上司に褒められる議事録の取り方(使えるフォーマットつき)

社会人になって多くの人が経験する議事録作成。しかし、いざ議事録を取ろうと思うと、思っていたより難しく何時間も費やしてしまったという人も少なくないはず。

もし、あなたが議事録の取り方に悩んでいるのであれば朗報です。

というのも、議事録作成はコツさえ掴んでしまえば、誰でも簡単に作成できるからです。

今回は、議事録作成に必要な考え方や、具体的なノウハウをギュッとまとめましたので、ぜひ議事録作成の度に参考にしていただければと思います。

そのまま使えるフォーマットもご用意していますので、ぜひご活用ください。

議事録の目的=決定事項の共有

議事録を取る目的は、端的に言えば「会議で決まった決定事項を共有する」ことです。

つまり、「良い議事録=関係者に決定事項が正確に伝わる議事録」ということになります。

ここでいう関係者とは、会議に出席した人のみならず、何らかの事情で欠席した人も含まれます。全員がその議事録1つを見れば何が決まったかが分かり、次にどのようなアクションを取ればいいのかが分かるのが理想です。

議事録の取り方も重要ですが、ぜひ目的を忘れないようにしてください。

では、次章からはより具体的な議事録の取り方についてご紹介します。

議事録に欠かせない必要事項(使えるフォーマット)

「難しいことは抜きにして、どんなシーンでも使える議事録のフォーマットが欲しい」

議事録を取る立場の人からすれば、それが本音ではないでしょうか?

そこで今回は、あらゆるシーンで活用できる議事録フォーマットを用意しました。

ぜひ、下記のフォーマットを自由に使いまわしてください。

【議事録フォーマット】

会議名:【営業部】新規顧客管理ツール導入に関する検討会議
日時:2022年◎月◎日(火)14:00〜16:00
場所:本社会議室205
参加者:●●部長、●●課長、●●氏(株式会社○○)
議事録作成:●●
欠席者:●●主任(出張中)

■議題
必要な機能の紹介と費用面の比較

■議論内容
・当社にあったプランの提案(●●氏)
・営業部の年間予算を超過する可能性を懸念(●●部長)
・機能を減らしてプランを格下げした際のリスク説明(●●氏)
・提案されたプランが現場にフィットするかを懸念(●●課長)

■決定事項
・当初の提案通り「●●サービス」のAプランを導入
・2022年◎月◎日(水)の運用開始に向けてプロジェクトチームを立ち上げ

■アクションプラン
・◎月◎日(木)までにプロジェクトチームのメンバー決め(●●部長)
・◎月◎日(木)までに社内向け勉強会を開催(●●課長)

■ペンディング事項
・「顧客追跡機能」を実装するか否か

■次回の会議予定
・◎月◎日(月)13:00〜15:00 本社会議室202

■参考資料
・別途添付

上記のフォーマットをもとに、必要に応じて要素を入れ替えて使ってみてください。

議事録を取る基本的な流れ

議事録を取るうえでは、基本的な流れを押さえておくことも重要です。ぜひ、前後のつながりを意識しながら取り組んでみてください。

事前準備

実は、議事録作成をするうえで何よりも大切なのは会議に臨む前の事前準備です。予め情報を整理しておくことで、議事録にどのようなポイントをまとめればいいのか予測がつくからです。

具体的には、

  • 前回の会議の議事録に目を通す
  • 今回の会議の目的を明確にしておく(分からなければ確認する)
  • 会議中に予想される議論をシミュレーションしておく
  • 会議に参加するにあたって必要と思った情報はあらかじめ収集しておく

などの対策が挙げられます。

会議前の準備を万全にすることで、会議中は議論の内容だけに集中しやすくなります。

会議中にメモ

会議中は、ポイントになるであろう箇所を随時メモしていきます。要点を押さえておくことで、後から議事録をまとめる際に役立つからです。

逆に、会議の内容を丸ごと記録したり、メモを取らずに後から思い出しながら議事録を作ったりするのはとても効率が悪い方法です。

この段階では自分だけが分かるメモでもいいので、気になった点・重要な点をまとめておきましょう。

情報の取捨選択

会議終了後、初めに着手するのは情報の取捨選択です。というのも、全ての情報を議事録に載せようとすると膨大になるため、何を伝えなければいけないのかを精査する必要があるからです。

