「今の仕事に大きな不満は無いけど、本当にこのままでいいのか?」
社会人として仕事をしていると、そんな風に悩むことも多いですよね。
しかし、キャリアアップを真剣に考えるほど、何から手をつければ良いか分からなくなりがちです。
そこで今回は、キャリアアップの定義から具体的な対策まで、実践に即した形でまとめてみました。
記事を読み終える頃には、自分なりのキャリアアップの道が見えてきますので、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
目次
キャリアアップとは?
まず、普段意識せず使っている「キャリアアップ」が何を指すのかを確認しておきましょう。
キャリアアップ=経歴が高まること
キャリアアップとは、自分自身のキャリア(経歴)を高めることです。つまり、目に見える形で仕事の幅や裁量が増えることを意味します。
例えば、キャリアアップの例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 出世してマネジメントに携わることになった
- 昇進して役職がついた
- 転職によって年収が上がった
- アルバイトや派遣社員から正社員に登用された
置かれている環境によって状況が変わるため、キャリアアップの方法は人それぞれです。
キャリアアップ=転職による年収アップではない
キャリアアップと聞くと、真っ先に「転職して年収を上げる」ことをイメージする方は多いです。しかし、転職して年収を上げることだけがキャリアアップではありません。
なぜなら、短期的に年収が上がっても、長期的に尻すぼみになってしまうケースもあるからです。
具体的には、以下のように負のスパイラルに陥る可能性があります。
転職をして多少年収が上がる ↓ しかし実は業界は年々縮小傾向にあり、入社した企業も業績が落ち込み始めていた ↓ 業績が悪く、年収アップや昇進は見込めない ↓ 人がどんどん辞めていき、雑務に追われる毎日 ↓ 専門性も身に着かず、転職市場でも評価されない ↓ 今の年収を超えるオファーを得られず会社に残るしかない ↓ 多少年収を高くしないと人が取れないため、提示額を上げていたことが後で分かる |
このように、キャリアアップを単なる年収アップと捉えると、長期的に見たら誤った選択をしてしまう可能性があります。
目先の些細な年収アップだけにこだわるのではなく、長期的な目線で考えることが重要です。
キャリアアップと似た意味で使われるキーワード
ここでは、キャリアアップとよく混同される3つのキーワードを紹介します。
スキルアップ=技能・能力が高まること
スキルアップは、技能・能力を高めることです。キャリアアップを図るためには何らかのスキルアップが必要なため、両者は親子関係にあります。
例えば、以下のような例が挙げられます。
- 昇進に必要なTOEICの勉強をする
- 年収を上げるために専門的なスキルを身につける
- 仕事の幅を広げるために資格を取得する
スキルアップは、キャリアアップのような目に見える表向きの変化があるとは限りません。
キャリアチェンジ=職種や業種・業界を変えること
キャリアチェンジは、職種や業種・業界を変えることです。つまり、これまで慣れ親しんでいた環境が大きく変わることになります。
例えば、営業マンがマーケターになったり、自動車業界で働いていた人がIT業界に転職したりすることを意味します。
上手くキャリアチェンジをすれば、職種や業種・業界がずっと同じ人とは違う視点で勝負できます。
キャリアパス(プラン)=理想のキャリアに辿りつくまでの道筋・計画
キャリアパス(プラン)は、理想のキャリアに辿りつくまでの道筋・計画のことです。人の数だけキャリアパスがあるため、自分なりに組み立てる必要があります。
例えば、財務のスペシャリストになるために、金融機関で数年間働いた後に、税理士の資格を取って会計事務所に勤めるなどです。
キャリアパス(プラン)を自ら積極的に描くことで、目標が現実味を帯びてきます。
キャリアアップで失敗しないための8箇条
キャリアアップを目指すうえで、やるべきことを把握することも大切ですが、同時に失敗しないための心構えも重要です。キャリアアップを考え始めたら、まずは下記の8箇条を思い出してください。
今の職場でできることがないかまず考える
まずは、今の職場でできることがないかを考えます。
案外、今の職場で叶えられることはあるからです。面接官の立場からしても、現職の環境を言い訳にして自分を変えようとしない人を採用したいとは思いません。
仮に「今の職場では裁量が与えられないので環境を変えたい」という求職者がいた場合、あなたが面接官ならどう感じるでしょうか。
「この人は環境を変えても自ら裁量を掴む努力をしないのでは?」と不安になるかもしれません。
今の環境でベストを尽くせない人は、環境を変えても力を発揮できません。まずは今いる環境で、できることがないかを考えてみてください。
