2日に1回は泣いていた泣き虫新卒が気づいた仕事で一番大事なこととは(後編)

今回も引き続きWebマーケティング会社・デジタルアスリート株式会社(旧リスティングプラス)で新卒2年目からマネージャーとして活躍している清水章子さんにお話を伺いました。

2日に1回は泣いていた泣き虫新卒が気づいた仕事で一番大事なこととは(前編)

2020.02.05

後編は、成果の出ないどん底の状況から抜け出た清水さんがさらにマネージャーになるためにした事や、大きな転換点となった仕事に対する気づきについて引き続きインタビューします。

上司の仕事もどんどん取りに行くように

NobyNoby(以下N):その後、マネージャーになるまでのメンバーの立場で心がけていたことなどありますか。

清水さん:当時はとにかく上の人の仕事をどんどん取りに行こうと思っていました。
もちろん自分たちも忙しいのですが、仕事を振る側の上司の所にはもっとたくさん仕事があるはずです。

それを振られるのを待つのではなくて、「これは私が行ってイイですか」「私に任せてもらえますか」ということを自分から聞きに行って、どんどん仕事を降ろしてもらいました。

だから言われた仕事をやる、という以上に業務の範囲を広げられていたと思います。

N:それは、マネージャーからしたら非常に助かる、頼りがいのある部下ですね。

清水さん:もちろん、その仕事を自分だけでできるわけではないので上司の力を借りることもありました。ただ、仕事を止めないで動かしていくことができたのは、その当時のチームにとっても良いことだと思いましたね。

仕事や会社の目的がわかって考え方がガラッと変わった

清水さん:あと成果を残せるようになった理由として、このころ会社や自分の働く目的について、改めて考えたということもあると思います。

N:会社や自分の働く目的とは、例えばどういう事でしょうか。

清水さん:成果が出なかった間は、やはり「月額いくらの予算を達成しなければならない」ということをノルマとして考えていました。そうすると追い詰められるような気持ちになることもあったんです。

ただしこの頃から、「どうしてこの数字を達成しなければいけないのか」「数字を達成することでどういうことが起こるのか」という、数字以外の部分にも目を向けて考えられるようになってきたのです。

会社としては月額の予算を達成すれば新しい人を雇うこともできますし、新しい事業を始めることもできるかもしれません。そうすればさらに収益が上がって、さらに仲間が増えたり、給与水準があがったりするかもしれないので関係する人たちの幸せにつながります。

クライアントについても、広告費を使ってビジネスをどんどん拡大することで、同じように経営者の方や従業員の方々が幸せになれます。

また優れた商品を多くの人に届けることで、その人の悩みや課題が解決されて人生が少しでも豊かになったり楽になったりするかもしれないですよね。

自分がやっていることはそういう事なんだと、そういうことを考えるようになって予算を達成しようという考え方に対しても取り組み方が変わっていきました。

ただ数字をあげるだけではなく、自分が何のために働こうとしているのか、自分のやっている仕事がどれだけ価値のあるものなのかが理解できたんですね。

これは会社や上司のおかげだと思います。そういう思考を持っている人と働けたことで、自分も同じように思えるようになったんだと思います。

上司だって自分といくつしか変わらないんですが、もう親のような気持ちです(笑)

N:根本的な志向の転換があって、同じ状況でも感じ方が変わったんですね。
その他に成果を残せるようになった理由はありますか。

清水さん:あとは、単純ですがそのころは誰よりも早く来るとかしていました。当時は時間が足りなかったので来ていただけでしたが、今もそういう習慣になっているので会社には早めに来ます。

最近は業務中にやりきれなかったことなどではなく、じっくり取り組みたい分析や長期的な業務など、重要だけど緊急でないものにその朝の時間を使っています。

マネージャーになりたいと立候補

N:それで成果を残して、マネージャーに昇進されたんですね。

清水さん:それがちょっと違うんです(笑)
私の場合会社から昇進を打診されたのではなく、マネージャーになりたい人の立候補制度に応募して、社長の前でプレゼンテーションをして課長への昇進が決まりました。

N:自らマネージャーになりたいと手を挙げたということですか。

清水さん:そうです。

N:プレゼンテーションというのは、どういう内容だったのでしょう。

清水さん:プレゼンテーションの内容は、どうしてマネージャーになりたいのかや自分がマネージャーになったらどういう仕事をして会社に貢献するかというようなプレゼンでしたね。

ちょっと具体的な時間を忘れてしまったんですけど、持ち時間が決まっていてその中で個人がプレゼンテーションをする形で私のほかにも数名の立候補者がいました。
この時には実は少しトラブルがあって。

N:どんなトラブルですか。

清水さん:あらかじめ「何分のプレゼンを用意して」と言われていたわけですが、当日「ではプレゼンしてください」と言い渡された時間が予定よりも短かったんです(笑)

それが間違いだったのか、それとも予定より短い時間を言い渡すことによって危機的状況への対応力を見たのかはわかりませんが、 とにかく内容を削って、本当に伝えたいことをしっかり伝えなければ!と思ったことを覚えています。

もっと実力をつけて会社やクライアントに貢献したいから、マネージャーとしてもっと実力をつけて大きく会社に貢献するチャンスがほしいというようなことを力説した気がします。

高いレベルで「働く自分」を再構築できた

N:清水さんは新卒でリスティングプラスに入って、つまり社会人としての最初の会社だったと思うのですが、入ってみて想像していた世界と同じでしたか違いましたか。

清水さん:やっぱりこれほどうまくいかないことが最初に起こるとは思っていなかったので、その意味では想像していたのと違うスタートを切ったと思います。

ただし働くということが、それまでの自分の経験が通じないほど厳しい世界であって、新たにその基準に適した自分を作り直せたということでは良かったと思っています。

大学の時の同級生に会うことはあるのですが、思っていたのと違ったと、もう新卒で入った会社を辞めてしまった人もいますね。やっぱり、入社前と入社後のギャップというのはどんな会社でもあるものだと思います。