どの情報を伝えるべきか迷ったら、「そもそもこの会議は何のために行ったのか?」と目的に立ち返ることが重要です。

議事録作成

上記の工程を踏まえて、いよいよ議事録を作成します。前章で紹介したようなフォーマットに沿って必要な情報を流し込んでいけば、必要以上に時間をかけずに作成できます。

また、議事録を作成する機会が多いのであれば、自分なりにチェックリストを作ってみるのもおすすめです。

上司にチェックを依頼

議事録を関係者へ共有する前に、必ず上司に目を通してもらいましょう。後からミスが発覚した場合、多くの関係者の時間を奪うことになります。自分ではチェックしたつもりでも、何かしら抜けていたり、上司の視点からすると足りなかったりすることもあります。

自分のことを過信せず、必ずダブルチェックをしてもらったうえで全体に共有しましょう。

良い議事録に共通する7つの特徴

ここからは、良い議事録に共通する7つの特徴について紹介していきます。

ぜひ、次の点に注意して作成に励んでみてください。

  • 内容が明瞭で誰が読んでも理解できる
  • 意思決定の内容と背景がまとめられている
  • 主語・述語がハッキリしている
  • 発言者が明確に記載してある
  • 数字など定量的な要素が入っている
  • 時系列で書かれている
  • 必要に応じて図・表などが使われている

内容が明瞭で誰が読んでも理解できる

冒頭でも紹介した通り、議事録を取る目的は「会議で決まった決定事項を共有する」ことです。そのため、会議に出席していない人でも内容が分かるくらいに記載する内容を明瞭にする必要があります。

逆に悪い議事録の特徴は、ダラダラと長い文章でまとめられていたり、専門用語が多用されていて特定の人しか理解できなかったりする議事録です。

中学生が読んでも理解できる内容かという意識で作成すると、内容が明瞭な議事録が作りやすくなります。

ただし、関係者全員に専門用語が通じる場合は議事録の中で使用しても問題ありません。ポイントは、誰が読むかを考えることです。

意思決定の内容と背景がまとめられている

良い議事録は、意思決定の内容と一緒に決断に至った背景もまとめられています。そうすることで、その場にいなかった人も納得感をもって決定を受け入れることができます。

例えば、「最終的にAプランを選択した理由は、~だから。」といった具合に背景が添えられていると何を重視して決定が下されたのかが分かりやすいです。

主語・述語がハッキリしている

主語・述語がハッキリしているのも、良い議事録の特徴です。主語は「誰が」、述語は「どうした」に当たる部分です。

会議中は話し言葉のため、そのまま議事録におこそうとすると主語・述語の関係が崩れていることが多いです。途中で何を書いているのか分からなくなったら、シンプルに主語・述語だけの文章にしてみるのがおすすめです。

◇良い例
佐藤部長が代理店の担当者との会議に立ち会う。その場で、今回導入を検討しているシステムの仕様を決める。

◆悪い例
代理店の担当者が来て、佐藤部長と今回導入を検討しているシステムについて話し合い、そこで仕様を決める。

発言者が明確に記載してある

良い議事録には、発言者も明確に記載してあります。誰が意思決定をしたかによって重要度が変わってくるからです。

議事録のまとめ方にもよりますが、以下のようにまとめると良いでしょう。

例:
・山中課長から「全社員2週間以内に見積り方法を見直すように」と指示があった。
・「全社員2週間以内に見積り方法を見直すように」(山中課長)

数字など定量的な要素が入っている

良い議事録には、数字などの定量的な要素が多く含まれています。人によって認識の差が出づらく、内容が理解しやすくなるからです。

◇良い例
今後、社内の残業可能時間は、原則18時半までとする。

理由としては、以下の3つが挙げられる。

①過去の慣習が常態化し、早く帰りづらい雰囲気ができている
②社内アンケートによると、定時(17時)時点で仕事が終わっている社員が85%であった
③採用の観点から、求職者が会社を選ぶ際に残業時間を気にする割合が、5年前に比べて12.3ポイントも上がっている

