などの材料として使われる経営判断のための会計知識=「管理会計」です。
これは一般に会計と言ってイメージされる、税理士や会計士などが行う「財務会計」とは別のものですが、基礎的な管理会計の知識は、起業後早いうちに習得しておきましょう。
また、決算書が読めなければ自社の財務状況を理解することもできません。
書類作成は経理担当者や税理士などの専門家に任せるとしても、最低限決算書はきちんと理解できるようになりましょう。
マーケティングの知識
同じ商品を売っているのに、成果に大きな差が出るというのはよくあることです。
営業マンが違うとか、立地が違うとか影響する要素は色々ありますが、大きな要因はその会社の「マーケティング力」の違いです。
マーケティングという言葉のとらえ方にはいろいろありますが、ここでは
- お客さんに求められる商品・サービスを作り
- お客さんにその情報を正しく届け
- お客さんが価値を効果的に得られるように働きかける
これらの一連の活動を指します。
供給過多のこの時代で起業家が生き残るためには、マーケティングをしっかりと理解し実践していく必要があります。
マーケティングには様々な手法があるので、全てを理解しようと思うと時間がかかりますが、市場から選ばれる企業になるために基礎となる考え方は学んでおきましょう。
起業に向く人の特徴
行動力がある人
起業には想定外のことや、正解がわからないことがたくさん存在します。それを乗り越えるためには、100%理解できなくても「とにかくやってみる」という精神や行動力が必要です。
専門的なノウハウを持っている人
自分自身に経験のない、まったく新しい分野でいきなり起業して成功するのは非常に困難です。
もちろん能力や経験はのちのち身についていくものとも言えますが、必要なスキルを最初から持っているのと徐々に身につけていくのでは、初動のスピードが全然違います。
考え方が柔軟な人
作った当初は完璧だと思っていたビジネスモデルでも、運営しているうちに必ず変更が必要になります。
時代や社会状況が変わったときなど、それを正確にとらえて適宜計画を修正できる、柔軟な考え方ができる人の方が成功できる確率は高くなります。
素直な人
素直で誠実な人は起業にも向いています。
例えば失敗した時「自分が悪かった」と素直に思える人は、そうでない人に比べ成長するスピードが格段に速くなります。
失敗を人のせいにせず、改善の種にして進める人こそ起業家として成功できる人だと言えます。
起業に向かない人の特徴
慎重すぎる人
前にどれだけ準備をしていても、いざ起業してみると想定外のことはかならず起きます。未来のことをあれこれ心配して、動けなくなってしまう人は起業には向いていないといえます。
感情的な人
感情に振り回されるタイプの人は起業には向かないでしょう。
1人で起業するフリーランススタイルであればまだ良いのですが、組織を作って人を雇用するとなると、関係者が多くなるためどんな時でもビジネスを優先して個人の感情を超えた判断をする必要があります。
経営者には冷静さが必要なのです。
お金にだらしない人
自分自身のお金の使い方を振り返ってみて、何にいくら使ったのかわからない、浪費を重ねてしまう、借金があるという人は会社のお金に対しても同じ態度を取る可能性があります。
まずは自分自身のお金の使い方や管理方法を見直してみましょう。
事前の準備で起業の成功率を上げられる
数十年前と比較して、現在は起業しやすい環境が整っています。
ただ、だからといってビジネスが簡単になったわけではありません。
安易な考えで起業をしたとしても生き残ることは難しいでしょう。
起業する際には、現状からの逃避や目先の考えに動かされることなく、十分な分析と準備を行って起業することをお勧めします。
起業して会社を経営していくことは決して楽なことではありません。
しかし自分が本当にやりたいにチャレンジできたり、社会に貢献できたりという魅力のある働き方であることは間違いないでしょう。