コンプライアンスとは何か?意味や違反事例から取るべき対応まで解説

「コンプライアンス」という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。でもそれが実際に何を意味しているのか、普段の自分の働き方にどんな影響があるのかを考えたことがある人は少ないのではないでしょうか。

コンプライアンスについては現代のビジネスにおいても認識不足により多くの問題が起きており、会社の信用に傷をつけ最悪の場合会社が潰れてしまう可能性もあります。

この記事ではコンプライアンスの意味から、守られないことの危険性や理由、社員として自社にコンプライアンス違反を見つけたらどう対応したらいいのかについて解説します。

コンプライアンスとは何か

コンプライアンスとは通常「法令遵守」と訳されます。
つまり、法律を守って企業を経営するということを意味します。

しかし現在では社会から企業に求められることはより幅広くなっており、法令を守るだけでなく企業としての倫理観や道徳観までがその対象として含まれているのが実態です。

つまり、法令を守るのは最低限のこと・当然のこととして、企業には社会的に適切な考え方を持って企業としての活動を行うことが期待されているのです。

コンプライアンスが問題になった例

実際にコンプライアンスが問題になった最近の事例を見てみましょう。

かんぽ生命の不適切販売

2019年6月、日本郵便の職員が高齢者に対して強引な生命保険の勧誘を行い、契約者に不利益のある契約を結ばせていたことが明らかになりました。

日本郵政が確認したところ、9万件以上がこのように顧客が不利益をこうむる恐れのある契約として結ばれていたということです。

原因を究明すると、これは職員の営業ノルマの問題が大きいことがわかりました。
つまり顧客に不利益が生じることを承知の上で、自分の営業成績のために、意味の理解できない高齢者を中心に契約の締結や解約を繰り返していたのです。
信頼を失ったかんぽ生命の株価は10%以上下落しました。

レオパレス建築基準法違反

アパートの建築・賃貸などを行っている株式会社レオパレスでは、2018年に施工の不備が発覚しました。
調査したところ全国1,895棟の物件で天井や壁に施工不良があり、建築基準法違反が確認されました。

レオパレスは施工不良のための対応にかかる費用や、空室が出たことにより大きな損失を出すことになりました。

吉本興業タレントと反社会的グループの関わり

吉本興業に所属する人気タレントが、事務所を通さずに反社会的勢力のパーティーに参加し営業を行ったことが発覚しました。
参加したパーティーは詐欺グループのモノであり、そこから報酬を得たということで、人気タレントがテレビから姿を消すことになりました。

吉本興業としても所属していたドル箱タレントの収入が減ること、エンターテイメントを提供する会社としての深刻なイメージダウンがありました。

リクナビ内定辞退予測サービスの提供

就職になくてはならない大手の就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、企業に対して就活生の「内定辞退予測データ」を提供していた問題です。

就活生の同意のないままに、サイト上の行動履歴などを元にAIが分析し「内定を辞退する可能性があるかどうか」をデータとして38社に販売したとされています。
この時「合否の判断に使わない条件だった」とされていますが、企業は就活生から大きな不信感を持たれることとなりました。

廃棄業者によるハードディスクの転売事件

神奈川県の行政文書を含んだハードディスクドライブ(HHD)が廃棄を依頼した業者の社員によって持ち出され、インターネットオークションで転売された事件です。
購入者がデータの復元ソフトによってデータを復元し、神奈川県に情報提供したことで発覚しました。

調査の結果、廃棄業者の下請け会社社員が18本のHHDを持ち出し転売していたことが発覚します。

社員は懲戒解雇となり、神奈川県はこの会社に3カ月間の指名停止処分を下し取引を中止しました。
また会社は全従業員の1割に当たる約30人を解雇し、事業所を閉鎖する事態となりました。

コンプライアンスとは「悪いことをしないこと」

コンプライアンスの意味が「法令順守」であることは間違いありませんが、実際にはもっと広い意味で企業に期待されている「社会的な責任を果たす」ということが含まれていると言えます。

