リスティング広告の改善を考えた時に意識すべき7つのポイント

リスティング 改善

自社の商品やサービスを宣伝する上でリスティング広告を出稿している方も非常に多く、その中でもなかなか満足いくような成果が得られないと思う方も少なくないと思います。

ただ、リスティングの改善って言われても、どのようなことを考えて、どのように変えるのかというのを説明するのは意外と難しいところです。

そこで今回は、リスティングの改善で出来る重要な改善方法をご紹介します。

運用初心者の方はもちろん、新人教育で悩むマネジメント層の方はこの記事を読んで”感覚”や”センス”などという曖昧な概念に頼らず、体系的な説明が出来るように、この記事をぜひ参考にしてみてください。

1.キーワードの改善

キーワードを改善する為の方法として、下記の4つがあります。

キーワードの改善

リスティング広告は、ユーザーが検索した語句(検索クエリ)に対して広告を出すことが出来ます。

ですので、キーワードの改善は非常に重要になってきます。

キーワードの追加

自社商材を検索するユーザーを取りこぼしていないか、改めてキーワードを見直し、足りないキーワードがあれば追加しましょう。

キーワードの抽出方法は様々ですが、思いつく語句をただ羅列していくだけの作業はナンセンスです。

出し始めは羅列していくだけの作業で構いませんが、いくつか語句が溜まったらグルーピングを始めます。

代表的なキーワード(BIGキーワード)なのか、ニーズに関連するキーワードなのか、サービス名なのか、地域なのか、実績なのか、費用なのか…。

グループ分けすることによって、それまで取りこぼしていたキーワードの発見に繋がります。

また、どのキーワードが登録されているのか理解しておけば運用・分析も楽です。

マッチタイプの変更

  • 完全一致
  • フレーズ一致
  • 絞り込み部分一致
  • 部分一致

上記から最適なマッチタイプを選択します。

完全一致のキーワードが多いあまり、配信量が全く伸びていない可能性や、逆に部分一致のキーワードが多いあまり、無駄な検索クエリを拾い過ぎている可能性もありますので、しっかりと確認しましょう。

除外キーワードの登録

検索クエリをチェックして、コンバージョンに繋がる見込みが薄いキーワードは除外キーワードとして設定しておきましょう。

部分一致のキーワードが多い場合は、無駄な検索クエリからクリックが発生していないかというところにも注意が必要です。

不要なキーワードの停止、削除

確実に不要なキーワードが登録されている場合は停止してしまいましょう。

また、キーワードの品質スコアはアカウントの品質評価にも繋がる為、削除をしておいた方が無難です(削除をした場合は再配信出来ませんので注意が必要です)。

2.入札単価の調整

入札単価の調整としては下記の2つがあります。

入札単価の調整

リスティング広告は配信を掛けて競合と勝負する必要があり、その勝負に負けてしまうと掲載順位が低く、全く表示されない広告になっていまいます。

広告掲載順位は『入札単価』『品質スコア』の2要素で決まる為、入札単価の調整は非常に頻度の多い、重要な改善方法です。

掲載順位についてはこちらの記事を参考にしてみてください。
広告ランクの仕組みを徹底解説!広告ランクで掲載順位が決まる

入札単価を上げる

配信量が想定よりも掛からない場合は入札単価を上げることで、配信量が増える・掲載順位が上がるといった効能が得られます。

入札単価を下げる

想定よりも配信が強く掛かり、予算による配信数の制限が掛かってしまっている場合は、入札単価を下げることで、クリック単価が下がる・配信数が伸びるといった効能が得られます。

3.広告文の改善

広告文を改善する場合は下記の2つの方法があります。

広告文の改善

Googleが1グループ1キーワードよりもhagakure構造を推進していることもあり、多くのアカウントでhagakure構造を目にすることが増えました。

1グループ1キーワードとは、1つのグループに1つのキーワードのみがあるアカウント構造のことで『キーワードに対してより適切な広告文が表示出来る・キーワードを含む広告文が表示出来る』という点でこれまで主流でした。

一方、hagakure構造とは、1つのグループの中に複数のキーワードが含まれているアカウント構造のことで、『Googleの自動化を活用することで、キーワード・ユーザーからより適切な広告文を表示出来る』という点で、注目を集めています。

このhagakure構造が主流化する中で、1グループの中の広告数も増加傾向にありますが、Googleが適切な広告を選択してくれるので、たくさん入っていた方がGoogleの選択肢を増やせる(より適切な広告文を探し出しやすい)というのが理由です。

広告文を追加する

1グループ内に広告は5つ以上入れることが望ましいので、広告が少ないグループがあれば追加をしましょう。

設定によって均等に配信されるのではなく、Googleがより適切な広告に配信ボリュームを寄せてくれますので、成果悪化の心配は少ないでしょう。

複数の訴求の広告文でどの成果が良いのかテストしてみるのも良いと思います。

広告文を停止する

時には、広告文を停止するという選択肢も必要です。

確かに、Googleがより適切な広告に配信ボリュームを寄せてくれるのですが、CV数が少ないアカウント等は注意が必要です。

CVを判断材料に使えない場合は、クリック率が高い広告に配信が寄る傾向にあります。

広告の訴求内容でばらつきが出るのは当たり前なので、自信を持って作った広告文(特にクリック率は低いがCVRが高そうな広告文)の配信が弱まっている場合は、その他の広告の配信を停止して、様子を見る必要があります。

