毎年4月になると、多くの学生が大学を卒業し初めて社会人として歩み始めます。
この最初の会社で経験する事は、本人の社会人としての意識や働くことについての考え方に対して大きな影響を与え、1つの大きな基準となります。しかし社会人として活躍しようと 意気込んでいたにも関わらず、思った通りの活躍ができずに退職をしてしまう人もいます。
今回はWebマーケティング会社・デジタルアスリート株式会社(旧リスティングプラス)で新卒2年目からマネージャーとして活躍している清水章子さんにお話を伺いました。
スピード出世の裏で体験した挫折や転機となった考え方の気づきについて話してもらいました。
目次
新卒2年目からマネージャーとして活躍中
NobyNoby(以下N):清水さんは今、株式会社リスティングプラス(2022年1月 デジタルアスリート株式会社に社名変更)のデジタルマーケティング事業部で一課長を勤めていらっしゃるんですね。
清水さん:そうですね、今は3人のメンバーとチームで動いています。
メンバー1人1人が運用する広告アカウントの中身も把握する必要があるので、かなりのアカウントを見ていることにはなりますね。ただ今は広告運用をがっつりやるというよりも、マネジメントとディレクションの比重が大きいです。
チームの中では、基本的に私がお客様とのミーティングや広告運用の方向性を決めて、メンバーに運用に関して指示を出しています。
クライアントの方とミーティングをする時には、運用の話だけでなくちょっとした態度や言葉づかいなどから満足していただけているかなどの温度感を確認する事も大事ですね。
メールのやり取りだけではわかり切れない所もあるので。
N:清水さんは2017年に新卒で入社されたということですが、そうすると2年ちょっとの間にそこまでのことを担当されるようになったんですね。
新卒で入った時は経験者ではなかったんですよね?
清水さん:はい、正式に入社する前からインターンアルバイトとして広告運用は始めていましたが、この会社に入ると決まるまではまったく知識も経験もありませんでした。
N:未経験から3年でマネージャーになるというのは早いしすごいことだと思うのですが、その間の清水さんの成長や昇進などは順調だったのでしょうか。
清水さん:いいえ、全然順調ではないですね!
成果が出なくてぼろぼろに落ち込んでいた時もありましたし、2日に1回は会社で泣いていた時期もありました。
でも、それらの経験の中でいくつかのことに気づけて、そこから成果が出せるようになったんだと思います。
あえて厳しい業界・会社に入りたいと思っていた就活時代
N:まず就職活動の時のお話を聞きたいのですが、就職活動の時は他の会社もたくさん見たと思うのですが、入社する会社を決めた理由は何だったんでしょうか。
清水さん:そうですね。新卒で入社する時には、まずベンチャー企業に行きたいと思っていました。
N:大手企業を志望する人も多いと思うのですが、どうしてベンチャー志望だったのでしょう。
清水さん:新卒で入って20代で働く会社というのは、私にとっても1つの基準になると思っていました。その時の自分の考えですが、初めてであまり環境の整った所に行ってしまうと、自分自身の能力が身につきにくいんじゃないかと思ったんです。
だから、少し厳しい環境に身を置いて自分自身で仕事を動かしてやりきっていく能力を身につけた方が、先々のためにはいいのではと思っていました。
N:なるほど、入社する時から長期的なキャリアを考えていたんですね。
清水さん:もちろん大企業に入って、早くから専門分野に特化した能力を身につけるのもいいと思います。ただ自分はそこまでやりたいことが決まっていなかったので…
あとはただ、単純に「Web」とかに「かっこいい」「おしゃれ」というイメージがあったからです(笑)
N:あこがれもあったんですね。
実際にWeb系の選考を受けてみてどうでしたか。他の企業との違いなどありましたか。
清水さん:リスティングプラスの場合は、選考の段階から社員の方と接する機会がたくさんあってそれが他の会社との違いでした。
選考を受ける時に課題を作成するのですが、その時に1人1人に担当の社員がついてくれて相談にのってもらいました。とても親身に相談に乗ってくれて「いい人たちだなあ」と思っていましたね。
当時の最終選考が社長たちの前でのプレゼンテーションなのですが、当日の朝に自分を担当してくれた社員の方が「頑張って!」というメッセージをくれたんです。嬉しかったし、その時にこの会社に入りたいと強く思いました。
給与などの待遇面だけなら他にも良い条件の企業はあったと思います。ただ、最終的に一緒に働きたいと思ったのでリスティングプラスを選びました。
私たちの代が初めての新卒入社組だったので後の人のためにも頑張ろうという気持ちでしたね。
長所だと思っていた能力がまったく役に立たなかった
N:先ほどの話の続きになりますが、入社から順調に成果を出せていたわけではなかったのでしょうか?
