どうしてバンドマンはWeb業界で活躍できるのか?元バンドマンマーケターにインタビューしました(後編)

実は結構多いと言われる、バンドマン出身のWebマーケター。
今回も引き続き、元バンドマンで、現在は株式会社リスティングプラスのシニアマネージャーとして活躍する名川聡さんにインタビューします。

名川さんの1日のスケジュールや、バンド活動を通してタイムマネジメントの能力が身に付いたエピソードなど、インタビューの前半はこちらからどうぞ。

どうしてバンドマンはWeb業界で活躍できるのか?元バンドマンマーケターにインタビューしました(前編)

2019.12.04

今回はWeb業界に入ってからのキャリアアップの経緯や、マーケターになって活きた過去の経験についてお聞きしました。

アルバイトから正社員になった経緯

NobyNoby(以下N):現在も勤めるリスティングプラスさんには、アルバイトからの入社ということですが、現在のシニアマネージャーまで、どうやってキャリアアップされたのかお聞きしたいです。

名川さん:アルバイトを探していた当初の話にもあったんですが、本当はスキルだけ盗んで辞めようと思っていたんですよ。
Webマーケティングのスキルを身につけたら、会社を辞めてアフィリエイトとかドロップシッピングをしたい、その方が時間の融通も聞くしと思っていました。

N:どちらかというと社内でキャリアアップしたいというよりは、独立希望だったんですね。

名川さん:そうですね。でもアルバイトの最初はやっぱり電話番とか雑用でした。
その時は社員も9人くらいしかいなくて、みんなイヤホンをしながら仕事をしていたので、電話を取るのは僕だけ。お昼ごはんを食べるタイミングもないみたいな感じでした。
役所に書類を出しに行ったり、本当に最初はバックオフィスの業務をしていました。

ただその頃、スマホが普及してきたこともあって、「PC版のサイトをスマホ用に作成しなおす」っていう仕事が多くなってきたんですよ。それで制作会社に変更内容を伝えるための指示書を作成する業務が増えてきたんですね。

それでいくつか「やってみて」と任せてもらえるようになりました。その時僕は、バンド活動もあるので、とにかく早くやることを心掛けたんです、毎回時間を測って削れる所は削って、効率的にやろうということを考えていました。
さっき言ったみたいにバンドマンは時間厳守ですし、アルバイトなので自由に残業もできませんからね。

そしたら「名川に任せると早い」ということになって、そこから徐々に広告制作の仕事をやるようになって、自分もバイトながらどんどん業務領域を広げるように動くようになって、最終的に当時のコンサルタントが1人退職した時、「名川君、コンサルタントにならない?」言われて正社員としてコンサルタントになりました。
入社から1年後くらいのことですね。

N:その時はもう、正社員になって週5で勤務するのも大丈夫と思っていたんですか?

名川さん:そのころには、実際に仕事とバンド活動を両立出来ていましたし、これならフルタイムで仕事をしながらバンドも出来るというイメージもわいていましたね。結局、マネージャーになるまではバンドを続けていました。

時間の制限というのは必ずしも悪い事ではなくて、このように限られた時間の中で成果を出すという考え方、スケジュールをコントロールすることを考えられたのは良かったですね。

バンドをやめて仕事に集中した理由

N:バンドと両立も出来ていたし、両方で高い評価があったと思うのですが、昨年からは仕事に集中して、そのころシニアマネージャーにも昇進されました。
両立出来ていたものを、仕事一本に絞った理由は何だったのでしょうか。

名川さん:理由はたくさんありますが、決定的なのは自分の中で「仕事<バンド」から、「仕事>バンド」になったからです。
仕事が楽しいからもっと時間を使っていきたい、もっと仕事に集中することができればと思ったんです。

仕事を通じて顧客の売上げアップに貢献できたり、会社でもさまざまな面で自分を成長させてもらっているとすごく感じていました。
もちろん、同じようにバンド活動でも成長を感じていたのですが、「どっちかに集中していないと成長の幅って小さい」と感じたんです。

もっと仕事を通じた成長を感じたいと思ったのが、一番大きな理由でしたね。それで、思い切って大好きだった音楽活動をやめました。
そこからは余計なことを考える時間が減って、今は仕事に集中でていると感じます。

N:音楽をやめることを寂しいとは思わなかったですか。そこまで時間や労力をかけて来たものを、いったん辞めてしまうというのは。

名川さん:うーん、思わなかったですね。むしろワクワクが大きかったです。

N:ワクワクですか?

名川さん:音楽活動については、CDやMVを作ったり全国をツアーしたりして、やり切ったなという思いもありました。そこから、仕事に全エネルギーを集中したらまた新しい自分になれる、どんな自分になれるんだろう、というワクワクでしたね。

バンドマンがWeb業界で活躍している理由

過去のバンドマンの経験がWebマーケティングに役立ったところはありますか。一見すごくかけ離れているように見えるんですが。

名川さん:それはたくさんありますね~
今の仕事をしていると、改めてバンド活動って経営とかマネジメントなどと同じだったなと思います。

N:具体的にはどういうところでしょうか。

名川さん:もう、全部です。作曲、レコーディング、CDや物販の制作、PV撮影、ライブ活動のすべてがWebマーケティングと同じだと思います。
資金をアルバイトで稼ぎ、ノルマ分以上の集客をして、ライブ活動で認知を広げに行き、お客さんに来てもらうんです。
会社の予算があり、そこに向かって広告を使って集客し、売上支援を行うということが今の仕事なわけですが、これと全く同じだと思いませんか?

