キュレーションメディアという言葉を知っていますか?
企業のWeb担当者としては、覚えておきたいキーワードの1つですが、成果を上げているメディアがある一方で、場合によっては大炎上を巻き起こしかねない危険性もあります。
あなたがキュレーションメディアを運営することになったり、関わる仕事をすることになった時、「こんなはずじゃなかった・・・」と後悔しないためにも、正しい知識が必要です。
この記事では、企業のWeb担当者向けに、キュレーションメディアの特徴や相性の良いジャンル、扱う際の注意点などを解説していきます。
キュレーションメディアをやるべきか否かの「判断軸」を手に入れられますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
キュレーションメディア=情報まとめサイト
キュレーションメディアは、ネット上に公開されている記事を、特定のジャンルに沿ってまとめ直したサイトのことです。
たくさんの候補から記事を選択する作業が、美術館や博物館で企画テーマに合わせて展示品を選ぶ「キュレーター」に似ていることから、キュレーションメディアという名前がつけられました。
代表例として、グノシー、Yahoo!ニュース、NewsPicksなどが挙げられます。
ネット上には、多くのキュレーションメディア(=情報まとめサイト)が存在します。
キュレーションメディアの役割
キュレーションメディアの役割は、膨大な情報におぼれて困っているユーザーに対して、厳選した内容をお届けすることです。
言うなれば、Webサイト上の観光ガイドです。
いちいち各サイトを見にいく手間が省けるため、時間がない現代人には非常に利便性が高く人気を集めています。
ちなみに、現代の日本人が一日に触れる情報量は、平安時代の一生分、江戸時代の一年分とも言われており、今この瞬間も天文学的な勢いで増大しています。
そのため、キュレーションメディアの重要性は、今後も高まっていくと考えられます。
代表的なキュレーションメディア
キュレーションメディアには、幅広いジャンルを扱う「総合型」と、特定のジャンルに絞った「特化型」の2種類があります。
多くのメディアは特化型ですが、総合型のメディアもいくつか存在します。
それぞれ代表的なメディアを紹介しますので、いくつご存じだったかチェックしてみてください。
総合型① グノシー
総合型のキュレーションメディアとして、エンタメ、スポーツ、社会、まとめ、コラム、グルメなど、さまざまな情報を取り扱っています。
テレビCMが放映されたこともあり、幅広い層に認知されています。
旬なニュースを中心に取り扱っているため、雑談力を身に着けたい方にはおすすめです。
総合型② Yahoo!ニュース
年代問わず利用者が多い総合型のキュレーションメディアです。
ビジネスパーソンの情報源としてもよく利用され、「最低限、Yahoo!ニュースだけは見る」という方も多いです。
ジャンルを問わず、その時々で注目されているコンテンツがトップを飾ります。
特化型① NewsPicks
ビジネスパーソンを対象に、国内外の経済ニュースを厳選したメディアです。
意思決定層の購読率が高いメディアとしても知られています。
最新の経済状況がチェックできるだけでなく、各界の専門家から寄せられたコメントを読むことで、ニュースに対する理解が深まります。
特化型② MERY
10代・20代の女性を対象にした、女性専用メディアです。
美容、ヘアスタイル、メイク、ファッションなど、女性が気になるさまざまな情報が掲載されています。
写真が多く、視覚的に訴えるメディアの構成になっています。
企業も嬉しい!キュレーションメディア3つのメリット
キュレーションメディアは、読者だけでなく企業にとっても、コスパの良いWeb施策といえます。
ここでは、3つのメリットを取り上げていきます。
①多くのアクセスを集めやすい
1つ目は、多くのアクセスを集めやすいことです。
特定のジャンルの情報を求める人が、たくさん集まるからです。
ネット上で調べ物をしていると、NAVERまとめ等、キュレーションメディアの記事が出てくることもよくあります。
頻繁に利用されるメディアになれば、多くのアクセスを集められます。
②素早くサイトを立ち上げられる
2つ目は、素早くサイトを立ち上げられることです。
なぜなら、0から記事を作るのに比べて、記事制作にかかる工数が少なくて済むからです。
実際、一日に何十本という記事をアップしているキュレーションメディアもあります。
最低限の労力でサイトを構築できるため、立ち上げが簡単です。
③安価な費用で運用できる
3つ目は、安価な費用で運用できることです。
理由は、記事の作成にかかる工数が少なく、ライターに安価な費用で執筆を依頼できるからです。
仮に同じ文字単価だとしても、記事1本を4,000文字で0から書いてもらうのに比べて、500文字でまとめ記事を作成すれば、8本書いてもらえます。
運用にかかる費用が安く抑えられるのも、キュレーションメディアの特徴です。
このように、ユーザーにとっても、企業にとっても嬉しいキュレーションメディアですが、実際に作るとなると自社のビジネスと相性が良いかをチェックする必要があります。
次章で、キュレーションメディアとの相性を図るポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
キュレーションメディアと相性が良いジャンル
結論から言うと、関心を持つ人が多く情報発信をする人も多いジャンルは、キュレーションメディアとの相性が良いです。
なぜなら、選りすぐりの情報を求めて、多くの人が集まってくるからです。
例えば、ニュース、経済、美容、健康、グルメ、旅行、芸能、仕事、恋愛、生活、ファッション、モノ、イベント、音楽、妊娠・出産を扱うママ系などが挙げられます。
逆に、情報としてのニーズはあったとしても、対象となる人が少なすぎるジャンルは向いていません。
