自己肯定感とは?「上げよう」とすると下がる理由と効果的な3つの方法

近年、「自己肯定感」という言葉が教育やビジネスの世界でも注目を集めています。

「自己肯定感が高いほど人生や仕事が上手くいく」ということで、Web上にも「自己肯定感をあげよう!」という情報がたくさんあります。

しかし、自己肯定感を上げることはそんなに重要なのでしょうか。
また自己肯定感が上がることのメリットや、上げようと努力しても多くの人が失敗してしまう理由などを解説します。

自己肯定感が低い人の5つの特徴

思考がネガティブ

自己肯定感が低い人と高い人では、同じ物事でも感じ方が大きく違います。

例えば誰かと目が合った場合、普通はそれ以上には受け取りません。
しかし自己肯定感が低い人は「にらまれた」「自分は何か変なことをしたのだろうか」「自分を嫌いに違いない」などとネガティブに想像してしまうのです。

失敗を恐れ、チャレンジできない

自己肯定感が低い人は、新しいことを始める時に「きっと失敗する」と思ってしまいがちです。

また障害が出てきた時にも諦めやすく、実際に物事を完遂できない傾向にあります。それにより、また自己肯定感が下がるという悪循環です。

失敗やリスクを正しく恐れることは悪いことではありませんが、根拠のないマイナスな思い込みでチャンスもつぶしてしまうのです。

人と比較して苦しむ

自己肯定感が低いと、何でも自分と人を比較してしまいます。

「自分もあの人のようになりたい!」と、前向きに行動する理由になるならよいのですが、自己肯定感が低いと自分は劣っているという思い込みになります。
自分の方が優れている点があっても、そちらに目を向けることはできません。

人からの誉め言葉も素直に受け取れないため、いくら実力があり成果が出せても心が満たされることはありません。

周囲に依存してしまう

自分に自信がないので、周囲の意見に左右され、自分に関する決定ですら他人の考えに依存してしまいます。

またその決定にしたがって良くない結果が出た時には、自分が決めたことではないので「あの人が悪い」と被害者意識を持ちます。自分の人生の主導権を握ることができないのです。

不当な要求にも耐えてしまう

自己肯定感が低い人は、ブラック企業などの不当な条件でも耐えてしまう傾向があります。

自分に自信がないので、「ここを離れたらどこにも行けないかもしれない」と不安を感じてしまうのです。

または、どんなに仕事がきつくても「自分がいないと職場が回らない」などと、自分より環境を優先して頑張りすぎてしまいます。

自己肯定感とは

自分自身に満足して価値がある存在として受け入れている状態が、自己肯定感が高い状態と言えます。

この時に重要なのは、価値に条件をつけないことです。

・自分はこの能力があるから価値がある
・自分は人より優れているから価値がある

という評価ではなく、たとえ何もできなくても、そのままの自分自身で価値があると感じられるのが自己肯定感の高い状態です。

そのため今の自分に満足し、「自分は自己肯定感が高い」と思っている人の中でも、周りの評価や状況が変われば大きく認識が変わる場合もあります。

自己肯定感が高いことのメリットとは

自己肯定感が高い人は、自分と同様に人を大切にできます。
またその時に無条件に相手の価値を認められるために、たがいを尊重しあえる関係性を築けます。

人の意見を聞くこと・受け入れることに対してもポジティブです。
あくまで人生の主導権を持っているのは自分なので、人の意見を聞いたとしても決定は自分の責任で行うと考えているからです。

失敗しても自分の本質的な価値が減るわけではないと考えるので、果敢に新しいことにチャレンジできます。

またこれらの結果として、自己肯定感が高いと、

  • 家族や友人との良好な人間関係
  • ビジネスなど社会的な成功

などが得やすくなります。

自己肯定感が低くなってしまう原因は?

過去の失敗により心に傷がある

親や学校などの外部からの評価でしか自分を見てもらえなかった人は、自己肯定感が低くなりがちです。

「自己肯定感を高めるには褒めることが大事」と言われるのは一部間違っていて、点数などの結果を褒めると、こどもは「その結果を出した自分に価値がある」のだと、価値に条件付けをしてしまいます。

結果を褒めるのではなく、頑張ったことを褒めるべきというのはこの点から重要です。点数は自分自身のコントロールが及びませんが、頑張ったことは自分自身の行動だからです。

例えば学校の成績がずっとよく親が喜んでいたのに、いつからか成績が落ちてしまった。

そんな時、特に親から責められることがなくても、自分の中で自己肯定感が落ちてしまうのです。これは、学校の成績が良かった自分に価値を持っていたからです。

人間性を無視されたり傷つけられたりした経験がある

いじめや虐待を受ける・無視されるなどの仕打ちを受けながら我慢し続けていると、自己肯定感は失われていきます。

家族や学校、友人に対して助けを求めても取り合われないと、人に対する不信感が募りついには外部に助けを求めることもできなくなります。

ついには「このような仕打ちを受けるのは、自分に価値がないからだ」と思い込んでしまった方が耐え続けるには都合がよくなってしまうのです。

自己肯定感は大人になってから高くならない?

