マーケティングの仕事をしていれば、「ペルソナ」という言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
ところが、言葉を聞いたことはあっても、ペルソナの意味を問われると・・・自信を持って答えられませんよね。
実際、マーケティング歴2~3年の人に聞いてみても、正しく答えられない人が少なくありません。
なぜでしょうか?
それは、意味を正しく理解していない、あるいは設定方法が分かっていないからです。
この記事では、ペルソナの意味を再確認し、さらにマーケティング歴10年のプロマーケターが行っている、設定方法や使い方を紹介します。
「え? プロの設定方法って、難しそう・・・」
大丈夫です。
マーケティング初心者の方でも、たった1時間で設定できる方法です。
ペルソナが簡単に設定できるようになれば、販促活動もライティングもぐっと楽になりますよ。
目次
一般的には、ペルソナは架空の人物
ペルソナとは、商品・サービスを開発・改善するため、アイデア出しの手助けになるように作る架空の人物です。
「ターゲット」というマーケティング用語があり、同じようにアイデア出しに使うため、混同してしまいますね。
ターゲットは、「20代前半女性、都内在住、会社員」といった属性(その人が持っている特徴)の実在する集団です。
対してペルソナは、「日本花子さん、23歳女性、葛飾区在住、●●会社勤務」といった、できるだけ具体的になった個人です。
より具体的になっているほうが、ペルソナだと覚えるといいでしょう。
図にすると、こんなイメージです。
ペルソナに必要な設定項目、まずは5個
ビジネスや目的にもよりますが、ペルソナには、この5つの項目を設定しましょう。
人物像として基本の項目です。
基本のペルソナ項目以外で設定する内容例、ビジネス別の3選
上記5つ以外で、ビジネスや目的によって追加をしたほうがよい項目例をあげてみます。
化粧品など美容系商品
美容系、サプリメントなど個人で利用する商品は、プライベートの過ごし方の項目を増やしていくといいでしょう。
車など高額商品
高額商品は家族と相談して購入するので、家族構成と収入は必須です。
また、住宅リフォームなど、オーダーメイドの商品・サービスは、ライフスタイルや好みのイメージを膨らませるといいでしょう。
法人向け商品
法人向けの場合は、社内での肩書きや部下の有無といった、社内の立場も項目にいれるといいでしょう。
マーケターはペルソナを「〇〇さん」まで設定する
ペルソナについて調べていくと
「顧客の声を集めたり、競合調査をしたりして、リサーチ結果からペルソナの項目を設定していきましょう」
と紹介されていることが多いですよね。
しかし、マーケターはちょっと違います。
もちろん、リサーチは行います。リサーチをすることによって、売り出そうとしている商品・サービスの特徴の理解が深まるからです。
プロのマーケターは「ペルソナとは、担当している商品・サービスを購入してくれる、〇〇さん」と定義し、設定します。
〇〇さん、という名前がついているぐらいの、具体的な人物が最適です。
なぜなら、商品開発時や改善時に「あの人だったら、こういう商品・サービスがいいのではないか」とたくさんのアイデアが浮かび、より具体的な案がでてくるからです。
これはペルソナを設定するメリットなので、別の章で詳しく解説しますね。
ペルソナ設定は1時間でできる
ペルソナ設定は「具体的なだれか」を思い浮かべるだけでよいのです。
「だれか」は、家族でも友人でも、実際の顧客でも、マンガやドラマの登場人物でもかまいません。
その「だれか」を、少し抽象的にすれば、ペルソナが出来上がります。
例えば、国民的長寿アニメ番組の登場人物をペルソナにしてみましょう。
この方法なら1時間もあれば、ペルソナ設定ができますね!
状況によっては2~3人つくることも
「ペルソナが、1人だけでは不安だな」と思ったら、2~3人作ってみましょう。
ここで紹介した設定方法なら、3人つくっても3時間です。
実際にプロのマーケターも、様々な角度から検討できるよう、数人のペルソナを設定することもあると語っています。
ただし、複数のペルソナを作ることで、マーケティングの軸がぶれることがあってはいけません。
複数のペルソナを設定した場合は、優先順位をつける、施策やプロジェクトごとにわけるといった使い分けをしましょう。
設定したペルソナは、プロジェクトのメンバーとシェアして議論をし、よりよい商品開発・改善につなげていきましょう。
もし、ペルソナを設定できなかったらどうする?
