パラレルキャリアとは?新しい居場所や働き方が見つかる生き方のメリットを紹介

今いる場所で活躍できるように努力するのも大切ですが、「仕事でやりたいことができない」「充実が感じられない」時には新しい居場所を求めるのも1つの方法です。

しかしすぐに転職すればいいのかというと、社会情勢的に、あるいはスキルや能力的に難しい場合もあります。

そんなケースでおすすめなのが「パラレルキャリア」という考え方です。
この記事では今注目されているパラレルキャリアについて、基本的な意味からメリット、注意点についてお伝えします。

パラレルキャリアとは

パラレルキャリアとは複数の本業を同時に持つ働き方を言います。パラレルワークや複業も同じ意味です。

「副業」とどこが違うのかというと、副業がその名前の通り「主な収入源(本業)に対して補助的な仕事」という意味を含むのに対し、複業では全てを本業と考える点です。

したがって、副業に対しては当然に本業が優先されますが、複業では全てが横並びか、もしくは状況によって優先順位が変動します。

また、収入を増やすことが目的になる副業に対し、複業は必ずしもそうではありません。
非営利活動や自分の興味のあるコミュニティの手伝いなど、収入面よりも「楽しさ」「やりがい」を優先する場合も多いのです。

複業を奨励している会社

複業の考えを理解し、社員の生活の満足度アップやスキルアップのために積極的に複業を奨励している会社も増えてきています。

株式会社エンファクトリー

エンファクトリーの人材ポリシーは「専業禁止」ということで、むしろ複業するのが当然という社風のようです。ただし、必ずしも絶対に副業をしないといけないとか、そうでないと評価されないということではありません。

会社としては、今の会社ではできないことを社外でチャレンジして、自分の能力の可能性を広げるという視点を持って欲しいということで、今では本業よりも複業の収入の方が多い社員もいます。

サイボウズ株式会社

サイボウズ株式会社は、自由な人事制度で有名です。副業禁止が撤廃されただけでなく、むしろ積極的に複業を推奨しています。

「100人いれば100通りの働き方がある」として、サイボウズの名前を出して活動しない限り、社員は複業を報告する義務も申請も必要ありません。

ロート製薬株式会社

新しい企業、IT企業だけが先進的に複業を認めているだけではありません。
ロート製薬では「社外チャレンジワーク制度」として、社員に副業や副業を認める制度を作りました。

社外の複業だけでなく、社内において複数の部署で働くことを認める制度も存在し、社員に対して多様な経験とスキルの育成機会を与えようとしています。

パラレルキャリアのメリットとは

では実際にパラレルキャリアで働くことにはどんなメリットが考えられるのでしょうか。

働き方の選択肢が増える

近年は時代の変化が速くなり、企業の持続寿命が短くなってきています。
今の大企業に就職出来ても10年後も安泰とは言えません。

また働く女性が増えて男女ともライフイベントに対して、仕事の調整を求められるようになってきました。

寿命は伸びているので、定年退職の年齢は上がり、一生働き続ける必要性も出てきました。

本業で定年退職した後に、自分がやるべきこと・やりたいことが何もないと、人生の最後に充実した時間を送れなくなってしまいます。

しかしそんな変化に対しても、複業として自分の好きなことを軸にした本業をもう1つ持っておくと、片方を失うことがあっても経済的・精神的なダメージを軽減できます。

2つ本業を持っていることで、心に余裕を持って自分の本当に望む選択肢を取れるようになるのです。

  • 1つの仕事で収入が得られなくなっても、もう1つの仕事で収入を得られる。
  • 1つの仕事でパワハラや理不尽な扱いがあった時に、心身の健康を害してまでしがみつかずに済む。
  • 定年退職したあとももう1つの複業を継続して、収入ややりがいを得られる。

