資金調達とは?イケてる会社が行う理由や影響までわかりやすく解説

「あの会社が〇億円資金調達した」というような話を、ビジネスの現場で耳にすることがあります。

資金調達が発表されるとSNSなどで経営者に対して「すごいね!」「おめでとう!」という言葉が寄せられたりしますが、一体何が起こったのか理解していない人も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、資金調達に関して「何となくすごいこと」という認識しかない方でも理解できるように、資金調達の基本的な内容から会社に与える影響、そのような会社は転職先・就職先としてどうなのかという点を解説します。

資金調達とは

資金調達とは、企業が経営に必要な運転資金や設備資金を調達することです。

例えばベンチャーやスタートアップ企業の場合、事業をスタートしたばかりの頃は利益が出せません。
最初は開発を先行して行い、数年かけて利益が出せるようになっていくのが通常です。そのため、プロダクトやサービスを開発するための資金を調達する必要があるのです。

企業が行う資金調達には主に2つの方法があります。

銀行から融資を受ける

融資は返済する必要のあるお金です。

銀行からの借り入れるのが最も一般的ですが、調達するまでのプロセスが煩雑であったり、利子をつけて返さなければいけなかったりというデメリットもあります。

また銀行がリスクを判断するために、企業に対しては一定の信用力が求められます。
そのため設立して間もない企業、赤字の企業などでは融資を受けることが難しいのが現実です。

投資家などから出資を受ける

出資は返済する必要がないお金です。

ベンチャー企業やスタートアップ企業の場合、基本的に赤字なので銀行からの借入は難しく、エンジェルや個人投資家、ベンチャーキャピタルなどから出資を受けることが多いです。

出資の場合、調達した資金を自由に使えます。
しかし、出資の見返りとして出資者に経営権を一部持たれることになったり、配当金として利益を還元したりする必要があります。

このように出資を受けることで行う資金調達では、自由に使える資金を確保できる一方で、経営活動に外部の影響が出る危険性もあります。

どうして企業は資金調達をするのか

新規事業立ち上げなどでまとまった資金が必要

資金調達を行うケースとして、一番多いのは、新規の事業を立ち上げるために人件費・開発費などがかかる場合です。

新しいビジネスを立ち上げるためには、環境を整え人を雇い、しばらくは利益が出ないことも許容しなければなりません。

どれだけ良いアイデアや技術があっても、その間に必要な運転資金や設備資金が無ければビジネスとして展開することができません。

そのためまとまった資金を、事業の将来性を理解してくれる外部から調達するのです。

企業の成長スピードを上げるため

良いアイデアや技術を持っていて、資金調達せず自分たちにできる範囲でビジネスとして育てていくという方法もあります。

しかしその方法だと、市場として形になってきた時に資金力のある大手に参入され、一気に劣勢に追い込まれる可能性もあります。

スピード感を持って事業を成長させ市場で優位に立つためには、レバレッジを利かせることが必要であり、そのための資金調達となるのです。

資金調達を行える会社とは

優れた商品やアイデア・技術がある

資金調達は「出資してください」「融資してください」だけでは成り立ちません。

資金を提供する方は、出資した見返りが得られるのか、ちゃんと事業を成長させてお金を返せるのか、それだけの価値がその企業にあるかどうかを厳しく算定します。

その結果、資金調達ができたのであれば、その会社のビジネスには魅力があり、優れた商品、アイデア、技術があると考えられるでしょう。

今までにないビジネスに携わりたい、最新の技術に関わりたいという人には、やりがいのある環境でしょう。

これから伸びていく会社である

資金調達をした企業は、これからの成長を見込まれで資金を融資・出資されています。

事業の計画や市場についても検討されたはずですので、これから成長する会社の可能性が高いと言えます。

働く場所として考えると、成長段階にある会社は昇進の機会も多く、年齢に関係なくどんどん役職を登っていきたい人にはチャンスの多い場所となります。

変化が大きい会社である

資金調達を受けた会社は、成長していく段階で新しく人員が増えたり体制が変わったりと変化が大きくなります。

ビジネスの内容、関わる人、社内の文化もどんどん変わる刺激的な職場だと言えます。また、企業や組織が成長していくのを体感できるのは貴重な経験です。

資金調達によって外部の力が強くなる危険性がある

資金調達にもデメリットがあります。
融資を受けるにしても出資を受けるにしても、資金と引き換えに「会社の経営に口を出せる権利」を切り売りすることになるからです。

そのため、資金調達の方法と内容によっては外部の発言力が強くなる可能性があります。

他にもある資金調達の方法

スピード感は劣るが使える補助金や助成金

国や地方公共団体から受け取れる助成金や補助金は、原則返す義務がありません。

助成金は資格を満たせば受給できるのに対し、補助金は受給のために必要な書類などが決まっており審査を経て受給が決まるという点があります。

ただし、多くの条件をクリアする必要があったり、審査の結果必ずしも受けられるとは限らなかったりするので急いで資金を調達したい時には使えません。

クラウドファンディングでの資金調達

近年増えている方法で、インターネットを使って不特定多数の個人から資金を集める方法です。

これまで企業が企業や銀行からお金を借りるBtoBが資金調達の基本でしたが、インターネットで人々がつながったことで、BtoCでも資金調達ができるようになりました。

資金調達の背景を考えてみよう

資金調達には他にもさまざまな方法があります。

企業の資金調達には、事業資金を手に入れるというだけではなく、さまざまな目的や考え、企業が目指すもの、これからどう変わっていくのかという情報があります。

資金調達の背景についても意識するようにすると、これまでとはニュースの見方が変わってくるでしょう。