「ダイレクトマーケティングって聞いたことはあるけど、いまいちよくわからない」
「ダイレクトマーケティングで集客できるって聞いたけど、何をやればいいか分からない」
たくさんの商品・サービスがあるなかで、どうすればお客に選ばれる会社になれるのか、頭を抱えている人も決して少なくないはずです。
しかし、小さな会社が確実に顧客を獲得していくためには、ダイレクトマーケティングを無視して前に進むことはできません。
なぜなら集客をコントロールしたり、顧客との関係性を構築できるダイレクトマーケティングの方法は、小さな会社の成功にとても適しているからです。
それだけではなく小額の予算で小さくテストを繰り返すやり方は、大企業と比べてフットワークの軽い小さな企業のほうが、効率的な運用につなげることができるのです。
この記事では、ダイレクトマーケティングの基本的な知識や具体的な事例、メリットデメリットから活用の仕方まで、わかりやすく説明しています。
これを読んで理解が深まれば、きっと今までよりも効率的に顧客獲得できるようになるはずですので、ぜひ自社のマーケティングに役立ててください。
目次
ダイレクトマーケティングとは?
ダイレクトマーケティングとは「顧客の反応がわかる」マーケティングの手法であり、正確にはダイレクトレスポンスマーケティングといいます。この「レスポンス」という部分が「反応」という意味をあらわします。
つまり、お客様へアプローチした際に、どれくらい反応があったのかを計測できる手法がダイレクトマーケティングというわけです。
しかし、これだけではイメージがつきにくいと思うので、いくつか身近にある具体例をあげていきましょう。
・テレビ通販
だれもが1度は目にしたことのあるテレビ通販。
テレビ通販で販売しているものを買うには、表示された電話番号や、Webサイトからアクセスして購入をします。
通販会社からすれば、1回の問い合わせで何件問い合わせがあったのか測定することができるため、ダイレクトマーケティングの手法が使われています。
・飲食店や歯科医院でのアンケート
飲食店や歯科医でアンケートに答えると定期検診のお知らせが送られてきたりしますよね?
次回の検診は何月頃です。とお知らせがくるのも、実際にリピートにつながったかどうかの反応を計測できる点において、ダイレクトマーケティングであるといえるでしょう。
このようにダイレクトマーケティングは、あなたが目にしている身近なものの中にも取り入れられているのです。
マスマーケティングとの境界線とは?
ダイレクトマーケティングはその言葉のイメージから、ネット広告やメールマーケティングだけを想像する人も多いかもしれませんが、決してそんなことはありません。
新聞の織り込みチラシでも、反応が計測できるような仕組みがあれば、ダイレクトマーケティングになります。
それは、かつてマスマーケティングとして区別されていたテレビCMも同じです。
今までのCMは不特定多数に情報を届けるものが多く、見た人がどれくらいアクションしたかを計測できる流れはありませんでした。
しかし近年では「〇〇で検索」など、すぐに行動や反応を求めるものも増えてきています。
このように一部のテレビCMではダイレクトマーケティングを取り入れはじめているため、はっきりとした区別はなくなってきています。
ダイレクトマーケティングのメリット
ダイレクトマーケティングは、ターゲットを絞ったマーケティングができるので、少ない予算でも効率的に集客できるということが最大のメリットです。
そのため大企業とは違い、広告費の予算がとれない中小企業こそ取り入れたいマーケティングです。ではその理由をさらに詳しく説明していきます!
