「VUCAの時代」安定も正解もない時代にビジネスで求められる人材とは

最近よく「VUCAの時代」という言葉を耳にするようになりました。
「VUCA」は現在のビジネスが置かれた状況を表すものであり、企業や個人にとって今後の戦い方や生き残りにかかわる重要な概念となっています。

この記事ではこの「VUCA」の意味から具体的な内容、またVUCAの時代に必要な考え方やスキル、取るべき行動について説明します。

「VUCA」とは

VUCAは略語であり、

・Volatility(変動性)
・Uncertainty(不確実性)
・Complexity(複雑性)
・Ambiguity(曖昧性)

この4つの単語の頭文字からなっています。

VUCAはそもそも1990年代後半にアメリカで使われるようになった軍事用語です。
戦争の形が「国と国との戦争」から、テロ組織のような幹部も指示系統も正確に把握できない相手との同時多発的な戦闘に変わり、それに応じた戦い方が必要となって生み出されました。

ビジネスの場面でこの言葉が使われるようになったのも、今のビジネス環境が同じように、

・短期間で市場の状況が急速に変わることがある(変動性)
・1つのビジネスが上手くいっても1年後も安泰とは限らない(不確実性)
・問題に対応しようとしても内容が複雑で解決困難(複雑性)
・問題解決の方法に明確な正解がない(曖昧性)

という時代であり、予定を立ててもその通りには行かず、想定を超える自体が発生する時代だということです。

現代ビジネスシーンは、すぐに変動し、継続的な成功を収められるかは不確実であり、成功への道筋は複雑であり曖昧なのです。

変動性とは(Volatility)

現代のビジネスでは、テクノロジーの進歩が早く、新しい技術や商品の登場により短期間でビジネスを取り巻く状況が変化します。
企業が生き残るためには、この猛スピードで変化する環境に対応しなければなりません。

また、技術や商品の方だけでなくユーザーの行動モデルや価値観、社会の仕組み自体も変化する可能性があります。

10年前にはスマートフォンがここまで普及して、1人1台所持があたり前、動画サイトが人気でマスメディアの王様だったテレビの広告費をWebの広告費が抜く、電車で本を読む人がいなくなる、飲食店に入る前も家電量販店でもスマホ片手にレビューを確認…などということは考えられませんでした。

多くの企業にとって、このような変化を予測してあらかじめ対応することは困難でした。
一方、このような状況を作り出した企業、またいち早く変化に対応できた企業は新しい市場において優位な立場でビジネスができています。

不確実性とは(Uncertainty)

今、自社がメインとして提供している商品・サービスもいつ違うものにとってかわられるかわかりません。今成功しているからといって1年後も成功しているとは限らず、成功の寿命はどんどん短くなっています。

ある日突然、競合がより高品質で安価な商品を販売したり、大規模な自然災害によって長期間営業ができなくなったり、予期せぬSNSの炎上で自社のブランドが失墜するかもしれません。

このように、今は未来の脅威についての予測も難しくなっています。

複雑性とは(Complexity)

ビジネスはよりグローバル化し、規模が大きくなるにつれてより多くの人が関係するようになりました。
業務の分業制も進み、1つのプロジェクトついても複数の部署や専門家、性別や国籍が違う人々、現地の法律や監修などが関係することで複雑性が増しています。

何か1つの問題を解決しようと思うと、このような複雑な関係から問題の内容を解きほぐして本質を見つける必要があります。

またその中で関係者の利益や損失を調整して、目的のために人々をまとめて行動させる、非常に高い情報収集能力や精神力やリーダーシップが必要です。

曖昧性とは(Ambiguity)

変化のスピードが速いビジネスシーンでは、前例のない新しいことにもチャレンジしていく必要があります。
しかし新たなチャレンジをする場合、「こうすれば問題が解決できる」というわかり切った正解はありません。

環境の変化も速いので、今日見つけたと思った正解が明日には正解ではなくなっているという可能性もあります。

まずはやってみて、問題が生じたら対応して…と、正解なのかもわからず基準もない状態で仕事を進めていく必要があるのです。

VUCAの時代に求められるスキルや行動

このように予測不可能で正解のない時代を生きるためには、今後どのようなスキルや行動が私たちに求められるのでしょうか。

短時間で成果を出す効率とスピード

VUCAの時代には状況が目まぐるしく変わります。
アイデアがあっても行動に移すまでに時間がかかっていては、チャンスは消えてしまいます。

VUCAの時代にはチャンスを逃すことなく実行に移せるスピードと、短時間で成果が出せるように効率的な働き方が必要となります。

正解のない問いに答えを出す問題解決能力

VUCAの時代には、問題に対して明確な答えが得られることはほぼありません。

しかし、さまざまな要素が関係する中でその問題の本質を突き止めて、その解決に向けてとにかく少しでも前進するための施策を打てる問題解決能力が重要です。

多様なメンバーをまとめるリーダーシップ

VUCAの時代には、これまでのより様々な価値観や経験をもったメンバーと働くことになります。
問題解決をしようと思っても、さまざまな所で利益が衝突したり、人間関係で問題が起こったりすることが考えられます。

そんな時に、多くの人をまとめて1つの目的のために行動できるリーダーシップが重要となります。

つねに最善の選択を行うための情報収集能力

先行きが不透明だからと言って、計画を立てることを諦めて「行き当たりばったり」「出た所勝負」では成功できません。
つねに幅広くアンテナを張って最新情報を収集しておくことが必要です。

知り得る限りのすべての情報を集めて考え計画をした上で、変化に応じて計画を変えていく・不測の事態に対応していく必要があります。

状況の変化に備える力

VUCAの時代には、どれだけ先のことを考えてもその通りに進むことは稀です。

そのため、将来の計画や道筋を考えつつも常に予測不能な事態や問題の発生のために準備をしておきましょう。

突然売上が止まってもしばらく持ちこたえられるだけの現金の準備、取引先が1か所に集中しないようにするなど、日ごろからの備えが大切です。

個人であれば副業を始めておく、転職に有利になるスキルを磨いておくなどがあるでしょう。

明確なビジョンを持つ

変化が多いのに「ビジョンを明確に描く」とはどういうこと?
と思われるかもしれません。

しかしいざ重要な判断が必要になった時に、「自分自身の確固たる判断軸」を持っている方が正しく速い判断ができます。

将来的にやりたいと思っていること、ビジネスを通じて社会に提供したいもの、ビジネスの使命、絶対に譲れないことなどが明確であれば、どんな時もその原則にしたがって判断が下せるようになります。

スピード感・臨機応変さがより求められる時代に

すでにVUCAの時代は訪れており、企業も個人もこれまでと違う考え方や働き方が必要になっています。

従来のように1つのアイデアを実現するために、何人もの人が何か月もかけて話合い、会社の裁可を得てから実行…というスピード感では遅いでしょう。

日本企業はスピード感に欠けると言われますが、世界はそのように動いていきますので、競争に参加したいのであれば追従せざるをえません。当然、従業員にもよりスピード感が要求されるようになります。

自分で考えて行動できる、果敢に挑戦できる人材が求められ、またそのような人がのびのび活躍できる企業がVUCAの時代で活躍することになるでしょう。