学生が就職活動を経て、社会人になる。自然な流れに思えますが、実際「社会人」とはどんな人たちを指すのでしょう。
大学を卒業したら社会人なのか、会社に就職したら社会人なのか、学生で起業して働いている人は社会人なのかなど、実はあやふやな「社会人」という言葉の意味について調べてみました。
目次
実は「社会人」に明確な定義はない
「社会人」という言葉の意味を調べると辞書やWeb上の情報でもいくつかの解釈があり、「何歳から」「このような状態の人を社会人と呼ぶ」という厳格な定義はありません。
ウィキペディアによると、
社会人(しゃかいじん)は、社会に参加し、その中で自身の役割を担い生きる人のことである。
とありますが、これも「社会に参加」や「自分の役割」をどう考えるかで人によって解釈が大きく変わります。
参照:wikipedia
広義の社会人
子どもも学生も社会を構成する一員なので、社会人と言えます。
この場合、フリーランスや個人事業主として働く人も、専業主婦(主夫)として家庭を支える人も、事情があって働けない人もみんな社会人です。
狭義の社会人
一般的に使われる「社会人」の言葉のイメージは、もっと狭くなります。
新卒で就職する際に「社会人として頑張って」と使われるように、一般的に社会人とは「学校教育を経て企業に就職したもの」という意味で使われることが多いです。
人によっては、
・大学を出て就職した人が社会人
・正社員として就職した人が社会人
・実家を離れて自活できるようになった会社員が社会人
などさらにせまいイメージを持っている人もいます。
このように「社会人」という言葉の意味は人によって大きく違います。
「学生気分が抜けない!」とは
新入社員に対して、「学生気分が抜けない」という指摘をされるなど、「社会人」は「学生」と対比させる意味でも使われます。
実際にはどのような行動が「学生気分」だと思われてしまうのでしょうか。
Web上の体験談やSNSで挙げられていたのは、以下のような行動です。
- 自分のことしか見えていない
- 仕事に対する真剣さが足りない
- オンとオフの切り替えができず、公私混同する
- 遅くまで遊んで体調を崩す
- 受け身で指示を待っている
- 社外で不平を口に出してしまう
- 成果を意識できない
- 体調管理ができず遅刻や欠勤が多い
- 自分に能力があると思っており謙虚さがない
新入社員がこれらの行動を取ってしまうのは、学生時代と就職後の環境や状況の変化に気づけていないのが大きな原因です。
このような態度は、最初は多めに見てもらえたとしても、時間が経つと「学生気分が抜けない」から「社会人失格」の烙印を押されて周囲から見限られてしまいます。
就職をして社会人になった時には、自分の状況の変化を早く理解し対応することが重要です。
社会人と学生の5つの大きな違い
一般的に社会人と学生の大きな違いは何でしょうか。ここでは特に大きな5つの違いを解説します。
支えられる側から支える側になる
一般的には大学を卒業して就職すると、所得税などの税金を支払い(翌年からは住民税も)納税者となって、本格的に税金を支払う立場になります。
また健康保険や厚生年金などの社会保障費も支払って、社会に守られてきた子どもや学生という身分から、社会を守り支える立場となります。
年齢・性別など多種多様な人と関わる
学生時代は、多少の上下はあっても近い年代間での付き合いが主流です。また入試制度によってある程度似た能力を持った仲間が集まります。
しかし社会人になると、さまざまな年齢の多種多様なバックグラウンドを持った、能力も価値観も幅広い人たちと関わることになります。
当然それまでの常識が通用しなかったり、話が通じなかったりする場面も多くなります。
より互いの立場を理解したコミュニケーションが必要になるのです。
そんな時に重要になるのが、マナーやエチケットです。
多くの会社が新卒社員にまず研修でマナーやエチケットを学ばせるのは、どんな人と関わることになっても相手を不快にさせずに、コミュニケーションが取れるようにするためです。
「古臭い」「過剰なものは必要ない」とする考えもありますが、どこまでやるかは別として、多くの人に受け入れられる振る舞いを身につけておくと便利です。
会社や仲間に対して責任を負う
例えばテレビで有名企業の社員が逮捕された時など、社名が報道されることがあります。
犯罪でなくても、取引先との関係の中で信頼関係を壊すような振る舞いをしてしまうと、自分個人の話ではなく会社の責任問題になってしまいます。
学生時代と比較して、責任の重さや影響力が増大するので、トラブルや不利益を招かないためにも強い自覚が必要です。
能力や成績でなく成果や貢献が重視される
学生の本分は勉強であり、勉強を頑張っていれば良い成績が取れ優秀とされていました。しかし社会人になると、個人の能力やスキルも重要ですが、むしろ会社に利益をもたらし成果を生み出せるかが重要になります。
大学で頑張って習得した知識やスキルは価値あるものですが、ビジネスではそれを活かして形ある成果に結びつけなければいけません。
個人の能力が高くても、上手く成果に結びつけられなければ、評価が得られないのです。
この点は学生時代、高い評価を受けていた人ほど戸惑う点かもしれません。
しかし社会人になったことで目的や評価軸が変わったことを理解して、自分のスキルや能力と向き合えれば、社会人として大きく成長できます。
自分のキャリアや人生に対して責任が生まれる
学生時代までは両親を始めとする大人の意向もあり、自分で決断ができなかった人もいるかもしれません。
しかし、社会人になったら全て自分の責任となります。自分の人生を設計して、必要なスキルアップや勉強のための時間は自分で作る必要があります。
自分の選択によって人生を切り開いていく責任があり、またそれができるのが社会人なのです。
社会人になることで自由になれる
「社会人」という言葉には明確な定義はありません。
しかし一般的に、学生から就職して社会人になることで「責任ある大人」として認められることは間違いありません。
責任というと「嫌だ」「面倒」と感じてしまうかもしれませんが、自分で責任を取れるということは人生の自由度が上がることも意味します。
これまで親や学校があなたの人生に対して負っていた責任を自分自身で負って、自分の好きなように自分の人生を決められるということなのです。
社会人になるということをネガティブにとらえず、状況が変わったことを理解して対応できれば、充実した社会人生活を送れるでしょう。