句点・読点の正しいルール あなたは大丈夫?「今までずっと間違っていたかも⋯」 

句点・読点の使い方やルールを理解しておくことは、ビジネスシーンにおいてとても大切です。

なぜなら、間違った句読点の使い方をしていると「文書作成の基本スキルがない人」と周りから判断されてしまうからです。

この記事では、さまざまな例を出しながら、句読点の基本的な使い方やルールをわかりやすく解説していきます。

あなたも句読点の使い方をサクッとマスターして、デキる社会人になりましょう!

句読点とは「文章に区切りを入れる符号」

句点(くてん)と読点(とうてん)。
句読点(くとうてん)とは、これらを合わせたものです。

句点が「。」読点が「、」の符号で表されます。句読点を打つ目的は、主に以下の2つです。

  1. 文章に区切りを入れることにより、スッキリ読みやすくする
  2. 自分の意図しない解釈を防ぐ

そのほかにも、句読点を使って会話中の「間」や「感情」を視覚的に表現することもあります。
SNS上 (LINEやTwitterなど) でよく見られる 「。。。」 や 「、、、」 といった句読点の使い方です。
そのような使い方も、家族や友人とのメッセージのやりとりであれば全く問題ありません。

しかし、ビジネス文書においては「マナーに欠ける」と判断されてしまうこともあるので注意しましょう。

句点の基本ルール5つ

句点のルールで大切なのは5つだけです。
これさえ覚えておけば、ビジネス文書を作成するときに 「ここは句点を打った方がいいかな?」 と迷うことはもうなくなります。

句点ルール1 「。」は文の終わりで打つのが基本

文の終わりに句点を打ちます。
もっとも基本的なルールで、あなたもよくご存知でしょう。

【◯良い例】今日の天気は晴れだ。

句点ルール2 見出し・タイトル・箇条書きなどの短い文章には「。」を打たなくてOK!

見出しやタイトル、短い箇条書きなどの場合は、多くの場合句点を省略できます。

■メールの件名
【✖️悪い例】(件名)ミーティングの件。
【◯良い例】(件名)ミーティングの件
■短い箇条書き
1. 競合S社のセールス分析
2. 商品品質の改善
3. 顧客対応について

句点ルール3 かっこの中の終わりには「。」を打たなくてOK!

「」(かぎかっこ)や()(まるかっこ)の中の終わりには「。」を打ちません。

【原文】  「昨日は久しぶりに温泉に行ったよ。」 とAさんは言った。
【◯良い例】「昨日は久しぶりに温泉に行ったよ」 とAさんは言った。

学校の教科書では会話文の「」や()の中に句点を打ってありますが、ビジネス文書では、句点を「」や()の中の終わりに打たないので注意しましょう。

句点ルール4 「」の前に主語・主部がある場合は「」の外で「。」を打つ

少しややこしいのが「」の前に主語・主部があるケースです。
このような場合は 「」 の外で句点を打ちます。

【✖️悪い例】 Aさんは一言「それは知らなかった」
【◯良い例】 Aさんは一言「それは知らなかった」。

句点ルール5 文末の()(まるかっこ)の場合は()の内容で変わる

()の中の内容が前の文章の注釈である場合は、かっこの外に句点を打ちます。

【◯良い例】 5%の高い利回り水準(業界平均1.5%)。
【◯良い例】 相手を理解して文章を書く(あるいは書き直す)。

()の中が、著者やクレジットである場合は、()の前に句点を打ちます。

【◯良い例】金融業界でよく起っているシステムのトラブルの原因は、欧米と比べてITに強い人材が少ないからだ。(日本太郎 〇〇編集部ライター)

読点の基本ルール7つ

読点をキチンと打つことで文章が読みやすくなり、読み手に間違った解釈をされなくなります。そのためビジネス文書において、読点の使い方は非常に重要です。

読点ルール1 修飾語がどこにかかるのかを明確にするために「、」を打つ

トラブルになりやすいのが、読点をなんとなく打ってしまったために、相手に間違った解釈をされてしまうケースです。

修飾語がかかる対象によって文意が大きく変わる場合もあるので、伝えたい内容が明確に伝わるように「、」を使いましょう。

【✖️悪い例】 林部長はマナーが悪く、挨拶をしない人を好まない。
【◯良い例】 林部長は、マナーが悪く挨拶をしない人を好まない。

悪い例だと「林部長はマナーが悪い人」という意味になってしまいます。
無意識に読点を打つクセがある人は、要注意です。

読点ルール2 主語や述語が長いときは、わかりやすい位置に「、」を打つ

主語が長いときは「文の意味がわかりやすいか?」を意識して、読点を打つようにしましょう。

【✖️悪い例】 新卒1年目なのに仕事が、とても早いAさんはまるでベテランのようだ。
【◯良い例】 新卒1年目なのに仕事がとても早いAさんは、まるでベテランのようだ。

