日経平均株価とは?計算方法や影響力、他の株価指数との違いまで解説

この記事では日本経済の状態を知る指標である「日経平均株価」の基本的な情報について、初心者にもわかりやすく解説します。

日経平均株価とは

日経平均株価とは、日本を代表する企業225社の株価の平均によって求められています。単に「日経平均」「日経225」、英語圏では「Nikkei225」という呼ばれ方をすることもあります。

日経平均株価の算定に利用される225銘柄は、東証一部に上場されている約2,000銘柄の中から売買の活発さや安定性を基準に市場流動性の高い銘柄が選定されています。選定しているのは東京証券取引所ではなく、日本経済新聞社です。

日経平均株価は、東京証券取引所で株式が立会取引されている時間帯に、5秒間隔で算出・配信されています。

日経平均株価の算定に使われる銘柄

日経平均株価は、日本の株価指標として最も知名度の高い株式指標だといえます。一般的に、日本経済の相場全体の傾向を示す指数として、「日経平均株価が上がっていれば日本経済の調子が良い」「下がっていれば景気が悪い」というイメージを持たれがちです。

しかし上でも言ったように、日経平均株価の算定に使われるのは上場されている銘柄全部ではなく、日本経済新聞社という民間企業が選定した225銘柄だけです。

2020年現在、日経平均株価の算定に含まれている主な銘柄は以下です。

化学工業…花王、資生堂など
機械…三菱重工業、クボタなど
食品…味の素、キッコーマンなど
銀行…三井住友、三菱UFJなど
窯業…TOTOなど
自動車・自動車部品…トヨタ自動車など
医薬品…武田薬品工業、エーザイなど
建設…大和ハウス工業、積水ハウスなど
鉄道・バス…東日本旅客鉄道、東武鉄道など
商社…三井物産、丸紅など
精密機器…ニコン、オリンパスなど
保険…第一生命保険など
小売業…セブン&アイ・ホールディングス、ファーストリテイリングなど
不動産…三井不動産、住友不動産など
証券…野村ホールディングスなど
電気機器…ソニー、シャープ、富士通など
繊維…東レ、帝人など
鉄鋼業…神戸製鋼所など
パルプ・紙…日本製紙など
その他製造…大日本印刷、ヤマハなど
石油…出光興産など
ゴム…横浜ゴム、ブリジストン
造船…川崎重工業など
水産…マルハニチロなど
陸運…ヤマトホールディングス・日本通運
ガス…東京ガス、大阪ガス
空運…全日本空輸ANA
電力…東京電力など
サービス業…東宝、ヤフーなど
情報・通信…NTTドコモ、ソフトバンクなど
参考:日経平均採用銘柄の株価一覧

このように日本を代表するような企業の銘柄の株価から、日経平均は算出されています。

ただ「日本を代表する企業の株式」は時代によって変化します

指標としては、途中で銘柄を入れ替えると連続性が損なわれる危険性があります。そのため、当初日経平均株価の対象銘柄は入れ替えを行っていませんでした。

しかし今では指数の連続性を保ちつつも、1年に1回、10月に1~2の銘柄を入れ替えて市場の最新状況の反映を行っています。

この他にも企業の倒産・買収などの事情によって銘柄を組み替えることもあります。

日経平均株価の算出方法

単純に株価を足して225で割ればいい?

平均株価を算出するためには、採用された225銘柄の株価を単純に足し合わせて225で割ればいいのでしょうか。

仮にA社、B社、C社が存在し、それぞれA社200円、B社400円、C社3,000円が株価だったとすると、平均株価は(200+400+3,000)÷3=1,200円となります。これを同じように225銘柄分の株価で計算を行えば平均株価が算出できます。

ただし、実際はこれほど単純ではありません。
実際には上の計算を基にして、「みなし額面による調整」「除数の修正」が加えられています。

みなし額面とは

株価は銘柄によって数十円から数十万円と差が大きく、単純に足し合わせて計算すると、高額な銘柄の値動きの方が日経平均株価に大きく影響してしまいます。

ここで使われるのが「みなし額面」という考え方です。

今はもう廃止されているのですが、2001年の商法改正まで、株式にはだいたい「額面」というものがありました。
これは1株あたりの金額のことで、額面50円なら、1株につき投資家は50円を払って設立を支援したということになるわけです。