このようなことがメリットとして考えられます。

自分次第で収入が増やせる

企業に勤めていると、自分の頑張り以外の要素も収入に影響します。自分が成果を出したから・頑張ったからといって、すぐに給与が増えるわけではありません。

しかし複業として自分でビジネスを行えば、その収入は自分の頑張りや成長をダイレクトに反映します。

企業に勤めながら月収を2万円増やすのは大変ですが、複業を持つのであれば比較的簡単に達成できます。

スキルアップでき人材価値が上がる

とはいえ複業は、収入を基準にするのではなく、「今の本業でできない、自分のやりたいことにチャレンジできる」「自分が心からやりたいこと」を軸にして選ぶことが重要です。

単に収入を増やしたいのであれば、スキル不要の時間給で働くアルバイトでもよいのですが、これは副業の考えです。

自分のやりたいこと・新しい分野にチャレンジすることで、新たなスキルや経験、貴重な人脈を得られることがあります。

このようなスキルを本業のスキル・経験と掛け合わせると、あなたの人材としての価値を大きく上げる可能性があります。

例えば10人に1人が持っているスキルを2つ持てたら、その両方を持っている人は100人に1人になり、人材としての価値が上がると考えられるのです。

やりたいことができ、達成感が得られる

今の本業では自分のやりたいことができないと悩んでいる人も多いでしょう。しかし、会社組織の中ではそれもある程度仕方がないことです。

そんな場合でも、複業でやりたいことを目一杯やり、成果が出せれば達成感や満足感を得られます。
これらは、自信や自己肯定感を得ることにもつながり、精神的に良い効果をもたらします。

さらに複業で成果が出た方法について、もう1つの本業に持ち帰って活かすことも可能です。

精神的につらい時の避難所ができる

複業があることで、本業が上手くいかない時の一時的な避難所にもなります。

精神的につらい時に、会社にしか自分の存在価値がないと感じると、自分の人生が全部上手くいっていないように感じ絶望してしまいます。

そんな時、家族や友達や趣味や娯楽など、自分の世界やコミュニティをいくつも持っていれば、気持ちが落ち着くまで仕事とは違う世界で自分を癒すことができます。

複業もこれらのように、自分の居場所としてつらい時の避難所になり得るのです。

今いる場所の良さが実感できる

複業をすることで、かえって今いる場所のありがたさを実感できることもあります。

同じ会社で長く働いていると周囲の状況が当たり前になってきて、価値観も固まってきます。

そんな時に複業で違う世界を見ると、自分の置かれている状況がどんなに恵まれていたかなど改めて気づくことができます。

  • ビジネスをするためにどれほどの経費がかかるか
  • 書類の仕事がどれだけ大変か
  • 1つの物事を動かすためにどれだけの人に協力してもらわないといけないか
  • 会社の名前がなくなったら社会において自分はどのような存在になるのか

など、普段の業務領域以外の経験をすることで、客観的な視点を得られるのです。

パラレルキャリアのデメリット

パラレルキャリアの働き方を取り入れるにあたり、収入を得る場合には税金関係の手続きが必要になってきますが、それ以外、本人には特にデメリットはないと考えられます。

ただし、従業員が複業をする企業としてはいくつかのデメリットが考えられます。
パラレルキャリアで働く側としても以下の点については注意が必要です。

疲れが取れないなど本業に支障が出る

本業以外に活動が増えるのですから、睡眠時間などに影響する可能性があります。

会社としては業務以外の時間は休んで、しっかり業務に集中できる健康状態を維持して欲しいと思います。

複業を始める時はもう1つの本業、特に生活費を稼いでいる仕事には影響が出ないように注意しましょう。

企業としては退職されるリスクが高くなる

上に述べたように複業をすることで、社員の人脈が広がったりスキルアップしたりすることは企業にとっても歓迎できることです。

しかしそうなると、現在の待遇に満足できず転職してしまうというリスクも大きくなります。

パラレルキャリアはこれからも広がる

現在注目を集めつつあるパラレルキャリアは、個人に取ってはメリットの大きい働き方です。

収入が増える点や、働き方が柔軟になる点に加えて、本業での収入アップ・キャリアアップにもつながると言えるでしょう。

特に人生100歳時代には、仕事以外に自分の本当にしたいこと、長く続けられることを副業として持つことは、人生を豊かにしてくれるに違いありません。