悪い例の場合は、読み手(特にサッと読みたい人)に対して、主語が「仕事」か「ベテラン」のどちらなのか、一瞬勘違いさせてしまいます。

読点ルール3 名詞が連続しているときに「、」を打つ

名詞が連続する時には読点を打って区切ります。ただし最後の名詞には読点を打ちません。

【✖️悪い例】東京、大阪、福岡、へ出張に行く。
【◯良い例】東京、大阪、福岡へ出張に行く。

読点ルール4 主語が短い場合は「、」を打たなくてもよい

短い主語の場合は、読点を省略した方が読みやすくなります。

【原文】彼は、忙しい。
【◯良い例】彼は忙しい。

学校の教科書では「主語の後に読点を打つ」と習いますが、ビジネス文書では間違った解釈をされるいおそれがない場合は、読点はしばしば省略されます。

読点ルール5 接続詞の逆接のあとに「、」を打つ

接続詞の逆接のあとには、読点を打つようにします。

【✖️悪い例】私は毎年宝くじを、買っているが一度も当たったことがない。
【◯良い例】私は毎年宝くじを買っているが、一度も当たったことがない。

前と後ろの文をつなぐのが接続詞であり、だから・また・が・しかし・そしてなどの種類があります。

「逆接」とは、前の文章と逆の意味の文章をつなぐ接続詞のことです。
読み手にストレスを与えないために、前後の意味の違いがハッキリするところで読点を打ちます。

読点ルール6 読みづらくなるので必要以上に「、」を打たない

読点を打たなくても間違った解釈をされない場合は、読点を打ちすぎないようにしましょう。
文章が拙く読みづらい印象を与えます。

【✖️悪い例】仕事の熱意、それは、まさしく、仕事のスピード、だと思う。
【◯良い例】仕事の熱意、それはまさしく仕事のスピードだと思う。

読点ルール7 「」(かぎかっこ)の前後に「、」は打たなくてよい

すべてが間違いというわけではなく、書き手の好みによるのですが、一般的には打たない方が良いとされています。

【✖️悪い例】彼が言いたいのは、「睡眠時間はとても大事」、ということだ。
【◯良い例】彼が言いたいのは 「睡眠時間はとても大事」 ということだ。

句読点のセンスを ‘‘サクッと’’ 上げる一番おすすめの方法

このように句読点の使い方にはルールがあり、一般的にルールに則って書かれている文章は読みやすく誤解されることが少ないため、ビジネスでも評価されやすくなります。

しかし「必要以上に打ってはいけない」と言われても、それが感覚的にわからないのだという人もいるかも知れません。

ここで簡単に句読点のセンスを上げる方法をがあるので、紹介したいと思います。
それは新聞社系のネット記事を「句読点を意識しながら読むこと」です。

個人のブログと違って、新聞社系のネット記事は後述の『記者ハンドブック』など、各社のマニュアルに沿って句読点を打っています。普段、ネット記事を読むついでに、新聞社系のネット記事も読んでみましょう。

「あーなるほど、こういう所で句読点を打つのか!」と、句読点の感覚を養うことができます。

文章感覚を養うのに役立つサイト

句読点が使い方が参考になる、おすすめのサイトを2つほど紹介します。
一部有料ですが、大部分が無料で見ることができます。

日経クロステック(xTECH)

日経クロステックは、日本経済新聞グループの日経BPが運営するサイトです。
ビジネス系情報を多数取り扱っているため、ビジネスパーソンには一石二鳥です。

読売新聞オンライン

言わずと知れた有名新聞です。新聞記者の文章は、情報を誤解なく伝えることを意識して書かれているので、句読点の使い方でも参考になります。

書き方の参考になる書籍・参考資料

もっと句読点について詳しく学んでみたいという人には、以下の書籍や参考資料がおすすめです。

おすすめ書籍

文章力の基本 阿部 紘久
句読点の例文が豊富に載っています。
日頃本を読まない方でも、読みやすい一冊です。

記者ハンドブック 第13版 新聞用字用語集

1956年に共同通信社が発行し、本書は第13版になります。
記事を書くとき、多くの記者やライターが参考にしているのが本書です。
句読点に関する記述は3ページほどで、コンパクトにまとめられています。

【新版】日本語の作文技術 (朝日文庫) 本多勝一
句読点への理解をもっと深めたい方には、本書がおすすめです。
スラスラ読める本ではありませんが、一読の価値はあります。

参考資料

くぎり符号の使ひ方〔句読法〕(案)

1946年3月に当時の文部省で作成。教科書や公文書で使われている句読点のルールが書かれています。

句読点のルールをマスターして、あなたもデキる社会人に!

句読点のルールを守ることは、ビジネス文書を作成する上でとても大事です。

なぜなら「文書作成の基本スキル・マナーのある人間」という印象を相手に与えることができるからです。
さて、ここで句読点のルールをおさらいしておきましょう。

句点の基本ルールは5つでした。

  1. 「。」は文の終わりで打つのが基本
  2. 見出し・タイトル・箇条書きなどの短い文章には「。」を打たなくてOK!
  3. かっこの中の終わりには「。」を打たなくてOK!
  4. 「」の前に主語・主部がある場合は「」の外で「。」を打つ
  5. 文末の()(まるかっこ)の場合は()の内容で変わる

読点の基本ルールは7つでした。

  1. 修飾語がどこにかかるのかを明確にするために「、」を打つ
  2. 主語や述語が長いときは、わかりやすい位置に「、」を打つ
  3. 名詞が連続しているときに「、」を打つ
  4. 主語が短い場合は「、」を打たなくてもよい
  5. 接続詞の逆接のあとに「、」を打つ
  6. 読みづらくなるので必要以上に「、」を打たない
  7. 「」(かぎかっこ)の前後に「、」は打たなくてよい

句読点のセンスをあげるためにも、新聞社系のネット記事を「句読点を意識しながら」読んでみてください。

個人のブログと違って、新聞社系のネット記事は上述した『記者ハンドブック』など、各社のマニュアルに沿って句読点を打っているので安心です。

本記事を読んで句読点のルールが理解できたら、実際にビジネス文書を作成するときに活かしてみてください。
そうすれば、より自信を持ってビジネス文書を作成することができるようになりますよ。

まずはメールの件名からでもいいので、句読点を意識してみましょう!