パラレルキャリアとは?自分らしく働くための簡単4ステップも解説

現代では、高度経済成長期のような「身を粉にして働く!」といった考え方は薄まりつつあります。

また、やりがいを感じることのできない仕事を続けていると、それだけで気持ちが沈んでしまいますよね。

そんな一人ひとりが自分のキャリアプランを考える時代において、新たな働き方として注目されているのが「パラレルキャリア」です。

この記事では、パラレルキャリアとは何かといった疑問にお答えするとともに、メリット・注意する点についてもお伝えします。

「パラレルキャリアには興味あるけど、何をすればいいのか分からない」と悩む人に向け、すぐに実行できる4ステップについても解説していきます。

パラレルキャリアは本業以外のキャリアを築くこと

パラレルキャリアとは、ズバリ「本業を続けながら、別のキャリアを築く」ことです。

パラレルキャリアという考え方は、経営学者のピーター・ドラッカー氏が、自身の著書である『明日を支配するもの』で提言しました。

自分のキャリアを1つだけに絞ってしまうと、それだけ選択肢が狭まってしまいます。
また、チャレンジしたいと思っていても、キャリアが1つだけだとどうしてもリスクが取りづらくなってしまいます。

しかし、複数のキャリアを築いていれば、本業とは別に自分のやりたいことにチャレンジできるのです。

このように、本業を辞めずに新たなキャリアをスタートさせるのがパラレルキャリアの考え方です。

副業との違いは必ずしも「お金」が目的ではないところ

パラレルキャリアと副業の違いは、「働く目的がお金かどうか」です。

副業はお金を目的にしているのに対し、パラレルキャリアの目的には「社会貢献」や「自己実現」を含みます。

副業であれば、大切なのは「いくら稼げるか」であり、お金を得るためには自分のやりたくない仕事もする必要があるかもしれません。

一方でパラレルキャリアは必ずしもお金が目的ではなく、自分がやりたいことに注力するという考え方を指す場合が多いです。

パラレルキャリアの実例を紹介

パラレルキャリアのイメージを明確にしてもらうために、いくつか実例を紹介していきます。

  • 平日は会社員として勤めながら、休日にダンサーとして舞台に立つ
  • 趣味で始めたブログから、ライターとしての活動もスタートさせる
  • 育休をきっかけに、地域コミュニティに参加し広報を担当する

また、地方公務員をしつつ「市民ランナー」としても活動していた川内優輝氏という方がいるのですが、この方もパラレルキャリアだったといえます。
2019年から、川内氏は地方公務員を辞めて「プロランナー」になりました。

このように、自分の将来の選択肢を増やせることも、パラレルキャリアの大きな魅力です。

パラレルキャリアのメリット

それでは、パラレルキャリアを始めると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
大きく3つに分けて解説していきます。

自分のやりたいことで社会貢献できる

副業との違いでも解説しましたが、自分の夢や興味のあることで社会貢献できるのは大きなメリットです。

社会人になると、夢や好きなことに挑戦する機会は、段々と減ってきてしまいますよね。

「好きなことを仕事にしよう」とはよく言われますが、いまの仕事を辞めて自分の好きなことにチャレンジするのは相当な勇気が必要です。

パラレルキャリアであれば、無理に会社を辞めることなく、小さなことから始められるので行動しやすくなります。

新しい出会いが増える

パラレルキャリアを始めると、人と関わる機会も増えます。

いままでは所属している会社内のつながりだけだった人間関係が、パラレルキャリアになることで社外のつながりも持つようになるからです。

そして、新しい出会いが、予期せぬ形で本業にプラスの作用として働くこともあります。

違う環境にいる人との情報交換ができたり、価値観の違いに触れたりすることで、自分の考え方も柔軟になっていきます。

自分の視野が広がり、本業にも生かせる

社外活動が増えれば、視野が広がり本業に生かすことができます。

なぜなら、物事を複数の視点でみるスキルが身に付くからです。

例えば、アフィリエイトブログを始めてマーケティングについて学ぶことにより、本業でもマーケティングの視点を持つことができます。

このように会社の外で身につけた視点で本業を客観視することによって、業務内容の見直しなど、本業に生かすことができます。

パラレルキャリアの注意点

ここまではパラレルキャリアのメリットに触れてきました。

自分の可能性を広げるパラレルキャリアですが、実は注意すべき点もあります。注意すべき点もしっかり押さえておきましょう。

時間管理ができないと仕事量の多さに挫折する

本業以外にも活動するので、当然働く時間が増えます。

パラレルキャリアを始めるときは、基本的には仕事終わりか休日に活動することになります。
そのため、時間管理ができていないと仕事量が増えすぎてしまい、身体がボロボロになってしまいます。

