インターネットが普及している現在、SaaSという言葉を日常的に聞く機会も増えてきたのではないでしょうか。
とは言え「SaaSって何のこと?」と聞かれると、ドキッとする人も多いはず。
そこで今回は、ビジネスパーソンなら知っておきたいSaaSの基礎知識を紹介します。
- SaaSについて最低限の知識は押さえておきたい
- 身近にあるSaaSの事例を知りたい
- 導入することでどんなメリットがあるのか知りたい
そのように考えている方は、ぜひご一読ください。
目次
SaaSとはインターネット上で利用できるサービスのこと
SaaSは「Software as a Service」の略で、「サース」または「サーズ」と呼びます。ベンダーが提供するソフトウェアを、インターネットを介して利用するサービスのことを指します。
2006年頃にクラウドコンピューティングが普及したのをきかっけに、クラウド上で提供されるソフトウェアをSaaSと呼ぶようになりました。日本でも2007年頃から普及しはじめ、2009年頃にはベンダーがそれまで使っていたASPという表現をSaaSに変え始めました。
具体的なイメージがつきづらいという方のために、身近にあるSaaSの代表例をいくつか列挙します。
身近にあるSaaSの代表例
このように見ると、実はSaaSは身近に溢れていることが分かります。それだけ、私たちが仕事や生活をするうえで、無くてはならない存在になりつつあるのです。
では、SaaSを利用することで私たちにはどのようなメリットがあるのでしょうか?
次に、SaaSを使うメリットについて紹介します。
SaaSを使うメリット
SaaSを使うメリットはたくさんありますが、ここでは5つのポイントを取り上げます。
- サービス導入に時間がかからない
- 導入費用やランニングコストが安い
- 場所・デバイスを選ばずアクセス可能
- 複数人が同時に利用できる
- 常に最新の状態にアップデートされる
サービス導入に時間がかからない
SaaSは、アカウントを取得するだけですぐに利用できます。そのため、サービス導入にあたってほとんど時間がかかりません。
すぐにサービスを使いたい利用者からすれば、ストレスなく始められます。
導入費用やランニングコストが安い
サービスの導入にあたって環境構築が不要なため、初期費用が安く抑えられます。
また、使った分だけ利用料を支払えばよく、メンテナンス費用なども発生しないため、ランニングコストも安く済みます。
ベンダー側は同じシステムを複数の会社に提供しているため、多くの会社からお金が集まります。そのため、1社あたりの利用料を安く抑えてもビジネスとして成り立つのです。
場所・デバイスを選ばずアクセス可能
SaaSはインターネットを介したサービスのため、場所やデバイスを選ばずにアクセス可能です。自宅やカフェ、コワーキングスペースなどあらゆる場所から、PC・携帯・タブレットなどのデバイスを問わず利用できます。
そのため、昨今導入する企業が増えているテレワークの実施にも大きく貢献します。
複数人が同時に利用できる
複数人が同時に利用できるのも、SaaSの特徴です。リアルタイムでデータが更新されるため、常に最新の情報を共有できます。
特に大人数で仕事をする際は、共有されている情報が人によって違うのは致命的です。データはベンダーが管理する保存場所1か所に集められるため、人によって見ている情報が異なることはありません。
常に最新の状態にアップデートされる
常にサービスが最新の状態にアップデートされるのも、SaaSの特徴の1つです。大元のデータ保存先がベンダー側のサーバーのため、更新アップデートは自動で行われます。
管理画面の仕様が突然変わったり、新しく使えるメニューが増えていたり、知らぬ間に情報がアップデートされていた経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
インストール型のソフトウェアの場合、バージョンが更新される度にインストールしなおさなくてはいけませんが、SaaSは何もしなくてもデータが更新されます。
SaaSを使うデメリット
非常に便利なSaaSですが、弱点がないわけではありません。
次に、SaaSを使う3つのデメリットを紹介します。
- カスタマイズの自由度が低い
- 不正アクセスの危険性がある
