ワーケーションをどこよりも分かりやすく!向いている職種や準備するべき環境も解説

最近、注目を集めている新しい働き方「ワーケーション」。

何となく言葉は聞いたことがあるけど、具体的にイメージが湧かないという方も多いのではないでしょうか。

実は今、国の後押しもあり、ワーケーションは各企業で積極的に取り入れられ始めています。

そこで今回は、ワーケーションの概要や具体例を紹介しながら、実施するまでに必要な準備内容についても紹介していきます。

「好きな時に、好きな場所で、好きな仕事がしたい」と考えている方は、ぜひご一読ください。

ワーケーションは「ワーク」×「バケーション」の造語

ワーケーションとは、「ワーク」と「バケーション」を合わせた造語で、観光地や帰省先などで休暇を楽しみながら仕事をすることを意味します。自宅で行うテレワークとは異なり、いつもと違う場所で仕事をするのが特徴です。

新型コロナウイルスの影響でテレワークが広まったことで、会社でなくても仕事はできるという認識が広まり、注目を集めている働き方です。

SNSでも、テレワークをしている様子を投稿する人が多く見受けられます。

働き方の多様性が広がっている現代だからこそ、多くの企業や個人が実践し始めています。

ワーケーションを取り入れる企業も増えている

実際、ワーケーションを取り入れる企業も増えてきています。

ここでは、具体例を紹介します。

ワーケーションを取り入れて間接部門の有給取得率アップ(日本航空株式会社)

日本航空株式会社では、2015年から働き方改革に取り組み始めました。しかし、休暇明けの仕事への不安やストレスから、間接部門の社員の有給取得率が低いことが問題視されていました。

そこで、休暇中に旅先で仕事ができるように、休暇型のワーケーションを導入し、間接部門の社員の有給取得率が向上しました。

テレワークを特別視しない(日本マイクロソフト株式会社)

日本マイクロソフト株式会社では、そもそもテレワークを特別視する制度設計になっていません。

つまり、出社をするのが通常で、テレワークは特別という枠組み自体を無くし、「いつでもどこでも誰とでも」というコンセプトのもと、自由な働き方ができるようにしています。

働く時間も場所も自由にして社員のモチベーションアップ(ユニリーバ・ジャパン)

ユニリーバ・ジャパンは、2016年7月に働く場所や時間を社員が自由に選べる新しい働き方「WAA(ワー)」(Work from Anywhere and Anytime)を導入しました。

平日5時から22時の間であれば、勤務時間や休憩時間は自由で、1日の労働時間は決めずに、1ヶ月の所定労働時間を設け、労働時間が足りない月があれば翌月に調整して所定労働時間を満たすといったやり方で進めています。

ワーケーションが注目されている背景

ワーケーションを取り入れる企業は少しずつ増えていますが、ここまで注目を集めている背景は何なのでしょうか。

この章では、ワーケーションの歴史を振り返ってみましょう。

2000年代のアメリカが発祥

ワーケーションは、2000年代のアメリカが発祥とされています。当時のアメリカでは有給取得率が低いことが問題視されており、その対処法として取り入れられました。

ちょうどインターネットが普及した頃でもあったため、リゾート施設やホテルに「ビジネスセンター」が設置され、多くの人がワーケーションを取り入れました。

日本では働き方改革の推進が引き金に

日本においては、働き方改革が大きなきっかけになったとされています。

過去の日本を振り返ると、「24時間戦えますか」というキャッチコピーが新語・流行語大賞にランクインされるなど、長時間働くことが美徳とされる時代もありました。

そんな中、法律による規制が入ったことで、各企業も働き方の改革に取り組まざるを得ない環境になりました。また、その流れに拍車をかけるかのように、新型コロナウイルスの影響でテレワークが広まったことで、より一層、ワーケーションに対する意識が向上しました。

国もワーケーションを後押し

ワーケーションの導入にあたっては、国も後押しをするような施策を行っています。

例えば、環境省は、国立・国定公園、国民保養温泉地のキャンプ場・旅館・ホテル等の事業者、観光地域づくり法人、地域協議会等に対して、ワーケーションツアー等の実施のための企画・実施費用の支援を行っています。