ただし私の場合は、もちろん思っていたほどスムーズにはいかなかったですが、自分がそもそも考えていた「厳しい業界に入って自分自身が働く能力を身につけたい」という点については思った通りの環境でした。

ただ入社して初めて、社内の人間関係や業界のことや会社の将来性などがわかる場合もあるので、安易には考えない方がいいですが、転職をして違う会社にいくというのも否定はできないと思います。

20代からマネジメント経験することの意味

N:Web業界は全体的に年齢層が低く、他の業界よりも早くからマネージャーになる機会も多いと思います。清水さんが実際にマネージャーをやってみて大変な事はなんでしたか?

清水さん:やっぱり、会社のマネージャーという看板を背負うプレッシャーですね。
私がマネージャーになったばかりという事はお客様には関係ないし、マネージャーになった事で他のマネージャーとも比較されると思います。

予算だけでなくマネジメントとか育成とか業務も増えるので、上手くいかないこともあるし経験があるマネージャーと比較して、同じ成果がだせないと悩むこともあります。

私が役職者をやっている価値ってなんなんだろうと考えたりしますね。会社に入った時にも大きな壁にぶち当たりましたが、役職を持つようになってまた壁が来たという印象です。

マネージャーになった最初の期は、予算も未達成に終わってしまいました。プレイングマネージャーとしてやっていて、メンバーと自分の業務領域についても模索中でした。
その時が24歳で、今は26歳になりましたがようやくマネージャーとしてできることが増えてきたと思っています。

特に最近はメンバーの成長が嬉しいです。できなかったことができるようになったり、私の仕事を向こうから取りにきてくれたりします。

N:26歳でもとても若いと思うのですが、もうマネージャー3年目なんですね。
やはり早くからマネージャー経験が積める業界というのはキャリアにとってもとても有利だと思いますね。

清水さん:やってみて思うことは、やっぱりマネージャーは十分な実力があってマネージャーになるのではなく、マネージャーを勤めることによってマネージャーとしての能力を身につけていくのだと思います。

だから、Web業界のように早くからそのチャンスがあるというのは、非常に価値がある事だと思います。

特にこれから、会社単位ではなく個人単位でのスキルや経験が重視される社会になってくると思うので、早く成長したいという人はWeb業界でキャリアアップを考えてもいいと思いますね。

N:清水さんも就職活動の時は、自分の個人としてのスキルや経験について事を考えて今の仕事を選んだと思いますが、今の自分を見てどこにでも通用するスキルが身についたと思いますか。

清水さん:そうですね、今の会社に入って、仕事に対する考え方や効果的な取り組み方などビジネスパーソンとしての基本については、一度自分を壊して高いレベルで組みなおしたという感覚があります。

そういう意味では、少なくとも「1つの会社でしか活躍できない」「他の会社では成果が出せない」という状態ではないと思っています。

個性の豊さや自由さ、将来性がWeb業界の魅力

N:リスティングプラスに限らず、Web業界で働く魅力って何だと思いますか。

清水さん:私としては他の業界を知らないのですが、やっぱり一般的な会社や業界に比べて自由な雰囲気があるんではないでしょうか。オフィスも服装が自由だったり、休憩時間や勤務時間に融通が利きやすいという面はあると思います。

あとは業界自体が成長しているという点も重要ですね。
業界も会社も成長していれば昇進のチャンスがあるのですが、市場が縮小してきている業界・会社では上に上がるのも大変だと思います。

最初はカッコいいというイメージでいたWebマーケティングですが、本当にどこででも使える、仕事でなくても使えるスキルだと思います。

N:他の業界・業種でも役立つ汎用性のあるスキルで価値が高いですね。

清水さん:思うのですが、Web業界に向き不向きってないんじゃないでしょうか。
やることが幅広いので、どんな人でも自分の能力を活かして活躍できる業界だと思います。

私はそもそもタイピングすらまともにできなかったし、インターネットを使うとしても情報を探す用の検索用でした。パソコンはあまり使わなかったし、Excelも使わなかった、関数わからない、レポートを作成するためにワードくらいしか使っていませんでした。

そんなだった私でも頑張れば成果を出せるのですから、難しいというイメージで諦めなくて大丈夫です(笑)

今回はインタビューの内容を見てWeb業界で働くことに興味を持った人は、スキルがないからとか難しそうだからという先入観で諦めずに、とてもやりがいのある仕事なのでぜひチャレンジして欲しいですね。

素直さと「働くこと」への理解で大きく成長

厳しい基準で働ける人間になるために新卒でベンチャー企業を選んだ清水さんですが、実際に厳しさに打ちのめされることになりました。

でもインタビューにあったように、そこで自分を見つめなおして考えや行動を変え、今はマネージャーとして活躍されている姿には勇気づけられる人も多いのではないでしょうか。

また、初めての新卒入社からマネージャーが出ていることで、その後も新卒から1年2年でマネージャーになる人が続いているようです。「よく泣いていた」という辛い経験を乗り越えて、これからも世代の先頭に立って育成などで活躍されて行くと思います。

インタビューの中にあった、清水さんが辛い状況の中で気づいた仕事に対する考え方や取り組み方は、非常に本質的なものでどんな仕事で成果を出すためにも役立つものだと思います。
入社して数年でこのような考えを身につけられるという事は、本人の考える力や素直さもありながら、それだけの環境があったのだと思いました。

Web業界において新卒で働くことの大変さや価値が見えたインタビューだったと思います。自分も厳しい環境で成長してみたいと思う人はキャリアの参考にしてください。