会社勤めより独立して仕事をしたい、そう思ったことがありませんか?
会社で働いていると、以下のような悩みや不満を持つ人がいます。
- 給料やボーナスが低い
- 効率の悪いやり方を押しつけられ、やりたいように仕事ができない
- 毎日、怖い上司に会うのがとにかくストレス
このような不満があっても、安定した収入のために会社員として働く人は多いです。
しかし現在、終身雇用制は崩壊しつつあります。以前、サントリーの社長が「45歳定年制」について触れたことも、世間に大きな衝撃を与えました。
大企業でさえも「安定」が保証されない時代。
「それなら、ガマンして働く意味もないし、独立して自分の好きな場所で好きなことをしたい」と考える人が増えてもおかしくありませんよね。
ただ独立には収入の保証がないなど大きなリスクがあります。
独立に失敗すると。多額の借金を背負ってしまったり、前の会社よりも、悪い条件で再就職したりすることになりかねません。
この記事では、独立に失敗しやすい人の特徴や、独立するための具体的な方法についてお伝えします。
「独立」は、あなたの人生を大きく左右する大きな決断です。とりかえしのつかない失敗をしないためにも、かならずこの記事を読んでください。
目次
独立とは、自立した経営者になること
独立とは、自立した経営者になることです。
実は、税務署に開業届を出してしまえば、「書類上の独立」は、すぐにできます。しかし、独立で本当に難しいのは、自立した経営者として、利益を出し続けることです。
コロナ禍など、世の中の急激な変化があり、窮地に追い込まれることがあったとしても、自立した経営者として対応していかなければいけません。
独立のメリットは自分の好きなペースで仕事ができること
さきほと独立の厳しい現実について、少しだけお伝えしました。しかし、リスクを受け入れたうえで結果を出した人は、それに見合った独立のメリットを受けることができます
独立のメリットとして、真っ先に挙げたいのが「自分の裁量で自由に仕事ができること」です。やり方しだいでは、自由な時間や会社員時代の倍の収入を稼ぐことも可能です。
独立には、下記のようなメリットがあります。
- 働く時間、働きかたを自分で決められる
- 職場の上司、先輩といった人間関係に縛られることがない
- 会社員では身につかない、経営者の考えが身につく
独立のデメリットは収入の保証がないこと
独立にはメリットがある一方で、当然デメリットもあります。
独立の一番のデメリットは、収入の保証がないことです。売上がゼロであれば、どれだけ朝早くから夜遅くまで仕事をしたつもりでいても、「収入はゼロ」です。
収入がなくても、家賃などの固定費は支払い続けなければいけませんし、借金をしていれば返済しなくてはいけません。
独立したら、こうしたプレッシャーと戦いながら、売上を上げるための行動をとりつづける必要があります。
会社員であれば、ただ言われたことをこなしていれば、収入が入ってくることもありますが、独立した場合そういうわけにはいきません。
独立には、以下のようなデメリットになります。
- 収入の保証がないので、プレッシャーになることがある
- 売上が上がらなくても、固定費はかならず発生する
- 失敗したら多額の借金を背負うリスクがある
独立に失敗する人 4つの特徴
さきほどメリットだけでなく、デメリットについてもお話しました。それでも独立は、魅力的ですよね。
でも、絶対に失敗する人というのがいます。あなたは、以下の4つの特徴に当てはまりませんか?
