最近ではビジネスの場面で「ロジカルシンキング」という言葉を聞くことが増えました。学校教育でもロジカルシンキングの力を高めるためとしてプログラミングの授業が取り入れられています。
この記事ではロジカルシンキングとはそもそも何なのか、ビジネスの場面でどう役立つのか、身につけるためにはどのようなトレーニングをすればいいのかについて、基礎から解説します。
目次
ロジカルシンキングとは?
「ロジカル」は「論理的」という意味であり、ロジカルシンキングとはすなわち「論理的思考」を意味します。
では論理的であるということは、どういうことなのでしょうか。
端的には以下のように表現できます。
・複雑な問題について客観的に考えられること
・矛盾や飛躍が無いよう内容や要素・関係性を整理できること
・関係者が納得できる最適な解決法を見つけられる
例として、あなたが会社を出て取引先に行く時のことを考えてみます。
これから1時間以内に相手先に着かなければ行けない時に、行き方を決めないまま適当な時間に会社を出ることはありません。
相手先の場所を調べて、最寄りの駅までの行き方・電車の乗り換えを調べ、始めての行き先であれば思ったよりも時間がかかることを見越して早めに会社を出るはずです。
「9時に出るのでは間に合わない可能性があるから、30分早めて8時半に出よう」
「〇〇線はダイヤが乱れることが多いから、少し遠回りだが△△線で行こう」
「遅れそうな時連絡出来るよう、相手の電話番号と担当者名を確認しておこう」
このように起こり得る事態を考え、対応を考えることも論理的思考です。
ロジカルシンキングは課題を認識して、改善・解決するための手順を考えるために非常に役立つ思考法なのです。
どうして今ロジカルシンキングが必要なのか
複雑化する問題の理解のため
現代のビジネスシーンで起こる問題は、企業のグローバリゼーションと共に複雑化しています。
以前と違い、さまざまなバックグラウンドやカルチャーを持ったメンバーが同時に働くようになったので、問題の内容や要素の関係性などをより客観的な視点で分析する必要が大きくなっています。
解決策を見つけるため
ロジカルシンキングが身につくと、問題を客観的に理解して内容を整理できるために、解決のために何が足りないのかについても気づくことができます。
また論理的に正しい考え方は、さまざまなバックグラウンドを持つ関係者の中でも多くの人にとって納得しやすいとも言えます。
生産性を上げるため
ビジネスシーンの変化のピードはどんどん速くなっています。
ビジネスで成果を出すためには、その変化の中で無駄なく施策を検討し、いち早く判断をして実施していく必要があります。
ロジカルシンキングを用いると判断の質が上がり、検討すべきことを見逃す危険性も少なくなります。
プログラミングでロジカルシンキングは身につくか
2020年度からは小学校の必修科目にプログラミングが取り入れられました。
ただし、文部科学省の方針からはプログラミングをマスターさせるというより、論理的な考え方を身につけるのが目的のようです。
プログラミングでは、結果を得るための処理をPCに対して正確に指示しなければいけません。
処理ができなければ、自分の書いコードが間違っているということになります。このプログラムの処理の正しい順番を考えるなどの行為が、子どもたちの論理的思考を養うと考えられています。
どうすればロジカルシンキングが身につくのか
ロジカルシンキングは海外の経営大学院でも科目に取り入れられています。しかし、そのような専門的なトレーニングを行わなくても、日々の意識付けで能力を上げることも可能です。
ここでは、日ごろの意識付けでロジカルシンキングが身につく習慣を紹介します。
目標達成の条件を細分化して考える
何かをする時に、まず目的を果たすために何が必要なのかを細かく洗い出すクセを付けましょう。
例えば料理をする時、材料は何が必要か、調味料は何が必要か、何をどの順番で行えばいいのかを考えますよね。
旅行をする時も、旅行の目的に合わせて何を持っていくべきなのか、どんな格好で行けばいいのか、いつまでに何を準備すればいいのかなどを考えます。
この時に漠然と考えるのではなく、実際にその行動をするイメージを持つと、より細かく目標達成の条件や順番を洗い出すことができます。
料理や旅行をしないという人でも、日常生活における自分の行動を意識して分解することで、論理的思考の練習になります。
意識して結論から話す
結論から話し始め、その後に根拠や具体例、説明などを入れるようにするトレーニング方法も有効です。
結論を伝えて論理展開することで、話が迷子にならず一貫した内容で話しやすくなり、相手にも伝わりやすくなります。
結論にたどり着くまでに時間がかかると、聞いている側も集中が途切れやすくなるため、結論から話すことで議論の生産性も上がります。
アウトプットして人の意見をもらう
ロジカルであると信じていても、他の人から見たら飛躍があったり矛盾が生じているように感じることはよくあります。
それに気づくためには、自分の考えを積極的にアウトプットしてそれに対してフィードバックをもらうことが重要です。
例えばプレゼンテーションの資料を上司に見てもらった時に、ここはどうしてこのような結論になったのか?という疑問を持たれるようでは、その資料はロジカルに作れていないということになります。
ロジカルシンキングを学ぶ時の注意点
ロジカルシンキングはビジネスで役立つ重要なスキルですが、扱う時には注意点もあります。
ロジカルシンキングで得た答えというのは、合理的で矛盾や飛躍がなく一見正しいように思えます。しかし、それを関係する全員が無条件で受け入れるかというと、そうとは限りません。
施策について相手が納得できるかどうか、自分の伝え方が効果的かどうか、受け入れて実行してもらえるかは別の問題となります。
ロジカルシンキングも成果を出すために取り得る1つの方法で合って、絶対的な正義ではないということを忘れないことが必要です。
これからのビジネスマンには求められるスキル
テクノロジーの進歩やビジネスのグローバル化によって、現場で起こる問題はどんどん複雑になっています。
そんな時に1つの基準である論理的な正しさに基づいて問題解決を目指すロジカルシンキングは今後のビジネスマンが身につけておくべきスキルです。
ロジカルシンキングを身につけるためにも、自分の考えが
・主張と根拠に筋道が通っている
・バイアスにとらわれていない
・合理的である
・物事を適切に分解できる
・因果関係を正しく把握できる
・言葉や数字を適切に扱える
これらの条件を満たしているかどうか意識するようにしましょう。