ペルソナとして設定できそうな対象人物が誰も思い浮かばなかったら、どうしたらいいでしょうか。
リサーチが不足していることが原因なので、今一度、顧客への理解を深めてみましょう。
まず、競合サイトを訪れ、どんなペルソナを設定しているのか想像してみましょう。
さらに、Yahoo!知恵袋でその商品・サービスを検索して、どんな人がどんな悩みを持っているのか、調査します。
既に、競合調査や分析が済んでいる場合は、改めて見直すのもよいでしょう。
ぼんやりと「◯◯さんかな」とアイデアが浮かんでくるはずです。
B to C 、B to B 別 ペルソナの実例からメリットを体感する
ペルソナを「設定すること」がゴールではありません。
ペルソナを設定することで、あなたが担当している商品・サービスがよりよいものになり、さらに1人でも多くの人に喜んでいただくことがゴールのはずです。
では、ペルソナを設定することでゴールにいち早く近づくメリットを、実例を通して体感してみましょう。
B to C 一般消費者向けの例(ワーク付き)
例えば、あなたの会社は囲碁の道具を販売したり、普及活動をしているとしましょう。
来月、上達するための教材を販売することになりました。
ペルソナは、先ほどの●平さんに登場していただきます。ペルソナの項目をおさらいします。
さらにイメージが浮かぶよう、赤字で追記しました。
さて、このペルソナが、この教材を購入する目的は、なんでしょうか?
- 通勤の時間を利用して学びたいと思っている
- 同僚、婿とのコミュニケーションとして利用したい
- こっそり囲碁に強くなって長男、孫にいいところをみせたい
また、どんなマーケティングができるでしょうか?
- 釣りの雑誌を読むかもしれないので、そこに広告をだしてみようか
- 家族からのプレゼント需要もあるかもしれない
- 妻、娘には購入したことを知られたくないかもしれない
では、どんな教材にしたらよいでしょうか。考えてみましょう。
どうですか?具体的な案が浮かんできます。ゴールが近づいてきた感じがしますね!
B to B、法人向けの例
今度は、経費精算システムを販売しているとしましょう。
来月、会計士や弁護士などの、士業向けにキャンペーンを行うことになりました。
先ほど法人向け商品で例に出したペルソナを使います。
このペルソナの設定方法も「具体的なだれか」を元にしています。
実は、とあるドラマの主人公の設定を少し変えただけです。
このペルソナに、経費精算システム導入を検討してもらうにはどうしたらいいでしょうか?
忙しそうなので
- 外出先で経費を使った都度、スマホから申請できる
- 難しい設定なしに、契約後すぐ使い始めることができる
といった機能をメインに紹介し、さらに
- 上司にシステム導入を提案するための資料がダウンロードできる
- 利用料は、WEB上でシミュレーションができる
といった販売ページだとよさそうです。
このように、具体的な人物像を仮置きするだけで、様々なアイデアが浮かんできますよね!
これが、ペルソナを設定する一番のメリットです。
さっそく1人、作ってみましょう
ペルソナとは、あなたのサービス・商品を待ち望んでいる〇〇さんです。
もし具体的な名前が思い浮かばない場合は、顧客への理解が足りないので、リサーチし直しましょう。
この記事では、マンガやドラマの登場人物を例にしましたが、身近にいる家族や友人のほうが、もっとイメージが湧きます。
作ったペルソナは、プロジェクトのチームメンバーで共有していきましょう。
(仮)としてだせば、誰もが遠慮なく、よりよい議論ができるはずです。
繰り返しますが、ペルソナを作ることが、ゴールではありません。
あなたが提供している商品・サービスを、待ち望んでいる顧客に届け喜んでもらうことが、あなたのお仕事のはずです。
その目的の手段としてのペルソナ設定であることを、忘れてはいけません。
ペルソナの設定に正解はありませんし、間違いもありません。
1時間でできるペルソナ設定です。まずは1人、思い浮かべてみましょう。