仕事量が増えすぎた結果、道半ばで仕事を投げ出してしまうのは非常にもったいないですよね。
自分にとって無理がないように時間管理をすることが大切です。

活動内容によってはお金がかかってしまう

パラレルキャリアを始めるとき、内容によってはお金がかかってしまう場合があります。

例えば、ヨガの教室を開きたい場合、場所のレンタル代やチラシ作成にお金がかかるとします。
人が集まれば問題ないですが、最初はうまくいかないことが多いので、結果的に赤字になることがあるのです。

また、パラレルキャリアはあくまで個人の活動になるため、費用は全て自分で支払う必要があります。

このように、活動内容によっては、ある程度お金がかかる場合があることも注意しておくといいでしょう。

パラレルキャリアを始めるときの簡単4ステップ

ここまでで、パラレルキャリアのイメージは何となく掴めてきたかと思います。

ここからは、パラレルキャリアを始めてみたい方に向けて、何をすればいいかを簡単に4つのステップにまとめました。

「そもそもやりたいことがハッキリしない」という方にも有効な方法となっておりますので、ぜひ試してみてください。

① 自分のやりたいこと・好きなことをリストに書く

まず、紙とペンを用意します。

10分など時間を決めて、紙にやりたいことをひたすら書いてください。
ポイントは、深く考えなくていいのでパッと思いついたこと、感じたことを書くことです。

ここでは、いまのあなたがどういう状況かは無視してください。

筆者の場合は、「作業スケジュールが自由に決められる」「淹れたてのコーヒーがある」「成長している感覚」「知らない場所へ行く」「大喜利」「達成感」などでした。

「何でも実現可能なら、自分は何がしたいだろう?」という視点で書いてみてください。

② 自分のやりたくないこと・嫌いなこともリストに書く

①と同様、こちらも10分など時間を決めて、紙にやりたくないことをひたすら書いてください。

考えず、感じたことをそのまま書き殴って問題ないです。なるべく手を休めないで書いてみてください。

筆者の場合だと、「クレーマー」「満員電車」「長話し」「電話対応」「人間関係が悪い」「すぐ否定してくる人」「理不尽な理由で謝る」などなど・・・。

あなたは、自分の嫌いなことをこの世から消し去ることができるとしたら、何をなくしたいですか?

③ リスト化した内容を照らし合わせる

①と②で自分のやりたいこと、やりたくないことを書き出すことができました。

そして、今度は①と②で書いた内容を比較してみてください。

例えば、筆者の場合だと次のようになります。

やりたいこと:「作業スケジュールが自由に決められる」「達成感が得られる」
やりたくないこと:「クレーマーの接客」「対面で長時間話す」「電話対応」

こうした比較をすることによって、筆者は「裁量権があり、接客する機会が少ない仕事」がやりたいのかと気づくことができました。

ぜひ、自分の作った2つのリストを比較してみてください。
比較することで自分の大切にしている価値観が明確になり、自分が何をやりたいのかが見えてくるはずです。

④ 自分のやりたいことに合った方法を探していく

③までで、自分が本当にやりたいことが見えてきたでしょうか?

何となくでもイメージできれば問題ないです。

そして、最後は自分のやりたいことに合った方法を検討していきます。

「自分のやりたいことは、どういった形で実現できるのか」といった視点で考えるといいでしょう。

例えば、誰かのために活動したいと思うのであればボランティア活動をする、自分自身を成長させたいと思うのであれば社会人インターンを利用するといった選択肢がありますよね。