◆悪い例
今後、社内の残業可能時間を削減する。

理由としては、以下の3つが挙げられる。

①過去の慣習が常態化し、早く帰りづらい雰囲気ができている
②社内アンケートによると、定時で仕事が終わっている社員が大半だった
③採用の観点から、求職者が会社を選ぶ際に残業時間を気にする割合が増加している

時系列で書かれている

時系列でまとめられた議事録は会議の流れが掴みやすく、意思決定に至るまでの背景が理解しやすくなります。

基本は、会議の流れに沿って情報をまとめていくようにしましょう。

ただし、単に順番通りに情報を並べてしまうと見づらくなるケースもあります。なぜなら、会議の中では議論が行ったり来たりする可能性が高く、必ずしもキレイに時系列では進まないからです。

その際には、次章で紹介するようなフレームワークを使って、話の要点をまとめることを意識してみてください。

必要に応じて図・表などが使われている

議事録は文字だけでまとめる必要はありません。再三になりますが、目的はあくまでも「会議で決まった決定事項を共有する」ことです。

そう考えれば、必要に応じて図・表などを使うことは有効な手段と言えます。

議事録内に無理に盛り込まずとも、別途添付資料とする方法もあります。

議事録をまとめる時のおすすめフレームワーク

いざ議事録を作ろうとすると、ついつい手が止まってしまう…そんな経験をした方も多いのではないでしょうか?

議事録作成をスムーズにするための、3つのフレームワークを紹介します。

PREP法

PREP法とは、

  • Point(結論)
  • Reason(理由)
  • Example(具体例)
  • Point(まとめ)

の頭文字を取ったライティング手法のことです。相手に伝えたい内容を上記の順番に並べて書くことで、結論ありきの分かりやすい文章になります。

一般的な文章

2022年12月4日、営業部の会議が行われた。

C課長が「営業マンの時間の使い方」が問題だと指摘し、社内の調査結果を発表することになった。

営業マンのスケジュールを確認したところ、売上に直結しないような移動時間に膨大な時間を割いていることが判明した。

また、営業成績が良いAさん・CさんはWeb面談を積極的にご提案していることが分かった。その結果、お客様との商談時間を他の営業マンに比べて1日2時間ほど長く確保していた。

2名にヒアリングしたところ、Web面談に切り替えてクレームになったケースは1件も無いとのことである。

この結果を踏まえて、今後お客様との打ち合わせは、原則「Web面談」をご提案することが決まった。

具体的な対策として、2022年12月21日(水)17時までに、各営業マンからお客様へWeb面談のご提案を一通り行うものとする。なお、Web面談に抵抗を示されるお客様がいた場合、都度上司に相談すること。

◆PREP法による文章

2022年12月4日、営業部の会議が行われ、以下のことが決定された。

・今後お客様との打ち合わせは、原則「Web面談」をご提案すること

上記が決定された理由としては、社内の営業マンのスケジュールを確認したところ、売上に直結しないような移動時間に膨大な時間を割いていることが判明したためである。

同調査では、営業成績が良いAさん・CさんはWeb面談を積極的にご提案していることが分かった。その結果、お客様との商談時間を他の営業マンに比べて1日2時間ほど長く確保していた。

2名にヒアリングしたところ、Web面談に切り替えてクレームになったケースは1件も無いとのことである。

今後の具体的な対策として、2022年12月21日(水)17時までに、各営業マンからお客様へWeb面談のご提案を一通り行うものとする。なお、Web面談に抵抗を示されるお客様がいた場合、都度上司に相談すること。

5W1H

5W1Hとは、

  • What(何を)When(いつ)
  • Where(どこで)
  • Who(誰が)
  • Why(なぜ)
  • How(どのように)

の略で、情報を整理するためのフレームワークとしてよく知られています。

上記のフレームワークに当てはめながら情報を整理することで、過不足なくまとめることができます。

  • 会議名(What)
  • 日時(When)
  • 場所(Where)
  • 出席者(Who)
  • 議題(Why)
  • 決定事項(How)