少ない予算でも効率的に集客ができる。
ダイレクトマーケティングの最大のメリットは、少ない予算からでも始められるということです。むしろダイレクトマーケティングは、少ない予算から始めたほうが成功しやすい特徴があります。
例えば折込チラシにしても、Web広告を出稿するにしても、広告予算を最初からすべて注ぎ込んではいけません。最初のうちはテスト期間として「どの媒体がいいのか」「どういった訴求をしたらいいのか」など、色々試していくべきです。
そして反応が取れはじめたら予算に応じて本格的におこなっていくことで、効率的にマーケティングをすることができるようになります。
制作料から放映料など、莫大な予算が最初からかかるテレビCMなどと比べると、少ない予算から始められるため、中小規模の企業も手軽に始められるでしょう。
集客をコントロールできる。
集客をコントロールできるのも、ダイレクトマーケティングのメリットの1つです。
ダイレクトマーケティングとは、顧客が自社の商品やサービスにどれくらい興味を持ったのかなどの反応がわかるマーケティング手法です。
そのため、自社で集客の目標人数があればそこから逆算して、どのくらいの広告予算が必要かを計算して資金のコントロールをすることができます。
例えば、お客様を10人だけ集めたい場合、1人集めるのに広告費が5,000円かかるなら、必要な広告予算5万円を計算します。
そして10人集まった時点で広告を止めれば、それ以上の予算も時間も消費せずに集客ができます。
このように集客をある程度の割合でコントロールすることができるのは、ダイレクトマーケティングの大きなメリットの1つです。
顧客との関係性を構築できる。

ダイレクトマーケティングを実践していけば、自社の商品に興味をもってくれた顧客との関係性を構築することも可能です。
ダイレクトマーケティングを利用して集客活動をおこなえば、たいていの場合はお客様の連絡先を知ることになります。それがメールアドレスの場合もあるでしょうし、名前や住所などのケースもあります。
特に最近の店舗ビジネスなどでは、LINEの友だち登録を積極的に行なっているケースも増えました。
このようにマーケティング活動で知ることができた連絡先に、定期的にコンタクトを取ることで、お客様との関係性を構築できます。
それによって何かのタイミングで、あなたの商品やサービスが必要になったときに買ってもらえる確率は大幅に高められます。
また関係性を構築できると、お客様にとって身近な存在になることができます。
そうすることで価格競争にも巻き込まれなくなり、売上・利益アップにもつなげることも可能になるので、積極的にコンタクトを取るようにしましょう。
ダイレクトマーケティングのデメリット
ダイレクトマーケティングが集客のための効果的な手法である反面、取り組む際には覚悟しなければならないデメリットも存在します。
ただしこれは良くない点というよりも、効果的に取り入れるためには避けて通れない点という捉え方が適切です。よって以下の問題としっかりと向き合いつつ、取り組むことをおすすめします。
利益を出すための調節に手間がかかる
普通の広告キャンペーンなどであれば、広告を出して終わりになりますが、ダイレクトマーケティングではそうもいきません。
なぜなら、反応があるかどうかを常にテストして改善していかなければならないからです。
例えば訴求を変えてみたり、広告のキャッチコピーを変えてみたり、広告のイメージ画像やテキスト文を変えてみたり。
いろいろな検証をおこなって、反応の良かったものに資源を集中させていくことが求められるからです。
いろいろ試したうえで常に改善していかなければならないため、とても手間のかかる作業をする必要があります。
しかしそこを乗り越えることができれば、しっかりと利益に結びつけられるでしょう。
ビジネスにおける幅広い知識が求められる
ダイレクトマーケティングには、様々な角度からビジネスの中身を見抜いたり、実行するための能力が必要です。
例えば広告の出し方だけではなく、キャッチコピーの作り方やフロント商品をバックエンド(メインの商品)につなげるためのマーケティング知識。
何をフロントにして、次にどうやって繋げていくのかなど、セールスの仕組みを考えるための知識などを把握できなければなりません。
そのため、広告の知識だけではなくビジネス全体の幅広い知識が求められます。
対策としては、自分自身の能力を高めるか、詳しい人材を採用するなどして知識に対応できる力を備えておくことでしょう。
小規模企業にもダイレクトマーケティングを上手に取り入れるための4つのステップ
ダイレクトマーケティングを上手に取り入れるためには、何をするかを明確にする必要があります。ではここから、そのための方法をご紹介していきます。
自分のたどり着きたいゴールを頭に描きながら読み進めてみてください。
①理想の顧客イメージとなるペルソナを考える
ダイレクトマーケティングを取り入れる最初のステップは、自社の商品を購入してもらいたい顧客のイメージとなる、ペルソナを考えることです。
これは、ニーズや欲求、悩んでいる状況をよりリアルに理解するために、きちんと設定する必要があります。
自社で集めたい理想の顧客イメージを導き出し、どんなお客さまに買ってもらいたいかを具体的に考えていきます。
このとき、例えば「20代女性」などのように漠然としてはいけません。
「20代で、社会人になって忙しくなり、なかなか肌の手入れができず、乾燥肌で悩んでいる女性」
など、その人の生活シーンが想像できるくらい具体的にペルソナを考えることが大切です。
これができるかどうかで全ての効果が決まってしまうと言っても過言ではないため、十分に考えて設定しましょう!