最近ではボランティアや社会人インターンなどを紹介するサービスも充実しており、パラレルキャリアにチャレンジしやすい環境が整っているといえます。

自分が興味のあるサービスに登録して、パラレルキャリアをスタートさせましょう。

やりたいことに合ったサービスのおすすめ

「やりたいことは見つかったけど、どんなサービスがあるかわからない」

こうした悩みを抱える人に向けて、やりたいこと別にサービスをまとめてみました。

自分に合ったサービスを見つけるうえで、ぜひ参考にしてみてください。

ボランティア

「人から感謝されたい」「社会貢献していきたい」

このような気持ちが強い方には、ボランティアで活動するのがいいでしょう。
ボランティアは無償で働くことが多いですが、営利目的の企業では支援できない範囲の人々に貢献できます。

また、ボランティアでは面と向かって話すことが多いので、人とのつながりを持ちやすい点も魅力です。ボランティアを募るサービスには、次のようなものがあります。

サービスグラント

サービスグラントは、経験やスキルを持つ人々の社会参加と多くの社会課題解決を支援するNPO法人です。

主な活動としては、「プロボノ」という、ある分野で培った知識や経験を持つ多彩な人々が課題解決に向けて取り組む社会貢献の支援をコーディネイトしています。

「プロボノ」とはラテン語を語源とする言葉で、「公共善のために」という意味です。

サービスグラントのプロボノプロジェクトは、これまでに様々な企業で、人材育成などの実績を生み出しています。

「自分の経験を生かして、社会貢献がしたい」という方には、特におすすめです。

activo(アクティボ)

activo(アクティボ)は、国内最大級のNPO・社会的企業のボランティア・職員/バイトの情報サイトになります。

小学生からシニアまで、幅広い年代の方に向けた募集情報が掲載されています。

ボランティアの内容も多岐に渡り、ゴミ拾いからYouTubeの動画撮影・編集まであります。

エリア別、テーマ別、対象年齢別に気軽に募集情報を検索でき、オンラインでできるボランティアも多数あるので、自分に合ったボランティアを探しやすいのがメリットです。

ボランティアプラットフォーム(ぼらぷら)

ボランティアプラットフォームは、日本最大級の海外ボランティア派遣を行なっている一般社団法人です。

2003年に設立され、アジア圏を中心に、のべ数万人の海外ボランティアを派遣している実績もあります。

最近ではコロナ禍に伴い、カンボジアの子どもたちへの「授業ボランティア」や「アクティブラーニング」などの海外ボランティアがオンラインでできるような取り組みもしています。

海外へ行く料金は自費になってしまいますが、ボランティアプラットフォームでは独自の割引キャンペーンも実施しているため、通常より安く海外ボランティアに行くことができます。

