【転職用】選ぶ業界で給与の最大値が決まる!業界別平均年収を公開

転職先を選ぶ時に、多くの人にとって最大の判断材料となるのが転職先での年収ではないでしょうか。
今の給与よりアップする場所に行ければ、転職が成功したと思う人も多いようです。

しかし、実はこのように年収の一時的な増減だけを見て転職先の企業や業界を選んでしまうのは危険です。それは年収の水準は実は選ぶ業界によってだいたい決まっているからです。

つまりここで選んだ業界によって、あなたが稼げる給与の最大、また生涯賃金の金額が決まってしまう可能性があり、その差は億になることもあります。

転職先の業界選びに失敗しないように、転職の際に参考になる業界別の平均年収を見てみましょう。

MAX給与は選ぶ業界で自動的に決まってしまう

転職する時には、提示された給与の金額を参考に転職するか否か検討することになります。
しかし、その時には1つ注意しなければならない点があります。

それは給与の水準は業界によってある程度決まってしまうということです。
単純に言えば、同じ仕事をしていても儲かっている業界の給与は高いが、儲かっていない業界ではそんなに給与が支払えないということです。

よく例に出されるのがラーメン屋の例です。
ラーメン屋を経営しようと思っても、1杯の値段の相場、原材料費や人件費、店の広さ、その広さに対して設置できる客席数、営業時間と回転率などさまざまな条件から1日の売上や利益はおおよそ決まってしまいます。

だからどんなに人気のラーメン屋になったとしても、「ラーメン屋」という仕事を選んだ時点でその収入には業界の天井ができてしまうのです。

ラーメン屋のような飲食業に限らず、どのような業界でもそのビジネスの構造によってある程度の給与の水準が決定されてしまい、同業者の年収はある程度のレンジに集約されていく傾向があります。

このように業界によっては「頑張れば頑張るほど給与が上がる」と言えない場合もあります。

転職によって現在の年収よりアップが見込めるとしても、
業界全体の年収水準がどこにあるのか?
今後自分が最終的に求める給与水準までたどりつけそうか?
ということを意識して転職先の業界を決めるべきなのです。

業界が成長しているか、縮小しているか

業界選びに関していえば、現在その業界が成長しているか縮小しているかも重要です。

数十年前に就職先として花形の人気があった百貨店は最近はECサイトの影響で業績が悪化しておりリストラが多くなっています。

ここ数年では、出版社やテレビ局などのメディア関係の会社が最近は就職先の人気ランキングでの順位を落としているのも、最近のテレビ離れ、活字離れを反映しているでしょう。

大きな収益減である広告費は減っていますので(Webに流れています)市場自体が縮小していると言えます。

このように市場が縮小傾向にある業界では、今後給与水準が下がっていく可能性があります。そうすれば当初の目論見通りの収入やキャリアが得られないかもしれません。

同じことをするのであれば、逆に給与水準が上がっている市場規模が大きくなっている市場が狙い目です。

業界別の平均収入データを見てみよう

それぞれの業界の平均収入・年収については、Web上にもさまざまな情報を元にしたデータがあり、見方によって印象は違ってきますので複数のデータを検討してみたいと思います。

厚生労働省が出している毎月勤労統計調査(令和元年8月分)によると、規模5人以上の事業所における月間の現金給与総額として、支給額が多い業界の上位5業界は以下のようになっています。

業界 月間現金給与総額(円) 前年比(%)
1 電気・ガス業 439,860 -0.1
2 学術研究等 399,932 0.8
3 情報通信業 395,633 0.5
4 金融業・保険業 385,119 2.8
5 建設業 381,547 5.9

※参考:厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和元年8月分結果確報

これによると全業界の中で給与水準が高いのは、
電気・ガス業=電気やガスなどのインフラを扱う業界
学術研究等=学術研究・研究機関や法律事務所、広告業
情報通信業=テレビ局やインターネット関連のサービス
だと言えるでしょう。
電気・ガス業以外の業界は、前年比でも伸びを示しています。