これによって、ワーケーションを実施するためのインフラが整い、地域の活性化にもつながります。

ワーケーションのメリット・デメリット

この章では、ワーケーションを実施するにあたって、それぞれの立場でのメリット・デメリットをまとめてみました。

①従業員やフリーランスにとってのメリット・デメリット

従業員やフリーランスなど、働き手にとってのメリット・デメリットは、以下の通りです。

メリット デメリット
長期休暇が取れる オン/オフの切り替えが難しい
働き方の選択肢が広がる 環境が整っていない可能性もある
気分転換になる

メリット

・長期休暇が取れる
休暇中も仕事ができるため、以前では取れなかったような長期休暇も取得できます。そのため、これまでは行けなかった場所に行けるなど、より充実した旅行を楽しめます。

・働き方の選択肢が広がる
ワーケーションを取り入れることで、働き方の選択肢が広がります。同じ仕事をするにしても、働き方の選択肢が広がるだけで、人生の充実度が向上していきます。

・気分転換になる
いつもと違った環境で仕事ができるため、気分転換になります。物理的に環境が変わるため、新しいアイデアも出やすいです。

デメリット

・オン/オフの切り替えが難しい
人によっては、仕事と休暇の切り替えをすることが難しい場合もあります。特に、誰かに見られてないとやれないタイプの人にとっては、気持ちの切り替えが難しい傾向にあります。

・環境が整っていない可能性もある
ワーケーションを実施するうえで必要な環境を、自ら整えなければいけない可能性もあります。どんな準備が必要かについては後述します。

②会社にとってのメリット・デメリット

会社にとってのメリット・デメリットは、以下の通りです。

メリット デメリット
企業PRになる 勤怠管理が大変
社員の満足度向上 導入/運用コストがかかる
社員の生産性向上 セキュリティ上の問題
地域との関係性構築

メリット

・企業PRになる
ワーケーションの取り組みをアピールできれば、企業としては採用力がアップします。

・社員の満足度向上
働き方の選択肢が広がることで社員の満足度が向上し、結果的に会社に定着してくれる社員が増えるきっかけになります。

・社員の生産性向上
ワーケーションによって社員からいつもと違う発想が出たり、効率の良い働き方で生産性が向上したり、結果的に企業の利益に直結するメリットも得られる可能性があります。

・地域との関係性構築
ワーケーションを行う施設として特定の地域を優遇することで、その地域との関係性が向上します。結果的に、会社が新しい事業を展開する際にも、優遇してくれる可能性が高くなります。

デメリット

・勤怠管理が大変
働き方が多様になるほど、勤怠管理は複雑になります。ただし、最近ではPCのログをもとに勤怠を管理するなど、管理方法も進歩しているため、以前に比べると労力が少なくてすみます。

・導入/運用コストがかかる
勤怠システムの導入や、ワーケーションを行う場所の選定、セキュリティ上の対策など、企業としてワーケーションを実施するにあたって、運用コストが発生します。

・セキュリティ上の問題
企業がワーケーションを実施するにあたって、最も懸念するのが情報漏洩でしょう。社内の秘匿性の高い情報を外にさらすことになるため、社員のモラルに頼らない、セキュリティ対策が必須です。

③地域にとってのメリット・デメリット

働き手を受け入れる地域にとってのメリット・デメリットは、以下の通りです。

メリット デメリット
旅行需要の創出 インフラを整えるのにお金と時間がかかる
地域経済の活性化

メリット

・旅行需要の創出
これまでは休日しか旅行客が来なかったような地域も、ワーケーションが広がることで平日の旅行需要が創出されます。

・地域経済の活性化
旅行需要の高まりと比例して、地域の飲食店などでお金を使う旅行客も増えるでしょう。その結果、地域経済全体が活性化します。

デメリット

・インフラを整えるのにお金と時間がかかる
ワーケーション需要がある企業や個人を呼び寄せるには、観光資源の他に、ワーケーションが実施できる空間の準備が必要です。施設を準備するために、お金や時間がかかります。

ワーケーションにはどんな仕事が向いている?