- 初心者には “無理ゲー” なビジネスに手を出している
- 「独立したい」だけが先走っている
- 商品やサービスの売り方の知識がない
- メンタルが弱い
では順に見ていきましょう。
初心者には “無理ゲー” なビジネスに手を出している
初心者にはハードルが高いビジネスをやろうとしているケースです。具体的には、粗利が低く、回転率を上げにくいビジネスです。
その代表例がカフェです。田舎でおしゃれな個人経営のカフェなんか憧れますよね。しかし、カフェは客単価や回転率を上げにくいため、難易度の高いビジネスの1つと言われています。
もしあなたがカフェに入る機会があれば、客がどんな注文をしているのか、ぜひ観察してみてください。おそらく「1000円以下」の注文のお客さんがほとんどだと思います。
大手コーヒーチェーンのドトールコーヒーショップの平均客単価は「400円弱」と言われています。これだけ平均客単価が低いのにもかかわらず、2020年の営業利益率は7.84%でした。
これがビジネスとして成り立っているのは、大手の資金力にくわえ、高集客力・高リピート率・知名度・好立地・といった、勝つための徹底したビジネス戦略があるからです。
個人が経営する場合、大手と違う土俵で戦う必要があり、その生命線とも言えるのが客単価です。しかし、カフェだと客単価を上げにくいのが特徴です。
また、客単価が低ければ回転率やリピート率を上げる必要がありますが、それには資金力のある大手の方が圧倒的に有利になります。
初心者がカフェのような「粗利が低く回転率を上げにくいビジネス」に手を出すと、相当厳しい戦いになると思ってください。
スキルがない状態でチャレンジする
独立したい願望だけが先走ってしまい、スキルがないのにかかわらず、チャレンジしているケースです。
たとえば、前職がエンジニアだった人間が、素人の状態からいきなりラーメン屋にチャレンジしたとしましょう。
ラーメン屋は「調理技術をそこまで要求されない」「原価もあまりかからない」「回転率も良い」といったイメージがありますよね。
しかし、株式会社シンクロ・フードがおこなった調査によると、ラーメン屋は「1年以内に40%、3年以内に70%が廃業する」という厳しい現実があきらかになっています。
参考:閉店したラーメン店、4割がオープンから1年以内に営業終了。飲食店で閉店しやすい業態とは?
ラーメン屋は、脱サラして参入しやすいイメージがありますが、初期投資は最低でも1000万円以上かかります。
さらに、自分より経験が豊富な「百戦錬磨のオーナー達」を相手にビジネスをしていかなくてはなりません。あなたが新規に出店したら、おそらく競合も何か手を打ってくるでしょう。
独立したいという熱意は、行動をするためのエネルギーにはなりますが、それだけでは通用しないのがビジネスの世界です。
集客や売り方の知識がない
お客さんにお店に来てもらったり、商品やサービスの売り方の知識がなかったりする場合は、失敗する確率が高くなります。
どんなにいい商品・サービスがあったとしても、お客さんが来てくれないのであれば、利益の出しようがないからです。
また、初心者がFC(フランチャイズ)でビジネスを始める場合も同様です。自分の店の売上が大きく落ち込んでも、FCの担当者がつきっきりでフォローしてくれるとは限らないからです。
FCであっても、本部に依存せずに集客や売り方の知識を持っておいたほうが無難です。
メンタルが弱く経営者として冷静な判断ができない
メンタルが弱いと、独立にあたってさまざまなデメリットがあります。
たとえば、経営が苦しいときに、そこであきらめてしまったり、冷静な判断ができなかったりするからです。
売上がピンチになっても、経営者として冷静に状況を判断し、改善するためにアイデアを出したり、淡々と行動したりするだけのメンタルが必要になります。
そのほかにも、人の目が気になって売るための行動をためらったり、人間関係でトラブルをかかえやすかったりするなど、デメリットははかりしれません。
ビジネス初心者なら、独立前にやっておくべきこと
ここまでで、「独立のメリット・デメリット」や「独立に失敗しやすい人の特徴」などがおわかりいだけましたね。
ではここからは、ビジネス初心者なら独立する前に失敗しないためにも絶対にやっておきたいことについて、9つほどご紹介します。
自分のスキルの棚卸しをする
自分のスキルの棚卸しをしてみましょう。以下のような観点から、紙に書き出してみてください。
- 過去のアルバイトを含め、今までどんな仕事をしてきたか?
- 自分はどんなスキルを持っているか?
- どんなことに興味を持っているか?