たとえば、先進国で商品を安く販売するために、アジアの途上国で貧しい人々の労働力を買い叩いているのではないか、というような問題です。

ビジネスとして相手方の工場と契約しているのであって、そこで働く人々にまでは責任がない、という考え方もできます。法律に違反しているわけでもありません。
しかし社会がそのような活動を受け入れないのであれば、企業に対するイメージの悪化や購入の拒否という形で企業にもダメージが出てきます。

逆に商品を製造する時に現地の人々の雇用確保や生活レベルの向上に取り組んでいる、という表明をする企業も増えています。
これはCSR(企業の社会的責任)と呼ばれており、コンプライアンスの1つとして認識されています。

そういう意味ではコンプライアンスを「法令順守」と覚えるのではなく、「一般的に考えて正しいと言えないこと、悪いことをしない」ということだと理解をする方が実態に合っているとも言えるでしょう。

コンプライアンスに違反してしまう理由

しかし、最初に上げたコンプライアンス違反の事例を見てみても、関わった人なら一般的に考えて「悪い」と判断ができそうなものです。
どうして、コンプライアンス違反が後を絶たないのでしょうか。

目先の利益を優先してしまう体質

長期的に顧客と付き合うこととなるかんぽ生命やレオパレスの場合、真摯に顧客に対応して信頼を勝ち取り良い商品・サービスを提供していった方が、長い目で見たらビジネスが上手くいいくと考えられます。

しかし株主などのステークホルダーもいる関係上、短期的な契約件数や竣工棟数、利益などを追うようになると、企業も今の数字をとにかく達成することだけを考えるようになってしまいます。

違反が当たり前になり感覚がマヒする

そのような会社の状態では、違反が当たり前になり社員同士でも「みんなわかっていて言わない」状態になっていきます。

また最初は悪いと思ってやっていたことも、何度も繰り返す内に気持ちが麻痺していき、「こうしないとノルマが達成できないのだから仕方がない」と自分を正当化するようになっていきます。

またリクルートの内定辞退データの件も、問題が発覚した時「何で誰も最後まで止めなかったのか」という声がありましたが、日ごろからデータを扱っている職場で、個人情報の重さについて社会一般と価値観がずれてしまった可能性が考えられます。

社員教育の不十分さ

コンプライアンス違反によって多くの企業が大きなダメージを受けているにも関わらず、このような事態が減らないのは、社員には「ことの重大さが想像できない」という点もあります。

HHDを持ち出した社員は、ばれた時のことなど想像もしなかったに違いありません。

この点、企業が社員に対してコンプライアンスの意義や社会が企業に期待していることを伝えるとともに、違反したときのダメージの大きさ、取り返しがつかないということをしっかりと伝える必要があります。

会社がコンプライアンスに違反していたら

会社がコンプライアンス違反をしていたら、どうしたら良いのでしょうか。

まずは上司や社内の相談窓口に相談する

今では多くの会社にコンプライアンス対応の内部通報制度があります。まずはそこに相談することが社員として取るべき方法です。

または信頼できる上司がいれば、上司に伝えるようにします。
ここで対応してもらえれば何も問題はありません。

外部にも相談窓口はある

しかし、上に書いたように企業の体質としてコンプライアンス対応が形骸化していたり、コンプライアンス担当者が適任者でなかったりという場合もあります。

その場合、親会社の総務部や弁護士などの専門家、労働基準監督署などの監督官庁に相談することも可能です。

SNSでの告発は不利益になる可能性が大きい

企業のコンプライアンス違反についてSNSで告発するという人もいますが、おすすめはできません。

告発する内容の不正の違法性の確証がとぼしい場合など、その後トラブルになり告発した人が不利益を被る可能性が高いからです。決して一時の感情に流されないようにしましょう。

コンプライアンスを一人ひとりが理解することが必要

「コンプライアンス」について、事例や違反してしまう原因、コンプライアンス違反への対応方法について解説しました。

組織の中に長くいるとついその組織内での考え方が標準となり、違和感や罪悪感などが世間一般とずれてしまうことがあります。

しかし逆に、社会の期待にしっかり答えることができれば、企業としてのイメージや信頼、ブランド力の強化につながります。

今後、企業に対するコンプライアンスの要求はさらに高くなっていくでしょう。1人ひとりがコンプライアンスを正しく理解して行動することが重要です。

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