清水さん:順調ではなかったです。最初は全然成果を出せませんでした。
担当させていただいたお客様に満足いく対応をできなくて、解約されてしまいました。1年目は月々の売り上げもどんどん減っていく状況でした。
もうどうしたらいいかわからなかったです。
N:新卒の時期にそれはつらいですね…
清水さん:でも成果が出ないことや、自分の能力が足りないということはもちろん辛かったのですが、本当につらかったのは、それまで自分の長所だと思っていた人とのコミュニケーション能力が全く仕事で役に立たなかったことでした。
N:コミュニケーション能力が役に立たないというのは、どういう時に感じられたんですか?
清水さん:クライアントさんの気持ちに寄り添えないとか、うまく意思疎通ができなくて、結局成果も出せずに解約になることもありました。
それまでの人生で、人とコミュニケーションに苦労したことなんてありませんでした。
でもやっぱりビジネスレベルで必要とされるコミュニケーション能力というのは、もっと高いレベルのものなのだと思います。
その時は自分の一番自信があった部分ですら、ビジネスの舞台で通用しないという事実に打ちのめされましたし、本当に自信を失ってしまいましたね。
期待に応えられない自分が情けなくて2日に1回は泣いていた
清水さん:成果が出なかった時に辛かった理由としてもう1つ大きかったのは、一緒に働いている人たちです。
N:一緒に働いている人のために辛い気持ちになるというのはどういうことでしょうか。
清水さん:当時の上司は、私ができないことについてもちろん 叱ることはありましたけど、ずっと信じて仕事をまかせてくれていたんです。
今、自分がマネージャーになって振り返ると、よくあんな状態の新卒のメンバーを見捨てずに我慢してくれたなと思いますね。
ただそうして信じてくれるだけに、その期待に応えられない自分が不甲斐なくて、自分はこの会社にいる意味があるんだろうかとか、いない方がいいんじゃないだろうかとか、自分を責める瞬間もありました。
他のうまくいっている人と比較したりもするし、とにかく会社に貢献できてないことがつらかったです。
このころは2日に1回ペースで泣いていましたね。もう頻繁に泣きすぎて、みんな反応もしてくれなくなっていました(笑)
「自分なりに頑張る」から上手くいかなかった
N:その時期上手くいかなかった理由は何だったのでしょうか。
清水さん:その時は自分なりに頑張っているつもりだったんですよね。でも解約を出してしまう。
それでそもそも、「自分が自分なりに考えて動いていること」が間違いなのではと考えたのです。
それまでは、自分の中にまだ広告運用に関する知識やノウハウやスキルが充分身についていないにもかかわらず、自分なりに一生懸命考えたやり方で広告を運用していました。
だから一部、上司や先輩からの意見についても自分が「それは違うのでは」と思ったら素直に実行していなかった部分もあったのです。
そこで、まずは自分なりに考えることは一切やめて、とにかく言われた通りに手を動かすようにしました。その中で、どうしてこういう指示が出ているんだろう、何がしたいんだろうということを考えるようにしていったんです。
素直に取り組んだら2か月で3倍の成果に
清水さん:それからはとにかく素直に言われたことを全力で実行するようにしました。
そうしたら成果が出るようになってきたんです!
年末の時点で最低だった売り上げが、2ヶ月後の2018年2月には一気に3倍になっていました。
N:2か月で3倍はすごい成長ですね!
ひたすら指示に従って作業をする中で、自分より能力のある人の思考やノウハウを身につけていったということですね。
清水さん:そうですね、 やはりうちの会社は本当に広告運用に強い人たちがいるので、自分で考えて違うと思って行動するというのは非常に意味のないことだと分かりました。
自分より優れた人をまずは真似して、その考え方を吸収していくことが本当に大事なんだと思います。
後編では、成果の出ないどん底の状況から抜け出た清水さんがさらにマネージャーになるためにした事や、大きな転換点となった仕事に対する気づきについて引き続きインタビューします。