リスティング広告などWeb広告の仕事をしていると必ず耳にする言葉が「ランディングページ」(LP)です。
Web業界に転職した最初のころは、専門用語の略称などに戸惑うことも多いですが、特にランディングページはあたり前のようにみんなが使うので「わざわざ聞けない…」とこっそり調べる人も多いようです。
この記事では、そんなWeb広告初心者の方向けに、ランディングページの基本的な情報から、効果が上がるポイントまで解説します。
目次
ランディングページって実はそのままの意味
ランディングページとは、その名の通り「着地(ランディング)する」ページのことです。
何から着地するのかというと、その前にユーザーがクリックした広告やリンクからです。
広告やリンクをクリックしてページが遷移し、新たなページに移動する動きをジャンプして着地する動きになぞらえているわけです。
ちなみにランディングページは略してLP(エルピー)やランペとも呼ばれます。
ランディングページはいつも縦長?
「ランディングページ」本来の意味としては、広告やリンクをクリックした先に表示されるページを指すので、ページの内容や形は関係ありません。
それがサイトの中の1ページでも、商品販売ページでも、ブログの記事でも広い意味で「ランディングページ」となります。
しかし、Web広告で実際に使われているランディングページは、多くの場合商品販売ページであり、比較的縦に長いページが多いです。
この傾向によりWeb広告業界では「ランディングページといえば、縦長1枚のページ」という認識が共通化しました。
(ただ最近ではユーザーがあまり文章を読まなくなり、動画のコンテンツも増えてきたことから、ページが短くなってきています)
ここからは、その基本的なランディングページの特徴について解説します。
ランディングページの目的と特徴
どのランディングページにも、目的があります。
広告から来てくれた人に情報を読んでもらい、最終的に商品を購入してもらう、試供品を申し込んでもらう、店舗に来店してもらうなどです。
これらをまとめると、ランディングページの目的は来てくれた人に「こちらの望む行動をしてもらうこと」といえます。
そのため、ランディングページには他のページと比較して以下の違いがあります。
1つの目的のために作られている
ランディングページは、ページを通して1つの目的のために作られています。
例えば企業のWebサイトの場合、商品販売ページがたくさんあったり、情報提供のページがあったり、問い合わせのページ、プレゼントのページなど、さまざまなページに遷移ができます。
また制作する側としても、多くの情報に接してもらえるように回遊しやすい構造にするのが普通です。
しかし1枚のランディングページについて考えた場合、売る商品、ユーザーにとって欲しい行動は基本的に1つです。
いくつもの商品を売ろうとするとお客さんが迷ってしまい、結局何も購入しないままページから離脱してしまう可能性が高くなるからです。
他のページに移動させない
先ほどの目的が1つという点と共通しますが、ランディングページでは入ってきたユーザーを、いかに離脱させずに最後の行動に導くかが大事です。
そのため、ページ内に他のページやサイトに出て行ってしまうようなリンクは基本的に掲載しません。
「これはどういうことだろう?」とユーザーが途中で疑問に思うと、それを調べに行ってしまったり興味を失ってしまったりするので、疑問に思われそうなことはすべてページ内に掲載して離脱を防いでいます。
(このように情報量が増えるのでランディングページは長くなりがちなのです)
問題解決型の構成になっている
ランディングページは、よく営業マンのセールストークに例えられます。
売れる営業マンはどんなトークをしているのでしょうか?
それは相手目線に立って問題解決を助けるトークです。
自分の商品を売り込んでいくのではなく、お客様の悩みや不安を聞き出し、解決する手段や方法を提示しながら、「それならうちの商品が最適ですよ」と結論に導くのです。
ランディングページはこれをページ上で再現するものです。
つまり、「本当にいい商品ですよ」「優れた商品ですよ」という商品の特長やスペックを列挙するだけでは良いランディングページとは言えません。
この点が主に企業の情報発信に使われる公式サイト等とランディングページとの大きな違いとなります。
ランディングページで売れる理由
「縦長1枚のページ」という形式にはどんなメリットがあるのでしょうか。
ユーザーが情報を読む順番をコントロールできる
商品販売ページを縦長のランディングページにすることで、ユーザーが情報を得る順番をコントロールできるます。
例えば非常に優れた商品だけど価格が高価な場合、最初に価格を提示してしまうと、商品の価値を伝える前にお客様は読むのをやめてしまうかもしれません。
その点、縦長のランディングページならスクロールしながら自然にページを上から下に読んでもらえます。
営業トークと同じように、商品の価値を伝えた上で価格を見せることができれば、価格が高くても「これだけの物にこの価格なら安い」と思ってもらうことも可能です。
テストや改善がしやすい
テストや効果測定がしやすいことも、ランディングページの特徴です。
広告運用の結果や、ヒートマップなどユーザーの動きを可視化するツールによって、ページをどれだけの人が見て、そのうち何人が購入してくれたか、どこの地点で多くの人が離脱しているかなどを知ることができます。