例えば、「フランス人男性と結婚したママの悩み」というジャンルを選択した場合、悩みはありそうですが、対象者はかなり限られます。
まずは、自社で扱うジャンルが、キュレーションメディアとの相性が良いかを確かめてみてください。
相性が良さそうだと感じたら、次にどんなビジネスモデルを展開するかを考えます。
【事例】キュレーションメディア4つのビジネスモデル
キュレーションメディアのビジネスモデルは、下記の4種類に大別できます。
- 広告モデル
- 課金モデル
- 仲介モデル
- ECモデル
どのように収益につながるのかイメージしやすくするために、1つずつ事例を交えて紹介していきます。
①広告モデル
サイトに広告枠を設置し、広告を掲載したいクライアントから掲載料を頂くビジネスモデルです。
逆に、他社が運営しているキュレーションメディアの広告枠に、自社の広告を掲載させてもらうこともできます。
総合型のキュレーションメディア「SmartNews」は広告モデルを取り入れています。
ジャンルは問わず取り入れやすい広告モデルですが、広告掲載を嫌うユーザーもいるため、読者への配慮は必要です。
②課金モデル
サイト内の一部コンテンツを有料化し、閲覧料を頂くビジネスモデルです。
無料のコンテンツと一緒に掲載することで、ユーザーの「さらにその先が見たい」という気持ちを駆り立てます。
このモデルの代表例は「NewsPicks」です。
ユーザーの「もっと知りたい」を引き出せるかどうかがポイントです。
③仲介モデル
記事内で他社の商品を紹介し、販売実績に応じて成果報酬を頂くアフィリエイト型のモデルです。
仲介モデルは、成果報酬が大きい単価の高い商材と相性が良いです。
また、広告モデルと同じく、他社のキュレーションメディアで自社商品を紹介してもらうことも可能です。
キュレーションメディアとは少し異なりますが、B to B 向けに一括見積サービスを提供する「アイミツ」は、仲介モデルを取り入れています。
例えば、ホームページ制作の会社を見つけたいユーザーが一括見積をして成約になった場合、受注した企業から成果報酬をもらう仕組みになっています。
④ECモデル
サイト内で、自社商品を直接販売するモデルです。
安価で検討期間が短い商品には向いていますが、高価で検討期間が長い商品には向きません。
このモデルの代表例は、「北欧、暮らしの道具店」です。
まるで、友人におすすめの品を語りかけるような、優しいテイストの記事がズラッと並んでいます。
全6パターンの収益化の方法
以上のように、キュレーションメディアは、4つのビジネスモデルで収益化できます。
自社サイトを作る場合と、他社サイトを利用させてもらう場合を合わせると、全6パターンの収益化の方法が存在します。
まとめると、下記の通りです。
自社サイト |
他社サイト |
|
①広告モデル |
広告掲載の手数料 |
他社の広告枠に掲載して自社商品へ誘導 |
②課金モデル |
一部を有料コンテンツ化 |
– |
③仲介モデル |
販売実績に応じた成果報酬 |
他社記事で自社商品を紹介してもらう |
④ECモデル |
自社商品を販売 |
– |
なお、魅力がたくさんあるキュレーションメディアにも注意するべき点があります。
キュレーションメディア運営時に注意するべき2つのこと
良い側面もたくさんあるキュレーションメディアですが、運営する際は注意が必要です。
以下の2点は、必ずご確認ください。
著作権
1つ目は、著作権についてです。
キュレーションメディアは他者の記事を利用するため、扱いには注意が必要です。
過去には、「ヘルスケア大学」という医療系サイトが、情報の無断転載をしていたことを告発され、最終的にサイト閉鎖に陥った事例もあります。
運営者はそんなつもりが無くても、依頼していたライターが無断転載していたというケースも考えられますので、細心の注意が必要です。
情報の信ぴょう性
2つ目は、情報の信ぴょう性についてです。
特に、情報を収集するライターさんが素人だった場合、集めてきた情報が必ずしも適切なものとは限りません。
そのため、何らかのチェック体制を敷く必要があります。
DeNAが以前に運営していた医療系サイト「WELQ」は、アクセスを集めることばかりに目がいき、素人が書いた記事をチェック無しでアップロードしていました。
その結果、メディア閉鎖を余儀なくされました。
メディアを運営する以上、情報に対する責任は運営会社が負うことになります。
とは言え、誠実に運営していれば全く問題ありませんので、体制さえ整えれば、過度に心配しなくても大丈夫です。
キュレーションメディアが向いていないと思ったら・・・
ここまでの内容を見て、「自分たちの会社は、キュレーションメディアが向いてないかも・・・」と感じている方もいるかと思います。
しかし、落ち込む必要は全くありません。
なぜなら、キュレーションメディアはあくまでも集客の一手段でしかなく、自社のお客様に情報を届ける方法は他にもあるからです。
例えば、以下のような施策が挙げられます。
お客様と長期的な関係性を築く必要がある
向いている施策:オウンドメディア、メルマガ、LINEなど
視覚的な訴求が効果的だと思う
向いている施策:Instagram、YouTubeなど
もっと早く結果を出したい
向いている施策:有料広告(リスティング広告、SNS広告、YouTube広告など)
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、チラシ、DMといったオフラインの施策も含め、一度で正解を出そうとせず、テストを積み重ねながら勝ちパターンを見つけていってくださいね。
まずはジャンルの相性をチェック
キュレーションメディアを運用する際には、扱うジャンルと、どのビジネスモデルを選択するかがカギになります。
特に、関心を持つ人が多く、情報発信をする人も多いジャンルを選ぶことが大切です。
まずは、自社で扱うジャンルが、キュレーションメディアと相性が良いか確認してみてください。