②どの商品・サービスなら手にとってもらいやすいのかを考える
2つめのステップではペルソナに、最初に売るもの・渡すものを考えていきます。これは業種やサービスによって、全く変わってきます。
例えば新発売の化粧品であれば、お試しトライアルセットなどがよく取り入れられています。また、メインで売りたい商品が高額なものの場合は、はじめからその商品を売ったりはしません。
まずはその商品(サービス)を選んでもらう「きっかけ」になるものを選ぶ必要があります。
例えば不動産などの高額商品の場合、展示会などの無料で見られるものや、住宅選びに失敗しないための小冊子などがあげられます。
このように、自社が売りたい商品を顧客に買ってもらうためには
「最初に何を手にとってもらうのがいいのか」
「どの商品・サービスなら手にとってもらいやすいのか」
を考えるようにしましょう。
③ほしいものを届けるための手段(メディア)を決める
ステップ3では、どんな手段でメッセージを届けるかを考えます。
ダイレクトマーケティングというと、Web広告を打つことをイメージされている人もいるかもしれませんが、決してそうではありません。
ステップ2で考えた最初に渡すものを、ステップ1で考えたペルソナに届けるための手段であれば、なんでも大丈夫です。よってDMはもちろん、例えば、新聞や折込チラシなどの媒体になることもあります。
ポイントは、ステップ1で考えた理想の顧客が、どの手段であれば一番アプローチしやすいのかを考えることです。
④欲しくなるようなコピーを考えて実行する(広告など)
最後に、実際に選んでもらうためのコピーを用意します。これは、始めに設定したペルソナに響かせることのできるコピーでなければなりません。
「〇〇なあなたへ」「今だけ」「特別価格」「号外」など、顧客が今すぐ行動したくなる要素を含ませるのがポイントです。
「〇〇はいかがですか?」と買ってもらう姿勢ではなく、顧客みずからが「欲しい」と思えるようなコピーを意識すると良いでしょう。
ダイレクトマーケティングをするうえで、気をつけた方がいい3つのポイント

ここでご紹介する3つのポイントは、ダイレクトマーケティングをやるうえで間違ってはいけない、とても重要なことです。しっかりとおさえて、常に意識しながら取り組んでいけるようにしてみてください。
①利益度外視で顧客獲得のための商品を最初に売ること
ダイレクトマーケティングでは、最初に売る商品のことをフロントエンド商品といいます。フロントエンド商品は、集客商品ともいわれていて、お客様を集める役割を果たさなければなりません。
そのため、自社のターゲットとなるお客様が興味のあるもので、かつ手に取りやすいもの・価格にする必要があります。
例えば引っ越しの見積もり、化粧品やサプリのトライアルセット、治療院などの初回半額券などがそれにあたります。
ここでもう1つだけポイントを加えておくと、フロントエンド商品は集客商品であるため、それだけで利益を出すことを目的としていません。
そのため、利益が得られる商品を次に売る必要があります。
つまりフロントエンド商品は、メインの利益を得られるバックエンド商品につながるものを選ばなくてはいけません。
ここまで説明したことをおさえながら、最初に売る商品は必ず入念に考えましょう。
②少額からテストを始めること
少額からテストを始めることも、ダイレクトマーケティングをおこなっていく上で、とても大切です。
ダイレクトマーケティングは反応を計測できるわけですから、数値をみて改善できることが最大のメリットです。
そのため最初から予算をすべて費やしてしまうと、そのメリットを活かすことができません。
最初にメディアを変えたり、広告内容を変えてみたり、いろいろとテストをすることで、もっとも効率のいい手段を探すことに注力しましょう。
そしてある程度の方向性が決まってから、徐々に予算を投下していくことで効果的に集客につなげられるようになります。
くれぐれも、いきなり1つのやり方で予算を全額投資しないように気をつけてください。
③キャンペーンを改善し続けること
キャンペーンを改善し続けることはダイレクトマーケティングを成功させるうえで、とても大切な作業です。
しかし意外とやってしまいがちなのが、反応の測定を怠ってしまうことです。特に反応が出てからは、つい安心して数字を見なくなってしまう場合があるのですが、それは絶対にやってはいけません。
なぜなら、たとえうまくいっていたキャンペーンでも、突然反応が落ちてしまうことがよくあるからです。
なので常日頃から指標を必ずチェックするようにして、ささいな変化にも着目できるようにしておきましょう。そうしたほうが、いざ反応がなくなってから対処するよりも、時間やお金をムダにせずにすむはずです。
ダイレクトマーケティングを利用している会社とは?