ランディングページの場合作りがシンプルであり、ページ内コンテンツの順番を変える、ヘッド部分の画像を変えるなどのテストや改善がしやすいのです。
ランディングページは「一度作って終わり」ではなく、ユーザーの行動に基づいて何度も改善をして成果を出せるものです。
改善の効果がWeb広告全体に及ぶ
Web広告を運用する際には、キーワードや広告文をたくさん用意してテストしながら運用を改善していくのが基本です。
しかし例えばリスティング広告の運用を部分的に改善しても、全体に与える影響はわずかです。
あるキーワードで広告文で、ランディングページに多く流入が得られたということに過ぎません。
しかし、ランディングページの成果が改善するとその効果は大きくなります。
全ての広告施策による流入が最終的にはランディングページで売上などの成果に結びつくからです。
この点からも、Web広告の運用を改善したいのであれば最も力を入れるべきなのはランディングページだと言われます。
ユーザーの悩みや検索キーワードごとにページを用意できる
ランディングページは基本的に1枚物のページであり、作りがシンプルなため回遊型のサイトほど制作に手間がかかりません。
複製も簡単なので、同じ商品に対して切り口やキーワードを変えていくつものページが用意できます。
例えば多機能化粧品の場合「敏感肌」「小じわ」「乾燥」「アンチエイジング」という具合です。
商品によって得られる効果は同じでも、ターゲットが抱えている悩みはそれぞれ違うため、ページを分けることで、広告などでそれぞれの悩みを持つユーザーの心をとらえて売れるページを作ることができるのです。
長いのと短いのと、どっちが正解?
一般的なランディングページは長い1枚物のページだと言いましたが、もちろん必ずしもそうとは言えません。
ランディングページはあくまでもお客様の悩みを解決するためのものなので、その悩みや状況によって長いほうがいいか短いほうがいいかは違うのです。
短いランディングページが効果的な場合
緊急性の高い商品やサービスの場合、短いページに要点がまとまっているページの方が反応が上がります。
例えば水漏れの修理サービスや、家の鍵を落とした時の鍵開けサービスなどは、どれだけ早くいくらで確実にあけてくれるのかが重要で、他の情報はあまり必要ありません。
緊急時にじっくりページを読んでくれる人はいないからです。
長いランディングページが効果的な場合
長いランディングページが向いているのは、商品の金額が高いもの、購入まで考える時間が長いもの、自身の体や健康に関するものなどです。
これらは慎重にさまざまな情報を検討した後に購入や申込に至るので、不安や疑問を解消するためにも多くの情報を掲載する必要があります。
多くの情報を掲載するために、最近ではサイト型のランディングページを利用するケースも増えています。
このように、商品やサービスの特性、ページの目的によってランディングページの構成や内容を変える必要があるのです。
さらに成果を出すポイント
最近はスマホユーザーが増え、指先1つで多くの情報をスクロールできることから、1つの情報をじっくりと見てもらうことが難しくなりました。
そこでこれからもランディングページで成果を出すために重要なポイントを紹介します。
ぱっと見1秒で「伝える」
ユーザーがランディングページに遷移してきた時、最初の数秒、可能なら1秒で「このページにあなたの求めるものがあります」と伝えることです。
この1秒で「なんか違うな…」と思われると、そのランディングページはすぐに閉じられて見向きもされなくなってしまいます。
最近ではこのユーザーの判断時間がどんどん短くなっています。
具体的にはわかりやすいキャッチコピーや画像を使うこと、また「資料請求」「見積もり」などユーザーが求めるアクションや情報を、スクロールしなくても見えるファーストビューの中にボタンなどで設置することです。
ちゃんと行動を「後押し」する
問題解決のために解決方法を伝え、そのためにこの商品が一番良いということにも納得してくれたら、お客様は買ってくれるのかというとそうはいきません。
実は最後に「あと一押し」が足りないと、すぐに買うという行動をしてもらえずにページから離脱してしまうのです。
「あと一押し」をするためには、「期間限定キャンペーン実施中」や、「今だけ〇円!」などの要素を盛り込むことで、今すぐの行動に導くことが可能です。
ページの読み込み速度を上げる
スマートフォンが普及して、人々の判断速度が上がった今、ページの表示速度はその重要性を大きく増しています。
例えばせっかく広告やページをクリックしてくれても、ページが素早く表示されなかったばかりにさっさと次の情報に行ってしまうのです。
これではいくらランディングページを改善しても意味がありません。
サイトを画像などで作りこむとサイトの表示が遅くなる可能性があります。制作段階からページの表示速度を念頭に置いておくことが必要です。
ランディングページはWeb広告の最重要要素
リスティング広告において、ランディングページの出来は最終的な広告効果を大きく左右する非常に重要な要素です。
ランディングページを効果的なものにする為には、細かい部分にまで気を払いつつ、改善を繰り返していく作業が必要になります。
リスティング広告を出稿する際は、ぜひこの記事でご紹介したポイントを意識しながら、効果的なランディングページを作り上げてください。