マルチタスクは非効率!大量の仕事をこなすコツを紹介

仕事が出来る人の代名詞のように言われる「マルチタスク」。
しかし、実はやり方を間違えると逆効果になることをご存じですか?

実は上手くいくマルチタスクとは、シングルタスクを細かく切り替える方法なのです。

もしこれを知らないまま、いくつもの仕事を本当に同時に進める方法でマルチタスクをこなそうとすると、生産性が一向に上がらず、ただただ疲弊してしまいます。

そこで今回は、一般に言われるマルチタスクの概要や、科学的に証明されている生産性が高い人がやっている具体的な仕事のやり方について紹介していきます。

記事を最後まで読んでいただくことで、きっとあなたの仕事観も変わります。
ぜひご一読ください。

マルチタスク=複数の仕事を同時にこなすこと

マルチタスクとは、複数の仕事を同時にこなす働き方を指して使われます。
元々はコンピューターが同時に違う情報処理をすることを意味していましたが、ビジネスシーンでも使われるようになりました。

例えば、電話をしながらメールを処理したり、会議に出席しながらセミナーで使用する資料を作ったりと、2つ以上のことを同時にしていればマルチタスクとなります。
特にデスクワークが中心の人は、複数の仕事を同時に走らせることも珍しくないでしょう。

シングルタスクとの違いは?

マルチタスクと対義語になるのが、シングルタスクです。
その言葉通り、仕事を1つずつこなす働き方です。芸術家や将棋の棋士など、職人的な仕事をする人にはシングルタスクの方が向いています。

つまり、マルチタスクが出来るから能力が高く、出来ないから低いというわけではありません。その人が何をするかによって、適しているスタイルは異なるのです。

マルチタスクのメリット

マルチタスクのメリットは、複数の仕事を同時にこなせることです。特に、同時期に大量の仕事が押し寄せる人にはおすすめです。

例えば事務職の人であれば、上司から依頼された仕事や電話対応、メール処理、部下からの相談など、様々な仕事が重なることがあります。そんな時、仕事を1つずつ終わらせてから次の仕事を受けていては、依頼する側も躊躇してしまいます。

逆に、どんな状況でも快く引き受けてくれる人は多くの人から重宝され、評価も高くなる傾向にあります。

マルチタスクのデメリット

マルチタスクのデメリットは、1つ1つの仕事の生産性が落ちることです。
なぜなら、複数の仕事に注意が取られると、目の前の1つの仕事に対する注意力は散漫になるからです。

例えば、資料作成をしている間に、電話対応や同僚からの相談、チャットの確認などが発生するケースはよくあるかと思います。

この時、いったん途切れた集中力を取り戻したり、直前まで考えていた内容を思い出したりしていると、普段よりも余計に時間がかかります。

また、複数の仕事を掛け持ちしていると、次第にどのくらいの仕事を抱えているのかが分からなくなってきます。その結果、知らぬ間にキャパオーバーになってしまう人は後を絶ちません。

フリーランスはマルチタスクになりがち

働き方は人それぞれですが、特にフリーランスはマルチタスクになりがちです。その理由について、以下で解説していきます。

理由①:複数のクライアントから案件を受けるから

1つ目の理由は、複数のクライアントから案件を受けるからです。
というのも、1つのクライアントから大型案件を受注するだけで済むフリーランスはほとんどおらず、たいていの人が複数のクライアントから仕事を受けているからです。

また、クライアントごとに仕事のやり方や納期もバラバラになることが大半のため、同時期に複数の案件を抱えるとマルチタスクにならざるを得ません。

理由②:メイン業務以外もやらなくてはいけないから

2つ目の理由は、メイン業務以外もやらなくてはいけないからです。
フリーランスになると会社員時代は他の人がやってくれていた業務も、全て自分でやる必要があります。

代表的なものとしては、経費精算、確定申告、請求書発行、備品の購入などが挙げられます。

不慣れな業務の場合、想像以上に時間が取られることがあります。しかも、上記で挙げたような間接業務は、どれだけ頑張っても売上に直結することはありません。

実はマルチタスクは効率が悪い

「マルチタスク=仕事が出来る」というイメージを持っている人も多くいるかと思いますが、実は脳科学的にはマルチタスクは効率が悪いことが分かっています。

98%の人はマルチタスクが出来ない

ユタ大学応用認知ラボのデビッド・ストレイヤー氏の研究では、98%の人間はマルチタスクが出来ないと論じています。さらに、マルチタスクを行う能力は鍛えられず、先天的な能力が必要だとされています。

出典:arsTECHNICA|運転と携帯電話の使用を両立できるのは、まれな「スーパータスカー」だけ(2022.10.01)

つまり、そもそも大半の人はマルチタスクをしている気になっているだけで、実際には作業効率を大幅に落としながら1つ1つの仕事をしているだけなのです。

ストレスホルモンの分泌で脳に障害が起こる

また驚くべきことに、マルチタスクには脳を破壊するリスクがあることも分かっています。

マルチタスクは短時間に何度も仕事を切り替えるため、脳に大きなストレスがかかります。その結果、脳内にコルチゾールというストレスホルモンが分泌されます。このコルチゾールには、脳に刺激を与えて思考を妨げる作用があるため、マルチタスクをすることで脳に大きなダメージがかかることになります。

物忘れが激しくなったり、集中力が散漫になったりと、今まで起こらなかった現象が頻発しているとすれば、マルチタスクによる脳疲労を疑った方が良いかもしれません。

仕事が速い人はシングルタスクを高速で切り替えている

マルチタスクが出来る人が全体の2%だとすれば、そうでない残り98%の人はどうすればいいのでしょうか?

