子育て中のママがベンチャー企業のマネージャーとして活躍できる理由とは(後編)

インタビューの前半では、長島さんが結婚・出産してからも仕事を続けるためにどのように考えて転職活動をしたのか、自分の望む働き方をどのように実現してきたのかについてお話を伺いました。

子育て中のママがベンチャー企業のマネージャーとして活躍できる理由とは(前編)

2020.03.04

後編では時短勤務ながらマネージャーとして成果を上げるために長島さんが取り組んでいる日々の仕事の仕方についてお聞きします。

時短勤務でもマネージャーとして求められる基準は下がらない

NobyNoby(以下N):長島さんは今時短勤務のマネージャーとして活躍されているわけですが、勤務時間が短い分会社から求められる役割や成果が少ないということはあるのでしょうか。

長島さん:それはありませんね。他のマネージャーと同じ基準で成果を出すように求められています。達成するべき予算もあります。

N:そうすると単純に働ける時間が少ない分、時間における効果を大きくしないと同じような成果を出すことはできませんよね。

長島さん:そうですね。限られた時間で成果を出すという事は常に考えています。

通勤時間や空き時間を使って勤務時間の質を上げる

長島さん:1日の勤務時間は8:30~14:30の6時間です。私の場合、通勤時間が1時間30分ほどあるので、その時間の有効活用も心がけています。

その時間に業務を行うというよりは、業務時間のパフォーマンスを上げるための準備や中長期的な視点で業務を見る時間として使っています。

6:00 起床・準備
7:00 出勤
まだ保育園が開いている時間ではないので、子どもを保育園に連れて行くのは夫の担当です。
通勤時間中に、当日のスケジュールやタスク、自分宛のメッセージを確認して会社についてからの業務予定を組み立てます。

8:30 業務開始
メンバーに業務上の指示をしたり、当日の業務の準備をします

14:30 退勤
時間を超えるとみんなが心配して早く帰るように促されるので、帰りにくい雰囲気はありません。
電車に乗っている間も会社では業務が進んでいるので、仕事の連絡をチェックすることもあります。その場で対応することもありますが、どちらかというと翌日以降にスムーズに対応するための準備をしておきます。

16:00 最寄り駅着
夕飯の買い物をしてから帰宅します

17:30 お迎え
子どもを保育園にお迎えに行きます。
夕食まで少し時間があるので遊んだりもしますが、どんどんできる事が増えていくようで、成長の速さにびっくりしています。

18:30 子どものごはん
子どもにご飯を食べさせ、お風呂にも入れて、20:30頃になったら寝かしつけます。寝かしつけながら自分もいっしょに寝てしまうこともあります・・・

22:00夕食
通常だとこれくらいの時間に夫が帰ってくるのでいっしょに夕食を食べます。
寝る前に翌日の仕事の準備を少しする場合もありますが、就寝時間はだいたい0:00くらいです。

N:勤務時間以外に、通勤時間や少しの空き時間に勤務時間の質を上げるための準備をされているんですね。

長島さん:そうですね。他の事をしている時もあるのですが、概ねこのような時間の使い方をしています。
自分としては通勤時間や空き時間を使っているので、意識していないですがこの時間の使い方によって時短勤務でもパフォーマンスを出せているのかもしれませんね。

N:お子さんと過ごす時間は十分取れていると思いますか?

長島さん:通勤時間が長いので、復帰の選択肢がフルタイムしかなかったら、子どもと過ごす時間が全く取れなくなっていたと思います。

時短勤務で働くことで、子どもと接してその成長を見ていけるので、この働き方ができていることに感謝しています。

入社当初は基本的な用語もわからなかった

N:長島さんは未経験からWeb業界に転職されたわけですが、入社後はいかがでしたか。スムーズに業務関連の知識やスキルを身につけられましたか。

長島さん:全然スムーズではなかったです!
役に立つスキルを身につけて長く働きたいと思っていたし、いっしょに働く人の魅力によってリスティングプラス(現 デジタルアスリート株式会社)を転職先に選びましたが、実は広告運用自体に興味があったわけではなかったんですよね(笑)
だからあまりスムーズに知識が入らなかったんです。

広告運用ではエクセルやスプレッドシートを使いこなす必要があるんですが、前の会社では違うソフトを使っていたので、基本的なスキルも無くて全然使えませんでした。

そんな状態だったから「他で働けなくなってしまう」と思って転職したのですが、実際にそうなりかけていましたね。

N:それは、広告運用者としてはかなり基礎からのスタートになりそうですね。

長島さん:みんなの言っていることが全くわからなかったですね。用語もイチから理解する必要がありました。

「CV」ってWebマーケティングの業界では「コンバージョン」という意味でみんな頻繁に「シーブイ」って使うのですが、私がもともといたコピー機の業界ではCVは「コピーボリューム」という意味なので混乱したりして(笑)

N:同じ用語が違う意味で使われていると混乱しますね(笑)

長島さん:周りの人は親切に対応してくれるのですが、そもそも私が「何をわかっていないのかもわからない状態」でした。質問しようにも、何を聞いたらいいのかもわからない状態で、最初は大変でしたね。

でもその状態でも何とか広告運用を始めました。
指示を受けて運用をするんだけど、自分がやっている事の意味がわからないので、いつどんなことが起こるのか不安でした。

その頃は仕事が休みの日でも心配で、運用状況を確認せずにはいられませんでしたね。広告は夜も休みの日も24時間回っていますから、気が休まることがなかったです。

その時はちょっと「たいへんな仕事に転職しちゃったな」と思いました(笑)

3ヶ月必死に運用したら一気に理解できるように

N:最初は本当に初心者の状態で入社されたわけですが、いつごろから広告運用が上手くできるようになってきた!と手ごたえが出てきたんでしょうか。

長島さん:私が入社したのが11月だったんですが、2月くらいにふとわかるようになったんです。3ヶ月がたったころでしょうか。

N:急にですか?

