リスティング広告の商標トラブルが起こった場合の対処法

インターネット広告の定番として利用企業が多く、ユーザーの目にもつきやすいリスティング広告。

効果の計測もしやすく人気の広告タイプですが、その分ときどき、ちょっとしたトラブルが発生することがあります。

中でも最近よく耳にするのが、商標登録された単語・用語を巡るトラブルです。

法的な問題もからみ、少しデリケートでややこしいリスティング広告の商標トラブル。

今回はリスティング広告と商標登録の関係や、リスティング広告で商標トラブルが起こった場合の対処法などをご紹介していきたいと思います。

1. そもそもリスティング広告で商標登録されている単語は使える?

まず気になるのが、「そもそもリスティング広告で、商標登録されている単語って使えるの?」という点ですよね。

リスティング広告における商標登録キーワードの使用には、「商標登録されているキーワードで入札・出稿する」場合と「商標登録されている単語を広告文に含める」場合の2パターンがあり、それぞれ事情が異なります。

(1)商標登録されているキーワードで入札・出稿する場合

たとえばA社が「○○サプリ」という商品名を商標登録しているとします。

ここで、同じような効能があるサプリを売っている競合のB社が、リスティングでこの「○○サプリ」というキーワードで出稿しました。

すると、消費者が「○○サプリ」というキーワードで検索すると、競合であるB社の広告が表示されることになりますよね。

これが、「商標登録されているキーワードで入札・出稿する」ケースです。

このように、他社が商標登録しているキーワードに出稿するのはNGなのでしょうか?

答えは、「基本的に法的問題はない」です。

もちろん商標登録している会社が嫌がって、「うちの商標登録キーワードで入札するのをやめてくれ」と頼んでくる可能性はあります。

しかし、いくら商標登録していると言っても、それだけでそのキーワードへの入札が制限されるという法的根拠はないので、その取り下げ要求に絶対的な強制力があるわけではないのです(もちろんビジネス上の都合やモラル的な問題によって、取り下げたほうが良い場合もあるでしょう)。

実際、業界によってはこの「商標登録キーワードへの入札」が頻繁に行われています。

(2)商標登録されている単語を広告文に含める場合

もうひとつのケースを考えてみましょう。

たとえば上記の例と同様、A社が「○○サプリ」という商品名を商標登録しているとします。

ここで、競合であるB社が、出稿しているリスティング広告の広告本文で「○○サプリよりコスパ抜群なビタミンサプリ」といったように、「○○サプリ」の単語を使用しました。

果たしてこれはOKなのでしょうか?

答えは、「使用が禁止・制限される可能性がある」です。

A社がこの広告を見つけて、GoogleやYahoo!を通して当該キーワードの使用制限申請をすれば、「○○サプリ」という単語は広告文で使えなくなる可能性が高いでしょう。

つまり、OKかNGかで言えば「NG」に近いわけです。

2. 自社で商標登録している単語が他社に使われないようにするには?

それでは、自社で商標登録している単語が他社の広告文で使用されていた場合、どのようにすればいいのでしょうか?

この場合、アドワーズならGoogle、Yahoo! プロモーション広告ならYahoo! JAPANに申請することで、他社による広告文内での商標登録キーワードの使用を制限することができます。

以下より、その手順を簡単にご説明しましょう。

Google AdWords(アドワーズ)の場合

Googleへの申請は、次の手順で行います。

①まずGoogleの「商標権侵害の申し立てフォーム」にアクセスします。

②名前や会社名など、申立人(自分)の情報を入力して「次へ」をクリックします。

③申し立てをしたい商標キーワード、対象国、商標の登録番号を入力して、「次へ」をクリックします。

④「申し立ての対象となる広告主」という画面に移るので、特定の広告主の使用だけを制限したいのか、それともすべての広告主の使用を制限したいのか、選択します。

※ここで、問題になっている広告の例の詳細記入を求められます。

また「すべての広告主」を選択した場合、追加で「商標使用を許諾された広告主」の記載も求められます。

この欄には自社のAdWordsアカウント情報やパートナー企業のAdWordsアカウント情報を入れましょう。

⑤次に「補足説明および誓約」というページに移動するので、補足事項があれば記入しておきましょう。

最後に「誓約」欄の注意事項を確認の上、チェックボックスをオンにして、「プレビュー」ボタンを押します。

⑥最後のプレビュー画面になるので、すべて再チェックして、「送信」ボタンをクリックします。

以上で申し立ては完了です。

あとは申し立てをしてから10日以内くらいに審査結果の連絡が来るので、それまで待ちましょう。

Yahoo! プロモーション広告の場合

Yahoo! プロモーション広告の場合、郵送での申請になります。

まずは申し立てに必要な5つの書類・情報を、以下の通り揃えましょう。

①申し立てをする人の本人確認書類(会社の名刺でOK)

②申し立てしたい商標登録済みキーワードと、商標を使っている広告のリンク先URL(当該キーワードで検索したときのスクリーンショットを印刷して同封します)

③商標登録証明書(写し)

④申し立て相手の広告主がどういった点で商標権を侵害しているのか、詳細な説明

⑤申し立て相手の広告主との過去の交渉履歴・記録(もし交渉したことがあるなら)

書類をすべて揃えたら、Yahoo! JAPANまで郵送で送ります(宛先住所はこちらのページの最下部に記載されています)。

審査結果は後日郵送で送られてくるので、それまで待ちましょう。

Googleに比べると審査にかかる時間が長く、申請時期によっては何ヶ月もかかる可能性があることに留意しておいてくださいね。

3. まとめ

リスティング広告で意外と多い商標トラブル。

「他社の広告文内に商標登録済みキーワードが使われている」というケースであれば使用を制限することも十分可能なので、困っている方は一度GoogleかYahoo! に申し立てをしてみると良いでしょう。

商標は企業の大切な財産ですから、守れる部分はしっかり守るのが得策です。

リスティング広告での商標トラブルに悩んでいる方は、ぜひ今回の内容を参考にしてみてください!