プログラム参加後のアンケートでは、満足度97.53%と驚異的な数字を叩き出しています。

クラウドソーシング

「自分の得意なことを仕事にしていきたい」
「作業時間や場所を自由に決めたい」

このような気持ちが強い方は、クラウドソーシングで案件を見つける方法がいいでしょう。

クラウドソーシングとは、インターネット上で企業(または個人)が不特定多数の人に業務を委託する形態のことを指します。

クラウドソーシングサイトを利用すれば、自分の得意分野を生かしたり、スキマ時間に作業したりできます。

魅力としては、作業スケジュールや作業場所を自分で調整できる点にあります。

主要なクラウドソーシングサイトは、次のようになります。

クラウドワークス

クラウドワークスは、業界ナンバーワンのユーザ数を誇るクラウドソーシングサイトです。

その登録者は300万人と、どれだけ多くの方に選ばれているか分かりますね。

しかし、登録しているユーザ数が多い分、高単価の案件では競合も多くなってしまいます。

初めは単価の低い案件を中心に行なっていくことになるかと思いますが、実績を積んでいけば少しずつ高単価の案件に携わることも可能です。

また、クラウドワークスはアプリ版も配信されているため、使い勝手のよさには定評があります。

ランサーズ

ランサーズは、クラウドワークスと並んで、日本最大級のクラウドソーシングサイトです。

実は、日本で初めてクラウドソーシングサービスを開始したのがランサーズなので、実績も申し分なしです。

よくクラウドワークスと比較されますが、案件の種類自体には大きな差はないです。

クラウドワークスと併用してみて、自分にとって使い勝手がいい方を選ぶことをおすすめします。

ココナラ

ココナラは、ビジネスからプライベート利用まで、個人のスキルを気軽に売り買いできるスキルマーケットです。

クラウドワークスやランサーズよりも、より自分の特技に特化したサービスになります。

ジャンルも豊富なので、自分のスキルや経験をアピールして、仕事を受注することができます。

ココナラもアプリ版がリリースされているので、比較的使いやすいサービスになります。

社会人インターン

「自分の本業の経験を生かしたい」
「自分の成長につなげたい」

このような気持ちが強い方は、社会人インターンを経験するといいでしょう。

社会人インターンは就業後や休日に日程を組まれることが多いです。

期間はプログラムごとに異なり、1Dayインターンから長期インターンまであります。

社会人インターンを行うことによって、自分の市場価値を把握でき、スキルアップを目指すことができます。

社会人インターンに興味があれば、次のサービスを利用してみましょう。

サンカク

サンカクは、リクルートが運営している、自分の仕事を続けたまま他の企業の課題に取り組むことができる、社会人のためのインターンシップサービスです

サンカクでは、社会人インターンシップとは別に、「スポットディスカッション」という場も設けています。

スポットディスカッションは、掲載されている企業がディスカッションの場を設け、サンカク参加者からアイデアを求める取り組みです。

「自分は社外でも通用するのか?」と自分の市場価値を確認する目的でも、スポットディスカッションの取り組みは有意義だといえます。

ゼロワンインターン

ゼロワンインターンは、長期インターンに特化した日本最大級のインターンシップ募集情報サイトになります。

有名企業からベンチャー企業まで、幅広い案件を掲載しています。

学生向けのインターン情報が多いですが、「既卒歓迎」の条件で検索すれば、社会人でもインターンシップに参加できる情報を見つけることができます。

PROJECT INDEX

PROJECT INDEXは、「実践型インターンシップ」として、経営者や事業リーダーとともに新規事業や課題解決に参加することができるサイトです。

PROJECT INDEXでは、募集情報を掲載するうえで独自の品質基準を設けています。

そのため、本気で挑戦・成長できるインターン情報だけ掲載されている点が魅力です。

対等な「メンバー」の一員としてプロジェクトに参加するため、困難も多いですが、以前の自分よりも格段に成長できる環境を提供してくれます。

ブログなどの情報発信

自分の情報発信の場を設けることもおすすめです。

なぜかというと、情報発信を続けることによって、あなたのファンを獲得できたり、そこから仕事の依頼がきたりするからです。

情報発信については、今回紹介しているパラレルキャリアの始め方の中でも最もハードルが低い選択肢になるため、手始めにアカウントだけ作っておくのもいいでしょう。

note

情報発信の手段は色々ありますが、ブログであればnoteというサービスがおすすめです。

noteはコンテンツ配信用のプラットフォームとして、2014年にサービスを開始しました。

会員登録者数は約380万人(2021年3月時点)にまで増加し、今後ますますの発展が期待されるメディアプラットフォームです。

ブログとしての機能はもちろん、noteでは自身の作成したコンテンツの販売機能や定期購読マガジンなどの仕組みもあります。

それなりに知名度を上げていければ、自分の記事を収益化させることもできるため、情報発信の場としてはかなりおすすめです。

Twitter

最初から長い文章を書くのが難しいと感じる場合は、SNSでの発信もいいでしょう。

特にTwitterはおすすめです。

140字で表現するためブログよりもハードルは下がりますし、文章を書く練習にもなります。

また、同じ志を持った人と交流することもできるため、モチベーションが下がりにくいメリットもあります。

パラレルキャリアは働き方を自由にするキャリア形成

今回の記事の内容は、まとめると次のとおりです。

  • パラレルキャリアとは、本業とは別のキャリアを築くこと
  • やりたいことに小さくチャレンジすることができ、本業にも活かせる
  • 自分が何をやりたいのかを明確にしてから募集サービスを利用すること
  • パラレルキャリアは簡単に始められる

パラレルキャリアは、自分のしたいことを実現して社会貢献する働き方です。

ただ、いざ新しいことを始めようとすると、だれでも最初は不安や抵抗感を抱くものです。
自分のキャリアを見つめ直すためにも、まずは今回紹介したサービスの中で気になるものに登録するだけでもいいです。

その小さな一歩が、働き方の不満を解決する糸口になるかもしれません。