4.広告グループの設計

hagakure構造が主流になってきていますが、広告グループの分け方としては『1グループ1ニーズ』で分けるのが良いでしょう。

広告文というのは、検索クエリに対する回答である必要があります。

それはつまり『検索クエリ=疑問・知りたい事・欲求』であり『広告文=欲求を解決する情報』です。

広告グループの設計

その為、『1グループ1ニーズ』でアカウント構造を作れば、ユーザーの検索クエリから大きく外れた広告文が表示される危険性を大きく免れることが出来ます。

「なんだか分からないけど広告グループ分けてみた!」という方は、今一度アカウントの戦略を立て直しましょう。

5.キャンペーンの予算配分

キャンペーンの予算配分については下記のような点を意識しましょう。

キャンペーンの予算配分

獲得成果の良いキャンペーンにおいて『予算による損失』が起こっていると、取れるはずのCVを、指を咥えて逃していることになります。

アカウント全体の予算増額が難しいようであれば、以下の方法で改善を行いましょう

キャンペーン毎の予算配分の調整

キャンペーン毎の配分は適正なのかチェックし、成果の悪いキャンペーンを一度止めて予算バッファを増やす等の判断も必要になってきます。

キャンペーン内で悪化キーワードの配信を絞る

予算配分の変更も難しいようであれば、キャンペーン内の見直しを行います。

キャンペーン内でどこの要素(広告グループ・キーワード)で成果が良いのか判断し、『取れていないのに予算消化の激しいキーワード』等があれば停止する・単価を絞る等の対策を練りましょう。

6.配信設定の変更

商材によって、時間帯や曜日で獲得成果に大きな差が現れることがありますので、分析を行った上で明らかに成果の悪い時間帯やデバイスについては絞ってしまいましょう。

しかし、これには注意が必要で、例えば土日でしかCVしていなかった為、平日の配信を停止した場合に、土日でも全く取れなくなることがあります。

これは、平日にリスティング広告を見たユーザーが土日に再検索を行ってCVするケース等、複数に渡って広告をクリックすることが成果に繋がることがある為、このような現象が起こります。

配信設定の変更

そのような場合には、行った改善が悪化を招いていると判断し設定を基に戻す必要があります。

効果が早い分、悪化に繋がるスピードも速い為、設定の変更を行う場合は特に、調整後の成果分析と柔軟な対応が必要になります。

7.その他

その他の改善策としては下記のようなものがあります。

その他の改善策

リスティングの改善は、リスティング広告の管理画面上だけで行えるわけでありません。

管理画面上では改善出来ない要素をまとめておきますので、管理画面とのにらめっこに疲れ果てた方はこちらもご参考にしてください。

LPの改善

リスティングで出来ることとしてはLPへの流入が大きなところです。

どんなに良質なユーザーを集めたとしてもLPがユーザーの嗜好に合っていない場合は、CVが起こりません。

Google Analytics等解析ツールを活用しながら、LPをチューニングする作業も、リスティングと同時に行っていきましょう。

外部要因の認識

時期的に需要に差がある商材は少なくありません。

例えば、ケーキはクリスマスの時期にたくさん売れますし、一年で最も豆が売れるのは節分の前だというのは想像に難くないところだと思いますが、これと同じことがリスティング広告上でも常に起こっています。

広告代理店は企業が期末の時が稼ぎ時です(年間の広告費の消化に走る担当者が多いので)。また、これに伴ってリスティングのクリック単価も高騰する傾向にあります。

また法改正等はもちろん、ニュース一つでユーザー行動に影響を与えますので、年間通して一定であるはずがありませんし、把握して操作することは困難ですが、こういったことにも注意が必要です。

KPIの見直し

KPIとは「重要業績評価指標」のことで、目標の達成向かってプロセスが適切に実行されているかどうかを測るのに必要なものですが、もし単なる希望だけでKPIを設定したのであれば再検討が必要です。

リスティングで実現可能ではないKPIを設定していて成果を改善したいという方がたまにいらっしゃいますが、それはむしろ無理な運用に繋がり悪化するケースが多いです。

例えば、業界の平均クリック単価が1,000円CPA5,000円を目指したいとなると、CVRが20%必要になります。

ここで、安いクリック単価ばかり追いかけると全くCVの取れない無駄キーワードの配信ばかりが行われ、CVが全く取れないケースに陥ります。

媒体の変更

そもそも、目的に対してリスティングが正しい解決手法なのかというところを見直す必要もあります。

例えば、認知拡大(ブランディング)に力を入れたい企業はリスティング広告よりもSNS広告やオフラインの電車広告の方が向いているかもしれません

また、一店舗のみの集客に力を入れたいのであれば、近隣にチラシを撒く方が有効かもしれません

このように、自社の商材、サービスが本当にリスティング広告にふさわしいのかを確認することも大切です。

8.まとめ

いかがだったでしょうか?

今回ご紹介した内容を簡単にまとめるとこのようになります。

  • キーワードの追加やマッチタイプを確認
  • 入札単価の確認と調整
  • 広告文の追加や停止
  • 広告グループの設計確認
  • キャンペーンの予算配分確認
  • 配信設定の確認
  • リスティング広告外の確認

リスティングは万能の媒体ではありませんが、出来ることは非常に多く、上手く使えれば満足のいく成果を上げることも不可能ではないので、今回ご紹介した内容を確認して、ぜひ成果を改善してください。