ワーケーションに向いている仕事としては、IT関連業や、企画職など、PC1つで業務が成り立つものが挙げられます。

ただし、新型コロナウイルスの影響でテレワークが浸透し、これまでは客先に訪問していた営業マンもWeb会議で済ませるなど、ワーケーションが取り入れられる幅は広がっています。

逆に、飲食業のように現地でなければできない仕事もあるため、全ての仕事に適用できるわけではありません。

ワーケーションに必要な環境は?

最後に、ワーケーションを実施するうえで最低限必要な環境を紹介します。

・ネット環境
ワーケーションを実施するうえで、ネット環境は最も重要と言っても過言ではありません。最近では携帯のテザリング機能を使ってネットにつなぐこともできますが、安定した環境を準備しようと思えば、有線で接続するのがおすすめです。

また、パスワードが滞在者に開放されている公衆向け無線Wi-Fiを使用できる場所もありますが、セキュリティ面の不安があれば、ポケットWi-fiが便利でおすすめです。

ただし、普段自宅で使っているパケットWi-Fiを持っていこうと思うと、サービス提供エリアが違って使えない可能性があるので注意が必要です。

オンラインでの会議が多い場合や大容量のデータを扱う場合など、仕事の特質に合わせて通信速度も確認しておきましょう。

・机・椅子
机や椅子も、ワーケーションをするうえで重要な装備の1つです。

基本的には滞在先の机・椅子を使うことになりますが、ガタガタしていたり小さかったりすると集中できません。ワーケーションの期間によっては、机・椅子を購入したり、レンタルして環境を整えることが必要です。

オフィスチェアの個人向けレンタルサービスも非常に充実しています。
https://news.mynavi.jp/kagurental/furniture/office-chair.html

また、腰への負担を軽減するクッションなどもあるため、滞在先の椅子が体に合わない時にはグッズを活用してみるのも良いでしょう。

ガタつく机や椅子では、業務に集中できません。気持ちを切り替えるためにも、キチンとしたものを整えたいものです。

・滞在施設
休暇を過ごす滞在施設も重要です。

ワーケーションのバケーション部分を重視すると、自然豊かな場所を思い浮かべがちです。しかし、あまりに度が過ぎるとバケーションには良くてもワークにまったく向いていない場所を選んでしまう可能性があります。

最初は少々のトラブルがあっても別の方法でリカバリーが可能な、地方都市などを選んで始めるのが無難です。滞在施設についても、仕事をする時は集中して取り組めるか、防音などの設備面や時間帯による環境の変化など、あらかじめ確認しておきましょう。

慣れてきたら未開の地に挑戦するのもありですが、初めは多くの人がワーケーションをしている場所を選ぶのがコツです。

・滞在費用
旅行中の滞在費用も事前に調査をしておくべきです。特に注意が必要なのが、宿泊費以外のバケーションを楽しむための費用です。特にワーケーション中、自炊をしないのであれば、全て外食となり食費がかさみます。

想定外の支出で滞在中食事を我慢しなければならないとなれば、ワーケーションの楽しさも半減でしょう。一食いくら位かかりそうか、周囲にどんな飲食店があるか、滞在先の設備的に自炊は可能かなど、予め調べておくと良いでしょう。

ワーケーションを駆使してあなたらしい働き方を

今回は、新しい働き方として注目を集めている、ワーケーションについて取り上げてきました。

2000年代のアメリカが発祥と言われていますが、働き方改革を機に、日本でも多くの企業が取り入れ始めています。

働き手としては、以下のようなメリット・デメリットがあることを紹介しました。

メリット デメリット
長期休暇が取れる オン/オフの切り替えが難しい
働き方の選択肢が広がる 環境が整っていない可能性もある
気分転換になる

また、ワーケーションを実施するうえで最低限必要な環境として、以下の点を押さえておけば安心です。

・Wi-Fi環境
・机・椅子
・滞在施設
・滞在費用

時代の流れに上手くのり、ぜひあなたらしい働き方を模索してみてください。