これらの特性から、確かにビジネスで成果を出すためには自己肯定感が低いことは悪いことに作用する可能性があります。また何より本人に取って辛い状態です。

自己肯定感は、子どもの頃の親の接し方なども大きく影響すると言われますが、それでは大人になってからではどうしようもないのでしょうか?

実はそんなことはなく、自己肯定感は大人になってからの取組みで高めることが可能です。

自己肯定感が低いと思ったらやる3つのこと

では、大人になってから自分の自己肯定感を高めたいと思ったら、毎日どのようなことに気をつけて過ごせばよいのでしょうか。

自分を客観的に見る

自分の自己肯定感が低いと思ったら、まずは自分の状況を客観視してみることが大事です。

たとえばもし自分の悩みについて、友だちが同じ内容を相談してきたらどのように答えるか考えてみるのです。

「最近、恋人がかまってくれない」
という悩みがあるとして、自分ひとりで考えていると、

「私のことが嫌いになったんだ」
とネガティブな決めつけをしてしまうかもしれません。

しかし同じ内容を友だちに相談されたと考えたら、

「相手にも事情があるかもしれない」
「まずは理由を聞いてみるべきだ」

と、客観的な視点や取るべき行動について気づくことができます。

いきなりポジティブ思考に変わろうとするのではなく、まずはありのままを正しく認識することから始めましょう。

口から出す言葉に気をつける

自分の発する言葉に注意しましょう。

  • 褒められても「そんなことない」と否定せず「ありがとう」と言う
  • 納得できないことに対してすぐに自分を悪者にして謝らない
  • 「バカ」「何でできないんだ」など独り言でも自分を罵倒しない

自分の言葉は誰よりも自分自身が聞いているものであり、無意識のイメージを脳に植え付けてしまいます。
これらの口癖があるのであれば意識して直しましょう。

自分の気持ちを優先する

自己肯定感が低いとどんな時も他人を優先するので、自分にとって嫌なことを断れません。
しかし、実際には多少自分を優先してもそれほど大きな影響が出ないことも多いです。

少しずつ自分の嫌なことを避けて、やりたいことを優先していきましょう。

  • 行きたくない飲み会や集まりは断る
  • 笑いたくない時に周りの空気を優先して笑わない
  • リフレッシュのために休みたい時は休む

これによって環境や周りの人が変わるかもしれませんが、それでも近くにいてくれる人はあなたにとってより心地いい人になるでしょう。

実は自己肯定感なんて「どうでもいい」?

ここまで自己肯定感を上げるために効果的なことを書きましたが、実は自己肯定感は「上げよう」とすると逆に下がってしまう、というやっかいな性質があります。

なぜかというと、「自己肯定感を高めよう」「自己肯定感が高くないとだめだ」という考え自体が、「条件付きの自分の価値」になってしまうからです。

また自己肯定感を高める行動についても、上手くできないと「やっぱり自分はだめなんだ!」という考えになってしまいます。

本当は「自己肯定感なんて低くてもいい」「自分の価値に関係ない」という状態の方が自己肯定感も上がっているのです。これが非常に難しいところです。

自己肯定感は「上げよう」としないことで結果的に上がる

自己肯定感は無理に上げようとすると、逆に下がってしまうので、まずはマイナスの思い込みを止めて客観的になるように努めましょう。

自己肯定感の低い人には、ネガティブな思考の癖や悪い習慣がついていることが多いので、それだけは意識的に直すとして、自己肯定感を上げよう!とまで思わなくも大丈夫です。

自己肯定感を上げよう!そうしないと幸せになれない!という思い込みの方が毒です。

そもそも「自己肯定感が低いことが悪い」というわけではないですし、体調や日によって違うこともあります。

自己肯定感を低くしている習慣だけは意識して見直し、その他は自分の自然体で過ごすことが結果的に自己肯定感を育むことになるのです。