額面は企業によって50円ということもあれば5万円ということもありました。実際には50円から1株買えるというわけではなく、50円の株を1,000株、5万円の株を1株という感じで単位ごとに売買が行われていました。

そこで日経平均株価を算出する際には、今も1株の額面を50円として計算する「みなし額面」の方法が取られています。

日本経済新聞社は今も、採用銘柄に対して額面を設定しています。例えばトヨタ自動車のみなし額面は50円、東京電力ホールディングスは500円といった具合です。

たとえば額面5万円の銘柄Aの株価が現在75万円だったとします。
この場合、Aの株価を額面50円に換算し(1,000分の1と考える)、株価を750円として計算するのです。

このようにして、日経平均株価の計算ではそれぞれの株価の影響が調整されています。

除数の修正とは

日経平均株価が誕生した当時は、計算式の分母(=除数)は銘柄数の225でした。

しかしその後、株式分割や会社の併合、採用銘柄の入れ替えなどによって生じた株価変動の影響をなくすために、除数(分母)を調整する必要が出てきました。

その結果、現在の日経平均株価の除数は27.760(2020年7月14日現在)となっています。

最近は大幅な株式分割や併合(1株を100株にする株式分割など)の際は、除数の修正ではなく、みなし額面の変更で対応することも多いようです。

日経平均株価の影響力

日経平均株価は、株価の状況を表す指標ではありますが万能ではありません。約2,000銘柄から225銘柄を選定して算出するのですから、日本の代表的な企業の株価とはいえ、全体の約11%の状態しか反映していないともいえます。

しかし日経平均株価が上がると、一般的に各企業の価値が上がっているととらえられます。企業に資金が集まり、株主に配当金が支払われたり、社員への給与にも反映され、景気が良くなる兆候だと考えられます。
投資家も、株価が上がるのであれば投資を増やそうと、市場にはさらにお金が流れます。

逆に日経平均株価の下落は日本の経済の下落とみなされ、上と逆のことが起こる可能性があります。このように、日経平均株価の変動は社会状況に大きく影響しています。

日経平均株価の最高値・最安値は

最高値(バブル期)

日経平均株価は1989年末に史上最高値3万8,915円をつけましたが、その後バブル時代の崩壊で株価は下がり続けました。

最安値(リーマンショック)

米国の住宅価格の下落をきっかけに、起こったリーマンショックの際(2009年)に、日経平均株価はバブル後の最安値7,054円をつけました。

日本と世界で起こった主な経済危機の原因を解説

2020.04.28

その他の主な株価指数

TOPIXとは

日経平均株価と同様に市場の株価を反映する指数が、東京証券取引所が算出するTOPIX(Tokyo Stock Price Index)です。

日経平均株価が代表的な企業の株価に絞って計算するのに対し、TOPIXは東証一部に上場している全銘柄を対象としているので、日経平均株価と違って、1社の株価に大きな影響を受けません。

現在の全銘柄の時価総額÷基準時価総額×基準値(100ポイント)

で計算します。

ニューヨーク・ダウ(Dow Jones Industrial Average)

  • 時価総額が大きい
  • 企業として極めて高い名声
  • 数多くの投資家からの関心
  • 持続的な成長

などの特性から、アメリカのさまざまな業種の超優良企業を厳選した30銘柄を対象に算出される指標です。日本では「ダウ平均」「ニューヨーク平均株価」などとも呼ばれます。

S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが算出しています。

S&P500(Standard & Poor’s 500 Stock Index)

ニューヨーク証券取引所、NYSE MKT、NASDAQに上場しているアメリカ企業の銘柄から、代表的な500銘柄の株価を基に算出される株価指標です。

こちらもS&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが算出しています。

株式指標の意味や影響を理解しよう

投資をしていない人にとっては、株価や日経平均などの指数を理解する意味もないと思いがちです。

しかし日経平均株価やTOPIXの動きは、日本経済に大きく影響するので、自分自身の仕事や給与などにも影響してきます。

ニュースを聞き流すのではなく、変動の意味や今後起こり得る変化を考えられるようになると、ビジネスパーソンとしての能力アップに役立つでしょう。