独立にあたっては、やりたいことも大事ですがスキル軸で考えたほうが結果を出しやすくなります。
独立したいジャンルでのリアルな話を聞く
独立したい分野で成功した人や失敗した人からは、できるだけ話を聞いてみましょう。
ネット上では得ることのできないリアルな情報を得ることで、より具体的なイメージを持つことができるからです。
「FC(フランチャイズ)説明会では、儲かりそうなことを言っていたけど、実際にやっている人の話しを聞いてみたら、まったく儲かっていなかった」なんて可能性もあります。
注意点としては、成功した人が、貴重な時間をあなたに時間を割いてくれる保証はないということです。あと失敗した人に対しても、きちんと敬意を払って話を聞くようにしましょう。
ロールモデルを見つける
ロールモデルとは、自分のビジネスにおいて、手本とすべき存在のことです。ロールモデルのやり方を真似できれば、当然、成功の確率は上がります。
気になった本の著者や、セミナー、ブログなどからロールモデルを見つけてみましょう。もしセミナーをおこなっているのであれば、懇親会などで直接話を聞いてみましょう。
可能なかぎり副業からテストする
会社が副業OKなのであれば、副業からスタートするのが、リスクが少なくもっとも安全です。最小限の金額でテストできるうえに、独立してやっていけそうか判断しやすいからです。
リスクの高い飲食店であっても、内装の整った店舗を1ヵ月単位のレンタルサービスなどを使って安い金額でテストすることができます。
またスキルがないことにチャレンジする場合は、講座などで学んでスキルを身につけてから、実際に副業で稼げるかテストしてみると、リスクを減らすことができます。
情報を集めて、どのくらいのお金がかかりそうか計算する
情報を集めて、独立に必要なお金がどのくらいになりそうか、できる限りこまかく計算してみましょう。
FCの場合、ある程度こまかい数字を教えてくれますが、それでも完璧な数字でないかもしれません。
FCの本部に質問するだけでなく、コンサルタントに相談してみたり、実際にやっている人に確認してみたりするのがおすすめです。
なぜ、ここまでこまかくチェックする必要があるのかというと、いざ独立したら、その瞬間からあなたの収入は保証されなくなるからです。
予想外の出費も想定しながら、自己資金をためる
予想外の出費も想定しながら、自己資金をためておきましょう。
できれば、開業資金以外にも、1年くらい収入がなくても生活できるくらいの自己資金はほしいところです。
資金は、企業にとっての体力のようなもので、売上が思うように上がらなくても、耐えしのぐことができるからです。
事業用の通帳を作る
独立するのなら、事業用専用の通帳を作っておきましょう。事業用専用の通帳を作っておくと記帳がラクになるからです。
また税務署からの調査があった場合も、専用の通帳がないと「管理がルーズでずさんだ」との悪い印象を与えてしまいます。
通帳を作るときは、取引先が使っている銀行など、自分のビジネスにあった銀行を選ぶといいでしょう。
通帳だけでなく専用のクレジットカードも作っておくと、ガソリンを入れたりするときに便利です。
最低限の会計に関する知識を持っておく
独立当初は、利益を出すことが第一優先にすべきですが、自分のビジネスに関わる最低限の会計の知識ぐらいは持っておいたほうがいいでしょう。
確定申告は1年に1回かならずやらなければいけないからです。
自分のビジネスでよく使う取引科目ぐらいは覚えておくといいでしょう。有料の会計ソフトが便利でおすすめです。簿記の知識がなくても、フォーマットにしたがって打ち込んでいけば問題ありません。
また、開業に関わる費用は、開業費として計上できるので、レシートや領収書などはきちんととっておきましょう。
開業届を出すための準備をしておく
開業届の書類をある程度記入しておき、いつでも出せるように準備しておくのがおすすめです。特に店舗をかまえて独立する場合は気をつけてください。
店舗の内装、看板、広告のデザインの業者とのやりとりなど、いろいろなことが開業日に向けてすべて同時進行で進んでいきます。