対比させると、
バンドマン同士で交流をする=パートナーを開拓する
CDや物販の制作=記事やランディングページの制作
SNSでライブ告知=広告を使って集客

という感じでしょうか。

マネジメントについても、バンド活動でもメンバー間でのトラブルや人間関係もあります。
ライブハウスや有名バンドに出演の交渉にいったりした経験も、今の仕事に活かされています。
あとはライブに来てくれたお客さんと直接話す機会も多かったので、コミュニケーション能力もここで高まったかなと思っています。

N:バンド活動でやっていた事が全部今の仕事に活かされているんですね。

名川さん:そうですね、だからなのか意外とWeb業界って元バンドマンやDJの人って多いんですよね。

数人のバンドとはいえ、自分たちの意思で人とお金を動かして活動してきたことが、経営やマネジメントの素地になっていたんですね。

入ってみて感じたWeb業界の良い所、大変な所

N:名川さんから見て、Web業界の仕事の良い所ってどこでしょうか。

名川さん:やっぱり良いところは、どこでも仕事ができることですかね。
だってパソコン1台で、企業の売上げアップの支援ができるってすごいと思いませんか?

大変な所で言えば、その逆もあるってことですね。
どこでも仕事できるっていうことは、すべて自分で判断して行動しないといけないんです。
だって休んでいる間も広告は動いているので、こまめに確認しないと怖いですよね。

だから自分が今何をやるべきで、何はする必要がないのか判断をしたり、トラブルが起きないように事前に対応しておくなどメリハリをつけた時間管理が大事です。

N:どこでもいつでも出来るということは、24時間の使い方を自分できちんと管理出来ないといけないんですね。成果も出しながら…

名川さん:そうですね。ただ、習慣になればあまり気にならないという一面もあります。
他の人からしたら「毎日数字をチェックするなんて大変」「毎日こんなにすることがあるなんて大変」と思われるかもしれませんが、僕にとってはやることのほとんどが習慣になっているので、朝起きて習慣的にスマホを見るのと同じくらい自然な事なんです。
いったん習慣になれば何も大変とは感じないと思いますね。

将来はグロースハッカーのチームをもっと大きくしたい!

N:名川さんがこれから進んでいきたいキャリアってどのようなイメージなんでしょうか。

名川さん:これからはさらに最先端の広告を追求し続けて、Webマーケティングにおける集客の可能性を広げていきたいですね。
今で言えばYouTubeやTikTokなど様々な集客の手法があります。ユーザーの知名度としては、広がっていますが企業の集客法としてはまだまだ形になっていません。
そのあたりを自分たちで開拓して行きたいと思っています。

N:Web広告の業界ではどんどん新しい方法が出てきますもんね。

名川さん:本当にそうです。どんどんチャレンジしていきたいです。
ただ、新しい手法を取り入れる時にも目先だけの集客効果ではなく、それがエンドユーザー(購入するユーザー)により伝わる手法なのかどうかはちゃんと考えていきたいですね。

あと、最終的にはグロースハッカーの部隊として自分のチームの人数も拡大していきたいですね。

N:リスティングプラスさんの会社自体もどんどん大きくなっていますね。

名川さん:僕がアルバイトで入った当初は、社員は9名しかいませんでした。しかも男だらけ。
それが今となっては70名を越え、女性のほうが多い会社になるとはあの時はまったく思いませんでしたね。

やっぱりWeb業界は変化が早い業界です。だからこそまずは、変化に強い会社になるためにも100名まで人数を拡大したいと思っています。
自分自身としては、常に新しい領域でチャレンジしている立場でありたいと思います。

N:お忙しいところインタビューにご協力いただきありがとうございました!

大変なことも「クリアできるゲーム」だと思えばポジティブに取り組める

インタビュー中もすごくひょうひょうとした印象だった名川さん。
Web業界にしてもバンド活動にしても、もっと大変な話があるのでは…と何度か尋ねてみたのですが、まったくネガティブな話がありませんでした。

聞いてみると、名川さんは仕事をゲームのようにとらえているとのことです。
今いる面をクリアしたら新しい面でさらに強い敵と戦える、そうして自分がレベルアップしていくのが楽しいということで、仕事やバンド活動で大変なことがあっても当然のように乗り越えてこられたのでしょう。

Web業界にいると本当に「昔、音楽をやっていたんです」という人が多いです。

不思議に思っていたのですが、今回のインタビューを通して、一般的なイメージとは違いバンド活動にもタイムマネジメントが重要だったり、バンド運営の過程で経営やマネジメントの能力を身につけられるということがわかりました。

そして改めてWeb業界の自由度の高さや、個性や経験を活かして働ける業界だということを再確認できたインタビューでした。