いくつもの仕事を素早くこなす人の大半は、実はマルチタスクではありません。

その実態は、シングルタスクを瞬時に終わらせ、高速で次のタスクに切り替える「タスクスイッチング」に長けている人たちです。

つまり、仕事Aが終わったからBに取り組む、Bが終わったからCに取り組む、といった具合に1つずつの仕事を完了させ、素早く次の仕事に移っているにすぎません。

そのため、マルチタスクの才能を身に着ける必要はありません。ちょっとした時間の使い方を工夫するだけで、誰でも簡単に仕事が出来る人になれるのです。

次章では、シングルタスクを上手に切り替える方法を紹介します。

シングルタスクを上手に切り替える方法

ここからは、意識1つで明日から出来る、シングルタスクを上手に切り替える方法を紹介します。

1つの仕事が終わるまで次の仕事に手をつけない

最も手っ取り早いのは、1つの仕事が終わるまで次の仕事に手をつけないことです。簡単ですが、集中力を維持する効果は絶大です。

ただし、ずっと同じ仕事に取り組んでいると疲れてきて、途中で息抜きをしたくなる人もいるかと思います。そんな方には、ポモドーロ・テクニックがおすすめです。これは、仕事を短い単位で区切ることで、集中力を維持しながら仕事に取り組めるテクニックです。

やり方は非常に簡単で、達成したい仕事を細かく分割し、1コマ25分に区切ります。25分間仕事をしたら5分休憩を取るという単位をポモドーロと呼び、4ポモドーロ(2時間)ごとに長めの休憩(15〜30分)を取るという流れを繰り返していきます。

自分一人でも出来ますが、仲間と一緒に行うとより効果的です。

あらかじめ時間枠を確保しておく

あらかじめ仕事の時間枠を確保しておくのもおすすめです。後で時間が無いと慌てて、不本意なマルチタスクをせざるを得ない状況を防げます。

少なくとも前日までには翌日の予定を決めておき、当日は決めた順番でシングルタスクをこなしていくと効率的です。

また、予定を立てる際には少し余裕を持っておくことで、イレギュラー時も対応しやすくなります。

タスク管理ツールで仕事を可視化する

タスク管理ツールを使うのもおすすめです。タスクの抜け漏れが防げるだけでなく、一度自分の頭から仕事を切り離すことでストレス解消にもつながります。

TrelloやJootoなど無料から使えるツールも多数出ています。Googleスプレッドシートなどを使って、自分で管理表を作るのもおすすめです。利用者のレビューを参考にしつつ、直感的に使いやすそうなツールを選ぶことをおすすめします。

突然の依頼には「パーキングロット思考」で対処する

どれだけ注意をしていても、急に仕事が舞い込むことはよくあります。そんな時におすすめなのが、パーキングロット思考です。

急な依頼が来た際に、あらかじめ決めておいた場所(メモ帳、チャットのメモ欄、ノートなど)にメモを残し、本来の業務に戻るという対処法です。

急な依頼をいったん脇に置くことで、本来の業務が妨げられるのを防ぎます。

例えば上司から、「来月の飲み会、会場予約よろしく!」と言われたとします。上司からの依頼ということで重要な仕事ではありますが、今すぐやる必要もありません。

この時、あらかじめ決めておいた場所にメモを残しておき、いったん元の業務に戻ります。その後、時間の余裕が出た時に、先ほどメモした飲み会の会場予約をするという流れです。

一人で対処するのは限界だと感じたら

シングルタスクを上手にこなすことも大切ですが、人に頼ることも大切です。

困ったときには自分一人で解決しようとせず、以下のような人たちに助けを求めてみてはいかがでしょうか。

仲間の力を借りる

まずは、身近な仲間に頼ってみましょう。お願いしてみたら、案外すんなり力を貸してくれるものです。

例えば、こんな例が考えられます。

・営業職→先輩に商談を依頼する
・事務職→同じチームのメンバーに協力要請
・フリーランス→同業の仲間に仕事を振る

ただし、人に協力を仰ぐ際には、日頃の接し方が重要です。小さい事でもお礼を言ったり、自分に余裕がある時は逆に力を貸したり、自分だけがもらう側にならない心構えが重要です。

外注する

予算が許すのであれば、外注もおすすめです。一言に外注といっても様々なサービスがありますので、用途に合わせて使い分けると非常に便利です。

例えば、自分の仕事の一部をお願いしたければ、クラウドワークスやランサーズなどのクラウドソーシングサービスがおすすめです。

また、フリーランスで経理業務に慣れていない方であれば、freeeやMoney Forwardなどのクラウド会計ソフトを使ったり、税理士に丸投げしたりすることもできます。

「〇〇 外注」と検索すれば複数の候補が出てくるので、予算感とサービス内容を比較してみてください。

脱・マルチタスクで生産性を向上させよう

今回は、マルチタスクの概要とおすすめの向き合い方について紹介してきました。

大半の人はマルチタスクをしようとすると仕事の生産性が落ち、さらにストレスホルモンの分泌により脳機能の低下を招く恐れもあります。

おすすめの仕事の仕方は、シングルタスクを瞬時に終わらせ、高速で次のタスクに切り替える「タスクスイッチング」です。

今回は、4つの具体的な対策についてもご紹介しました。

  • 1つの仕事が終わるまで次の仕事に手をつけない
  • あらかじめ時間枠を確保しておく
  • タスク管理ツールで仕事を可視化する
  • 突然の依頼には「パーキングロット思考」で対処する

特にフリーランスの方は、マルチタスクになりがちです。
心身の健康のためにも、今回ご紹介した内容を試して、脱・マルチタスクを目指してみてください。