※これはキャリアアップのための転職のケースです。
パワハラやセクハラなどのハラスメント行為がある場合は別で、会社にとことん掛け合って自身の心身を消耗するよりも、退職・転職が得策の場合も多いでしょう。
目先の年収やポジションに捉われすぎない
目先の年収やポジションに捉われすぎないことは重要です。目先のメリットばかりに捉われると、長期的には損をする可能性もあるからです。
具体的には、年収を気にしすぎて全く経験・スキルが積み上がらない仕事を何年も続けてしまうといったことです。一時的に年収が上がったとしても、長期的にはノウハウが全く貯まらず給料も変わらないままです。
長い仕事人生に関わることですので、長期的な視点が大切です。
周りと比較しすぎない
キャリアに関しては、周りと比較しすぎないことが重要です。なぜなら、そもそもお互いに前提条件が違うため、比べること自体にあまり意味がないからです。
「同期の〇〇さんは既にあんなに出世しているのに」と焦っていると、目の前の仕事すら集中できなくなってしまいます。悩んでいる時間がもったいないので、自分のベストを尽くすことに集中しましょう。
30代からのキャリアチェンジは慎重に考える
30代からのキャリアチェンジは慎重に考えた方が良いでしょう。
仮にチェンジしたキャリアが合わなかった時に、20代のようには巻き返すことが難しいからです。
特に、30代になってくると家庭を持つ人も出てくるため、自分の都合だけで仕事を変えづらくなります。また、周りもそれなりのパフォーマンスを要求してくるため、20代でのキャリアチェンジよりもハードルが高くなります。
キャリアチェンジを考えている場合は、なるべく早めに検討することをおすすめします。
自分のキャリアアップだけでなく周りへの貢献を意識する
キャリアアップを考えるうえでは、周りへの貢献を意識することも重要です。そもそも、目の前のお客様や一緒に働く仲間に喜ばれなければ、働きにくくなってしまうからです。
例えば、キャリアは凄いが自分のことしか考えていないAさんと、キャリアはそこそこでも気遣いのできるBさんがいたとします。もしあなたが同僚だった場合、どちらに力を貸したいと思うでしょうか。
常日頃から周りへの貢献を意識している人の方が、いざという時に手を差し伸べてくれる人が増えます。結果的に、キャリアアップにもつながりやすくなるでしょう。
運に頼るのではなく自発的に行動する
キャリアアップを図ろうと思ったら、運に頼るのではなく、自発的に行動することが欠かせません。なぜなら、何もせずに誰かが良い条件を勝手に運んできてくれるわけではないからです。
社内で出世するにしても、転職で年収を上げるにしても、まずは自分からアクションを起こさなければ何も変わりません。
黙ってチャンスを伺うのではなく、自ら積極的に掴みとりにいく姿勢が重要です。
一人で悩みすぎない
キャリアアップについて考えていると、多かれ少なかれ悩みが出てきます。そんな時、1人で悩みすぎないことも重要です。逆に悶々として、解決策が出ないどころか、日々の仕事やプライベートにまで悪影響が出てしまう可能性があるからです。
家族、身近な友人、尊敬できる先輩など、周りに頼れる人がいれば積極的に声をかけてみると良いでしょう。転職するしないに関わらず、転職エージェントに相談するのもおすすめです。
自分なりの回答は一度整理をしたうえで、頼れる人の力を借りた方が建設的な意見が出やすいです。
最終的には自分の意思を大切にする
周りに相談することも大切ですが、最終的には自分の意思を大切にすることを忘れてはいけません。何より自分自身のキャリアなので、自分が納得していないまま進むと後悔する可能性が高いからです。
特に、大企業から中小企業への転職や、キャリアチェンジは反対意見をもらうことも多いです。仮に反対された時に、自分はどう思うかをないがしろにせず、キチンと自分と向き合うことをおすすめします。
周りの声に耳を傾けることも重要ですが、最終的には自分のキャリア・人生です。
動き出す前に知っておくべきキャリアアップの4つの型
一言にキャリアアップと言っても様々な手段があります。ここでは、最もオーソドックスな4つの型をご紹介します。
職種変えない |
職種変える |
|
会社変えない |
社内昇進型 |
異動型 |
会社変える |
環境スライド型 |
心機一転型 |
職種も会社も変えない「社内昇進型」
1つ目は、職種も会社も変えない「社内昇進型」です。社内で評価されて、昇進していくことを目指します。
マネジメントに携わったり、重要な資格を取って職位を上げたりする方法があります。同じ職場で働くことになるため、勝手が分かって動きやすい点がメリットです。
社内昇進型は何よりも内部の人からの評価が大切ですので、社内政治を乗り切る覚悟も必要です。
職種は同じで働く環境を変える「環境スライド型」