税務署へ出向くヒマもないほど忙しくなることもあるので、開業届はいつでも出せるようにしておきましょう。
ビジネス初心者が独立するための3つの方法
ビジネス初心者が独立するためには大きくわけて以下の3つの独立の方法があります。
前職と同じ仕事で独立する
前職と同じか、今までに稼いだことのある仕事で独立するケースです。独立には失敗はつきものですが、前職での経験があればあるほど、成功する確率が高くなります。
なぜなら、独立後にどうやって稼いでいくのかが具体的にイメージしやすいからです。
たとえば、現在、美容師をしていて新たに独立をしたり、電気工事をしていて、新たに電気工事の会社を作ったりするケースです。
また前の会社と円満な退職をしておけば、下請けとして仕事をもらうことにもつながりますよ。
FC(フランチャイズ)での独立
FC(フランチャイズ)とは、「パッケージ化されたビジネスモデル」が商品となっているものです。
「自分にはビジネスのノウハウがないけど、自己資金をもとに独立をしたい」。そんな人にとっては、独立の有力な選択肢の1つといえるでしょう。
なぜならビジネスの立ち上げから、立ち上げ後のサポートが多少は期待できるからです。
FC本部に対しては、加盟金や月々のロイヤルティを払うのが一般的です。多額の資金を必要とする法人向けと、個人向けのFCのビジネスがあります。
ただし安易にはじめると「まったく稼げないし、自分に向いていなかった」ということになりかねないので、FCの運営実体はきちんと調べましょう。
また、契約満了前にやめてしまった場合は、多額の違約金が発生することがあるので、事前に確認しましょう。
またFCといっても、初心者の意識は捨てて、自立した経営者としてビジネスとして取り組む必要があります。それはなぜかというと、FC本部との対等なビジネスパートナーとしての関係を築きにくいからです。
スキルを身につけ、副業で軌道にのったら独立
自分で独立してみたい分野に関して、現在スキルはないけど、講座やセミナー、書籍などで勉強し必要なスキルを身につけてから副業としてスタートするやり方です。
副業の収入が、本業並みに入ってくるのであれば、独立へ向けての将来は明るいといえます。
また本業として厳しそうであれば「やはり、独立はやめておこう」という判断ができるため、リスクを抑えることができます
たとえば、Web系のフリーランスとして独立したいのなら、講座で学んで、小遣い程度の収入を稼ぐことからスタートしてみるのがいいでしょう。
独立する人ならゼッタイ知っておきたい「青色申告」とは
青色申告とは、税制上大きなメリットが受けられる確定申告のシステムのことです。
たとえば、所得が400万であれば“約20万円”税金が安くなります。これは大きいですよね。
ただし、青色申告の申請期限は、開業届を出したうえで「3月15日まで」となるので注意してください。
一番節税効果が高いのが、e-taxを利用したり、電子帳簿保存法にもとづいて帳簿の作成をしたりすることです。いずれも事前承認が必要で、電子申告等開始届出書の提出や、マイナンバーカードなどが必要となります。
青色申告での帳簿のつけかたは複式簿記とよばれるやり方です。現在では会計ソフトが充実しているので、そのフォーマットにしたがって打ち込んでいけば大丈夫です。
税務署や商工会議所で、帳簿つけかたの指導を定期的にしているので、チェックしみてくださいね。
独立には、事前の準備が不可欠
独立には、事前の準備が不可欠です。なぜなら、独立には収入の保証がないなどの大きなリスクがあるからです。
独立に失敗しないためにも、以下の項目は必ずチェックしてみてくださいね。
- 自分のスキルの棚卸しをする
- 独立したいジャンルでのリアルな話を聞く
- ロールモデルを見つける
- 可能なかぎり副業からテストする
- 情報を集めて、どのくらいのお金がかかりそうか計算する
- 予想外の出費も想定しながら、自己資金をためる
- 事業用の通帳を作る
- 最低限の会計に関する知識を持っておく
- 開業届を出すための準備をしておく