- 緊急アップデートなど開発元の影響を受ける
カスタマイズの自由度が低い
既にパッケージとして確立しているため、カスタマイズの自由度は低いです。例えば、管理画面が使いにくいからといって自分で直すことはできません。
どうしても修正したい場合は、ベンダー側に問い合わせるしかありません。
不正アクセスの危険性がある
どこでも・誰でも・いつでもアクセスできるため、不正アクセスの危険性が高まります。特に、カフェやコワーキングスペースなど、公共の場で利用する場合には注意が必要です。
必要以上にアクセス情報は開示しないなど、情報漏洩のリスクを下げる工夫が必要です。
緊急アップデートなど開発元の影響を受ける
緊急アップデート時など、開発元の都合で一時的にサービスを利用できなくなる等の影響を受けることがあります。
自社開発でない以上、やむを得ないでしょう。
SaaS・PaaS・IaaSの違い
SaaSと似た言葉で、PaaS(パース)とIaaS(イアース)があります。
それぞれ混同しないように、違いを説明していきます。
IaaS<PaaS<SaaSの順に対応領域が広くなる
そもそも、SaaS・PaaS・IaaSとは、クラウドサービスの利用形態によって分類した用語のことです。
IaaS<PaaS<SaaSの順に対応領域が広くなり、一般的に世の中に出回っているサービスの多くはSaaSです。
利用者がアカウントを取得するだけでサービスが利用できるのは、それを支える技術者がいるからです。
SaaS(サース)
SaaSは「Software as a Service」の略で、クラウド上にあるソフトウェアを利用できるサービスです。そのため、利用者はシステム開発を一切行うことなく、機能だけを利用できます。
サービス提供側は、ユーザーが実際に使うアプリケーションの管理だけでなく、それを支える土台となるシステムも管理しています。
PaaS(パース)
PaaSは「Platform as a Service」の略で、クラウド上にあるプラットフォームを利用できるサービスです。開発に必要なものをクラウド環境の中で調達できるため、自社サービスに必要な機能開発だけに注力できます。その結果、開発工数を大幅に削減できます。
▽代表的なサービス
Amazon Web Services(AWS)
Microsoft Azure
Google Cloud Platform
SaaSは既に出来上がったサービスを利用しますが、PaaSはエンジニアが開発をする際に利用するサービスです。そのため、SaaSに比べるとあまり認知度は高くありません。
IaaS(イアース)
IaaSは「Infrastructure as a Service」の略で、クラウド上にあるネットワークやサーバーなどのコンピューティングリソースを利用するサービスです。
本来は自社でインフラを構築するところを、クラウドサービスを利用することで必要な時だけ利用できるメリットがあります。
経年劣化によるシステムの変更を行う手間が省けたり、ハードウェアを稼働させるための電気料金やデータ保管施設の準備をしなくてよかったり、管理コストの削減につながります。
▽代表的なサービス
Amazon Web Services(AWS)
Microsoft Azure
FUJITSU Cloud Service
SaaSやPaaSと比較するとより広い範囲でカスタマイズが可能ですが、一方で開発者の知識・経験が必要になります。
SaaSを使いこなしてビジネスを有利に進めよう
SaaSはベンダーが提供するソフトウェアを、インターネットを介して利用するサービスのことを指します。
今回は、SaaSを利用するメリット・デメリットについて触れてきました。
【メリット】
- サービス導入に時間がかからない
- 導入費用やランニングコストが安い
- 場所・デバイスを選ばずアクセス可能
- 複数人が同時に利用できる
- 常に最新の状態にアップデートされる
【デメリット】
- カスタマイズの自由度が低い
- 不正アクセスの危険性がある
- 緊急アップデートなど開発元の影響を受ける
もはや現代は、SaaSを使わなければ、ビジネス自体が成り立たないような時代に突入しています。ビジネスパーソンとしては必須の知識と言えるでしょう。
知っておいて損はありませんので、ぜひ実務に活かしてビジネスを有利に進めていってくださいね。