ダイレクトマーケティングをとりいれている会社は今現在、数多く存在しています。しかし実際どのような流れでおこななわれているのかは、あまりピンとこないかもしれません。
ここでは、私たちのよく知る大手企業の例をもとに、いくつかのパターンをご紹介していきます。
会社の規模で比較するのではなく、わかりやすい事例として必ず活用できるはずですので、ご自身の会社に当てはめてぜひ考えてみてください。
JUSTSYSTEMS(教育)
タブレット教育の「スマイルゼミ」を運営しているジャストシステム。
体験会の開催→アンケートなどによる適正学年の調査→DMの送付→定期的な契約案内の送付→無料お試し期間→入会 |
化粧品業界ジャストシステムやベネッセコーポレーションなどの教育系コンテンツ大手2社は、タブレット教育に力を入れています。
そのため新学期前や長期休暇中にはショッピングモールなどで、実際に触れることのできる体験会がおこなわれています。
その際、タブレットの体験と学年調査の含まれるアンケートに回答することで、その後にDMでお試しの案内が届くようになっています。
またそのDM内容は「今だけ」「君だけ」と個人に向けた特典のアピール。「無料で試せます」「返金保証」などの安心感を与えることで、仮契約を結びやすくする流れをつくっています。
そして入会してからも、採点やポイント集めによる関係性の構築で、飽きさせない工夫をし続けています。
ドモホルンリンクル(化粧品)
CMでおなじみのドモホルンリンクル
CMでの訴求→電話番号へのアクション→無料お試しセット申し込み→購入 |
「無料お試しセットのお申し込みは、0120444・・・・。」と、だれもが口ずさめるCMで有名なドモホルンリンクル。
ドラマ仕立てのCMでは、ある時はしわ、あるときはシミ、またあるときは年齢肌にと自分を投影してしまう流れで顧客も引きつけられてしまいます。
返品可能、勧誘しません、お試ししてからでないと販売致しません。などの信頼と自信のアピールにより、消費者の不安も取り除いています。
このように、CMからのアプローチでも顧客に安心感を与えることができれば、覚えたあの電話番号についかけてしまうかもしれません。
これは、今までマスマーケティングだと思っていたCMでも、ダイレクトマーケティングをとり入れているのがよくわかる代表例といえるでしょう。
ジャパネットたかた・ニッセン(家電、日用品通販)
テレビ通販で有名なジャパネットたかた。無料カタログ通販のニッセン。
テレビ・カタログ通販→1度目の購入→DMやカタログの送付→クーポン等のお得情報→シーズンごとのオファー |
オリジナル商品、自社金利負担、不要品引き取りなど、ここで買うことの意義をアピールしたTVCMのジャパネットたかた。
無料雑誌の配布、クーポン提供、定期DM、定期購入商品の販売などをおこなっているニッセン。
どちらも典型的な通販事業により、ダイレクトマーケティングのメインともいえるトップ企業です。
特にニッセンではその強みを活かし「nissen.biz」というサイトでのダイレクトマーケティング事業も展開しています。
これは、商品を発送する際に依頼会社のサンプルやチラシを同封できるというもので、購買意欲のある良質な顧客の獲得を売りにしています。
このように紙媒体×ダイレクトマーケティングを狙っている会社へのサービス提供もするくらいですから、その腕には絶対的な自信があるといえるでしょう。
Amazon・楽天・ZOZOTOWN(ネット通販)
BtoCサイトで有名な大手ネット通販企業
ネット検索→あなたへのオススメ・他の人はこちらも検索しています。購入→ショップDM、プレミアム契約、会員登録 |
ネットマーケティングの代表であるこれらのBtoCサイトは、私たちが当たり前に受け入れているダイレクトマーケティングです。
膨大な顧客情報を獲得し、あなたへのオススメやプレミアム特典の月額サービスの案内もサイト内やDMでお知らせがすぐに届きます。
当たり前とわかっていても、つい見てしまう仕組みになっているというところにも、参考にする点が多々あるのではないでしょうか?
まとめ
ダイレクトマーケティングは、顧客の反応を得ながら展開していくマーケティングの方法です。
そのためのステップとして大切なことは以下の4点になります。
①理想の顧客イメージとなるペルソナを考える。
②どの商品・サービスなら手にとってもらいやすいのかを考える
③ほしいものを届けるための手段(メディア)を決める
④欲しくなるようなコピーを考えて実行する
この流れで出てきた結果を検証し、顧客の反応に合わせて必要な箇所の修正をくりかえしながら進めていきます。
軌道に乗るまでは、継続し続けることや根気よく続けることに手間を感じるかもしれません。しかし、ダイレクトマーケティングのように顧客ごとにアプローチの仕方を変えていく方法は、予算や人手に限りのある小規模企業にはとても向いています。
ここで得られた知識を十分に理解し、早い段階で正しい方向性を見極められるよう真剣に取り組んでみてください。
そうすることで顧客のニーズにも素早く対応できる企業として、お客様からの評価も得られるようになるはずです。
小規模企業であることが強みになるよう、ぜひダイレクトマーケティングをじょうずに活用してみてください。