書籍やブログ記事など、テキストを使ったコンテンツ制作に関わったことがある人であれば、校正・校閲という言葉を一度は聞いたことがあるはずです。
しかし、いざ2つの違いは何?と言われても困ってしまう人は多いものです。
ただ、今後文章の仕事を続けていくのであれば、校正・校閲の違いは明確に押さえておかないと恥をかいてしまうかもしれません。
そこで今回は、校正・校閲の意味の違いから、代表的なチェックポイント、作業工程を効率化するためのヒントなどをまとめてみました。
上から順番に見ることで、校正・校閲のキホンが押さえられますので、ぜひ最後までご覧になってください。
目次
校正・校閲とは文章の誤りを正すこと
校正・校閲とは、文章の誤りを正すことを意味します。
書籍やブログ記事など、文字を扱うコンテンツを作成する際に、最終工程として取り組むことが多いです。
誤字脱字などの分かりやすいものから、読者に正確に意味を伝えるための細かな文章表現の変更まで多岐にわたります。
✖ 彼は早く走った。
↓
〇 彼は速く走った。
なお、校正・校閲はそれぞれ別の意味ですが、混同されることが多いです。役割を明確に区別することでチェックの精度も上がりますので、ぜひこの機会に覚えてしまってください。
校正・校閲の違い
校正・校閲はいずれも文章の誤りを正すことですが、修正する誤りの種類が異なります。
校正=表現の誤りを正すこと
校正は、表現の誤りを正すことを意味します。例えば、誤字脱字や同音異義語など、国語的な意味合いで間違っている表現を直していきます。
【誤字脱字】
✖ 彼女の態度は堂としていた。
↓
〇 彼女の態度は堂々としていた。
【同音異義語】
✖ 自分が社長になったことを創造してみてください。
↓
〇 自分が社長になったことを想像してみてください。
校正をするうえでは、文章表現の正確な知識がものをいいます。
校閲=内容の誤りを正すこと
校閲は、内容の誤りを正すことを意味します。例えば、記事内で紹介しているデータが誤っている場合など、事実に基づいて修正していきます。
✖ 日本の人口は約5,000万人です。
↓
〇 日本の人口は約1億2千万人です。
知識が足りないと間違いに気づけないこともあるため、一般常識や関連する分野の知識が欠かせません。
校正・校閲でチェックするべき代表的な誤り
ここでは、校正・校閲の際にチェックするべき代表的な誤りを紹介していきます。
校正のポイント
まずは、校正のチェックポイントです。
誤字脱字
誤字脱字は、最も代表的な校正のチェックポイントです。パソコンの自動変換機能によってある程度は防げますが、正しい知識を持っていなければ間違いに気づけません。
例.
✖ 彼は敢然に観客をとりこにした。
↓
〇 彼は完全に観客をとりこにした。
スペルミス
スペルミスも、代表的な校正のチェックポイントです。特に、慣れない英語表現を使用する場合は注意が必要です。
✖ 「昨日」は英語で、「Yesturday」と言う。
↓
〇 「昨日」は英語で、「Yesterday」と言う。
表記ゆれ
表記ゆれとは、「申し込み」と「申込」のように同音同義の言葉が異なる表記で表されることを意味します。どちらも間違いではありませんが、ストレスを感じる読者もいるため、同じ文章内では統一することが望ましいです。
同音異義語
同音異義語は、同じ発音でも違う意味を持つ言葉のことです。発音が同じなため、読み返した時に気づきにくいという注意点があります。
✖ この敵を倒すのは用意ではない。
↓
〇 この敵を倒すのは容易ではない。
校閲のポイント
続いて、校閲の代表的なチェックポイントです。
固有名詞の間違い
校閲をする中でも特に多い修正点が、固有名詞の間違いです。一見すると合っているように思える表現も、誤用されているケースが多いです。
例えば、コピー機で有名なキヤノン株式会社は、カタカナの「ヤ」が小文字ではなく大文字で表現されるのが正式名称です。読み方としては、「キャノン」と「ヤ」を小文字にするため、よく間違えられる名称です。
その他にも、会社の前株・後株が逆になっているなど、些細な点での誤りが致命傷になることもあります。固有名詞の誤りは当人を傷つけるだけでなく、コンテンツとしての信頼性も大きく損ねてしまうため、細心の注意が必要です。
事実と異なる内容
意外と見落としがちなのが、事実と異なる表記をしてしまっているケースです。というのも、記事を作った人からすると苦労して作ったコンテンツに間違いがあるとは思いたくないため、ついついチェックが甘くなりがちだからです。
記事内に表記するかは別として、どこから取得した情報なのかはキチンと控えておくことをおすすめします。また、情報を取得する先は、なるべく公的なものに限定して、客観性のある主張をすることも重要です。
文章内の矛盾
文章内の矛盾も、記事を書いている当人が気づきにくいポイントの1つです。執筆を進めるうちに、前に書いた内容が抜け落ちてしまうことがあるためです。
例えば、年金制度で多くの税金を取られるのがおかしいと主張しているにも関わらず、別の箇所ではもっと年金が欲しいと言っているなどです。