2つ目は、職種は同じで働く環境を変える「環境スライド型」です。いわゆる、転職です。
全く同じような仕事でも、業界や会社を変えるだけで給料が上がるケースもあります。また、前職での働きを評価されて、役職つきで転職することも可能です。既に慣れ親しんでいる職種のため、働く環境が変わったとしても、比較的順応しやすいでしょう。
ただし、業界や会社によって独特な風土は存在するため、慣れるまでに多少の時間はかかります。
会社は変えずに職種を変える「異動型」
3つ目は、会社を変えずに職種を変える「異動型」です。一般的には、ジョブローテーションと呼ばれています。
仮に異動した先の仕事が上手くいかなかったとしても、同じ会社内であれば元の仕事に戻りやすい点がメリットです。また、総合職を養成する意味で、意図的に複数の職種を経験させる会社も存在します。
ただし、あまり異動を繰り返すと、専門性が身につきづらくなります。
会社も職種も変える「心機一転型」
4つ目は、会社も職種も変える「心機一転型」です。転職とキャリアチェンジを同時に行うことになります。
全てがまっさらな状態からのスタートですので、気持ちを新たに挑戦することができます。その反面、ほぼリスタートに近い形になるため、失敗した時のリスクは最も大きくなります。
よほど思い入れのある仕事でなければ、他の型を選択することも検討した方が良いでしょう。
キャリアアップを意識したらやるべき3ステップ
キャリアアップを意識し始めたら、具体的にやるべき3つのステップがあります。1つずつ、紹介していきます。
①最終的なゴールを明確にする
まずは、自分がどんなキャリアを描きたいのか、最終的なゴールを明確にすることが重要です。目的地がないまま動いても、目指している場所には辿りつけないからです。
例えば、「社長になりたい」「経理のプロになりたい」「総合職で安定した職に就きたい」など様々なゴールがあります。家族がいれば、年収にも目が向くはずです。自分のキャリアの中で何が大切なのか、一度考えてみてください。
イメージが湧きにくい場合は、自分の周りにいる人で、どんな人みたいになりたいかを考えると良いでしょう。
②経験やスキルを棚卸し現状を把握する
次に、これまでの社会人としての経験やスキルを棚卸しします。現状を理解することで、理想の状態とのギャップが把握できるからです。
時系列でこれまで自分がやってきた仕事を書き出し、そこでどんなスキルを手に入れたのかを洗い出します。
初めのうちは時間がかかりますが、慣れてくればすんなり書き出せるようになります。
③理想と現実のギャップを認識し対策を講じる
①・②のステップを通して、理想と現実のギャップを認識したうえで、具体的な対策を講じていきます。前章で紹介した4つの型のうちどれを選択するのか、また具体的にどのようにキャリアアップを図るのかを計画立てていきます。
◇具体例
マネージャーに昇進したいけど、先日の上司との面談で管理能力が不安と指摘をされた。
足りない能力を補うために外部研修に参加して、そこで学んだことを社内で活かしてみよう→「社内昇進型」
今の仕事は好きだけど給料が少なくて不安だから、業界最大手に転職して年収を上げるために、半年でこのスキルを身につけよう→「環境スライド型」
キャリアアップに活かせる国の補助制度
キャリアアップを図るうえで、「教育訓練給付制度」という国の補助制度を活用できる可能性があります。
これは、主体的な能力開発やキャリア形成を支援する制度で、厚生労働省が認可した講座を受ければ、最大224万円の給付金がもらえます。
扱う範囲は幅広く、馴染みが深いものも多いです。
◇対象講座(一部抜粋)
TOEIC、簿記、税理士、司法書士、キャリアコンサルタント、看護師、美容師、歯科衛生士、大学院など多数
詳細が気になる方は、厚生労働省のHPで確認できます。
理想のキャリアアップは小さなことの積み重ねから
キャリアアップは、自分自身のキャリア(経歴)を高めることです。キャリアアップを意識しだしたら、まずは以下の3ステップに沿って、自分を見つめ直すことから始めてみてください。
- 最終的なゴールを明確にする
- 経験やスキルを棚卸し現状を把握する
- 理想と現実のギャップを認識し対策を講じる
また、キャリアアップで失敗しないためにも、今回紹介した8箇条は折に触れて見返すことをおすすめします。
- 今の職場でできることがないかまず考える
- 目先の年収やポジションに捉われすぎない
- 周りと比較しすぎない
- 30代からのキャリアチェンジは慎重に考える
- 自分のキャリアアップだけでなく周りへの貢献を意識する
- 運に頼るのではなく自発的に行動する
- 一人で悩みすぎない
- 最終的には自分の意思を大切にする
キャリアアップというと大袈裟に聞こえますが、結局は常日頃の積み重ねの成果です。ぜひ、目の前のことをコツコツやりつつ、理想のキャリアに向けてまい進してください。