長島さん:そうです。広告のどこをどうしたら、運用がどう変化するか。どこを変更したら改善できそうか。何に気をつけたらトラブルにならないか、という事がいっぺんにわかるようになったんですね。
そうなったら、どんどん広告運用でも成果が出せるようになってきました。

多分、さまざまな広告を見て学んできたことが一気に頭の中でつながったんだと思います。

3ヶ月間必死でしたが、たくさん広告を見たことで事例や施策の背景にある原理みたいなものが理解できたんだと思います。

N:休みの日でも広告運用をチェックするなど、常に運用の情報に触れてきたのがよかったのかもしれませんね。

長島さん:そうですね。それからは、トラブルにならないために事前の対応もできるようになったので、休みの日に不安になることも無くなりました。
事前に対応できているし、状況が変わったときもどう対応すればいいかわかっています。

ただ、その時に身について習慣として今でも広告のチェックは毎日しますね。
これはもう習慣なので、特に意識している行動ではありません。だから毎日見ているからといって面倒とか大変とかは思わないですね。

目的・目標に対して「無駄なことをしない」ことが大事

N:今の仕事に転職して、驚いた事はありましたか?

長島さん:すごく考えることの多い職場だと思いましたね。

N:考えることとは?

長島さん:考えることって言うのは、自分の人生における目的や目標などです。
自分は何のために働いているのかとか、多分それぞれの人にあるはずですが、普通に働いているとあまり明確にする機会はないと思います。

でもうちの会社としては、それを会社の成長や企業理念と重ねることで、会社と社員が同じ方向を見て成長していけるという考え方の会社なんですよね。

N:会社自体の目的や目標を意識する事はあっても、社員個人に自分の目的や目標を考えさせる会社は少ないと思います。

長島さん:前の会社は、言われたことをやる!考えるよりもとにかく手を動かす!という感じだったので、転職先でこんなにも「働く」ということについて考えさせられるとは思わなかったです。

忙しく働いていると、どうしても自分の仕事や今日のタスクというような目の前のことに注意が行きがちです。でも、このような考えのおかげで自分や会社の中長期的な目標を思い出せて、無駄な行動に気づくことができます。

N:限られた時間で成果を出すためには、「無駄なことをしない」が一番のルールとも言えますね。

長島さん:そうですね。毎日必死に頑張っていても、その頑張りの方向が間違っていたら目標は達成できないので、時々視点を上げて目的や目標を確認することが大事だと思っています。

仕組みとしては、自分の業務内容を日報、週報という形で文字に起こす機会もあります。
こまめに自分の行動を振り返ってチェックすることになるので、改善すべきところに気づけて仕事上の成果につながっています。

今なら「どの会社でも活躍できる」と言える

N:長島さんは会社内でのスペシャリストではなく、どこででも活躍できる人間になりたいということで転職を決められたと思いますが、その目的は果たせたと思いますか。

長島さん:この会社で働いて自分がやってきたことや、見につけてきたことを考えると「どの会社に行っても活躍できる」と言えると思います。

それは広告運用やWebマーケティングに関することだけでなく、仕事に対する考え方や時間の使い方なども含めてですね。ただし転職するつもりはないですが(笑)

N:今後は仕事を通してどうなっていきたいですか。

長島さん:転職してからは、ずっとマネージャーになりたいと思って仕事をしていました。
叶う直前に妊娠して少し時間がかかりましたが、その後自分の望む形で復帰できてマネージャーにもなれました。

望んでいたマネージャーになれたので、もちろん予算を達成したいし、もっと広告運用のスキルも身につけたいと思っています。

また新たな段階として、マネジメントも極めていきたいと思っています。チームのメンバーと協力してさらに大きな成果を出して、会社に貢献したいですね。

ただ言ったように、子どもを3人欲しいというのも願いなので、ライフスタイルは今後も変更するかもしれません。

それでも仕事をやめることなく、形を変えながら働き続けて、子育てと自分のキャリアと言う両方で欲しい物を手にいれたいと思っています!

女性が諦めずにすむ新しい働き方として

長島さんが時短勤務でもマネージャーとして成果を出している理由としては、とにかく働いている時間のクオリティを上げることに注力されていると言うことがわかりました。

・業務時間以外の空き時間を使って、スムーズに業務を行うための計画を立てている
・中長期的な目標を忘れず、成果につながらない無駄な事はしない

という2点が、今回お聞きした中ではポイントだったと思います。

ゴールに対する自分の行動を振り返ると言う意味で、毎日の業務後に振り返りの時間を作ってみてはいかがでしょうか。

また、社内でも初めての育休取得者である長島さんが、マネージャーとして活躍されることが、今後の女性の働き方にとって新しい道を拓くと感じました。