文章の矛盾を防ぐには、そもそもどのような主張をしたいのか、記事全体を書き始める前に一度構成を組み立ててみるのがおすすめです。頭が整理されて、早い段階で矛盾点に気づけます。
社会通念との照らし合わせ
校閲においては、社会通念との照らし合わせも不可欠です。言い換えれば、世間の常識に反しない内容かをチェックする必要があります。
例えば、一般的に個人情報を掲載する際には、その個人が特定できないような形で仮名を使用したり、一部の情報だけを載せたりします。仮に個人が特定できる情報が本人の許可なく載ってしまった場合、訴訟に発展する可能性も十分にあり得ます。
社会的に見て、そのコンテンツが非常識でないかという視点は、長く運用を続けていくうえで非常に重要です。
校正・校閲がはかどる方法5選
校正・校閲は非常に重要な工程ではありますが、一方で根気のいる作業です。そのため、何かしらの工夫を凝らして効率的に仕事を進めることが重要です。
ここでは、全部で5つの方法を紹介します。
音読する
校正・校閲を進めるうえで、最も簡単にできて効果的なのが音読です。声に出すことで字面だけを追っていた時には気づかなかった誤りが見つかるだけでなく、文章のテンポの良し悪しも分かります。
お金も時間もかからずできる方法ですので、ぜひ初めに取り入れてみてください。
時間を置いて読み返す
時間を置いて読み返すことも、校正・校閲に役立ちます。一度冷静になれるので、客観的な視点でチェックできるからです。
また、読み返す際には1回目にチェックした時とは場所を変えてみたり、立ちながらやってみたりと、チェック方法自体も変化させるとなお良いです。
出力してチェックする
会社や自宅にプリンターがあれば、出力してチェックするのもおすすめです。PC の画面は目の疲労も蓄積されていくため、長時間にわたって見続けることには向いてないからです。
紙で出力することで、字面を手で追いながらチェックできるため、校正・校閲の精度も高くなります。最近では、コンビニのコピー機やコワーキングスペースのコピー機も簡単に利用できます。
第三者に読んでもらう
協力してくれる人がいれば、第三者に読んでもらうのもおすすめです。特に、その記事の執筆に全く関わっていない人に読んでもらうことで、実際に記事を初めて見る読者と同じ感覚でフィードバックがもらえるでしょう。
仮に修正点が無かったとしても、第三者にも見てもらったという安心感が得られます。
表記ルールや文章の正しい知識を身に着ける
少し時間はかかりますが、表記ルールや文章の正しい知識をコツコツ身につけることも重要です。特に、長く校正・校閲の仕事に携わるのであれば、一度身に着けた知識は一生ものになります。
完璧な知識を身に着けてから取り組もうと思うと時間ばかりかかってしまいますので、業務をこなしながら並行して知識を身に着けるのがおすすめです。
最も効率が良いのは、先輩の校正・校閲担当者に誤りを指摘してもらうことです。
効率よく校正・校閲を進める2つのやり方
校正・校閲をより効率的に進めていきたい中上級者の方は、以下で紹介する方法もおすすめです。
ツールを活用する
最近では、非常に優れた校正ツールが多数出ています。機械的に正確なチェックをしてくれるのと同時に、チェック時間の大幅な削減につながる点が魅力です。
代表的なツールとしては、以下のようなものがあります。
プロのライターも校正ツールを使用しているので、まずは無料のものから試してみてはいかがでしょうか。
得意な領域に絞ってチームで仕事をする
校正・校閲に限った話ではありませんが、自分が得意な領域に絞ってチームで仕事をするのもおすすめです。というのも、校正・校閲だけを見ても、求められる能力は異なり、さらに企画・構成・執筆・編集・デザインなども含めれば扱う領域は非常に多岐にわたるからです。
もちろん、それぞれの分野に関する一定レベルの知識は必要ですが、それ以上に自分が得意な領域を極めていくことも重要です。チームで仕事をすることで得意領域だけを担当できるため、作業効率は大幅に改善されます。
ただし、その分報酬は山分けになるため、案件の種類によっては数を多くこなさないといけなくなるケースもあります。
近くにパートナーがいない場合は、クラウドワークスやランサーズなどのクラウドソーシングサイトで適任者を見つけることもできます。
校正・校閲を身に着けて読者の信頼を得よう
今回は、校正・校閲の意味の違いや、代表的なチェックポイントについて触れてきました。
校正のポイント
- 誤字脱字
- スペルミス
- 表記ゆれ
- 同音異義語
校閲のポイント
- 固有名詞の間違い
- 事実と異なる内容
- 文章内の矛盾
- 社会通念との照らし合わせ
また、校正・校閲がはかどる方法も5つ紹介しました。
- 音読する
- 時間を置いて読み返す
- 出力してチェックする
- 第三者に読んでもらう
- 表記ルールや文章の正しい知識を身に着ける
校正・校閲は、一見すると非常に地味で評価されにくい仕事であるように思えてしまうかもしれません。しかし、記事の作成を依頼する人や読者からすれば、ミスが無い安心できるコンテンツは非常に価値が高いものです。
ぜひ、校正・校閲をきちんと身につけて、依頼者とその先の読者から信頼されるライターを目指していってください。