また転職サイトのdodaでは、2017年9月~2018年8月の1年間でエージェントサービスに登録した人のうち、正社員として就業している20~65歳までの約36万人のデータを元に業界別の平均年収を公開しています。

平均年収ランキング 最新版 【業種別】

こちらの情報では最も平均年収が高いのは、IT/通信業界ということで、業界の平均年収は461万円となっています。

業界 平均年収:全体(万円) 平均年収:女性(万円)
1 IT/通信 461 391
2 総合商社 461 375
3 メーカー 456 366
4 メディカル 450 363
5 金融 446 365

※参考:求人情報・転職サイトdoda(デューダ)

ここでも、IT/通信などのWeb系の業界の給与水準が高いことがわかります。(小数点以下で総合商社より上位)
IT/通信の中でもITコンサルティング業の平均年収は473万円で特に高いという結果が発表されています。

昨今では従来の人気企業が入れ替わり、就職先の人気企業にWeb系企業の名前が登場することも多くなりましたが、データの上でもIT系・Web系企業の優位性がわかる結果となりました。

女性の年収水準が高い業界とは

キャリアを築いていきたい女性にとって、働く場所を選ぶ時には出産や育児などで仕事を離れる可能性を考慮する必要があるでしょう。

上記のデータからわかるように、どの業界でも業界全体の平均年収と女性の平均年収には乖離があり、実際に女性の給与水準は低い状況です。

その中ではWeb業界などは比較的乖離が少ないと言えるでしょう。
この理由については考える余地がありますが、
・他の業界よりリモートワークなどの自由な労働形態の導入が進んでおり、キャリアが断絶しにくいこと
・一般的な企業において育児休暇復帰後の社員が、管理部門などに異動して勤務を続けるケースが多いのに対し、休業前のキャリアに復帰する女性が多いこと
などが理由として考えられます。

業界が違うと生涯収入が1億円以上変わることも

先述の厚生労働省のデータで最も月間現金給与総額が少なかったのは、飲食サービス業で122,526円でした。
飲食サービス業はアルバイトも多いことを考え、パートタイムを除いた一般労働者のデータが281,039円です。

上位の業界が平均約400,000円の月給を得ているのに対し、単純に23歳から65歳までの43年働いたものと換算すると、

年収の水準が高い企業
→生涯賃金 2億640万円

年収の水準が低い企業
→生涯賃金 1億4500万円

このように生涯賃金の額に約6,140万円もの差が生まれます。

またこの賃金の差は支払った保険料の差にもなり、受け取る厚生年金にも大きな差が出る可能性があります。
同じ業務に対して、同様に真剣に取り組んでもこれだけの差が出てしまう可能性があるのです。

希望する年収があるなら業界選びが最重要

データを見てきたように、転職先を選ぶ時は、目先の給与や待遇だけでなく業界自体の水準を考える必要があります。
そうでなければ、頑張って実績を出しても給与がある所から変わらない恐れがあります。

一方で「ラーメン屋が好きだ、絶対ラーメン屋で生きていきたい!」というのであれば、もちろんそれでかまいません。
給与が誰にとっても最優先事項ではないからです。逆に、給与が高いからと言って、全く興味のない業界で働くのも大きな苦痛になってしまいます。

もちろん、業界を途中で変えることでさらに年収をアップさせるという作戦もあります。同じことをやっていても利益の出ている業界に移るだけで、評価や昇給の幅が変わることは少なくないからです。

そのためにも1つの業界でしか通用しないようなスキルではなく、どの業界でも必要とされ再現性のあるスキル、例えば営業やマーケティング、マネジメントや組織つくりなどを身につけておくと良いでしょう。

「こんなはずではなかった」と後悔しないために、業界の給与水準、これからの業界の成長についても検討項目に入れて転職先を選ぶようにしてくださいね。