空・雨・傘

世界的に有名な大手企業「マッキンゼー・アンド・カンパニー」などのコンサルティング業界でも積極的に用いられているのが「空・雨・傘」フレームワークです。

これは、

  • 空を見上げると、空は曇っている(=事実)
  • 「雨が降りそうだ」と気付く(=事実の解釈)
  • 傘を持って出かけた方が良さそうだ(=判断)

といった具合に、「事実→事実の解釈→判断」の順に思考を整理することを意味します。

このフレームワークに当てはめることで、見ている側としてもどこまでが事実で、どこからが意見なのかを明確にすることができます。

議事録を取りやすくなる便利ツール3選

議事録を取る際にはツールを使うのも1つの手です。知っておくといざという時に役立ちますので、ぜひチェックしてみてください。

情報整理がしやすいStock

複数回の会議を重ねていくと、過去の議事録がどこかにいってしまったというトラブルも起こりかねません。

そこでおすすめなのが、StockというWebサービスです。チームで共有したい情報を分かりやすくストックしていくことができます。

チャットのように情報が流れることもなく、フォルダのように管理が複雑にならない良いとこ取りのサービスです。

無料版もあるので、一度試してみることをおすすめします。

音声から文字起こしができるTexter

音声から文字起こしができるTexterというツールもおすすめです。時間がかかるわりに生産性の高くない文字起こしを代わりにやってくれます。

ただし、文字起こしの精度は録音環境に影響を受けるため、あくまでも補足的に活用するのがおすすめです。

メモ帳やICレコーダーなどのアナログツール

議事録作成に適したデジタルツールも多数存在しますが、案外アナログツールも見過ごせません。

会議の要点をまとめるメモ帳は必須ですし、大事な部分を聞き漏らさないためにもICレコーダーは持っておくと安心です。

とは言え、会議後に全ての音声を確認していたら時間が膨大にかかりますので、やはり補足的に使うのがおすすめです。

議事録でミスが発覚したら…

議事録を作成する中で、時には共有した内容にミスが発覚することがあるかもしれません。

その際に、初めに手をつけるべきなのは関係者への報告です。すぐさま誤りがあったことを伝え、訂正したものを共有することを報告しましょう。

最もやってはいけないのはミスを隠すことです。自分では「これくらい大したことないか」と思っていても、他の関係者からすると重要なことは往々にしてあります。同様に、修正してから報告するのもNGです。その間に誰かがタスクを進めている可能性があるからです。

ミスを認めるのは怖いと思う方もいるかもしれませんが、人は誰でもミスをする可能性があります。その点は周りの関係者も理解しているため、むしろミスした後の対応しだいでは評価が上がることすらあります。

「もしミスをしたら、何よりも先に報告」

これだけ覚えておけば、後の対応は上司がフォローをしてくれることもあります。自分一人で抱え込まないことが重要です。

議事録の取り方をマスターして評価アップ

議事録作成の目的は、あくまでも「決定事項の共有」です。

ですから、もし迷ったときには、「誰に・何を・どう伝えればいいのか」と頭を整理して、なるべく簡潔に伝えられるように工夫をすると良いでしょう。

とは言え、それを毎回一からやるのは大変ですので、本記事で紹介したフォーマットを用いながら、下記の手順に沿って準備を進めていくのがおすすめです。

  • 事前準備
  • 会議中にメモ
  • 情報の取捨選択
  • 議事録作成
  • 上司チェック

また、一度作成した議事録をチェックする際には、記事内で紹介したような7つの項目も思い出してもらえると嬉しいです。

  • 内容が明瞭で誰が読んでも理解できる
  • 意思決定の内容と背景がまとめられている
  • 主語・述語がハッキリしている
  • 発言者が明確に記載してある
  • 数字など定量的な要素が入っている
  • 時系列で書かれている
  • 必要に応じて図・表などが使われている

議事録がスムーズに取れるようになれば、様々なシーンで重宝されます。ぜひ、上司からの評価を上げてあなたのキャリアアップにつなげてくださいね。